鈴木拡樹「あずみを本気で好きになって、ぶつかっていけたら」舞台『あずみ 戦国編』インタビュー

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スケール感あふれる迫力のアクションシーンで昨年話題となった川栄李奈版・あずみが早くも復活を果たす。新作『あずみ 戦国編』は、小山ゆう原作の漫画『あずみ』の第一部をベースに、人を斬るためだけに育てられた女刺客・あずみの壮絶なる戦いの日々を描く。

新作に向けて、新たにキャスト発表されたのが、鈴木拡樹。近年、目覚ましい活躍を遂げる鈴木は、今回、あずみと共に育てられ、ひそかにあずみに想いを寄せる剣士・うきはを演じる。話題作への出演が相次ぐ若手演技派は、今度はどんな顔を見せてくれるのだろうか。

――『あずみ』と言えばこれまで映画化や舞台化もされた人気作ですが、出演が決まったときの率直なお気持ちはいかがでしたか?

随分前に映画版を見たことがあって。そのときは自分が『あずみ』に出演する日が来るなんて想像もしていませんでしたから、本当にまさかですよね。あと、去年の『AZUMI 幕末編』に出演していた細貝圭くんと共演する機会があって、面白いカンパニーだってよく話は聞いていたんです。そういう意味でも今度は自分がそこに関わるというのは、何だか不思議な感じがしますね。

――昨年も主演の川栄さんの殺陣が話題になりました。

周りからも「とにかく川栄さんがすごい!」って聞いていたので、すごく楽しみです。さっきヴィジュアル撮影があって、そのとき、初めてお会いしたんですよ。お互い人見知りなんで、上手く話せたかと言うと上手く話せていなかったと思うんですけど(笑)。これから座長としていろいろ苦労をされることも多いと思うので、稽古中にしっかりコミュニケーションをとって、さりげなくバックアップできるくらいの位置になれたらいいなと思います。

――あずみって、テレビでお見かけする川栄さんのイメージとは全然違いますよね。

豹変するって聞いてますよ(笑)。僕も映像で去年の川栄さんのアクションシーンは拝見したんですけど、これはすごいなとビックリしました。

――しかも今回は前回より150人多い“500人斬り”だと聞きました。

さらにパワーアップするということなんで、演じる側としても楽しみにしつつ、みんなでサポートできることはサポートしていきたいですね。

――暗殺者として育てられたあずみの葛藤は、ひとつの見どころになりそうですね。

そこは現代の日本の感覚では、なかなか想像しにくいところですよね。もちろんテレビの時代劇もあるし、学校で歴史も学んできたから、そういう時代があったこと自体はわかると思うんです。でも、僕らは決して自分の命を懸けることが正義だと教えられて育ってきたわけじゃない。死ぬことに美しさを持っている登場人物の感覚とは絶対的なズレがあるんです。でも、そんな現代人では決して行き着くことのない感覚を体現するのが僕たちの仕事。特にあずみたちは忍びなので、今の子どもたちよりも一層大人っぽい面があると思うんです。そうした現代とのギャップをしっかり見せられれば。

――演じるうきはというキャラクターについてはいかがですか。

まだ表面的な捉え方しかできていないんですけど、仲間の中でもすごくしっかりしている男の子ですよね。あずみたちを育てた月斎さんも、うきはのことをいちばん信頼していたんじゃないかと思います。演じる上でキーとなるのが、あずみへの恋心。恋は人を変えるということをどう表現するのか、演じ方としても魅力的ですし、暗殺集団として育てられたあずみたちの“青春”の部分を背負った役どころなんじゃないかと受け止めています。

――思えば、あずみたちだって生まれる時代や環境がほんの少し違えば、ごく普通の少年少女だったわけですもんね。

この『あずみ』は、そういうことをテーマにしている作品だと思うんです。刺客として達観しているところもあれば、ごく普通の子どものようにおちゃらけた場面もある。そこの対比がホッとしたり、切なかったりするんですよね。それに、あずみというキャラクターそのものがとても純粋というか、色でたとえるなら“白”のイメージ。そこを周りのキャラクターたちが色づけしていくようなお話だなって印象が僕の中にあるんです。その色づけのひとつになるという意味でも、うきははとてもいい色を持っている。僕がうきはとして本気であずみを好きになり、ぶつかっていくことができれば、きっとあずみをとても美しく彩るカラーになれるんじゃないかなと思います。

――見せ場の殺陣は、もう鈴木さんの十八番と言えるところですが。

いやいや、とても十八番とまではいきませんが(笑)、それでも楽しんでやれるようにはなってきました。たとえば、今、僕が殺陣の中でこだわっているのは、肉質によって斬り方を変えるということなんですけど。

――肉質によって変える、とは?

