本田礼生、伊藤マサミにインタビュー「信頼感と安心感のあるチームなんです」 Live Performance Stage「チア男子!!」稽古場に潜入

インタビュー
2016.12.13
稽古風景

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『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞受賞、直木賞を受賞した『何者』など、話題作を次々と発表する若手人気作家・朝井リョウの『チア男子!!』を初舞台化した『Live Performance Stage「チア男子!!」』の稽古の様子が11月某日、取材陣にお披露目された。早稲田大学に実在する男子のみのチアリーディング部「SHOCKERS」に着想を得た小説の舞台版で、すでにアニメ化されて人気を博している。公演は2016年12月9日(金)から18日(日)、AiiA 2.5 Theater Tokyoにて全14公演。今回は、初日まですでに2週間を切った舞台稽古のレポートと幸運にも主演の本田礼生と脚本・演出の伊藤マサミにインタビューをすることができた。

■演出・伊藤マサミと主人公ハル役・本田礼生のぶっちゃけトーク!

――本番まで2週間を切りましたね。

伊藤マサミ役者の子たちは、身体能力がかなり備わっているので、あとは本番までに、チアのシーンをどうコントロールしていくかですね。みんなチアは初体験なんです。誰ひとりチアに触れたことのない彼らが、本番までにどう仕上げていくか。いまは、その部分を積み上げようと思っているところです。ここまで激しい稽古をしてきたからある程度は体が覚えています。ただ、この舞台はオーディエンスがいて初めて完成する特別な舞台です。だから、最後のキャストが1人足りないけれどやりましょうという感じなんですね。その状態でここにいるメンバーだけでテンションをどこまで盛り上げていくか。今は最後のキャスト、つまりお客さんを迎えるための準備段階でもあるんですよ。

本田礼生ベースはできあがってきたので、あとはチアのパワーをキャスト全員でお客さんに届けられるようにしたいです。どうしても確認してしまう部分があるので、そこを振り切るパワーを出すのが大事だと思います。

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――チア以外の見どころはどうでしょう。

伊藤:いっぱいあるよね、どう?

本田:全部です(笑)。歌にダンス、お芝居に、そしてチア。僕が特に意識しているのは、早稲田大学のSHOCKERSさんたちの男子チアを観たときの、「なんて素晴らしいスポーツなんだろう」と感動した気持ちをお客さんにも僕らのステージを通して感じてほしいということですね。

伊藤:タイトルは『チア男子!!』ですが、実は歌もダンスだってできるメンバーがそろっている「なんでも男子」なんです(笑)。チアだけじゃなく、ダンス・パートや歌の部分であるライブ・パートが、チアへの布石になっているので、「なんでも男子」が『チア男子!!』というゴールに向かうところが目を離せないです。

本田:僕、今回のような舞台は観たことないです!

伊藤:いろんなことを取り入れてるからね。だから、歌やダンス、ひとつひとつを完成に導くことが大変。チアだけをやればいいわけじゃなくて、チアはチアでやる、だけど歌やダンスでもお客さんを楽しませる。『チア男子!!』というテーマ・パークなんでしょうね。どのブースにいっても楽しめる。もちろんメインはチアですが、いろんなものを観て楽しんで欲しいです。

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――Live Performance Stageと銘打っていますが、演出で気をつけているところはありますか。

伊藤:常に考えていることではありますが、今回はいつも以上にオーディエンスは共演者の1人ということがあります。小屋入りしても、場当たりしても、ゲネプロをしても、お客さんをいかに感じていられるか。お客さんが来てくれることで完成するから、それまでにどう準備していくかに気をつけて演出しています。

本田:ライブだからお客さんがいて初めて成立する。普通の舞台なら歌を観ることになると思うんです。ただ、この舞台の場合は、ライブに入ったその瞬間から『チア男子!!』としてお客さんが参加できる空間にできるかどうかにかかっています。舞台装置で映像を流してお客さんとコール&レスポンスをするのですが、それを聞いたときに、お客さんが参加して初めて成立する舞台なんだ、と僕のなかで“Live Performance Stage”が改めてというか、より理解できたんです。

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――原作は『桐島、部活やめるってよ』で話題になった朝井リョウさんです。

伊藤:作った作品は自分の子供のように思えるんです。原作がある場合は、そのお子さんをお預かりして、「こんなに成長しましたよ」という一皮むけた状態にしなくちゃいけない。そんな、一種の“先生”のような気分で絶対に良い方向に持っていきたいです。常に原作と向き合って一緒に歩いている感じがします。ただ、舞台は舞台で新しい方向性がないと、あまり意味がない。ここに預けてよかったな、だからこの部分が開花して原作と変わったな、と親御さんである朝井先生に思っていただけるような舞台になればいいかな。

