OBLIVION DUST ツワモノ揃いの3人が真夏に爆発、やんちゃな素顔も暴露!?

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2016.8.8
OBLIVION DUST 撮影=富井昌弘

OBLIVION DUST 撮影=富井昌弘

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定期的にライブを開催しつつも音源に関しては長らく沈黙していたOBLIVION DUSTが、約4年半ぶりにミニアルバム『DIRT』をリリースする。持ち前のメロディセンスをそのままに、激しく振りきれた楽曲はバンドの原点に立ち返って制作されたもの。VAMPSのK.A.Z、FAKE?のKEN LLOYD、RIKIJIというツワモノ揃いの3人が真夏に爆発したと言っても過言ではない、刺激的なナンバーが矢継ぎ早に飛び出してくる。楽曲制作時のエピソードはもちろん、メンバーのやんちゃな素顔(?)にも迫ってみたインタビューをお届けする。


鮮明でキレイな音楽というより、アグレッシブでラフな部分も出しているから隠すものもないし、まんまの状態で出して“耳を汚しちゃうぜ”みたいな。


――新作ミニアルバム『DIRT』は攻めた内容になりましたね。OBLIVION DUSTのメロディックな部分は活かしつつ、今作はメランコリックな要素は少なめだなと感じました。久々の作品を作る前にメンバー同士で話したことはありましたか?

K.A.Z(G):前回のアルバム(『9 Gates For Bipolar』)から4年3ヶ月経つんですが、今年に入ってから「もう1回、バンドの原点に戻ってジャムセッションしながら作曲をしよう」って方向転換して、スタジオに入って曲作りしながら作ったのが今作ですね。

――スタジオに入って音を出しながら完成させていった楽曲が収録されているということですか?

K.A.Z:そうです。ここ何枚かのアルバムは、個人個人が書いた曲を元にレコーディングすることが多かったので、それ以外はスタジオに一緒に入ることが少なくなっていたんです。でも今回はみんなで音を出すことから始めました。

――原点に戻って、そういうやり方をすることから始めたのは何か思うところがあったからなんでしょうか?

KEN LLOYD(Vo/以下、KEN):OBLIVION DUSTが再結成してからは個別に曲を作った上でみんなで合わせるスタイルだったんだけど、何回もスタジオに入ることによって話し合いも多くなるし、個人が書いた曲であってもグルーヴが出てくる。要は再結成前のような作り方ですね。最近のバンドはPCで曲を作ることが多いけど、昔ながらのやり方。そういう意味でいうとOBLIVION DUSTの原点というより、バンドの原点のような曲の作り方をしましたね。

K.A.Z:集まってやるとメンバーそれぞれ、いろいろな意見があるから、まとめるのが難しい面もあるんだけど、それだけ多くのアイディアが出るということでもあるから新鮮でしたね。1人ではできないものができるし、曲がよりバンドのものになっていく感覚がありました。

――だから、こんなにエネルギッシュでみなぎっているアルバムになったんですかね?

K.A.Z:そう。ライブ映えする曲が増えたと思うんですよ。オブリのライブを思い浮かべたら、どの曲もハマると思うし、楽しめる要素が増えている。ライブのために作った曲たちという感じもありますよね。

RIKIJI(B):例えばKENが作る曲は自分のキーに合わせて作るけど、俺とかK.A.Zさんは音先行で作ってしまうことがあるから、ライブでKENが声を出しずらい部分があったりしたんです。今回は3人で話し合いながら作っていったので「この曲のここは声が出にくいから半音下げよう」って調整したりとか、ちゃんとライブを想定して作りました。K.A.Zさんが言うように、ライブ映えすることを第一に考えて。

KEN:キーを合わせてもK.A.Zがサビを倍にしちゃったりするから「息継ぎできないよね」ってなるんだけど(笑)。

――(笑)結局、大変だと。じゃあ、『DIRT』に収録されているのは共作が多いんですか?

RIKIJI:半分ぐらいはそうですね。

KEN:個々が作った曲もスタジオでみんなで形にしているから、一緒に作っている感がありましたね。共同作業によって出来上がったアルバム。

OBLIVION DUST/KEN LLOYD 撮影=富井昌弘

OBLIVION DUST/KEN LLOYD 撮影=富井昌弘

――1曲目の「Death Surf」からして歪みまくりの凶暴なサーフロックで、血が騒ぎます。

KEN:サーフィーンしたくなりました?(笑)。

――海で? サーフィンしなきゃダメですか?