料理と同じだと思うんですけど、たとえば骨ごと砕くときって、斬り方にも違いが出るんですね。押して斬るのか、引いて斬るのか。刺した刀を抜くときも、一度刀を押して入れながら引いた方が、より致命傷を与えられるだろうとか。そういう細かい部分もこだわってやるようになりました。そうすると、斬られ役のアンサンブルメンバーのリアクションも変わってくるし、お客さんにも決して説明はしなくても、「ああ、それだと間違いなく致命傷になるよね」ってことをすんなりわかっていただけるようになるんです。

――なるほど。殺陣そのものはもともと得意でしたか?

いや、むしろ苦手意識の方が強かったです。そもそも殺陣に限らず、僕は何をするにも不器用で、最初から上手くいかないタイプ。お芝居もデビューしてすぐに完全にセンスがないと痛感させられました。そこで、だったら辞めて別の道を探すという選択もなくはなかったんですけど、それ以上に演劇がすごく楽しいと思えたんですね。何とか可能性を信じて進んでいくためには、ひたすら学び続けるしかなかったし、そうやって自分のできないことを調べてひとつひとつ改善していくことを繰り返していくうちに、そのプロセスそのものが少しずつ楽しいと思えるようになっていきました。

――その積み重ねが、この10年なんですね。若い俳優さんから話を聞くことも多いですが、今、憧れの俳優に鈴木拡樹さんの名前を挙げる方が非常に多いです。

そう言ってもらえるなんて、昔の状況から考えるとありえないですが(苦笑)。自分の選んできたことが間違いではなかったんだっていう、ひとつの自信につながるので、本当にありがたいですね。ちゃんとひとつずつ乗り越えて進んできた成果があったんだなって思えるし、これからもいいものをつくり続けていく力になるような気がします。

――そういう意味でも、この『あずみ 戦国編』でどんなことができればいいなと思いますか?

やっぱり作品に関わる以上、多くの人に見てもらいたいという気持ちはあります。この作品は時代劇というジャンルでもあるし、漫画原作というジャンルでもある。けど、この両方のジャンルが苦手な方もいらっしゃると思うんですね。そういう方にも見ていただくためには相応の仕掛けや戦いが必要になる。そのためにも、こうした取材の場所ではみなさんに興味を抱いてもらえるようなことをしっかりお伝えしていきたいですし、何より実際に劇場に足を運んでいただいたときに、ちゃんと心を掴めるものをつくっていきたいです。

――やっぱり生のお芝居にふれることで揺さぶられるものはありますよね。

もちろんひとりで家で漫画を読んでいる時間も素敵ですが、世界の広がり方は絶対に違うと思います。家だと、自分の手の届く範囲に限られてしまう。でも、劇場に来れば、劇場全体に世界が広がります。これだけ大きな世界にじっくり浸れる機会ってなかなかないと思うし、響くものも違うはず。そんな舞台の楽しさを一度でも知っていただけたら、きっと観劇にこれからも興味を持っていただけるって僕は信じています。大それたことかもしれないけれど、そうやってひとりでも多くの方に演劇の魅力を知っていただくことが僕の目標なんです。

プロフィール
鈴木 拡樹(すずき・ひろき)
1985年6月4日生まれ。大阪府出身。07年、テレビドラマ『風魔の小次郎』で俳優デビュー。『最遊記歌劇伝 -Go to the West-』で舞台初主演を飾り、以降、舞台『弱虫ペダル』、ミュージカル『薄桜鬼』、舞台『刀剣乱舞』など人気作に多数出演。8月には舞台『眠れぬ夜のホンキートンクブルース 第二章~キセキ~』、さらに来年2月には舞台『ノラガミ』の新作公演も控える。
 
公演情報
舞台『あずみ 戦国編』​

◆原作:小山ゆう(「あずみ」小学館刊)
◆演出:岡村俊一
◆出演:川栄李奈、鈴木拡樹 他

◆日程:2016年11月11日(金)~27日(日)
◆会場:Zeppブルーシアター六本木
◆公式サイト:
http://www.parco-play.com/web/program/azumi-2016/

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