情熱のテノール! 樋口達哉がいざなうイタリア・オペラの世界

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樋口達哉(テノール)

樋口達哉(テノール)

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樋口達哉が歌う極上のイタリア・オペラをカフェで堪能。 第30回“サンデー・ブランチ・クラシック”6.12ライブレポート

6月2週目の『サンデー・ブランチ・クラシック』には、オペラ界の最前線で活躍を続けるテノール歌手・樋口達哉が初登場した。この日も、樋口のイタリアの太陽のような輝かしい歌声を耳にしようと、この日のカフェにはたくさんの人が訪れた。

今か今かと樋口の登場を待ちわびる場内ではステージに注目が集まる中、歌声が聴こえてきたのはなんと会場の真後ろ(しかも客席)だった。一斉に振り向く聴衆の視線を浴びながら樋口が朗々と歌い上げたのは、ヴェルディ作曲オペラ『椿姫』より「乾杯の歌」。

生声の迫力・その美しさに皆が圧倒される中、やっとステージに上がった樋口は「今日、偶然いらしたというお客様はいらっしゃいますか? あ、いらっしゃいますね。嬉しいですね~」と問いかけながら笑顔で会場を見渡す。この日、ゲストピアニストとして共演した金井信が奏でる優美なメロディに乗せて「オペラ歌手をやっております、樋口達哉です。オペラ歌手と言うと、遠い存在に思われるかもしれませんが、ここに存在しておりますのでそんなことはございません(笑)。ぜひ今日は楽しんでいってください」とカフェの隅々まで呼びかけた。

樋口がこの日テーマとしたのは“イタリア・オペラ”だ。樋口の所属する二期会では、7月1日(金)から7月3日(日)にかけて、サントリーホール ブルーローズ(小ホール)にて3日間コンサートを行う。樋口が出演するのは、1日(金)の『華麗なるイタリア・オペラの世界』と銘打たれた日であり、それに先駆けてプレコンサートとも言えるイタリア・オペラの名曲の数々が並ぶプログラムを用意してくれた。

「先ほど歌わせて頂いた「乾杯の歌」は本来は合唱と共に歌う2重唱なんですが、本日は他に歌手が出てくることはございませんので独唱にてお聴きいただきました。」と笑顔を見せつつ次に歌ってくれたのは、ヴェルディ作曲オペラ『リゴレット』より「女心の歌」だ。軽快なメロディに乗せて、樋口は客席の間を歌い歩く。オペラハウスの最前席よりも近い距離で歌声を浴びることができる機会は、なかなかにないのではないだろうか。歌い終わると、樋口は近くにいた観客に声をかけながら再びステージに戻り「1曲目と2曲目をお聴きいただいて、何かお気づきになられた方はいらっしゃいますか?」と問いかけた。1曲目と2曲目の共通点といえば、イタリアの大作曲家・ヴェルディの作品であることだ。

「ヴェルディという作曲家の特徴は、三拍子の“ズンチャッチャ”というリズムなんです」と樋口が明かすと、すかさず金井がそれぞれのメロディを奏で出す。三拍子の作曲が得意だったというヴェルディは、この他にも三拍子の名作を数々作曲している。

樋口達哉(テノール)

樋口達哉(テノール)

「次に歌う曲は、あまり有名ではないのですが……」と歌ってくれたのは、ヴェルディの四作目のオペラ『十字軍のロンバルディア人』よりオロンテのアリア「我が喜びに満ち」。誰もが知る有名な曲を聴くのも楽しいが、こうしてあまり耳にする機会のない音楽に触れられる瞬間もとてもいいものだ。

「イタリア・オペラを続けてお贈りしてまいりましたが、興味を持たれた方は、ぜひ7月1日にサントリーホールへいらしてください」と誘いかけながら、最後もイタリア・オペラより、プッチーニ作曲『トスカ』より「妙なる調和」を歌い上げた。