KEN:ダメですよ。この後、ボード買いに行ったほうがいい(笑)。

RIKIJI:(笑)クラウドサーフじゃないの?

K.A.Z:ヘヴィ系のバンドでは最近あまり聴かないアプローチの曲ですね。テクニカルじゃない3コードのシンプルな構成で、耳なじみが良くてちょっと懐かしい感じだと思います。ベンチャーズを少しパロっていたり。

――ベンチャーズ奏法“テケテケ”フレーズも盛り込まれていますものね。

K.A.Z:そうですね。

KEN:K.A.Zが作った曲でいちばん最後にデモが送られてきて「これ、やばいね」って。で、歌を乗っけてみんなで合わせたんです。最後に完成したのに、「Death Surf」だけは今年の5月のライブでやってるんですよ。

――盛り上がったんじゃないですか?

KEN:そう。普通は新曲やるとお客さんが聴きに入るじゃないですか? なのにけっこうみんな暴れてて「よっしゃー!」って思いました。

RIKIJI:いちばん夏が似合わない男がいちばん夏らしい曲を作ってきましたね(笑)。

K.A.Z:気分だけはね。

――OBLIVION DUSTでいちばん夏が似合う人は誰なんですか?

KEN:RIKIJIに決まってるじゃないですか(笑)。会うたびに日焼けしてますから。

――じゃあ、夏男からこの曲の聴きどころを。

RIKIJI:実は「Death Surf」みたいなシンプルなビートの曲がいちばん難しいんですよ。音を細かく重ねるとノリがよく聴こえるんですけど、削ぎ落としてリズム感やグルーヴ感を出すのはハードルが高い。俺たちは海外のバンド以上のノリを出せていると思います。

――ベースも歪みまくっていますね。

RIKIJI:歪みはスパイスで根本は人間が出しているノリなので。この曲に限らず『DIRT』は削って削ってシンプルにしていますね。

――前回のアルバムの印象が強いのかもしれないけれど、OBLIVION DUSTの曲は緻密に構築していくイメージがあったんです。今作は弾けている曲が多いというか、衝動性を大事にしてアレンジしたのかなと思いました。

RIKIJI:より自分たちの個性を出した部分もあるし、最近のフェスに出ているバンドたちとは違う方向に行ったっていうのもあるかもしれないし。今回ってOBLIVION DUSTの2ndアルバム(『misery days』1998年7月発売)を意識して作ったんですよ。すごくシンプルな作品だったので、そこにもう1回戻ってみようというコンセプトが最初からありました。

――そうなんですね。どんなに攻撃的であってもメロディックなのは変わらないところだなと思いました。例えば2曲目の「Lolita」も激しくグルーヴィーでありながらサビでは広がりのある美しいメロディへと展開していく。

KEN:そこがオブリの得意な部分なのかなと思っています。俺個人はふだん聴いている音楽もポップだったり静かな曲が多いんですよ。K.A.ZやRIKIJIもキャッチーな曲が嫌いなわけじゃないんだけど、激しかったり攻撃的な曲を作るのに長けているから、そういう曲に俺がポップなメロディを乗せると歯車が合うんですよね。あと、『DIRT』に収録されているのは7曲だけど、このために未完成の曲を含めて40曲ぐらい作っているんですよ。その中から4年半ぶりに出したいと思うもの、今、いちばん聴かせたい曲を選んでいる。

――フルアルバムが楽々、作れる曲数があったんですね。

KEN:フルアルバムを作っても良かったんだけど。

RIKIJI:最初はそのつもりだったんですけど、時期的なものやスケジュールの兼ね合いでミニアルバムになったんです。

KEN:出すものに自信があるから形式はどうでもいいというか、そのへんはすごく素直な若者たちなんです(笑)。

RIKIJI:もうジジイだけどね(笑)。

KEN:そうですけど、そういう部分では良いコたちなんですよ。音は良いコじゃないですけど(笑)。あと早くライブでやりたかったから8月のツアーに向けて、まずは7曲、聴かせたかったんです。

――アルバムタイトルを『DIRT』にした理由は?

