MISIA 奈良・春日大社で『Misia Candle Night Live』を開催 世界遺産を舞台に清水ミチコと全身全霊ライブ

MISIAが、9月10日（土）、11日（日）の2日間にわたり、奈良・春日大社飛火野特設舞台にて『第31回JTB世界遺産劇場 奈良春日大社 第六十次式年造替奉祝 Misia Candle Night Live』を開催した。

世界遺産劇場とは、日本各地の世界遺産を舞台にアーティストたちがコンサートや芸能を上演する文化イベント。MISIAは昨年10月にも高野山開創1200年記念でライブを行っていた。今回は奈良・春日大社を舞台に、1300年の歴史を誇る御蓋山(みかさやま)を仰ぐ古代祭祀の地、広大な飛火野(とびひの)に特設ステージを設置し、20年に一度執り行われる社殿の修築大事業『式年造替(しきねんぞうたい)』を祝う記念の奉納公演としての開催となった。また、MISIAが2012年から毎年開催している『Misia candle Night Live』としての公演でもある。灯された数千本のキャンドルのきらめきの中で、自分以外の大切なものに思いを馳せる、愛と平和への祈りが込められたライブだ。

『第31回JTB世界遺産劇場 奈良春日大社 第六十次式年造替奉祝 Misia Candle Night Live』 撮影＝田中雅也

 
イベント2日目の9月11日（日）は、天候の乱れが懸念されていたものの、その心配が吹き飛ぶほどの晴天となった。雲間から差し込む日差しは、まるでステージを照らす光のように美しく輝いていた。17時半、鹿の鳴き声とともに秋を感じさせる虫の声が響き、森の放つ静けさが神秘さを一層深めるなか、ステージにMISIAが登場。鹿のツノを連想させる華やかなヘッドドレスを身につけ、卓球日本代表公式応援ソングとして配信リリースしたばかりの新曲「SUPER RAINBOW」でライブの幕をあけた。
 
「Misia Candle Night Liveへようこそ！みんな楽しんでいってね！」という元気いっぱいのMCの後、披露したのは「あなたにスマイル：）」。全体が笑顔と熱気でいっぱいになる楽曲のパフォーマンスに、冒頭から会場のボルテージは最高潮に達していく。その熱気を保ったまま、今回のスペシャルゲスト・清水ミチコがステージに登場。16年来の友人であるという2人は、初めてとなるセッションライブを披露するという。まずは清水が名刺代わりに、様々な著名人のものまねライブパフォーマンス。先程までとは一転して会場には笑いが巻き起こり、これまでにないアットホームな雰囲気でステージは進行していく。

MISIA、清水ミチコ 撮影＝田中雅也

ふたたびステージにMISIAが登場すると、松任谷由実に扮した清水とのセッションライブがスタート。「荒井由実さんの『雨の街を』を歌います！」と曲名が伝えられると、会場には大きな歓声がわきあがった。
 
セッションライブが終了すると、今度はMISIAのカバーソングコーナー。今回初めて披露するという槙原敬之の「僕が一番欲しかったもの」や、以前自身のレギュラーラジオ番組で共演していた堂本剛の「街」を披露した。『Candle Night Live』の定番となっているカバー曲の披露に、会場の観客は感無量の様子。普段と一味違ったパフォーマンスには息をのむように聴き入っていた。その後は、久保田利伸がMISIAに提供した「Let It Smile」や、さらなるカバーソングとして久保田「Indigo Waltz」を歌いあげる。MISIAの歌声が奈良の空に響き渡ると、観客は総立ちで拍手を送り続けた。
 
すっかり日が暮れ、客席に灯るキャンドルの炎がゆらゆらと揺れている。そんな神聖な空気の中、後半にはさらに雰囲気が一変。MISIAが「逢いたくていま」や「オルフェンズの涙」などを歌いあげると、頭上には月が現れた。観客それぞれが手に持つキャンドルの灯と、会場中に敷き詰められた数千本のキャンドル、そして夜空に浮かぶ月までもが、MISIAの歌声に聴き惚れているような錯覚に陥るほどのメロウな世界が広がる。

『第31回JTB世界遺産劇場 奈良春日大社 第六十次式年造替奉祝 Misia Candle Night Live』 撮影＝田中雅也

 
ライブ終盤のMCでは、MISIAが東日本大震災や熊本・大分での地震被害について触れ、「自分以外の人を想う気持ちや人と人との繋がりを大切にし、このキャンドルの灯をたくさん灯し続けていけたら……きっと復興にも繋がっていくと信じています」と『Candle Night Live』に込められたメッセージを語る。そして「One day, One life」や「LIFE IN HARMONY」を、全身全霊を込めた圧巻の歌唱力で披露すると、観客はそれぞれの大切なものに思いを馳せるようにキャンドルを高く掲げていた。ラストには「果てなく続くストーリー」をしっとりと歌い上げ、本編は終了。
 
アンコールでは再びゲストの清水が登場し、またもやセッションライブを披露した。先日2人でライブを観たという矢野明子の「ひとつだけ」を見事なハーモニーで歌いあげ、ラストには『Candle Night Live』のテーマソングともいえる「Candle Of Life」をパフォーマンス。「果てしない夢を 祈り続ける 灯し続けていく キャンドルライト 未来を照らせ 愛の炎」と、まさにこのイベントに込められたメッセージを心を込めて大切そうに歌いあげる。吹き消すと願いが叶うと言われているキャンドルの灯を、MISIAの呼び声で観客全員が一斉に消し、ライブは幕を閉じた。