大きく手を広げ、カフェの空間いっぱいに歌声を響き渡らせる樋口に、客席からは鳴り止まない拍手と「ブラボー」の声も。「ブラボー!」と声をかけられたら、もちろん応えないわけがない。「短い時間ではございますが、今日初めましての方も、いつもいらしてくださる方も、本当にありがとうございました。拍手をたくさん頂いたので、勝手にアンコールをさせて頂こうかな……」との呟きには一層大きな拍手が沸き起こった。

金井信(ピアノ)、樋口達哉(テノール)

金井信(ピアノ)、樋口達哉(テノール)

「何を歌いましょうか?そうですね……、イタリア・オペラばかりを歌ってきましたので、カンツォーネを歌いましょうか」と、カルディッロ作曲のナポリの歌曲「カタリ・カタリ(つれない心)」をチョイスした。イタリアといえば“情熱的な恋”。女性に捨てられ、悲しみにくれる男心を情感たっぷりに描いたこの曲を樋口はテノール歌手の魅力全開で歌い上げる。

一層の盛り上がりを見せる会場に「本当に嬉しくて帰りたくなくなってしまいました」と「オ・ソレ・ミオ」でダブルアンコール。途中から客席からは手拍子、サビでは伴奏の金井のハモリも加わり大盛り上がりの中、30分の幕を閉じた。

第二部では、カンツォーネ「忘れな草(私を忘れないで)」、オペラ『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」、カンツォーネ「Passione 情熱」、「コン・テ・パルティロ(タイム・トゥ・セイ・グッバイ)」などが歌われた。

サイン会でのお客様とのふれあい

サイン会でのお客様とのふれあい

この『サンデー・ブランチ・クラシック』の会場であるLIVING ROOM CAFE by eplusを「何もなくても来たい」と言うほどに気に入ってくれた樋口と金井の二人へ終演後に話を伺うと、「こういう空間、僕はとても好きです。いつも、その時のお客様の様子を伺いながらコンサートをするんですけど、こういう空間ですとより身近に感じて頂けると思いますし、お客様自身も気軽に足をお運び頂けますね。このような取り組みは、僕もどんどんやっていきたいです」と語ってくれた。

また、お子さん連れの方とお話されたそうで、「今日が、クラシックのコンサートに来るのが初めてだったんですって。楽器も歌も含めて。初めて聴いていただけたのが僕の声っていうのは、すごく嬉しいですよね」と目を細めていた。

インタビューの様子

インタビューの様子

これまでも一緒に演奏活動を行ってきた金井に、「安心して伴奏をお願いできるんです。始まる前にいきなり、ちょっとこの曲お願いできます? とか(笑)。少し一緒に歌って頂きましたが、金井さんご自身も歌われるのでわかってくださるんですよね」と樋口が絶大な信頼を見せると、「私の名前が金井(かない)というものですから、いつもMCで「今日は樋口の“家内”として演奏したいと思います」なんて話したりするんですよ(笑)」と演奏以外でも“内助の功”を発揮しているエピソードも飛び出した。

本日のプログラムも、7月1日に控える二期会デイズのコンサートも“イタリア・オペラ”づくし。「イタリアは、オペラが生まれた国ですから。オペラという総合芸術の中の、声の醍醐味・魅力を存分に感じていただければと思います。日本を代表する歌手たちがそろってお届けいたしますので、きっとご満足頂けると思います。」

最後に、金井は「クラシックはいいものだなと再認識していただいて、少しでも触れてもらえたらいいなと思います。樋口さんがその突破口になって、世界を広げてくれることを祈っています」と振り返り、樋口は「今日という時間を共有して頂けたことに御礼を申し上げます。今後も、コンサートやオペラに足を運んで頂けたら嬉しいです。これからも、皆様の心の癒しになるような活動をしていけたらなと思っております」と感謝していた。

樋口は、7月1日のコンサートのほかにも、8月に能代オペラ音楽祭 5周年記念公演『カルメン』や、2017年2月 東京二期会『トスカ』、6月 日生劇場『ラ・ボエーム』、11月 同劇場『ルサルカ』などへの出演が予定されている。樋口の活動から、今後も目が離せない。