KEN:鮮明でキレイな音楽というより、アグレッシブでラフな部分も出しているから隠すものもないし、まんまの状態で出して“耳を汚しちゃうぜ”みたいな。OBLIVION DUSTの“DUST”も“DIRT”という意味でもあるのでフィットする言葉だったんです。

――サウンドだけではなく歌詞も本能的だったり官能的だったりしますよね。「Evidence」なんか、エロティックというか。

KEN:エロいですよね。エロってある意味、攻撃的じゃないですか? 以前のラブソングは、色気はあってもキレイにまとめていたけれど、『DIRT』の曲はすべて120%のパワーでプッシュしてくるものばかりだから、歌詞も120%。そういう曲だと誰かのことを愛おしいって歌うような普通のラブソングにはならずに、欲望だったりエロさを表現した攻めの歌詞になるんですよね。「Death Surf」も女性をとられちゃった歌詞だし。

――フラれた心境を歌っていますよね。

KEN:そう。フラれて“マジぶっ殺す”みたいな(笑)。曲が求めているからそういうエモーションをプッシュするというか、前に押し出している。後ろで鳴っている音が美しいと“BABY、今夜どう?”みたいな歌詞は歌えないけど、音がイヤらしいから。

――(笑)つまりK.A.Zさん、RIKIJIさんのせいですか?

KEN:(即答)そうですよ。

K.A.Z&RIKIJI:?(キョトン顔)

KEN:「Evidence」には特にそういう感情がわかりやすく出ていると思います。汚れを見せていくという意味で『DIRT』というタイトルにも繋がっていますね。

――昇天できるオブリ流のディスコチューンですしね。

K.A.Z:シンプルで王道なロックのフレーズを加えつつ、今っぽい4つ打ちを取り入れていますね。懐かしい雰囲気もあって新しすぎない曲をいかにシンプルに表現するか。

OBLIVION DUST/RIKIJI 撮影=富井昌弘

OBLIVION DUST/RIKIJI 撮影=富井昌弘

――では、みなさんは完成したアルバムを今、どんなふうに感じていますか? 挑戦したところもあったら教えてください。

K.A.Z:今回のアルバムを聴いて“オブリ、キターっ!”って思えるのって4曲目の「Under My Skin」と7曲目の「In Motion」だと思うんですよ。そこは柱としてあって、あとは6曲目の「Caprice」も昔のオブリっぽい。

――「Caprice」はイントロからしてオブリらしいですね。

K.A.Z:そうですね。サウンド的に夏に合いそうな曲。オブリの持つテイストがうまく入りつつ、今までと感じが違うと思えるような曲たちが収録された作品になったと思います。最近、こんなに音を歪ませているバンドも少なくなってきたけど、ライブでどう化けるのかが楽しみですね。

――みんなでスタジオに入って作ったことによって、ギターが変化したとか、そういう部分はありますか?

K.A.Z:全体のことでいったら、奥行きがある音というよりもスピーカーの前で聴いたら歌も楽器も全部がバーンと飛び出してくるようなものにしたかったですね。曲を形にしていくときは“ドラムはこうしよう”とか全体の設計図をまず考えるから、ギターだけ重視していたら、こういうサウンドにはならないと思うんですよ。この曲にいかにギターでスピード感を持たせるかとか、攻撃的にするかとか、感覚的なところが大きい。“この音じゃない”と思ったら違う音を探すし。衣装のフィッティングに近いかもしれないですね。いろいろな音を試してみて、このアンプは違う、これが近いかもしれないってフレーズに対していちばん合う音を探していく。

KEN:出来上がってきた音がすごく良かったので、負けない歌メロを乗っけなきゃって。一緒にやっている中で“音VS歌”っていうのがずっと俺の中にあるんですよ。彼ら(K.A.ZとRIKIJI)とVS(笑)。いい音だと刺激になるし、自分はさらにメロディや歌で曲をさらに持ち上げなきゃいけない。で、メロディをつけたら、「どう?」って2人に投げて「いいじゃん」って答えが返ってきたら「じゃあ、ここから曲をどう磨いていこうか」って。対決も含めてそういうキャッチボール的なやりとりやプレッシャーを楽しみつつ作っていきましたね。K.A.Zの言う通り、『DIRT』ってギタートラックが今までと比べてすごく少ないんですよ。でもギターの存在感だったり、RIKIJIのベースのグルーヴが強力だったので“歌がんばらないとな”と思いながら作っていましたね。

――その刺激によって本能が引き出されたのかもしれないですね。

KEN:そうそう。いつも以上に強い言葉を探して、サビだけではなく全てのメロディにベストなものを探さないとダメだなって。今、聴き返すとクリアできたかなと思うけど、挑戦でしたね。

――RIKIJIさんの挑戦は?

RIKIJI:プレイに関してはいつもと何も変わらないです。俺が弾けば大丈夫っていう。曲に関しては俺たちがガキの頃に聴いていた'80年代の音楽を今の自分たちはやったらどうなるんだろうなって。面白かったのはプリプロの時にArly(有松博)がオカズを叩くとKENとK.A.Zが「そのドラム、カッコよすぎる。昔の人はそんなオカズ叩いてない」って(笑)。シンプルで、良くも悪くもダサかったあの頃の音楽をどうしたらいまカッコよく聴かせられるかがテーマだったと思いますね。だから、若いコには新しく響くだろうし、同世代の人たちは懐かしいと感じるかもしれない。

OBLIVION DUST/K.A.Z 撮影=富井昌弘

OBLIVION DUST/K.A.Z 撮影=富井昌弘

――なるほど。『DIRT』にはOBLIVION DUSTのやんちゃな部分が出ていると思います。大人になった今もメンバーのことをやんちゃだと感じるところはありますか?

KEN:K.A.Zはまず足がちっちゃいですよね(笑)。

RIKIJI:あと髪が赤い(笑)。

K.A.Z:足のサイズが23.5㎝なんですよ。

――(笑)それがやんちゃかどうかはわからないけど。KENさんは?

K.A.Z:最近、酒を飲まなくなっちゃったからな。

KEN:もうやんちゃじゃないですよ(笑)。

RIKIJI:いつもiPadでゲームやってるところじゃないですかね。リハーサルの時も曲作りの時もやってる。

K.A.Z:たまに「話、聞いてる?」って(笑)。

KEN:聞いてますよ。集中するためにやってるんだから。

――ちなみにどんなゲームですか?

KEN:「牧場ゲーム」(笑)。手が疲れるような難しいゲームはやらないですよ。「今日はじゃがいも植えようかな」とか、そういう感じです。

――(笑)意外にも癒し系ですね。RIKIJIさんの場合は?

K.A.Z:いまだにリハーサルに酔っ払って来るところ(笑)。

KEN:RIKIJIがいちばんお酒、飲むんじゃないかな。

――酔っ払っている時はかわいいとか?

KEN:全然かわいくないです(笑)。それこそ、やんちゃになりますね。今は静かにしてますけど、飲んだら“うわあ~”って。

RIKIJI:一緒に飲んでても、いい子ちゃんが多いから、イライラしてきて帰っちゃうんですよ。

KEN:先に帰るわりに、ホテルに戻るのいちばん最後だからね。帰り道、ホテルを見つけられなくなるんですよ。

RIKIJI:一人でまた飲みに行って、迷子になるんです(笑)。

KEN:結局、いい子ちゃんに助けられる。

RIKIJI:「このホテルどこですか?」って交番に駆け込むっていう。

K.A.Z:俺も2度ほど補導しました(笑)。

RIKIJI:「やっべえ。また帰る道わからなっちゃった」ってボーッと立ってたらK.A.Zさんが歩いてきて「RIKIJI、何やってるの?」って。

K.A.Z:真後ろがホテルなんですよ(笑)。

RIKIJI:そういうことは多々ありますね。

――(笑)やんちゃですね。最後に、8月3日からスタートするツアーに向けて、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

KEN:『Dirty Heat Tour』はタイトル通り、汗だくになって汚れて熱いライブの日々になると思います。早く新曲を演奏したくて仕方ないし、全曲やるかは置いておいて『DIRT』からかなりやります。暴れられる曲も多いし、前回のツアーとは一味も二味も違うものになると思うので楽しみです。

――真夏の開放感たっぷりの爆発したライブになりそうですね。

KEN :はい。みんな“Death Surf”してください(笑)。

取材・文=山本弘子 撮影=富井昌弘

 
リリース情報
ミニアルバム『DIRT』
OBLIVION DUST『DIRT』

OBLIVION DUST『DIRT』

2016年7月20日発売
UICV-1071 
¥2,100(税抜) 
1. Death Surf
2. Lolita
3. Evidence
4. Under My Skin
5. Nightcrawler
6. Caprice
7. In Motion

 

ライブ情報
Dirty Heat Tour 2016
8/03 福岡BEAT STATION
8/05 大阪UMEDA QUATTRO
8/06 名古屋SPADE BOX
8/09 仙台darwin
8/11 渋谷TSUTAYA O-EAST

 
 

 

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