金井信(ピアノ)、樋口達哉(テノール)

金井信(ピアノ)、樋口達哉(テノール)

毎週日曜日の『サンデー・ブランチ・クラシック』から広がる世界へ! 次回も、お楽しみに。

プロフィール
樋口達哉(ひぐちたつや)
福島県出身。武蔵野音楽大学卒業、同大学大学院修了後イタリア・ミラノに留学。リクルート・スカラシップ獲得。E.カルーソー国際声楽コンクール最高位等、受賞歴多数。'98年、ハンガリー国立歌劇場『ラ・ボエーム』ロドルフォ役でヨーロッパデビューを果たし、'99年にはミラノ・スカラ座に出演。日本オペラの分野でも『夕鶴』『黒船』『修禅寺物語』(坂田藤十郎演出)『忠臣蔵・外伝』等で抜群の存在感を示す。近年の舞台では、『トゥーランドット』(カラフ)、新国立劇場『ナブッコ』(イズマエーレ)、二期会『ホフマン物語』(ホフマン)、同『蝶々夫人』、びわ湖ホール・神奈川県民ホール『さまよえるオランダ人』エリックに出演し好評を博した。コンサートにおいてもベートーヴェン『第九』のソリストはもとより、NHK・FMリサイタル、オペラ界のスターが一同に集まる『NHKニューイヤー・オペラコンサート』等で活躍。2014年7月には、イタリアとサン・マリーノにてジョイント・リサイタルを開催。イタリアの太陽を想わせる輝きのある声と華を持つ日本を代表するテノールとして多くのファンを魅了している。男声ユニット【ザ・ジェイド】としても活躍。2017年2月東京二期会『トスカ』カヴァラドッシに出演予定。二期会会員。

金井信(かないまこと)
慶應義塾大学文学部哲学科(美学・美術史学専攻)、東京藝術大学声楽科、尚美高等音楽学院作曲科卒業。長年、伴奏者・編曲者の第一人者として、ネステレンコ、オブラスツォワ、故立川清登、佐藤光政、郡愛子、勝部太、小松英典、佐藤しのぶ、錦織健、五郎部俊朗など多くの一流声楽家をはじめ、ポピュラー系では渡辺真知子、眞理ヨシ子、梅原司平、太田真季、柳沢里実・久実らをサポート。クラシック、ジャズ、ミュージカル、ポップス、演歌に至るオールラウンドな幅広い技術と即座の移調能力、歌にピッタリ寄り添う柔軟な音楽性は、他の追随を許さぬオンリーワン的な存在として多くの信頼を集めている。TVでは「タモリの音楽は世界だ」「アイ・ラブ・クラシック」、ラジオでは「夕べのリサイタル」等に出演。一方、自らのアレンジによる華麗な映画音楽、遊び心いっぱいの童謡アレンジ、楽しいリクエスト・コーナーから弾き語りまで、魅力満載のソロ・コンサートも全国で精力的に展開。巧みなトークと共に、ジャンルを越えたユニークなピアニストとして人気を博す。映画音楽やオリジナル等を集めた4枚のピアノソロCD「By myself」「Naturally」「Delicious」「With You」も好評発売中。

 

二期会 公演情報
Nikikai Days @ Blue Rose 2016

 日程:2016年7月1日(金)~7月3日(日)
 会場:サントリーホール ブルーローズ(小ホール)
 主催:株式会社二期会21
 協力:サントリーホール

第1日<華麗なるイタリア・オペラの世界>
日時:7月1日(金) 19:00開演/18:30開場
<演奏予定曲(順不同)>
・大山亜紀子 
ヴェルディ 『ドン・カルロ』より “世のむなしさを知る神”(エリザベッタ) 
・横山恵子 
プッチーニ 『トゥーランドット』より “この宮殿の中で”(トゥーランドット) 
・富岡明子 
ロッシーニ 『ラ・チェネレントラ』より “悲しみと涙のうちに生まれて”(アンジェリーナ) 
・中島康晴 
ドニゼッティ 『ランメルモールのルチア』より “我が祖先の墓よ”(エドガルド) 
・樋口達哉 
プッチーニ 『トスカ』より “妙なる調和”(カヴァラドッシ) 
・上江隼人 
ロッシーニ 『セビリアの理髪師』より “私は町の何でも屋”(フィガロ) 
ほか


第2日<わたしの特別な作曲家>
日時:7月2日(土) 14:00開演/13:30開場
<演奏予定曲(順不同)>
・山口道子 
山田耕筰 『風に寄せてうたへる春のうた』(全曲) 
・秋葉京子 
マーラー 『亡き子をしのぶ歌』(全曲) 
・大澤一彰 
トスティ 「暁の光から」 
ガスタルドン「禁じられた音楽」 
・又吉秀樹 
シューベルト 「こびと」 
トスティ 「Good-bye(さようなら)」 
・坂下忠弘 
プーランク『村人たちの歌』(全曲) 
ほか

第3日<オペラ『ドン・ジョヴァンニ』>
日時:7月3日(日) 14:00開演/13:30開場
<出演>
ドン・ジョヴァンニ/宮本益光、ドンナ・アンナ/針生美智子、
ドンナ・エルヴィーラ/林 正子、ドン・オッターヴィオ/望月哲也、
レポレッロ/池田直樹、騎士長/高橋啓三、ツェルリーナ/三井清夏、
マゼット/近藤 圭、ピアノ:石野真穂

公式サイト:http://www.nikikai21.net/concert/days_2016.html

 

樋口達哉 公演情報
第1回 オペラ歌手 紅白対抗歌合戦 ~声魂真剣勝負~

 日時:2016年9月6日(火)
 会場:サントリーホール 大ホール (東京都)

 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 
 指揮:垣内悠希、三ツ橋敬子 
 司会:本田聖嗣 
 推薦人:大島幾雄、折江忠道、高丈二、三枝成彰、沼尻竜典 
 
<出演>
(女声)
ソプラノ:腰越満美、佐藤美枝子、澤畑恵美、砂川涼子、並河寿美、半田美和子 
メゾソプラノ:永井和子 
二重唱:安井陽子、小林由佳 
四重唱:加藤早紀、宍戸茉莉衣、辰巳真理恵、藤原唯 
(男声)
ソプラニスタ:岡本知高 
テノール:樋口達哉、水口聡、村上敏明 
バリトン・バス:黒田博、須藤慎吾、牧野正人 
二重唱:小原啓楼、成田博之 
四重唱:La Dill(彌勒忠史、岩田健志、坂下忠弘、金山京介) 
※都合により出演者が変更となる場合がございますが、予めご了承ください。

 
江原啓之プロデュース 開運オペラ!!

■大阪公演
 日時:2016年9月17日(土)
 会場:森ノ宮ピロティホール
■東京公演
 日時:2016年9月19日(月・祝)
 会場:東京国際フォーラム ホールC (東京都)
 
 指揮:河原忠之
 演出:粟國淳
 管弦楽:ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
 曲目・演目:「ジャンニ・スキッキ」<イタリア語上演・字幕付> 
 
<出演>
江原啓之(ジャンニ・スキッキ)、佐藤美枝子(ラウレッタ)、
岩森美里(ツィータ)、樋口達哉(リヌッチョ)、 
木川田澄(シモーネ)、晴雅彦(スピネッロッチョ、アマンティオ・ディ・ニコーラオ)、他 

 

 

サンデーブランチクラシック情報
7月3日(日)
1966カルテット(女性カルテット)
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE:500円

7月10日(日)
山田姉妹(山田華、山田麗)(ヴォーカル)
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE:500円

7月17日(日)
上野耕平(サクソフォン)&反田恭平(ピアノ
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE:500円


公式サイト:http://eplus.jp/sys/web/s/sbc/index.html​
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