本田:がんばらなくちゃ。

伊藤:演出の経験をどれだけ重ねても、板の上に立っている人間が舞台を作っていくと思っています。もちろん、お客さんが代わりに立つわけにはいかない。演出家だって進行を止めるわけにはいかない。何かあったときに、演技を続けるのは板の上に立っている子たちなんです。その子たちが自由に飛び跳ねるように、地面をならしていくことが演出の仕事じゃないかな。板の上にいる子たちへの信頼感と安心感。

……舞台の台詞にもあるんですけど、信頼感と安心感があるからチアが成り立つように、「こいつになら任せられる」、「安心してキャッチしてあげられる」、「安心して飛ばせる」、「安心して飛べる」、役者同士がそんな気持ちで繋がっていけるようにすることが、演出家の1番大事なことだと思います。

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――座長としての本田さんはいかがですか。

伊藤:登場するキャラクターは個性的ですけれど、それ以上にメンバーも個性的なんです。初めて礼生と会ったとき、個性的なメンバーをまとめるお父さんだな、座長としてぴったりだなって(笑)。稽古でも、いばらないし、自分勝手にやらないで常に周りをまとめてくれる。チアだとトップ(というポジション)のハル役を演じるんです。彼の立ち振る舞いを見ていると、根本から上にたつ人間なんだな。トップのハルに巡り会えた本田くんに出会えて嬉しいなと思っています。

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――舞台への意気込みをお願い致します。

伊藤:『Live Performance Stage「チア男子!!」』は、いままでにみなさんが観たことがないような世界に連れて行きますので、日頃の疲れをふっとばしに来て思いっきり楽しんでください。

本田:僕らの熱い気持ちが伝わる今までに観たことのない舞台だと思いますので、ぜひ観に来て欲しいです!

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■観劇する前に知っておきたい簡単なあらすじ

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柔道道場の長男・坂東晴希はスポーツで有名な命志院大学の1年生。姉や幼馴染の一馬と共に、幼い頃から柔道を続けてきた。しかし、無敗の姉と比べて、自分の限界を感じている。そして怪我をきっかけに柔道を辞めてしまう。そんな時に同じく柔道を辞めた一馬の誘いで大学チアリーディング界初の男子のみのチームを結成する。そこにそれぞれに事情を抱える超個性的なメンバーが集まってくる。彼らは学園祭で初舞台を踏むことを目指すが……。笑いあり、涙あり、スペクタクルありの、歌とダンスとチアで魅せる、まさにライブ・パフォーマンスだ。詳しい物語は実際に観劇をお勧めするとして、登場人物たちをおさらいしておこう。

■キャラクター紹介

『Live Performance Stage「チア男子!!」』に登場するのは超個性的なメンバーたち。実はそれぞれに事情を抱えている彼らを知っておくのも観劇をする上で役に立つかも。

主人公・ハルこと坂東晴希本田礼生):大学1年生。柔道道場の息子。無敗の姉の晴子になかなか言い出せないままチア部を結成する。チアではトップを務める。

本田礼生

本田礼生

カズこと橋本一馬(古田一紀):元柔道部。両親を幼い頃事故で亡くしている。チアリーディングをしていた母の影響でチア部の結成を決意。実は入院している祖母の容態を隠している。ハルとは幼馴染で、チアではトップを務める。

古田一紀

古田一紀

溝口こと溝口渉(平田雄也):大学一年のメガネ男子。名言好きで理屈っぽい。悪く言えば他人に流されやすい。料亭のお坊ちゃま。厳しい両親に内緒で、自分を変えるためにチームに入る。チアではスポットを務める。

平田雄也

平田雄也

トンこと遠野浩司(皇希):文学部の一年生。太っている。高校時代までの冴えない自分を変えたくてチームに入る。チアではベースを務める。

皇希

皇希

イチローこと総一郎(才川コージ):陽気な関西人。運動神経抜群の天才肌。なんでも簡単にこなせてしまうため、できない人の気持ちが分からないと思われている。でも本当は……。チアではベースを務める。

才川コージ

才川コージ

(福澤侑):イチローの幼馴染。関西弁のムードメーカー。イチローと仲良くしているが、彼に強いコンプレックスがある。チアではベースを務める。

福澤侑

福澤侑

翔こと徳川翔(高野洸):プリンス系イケメン。私服がダサい。高校でチア部「SPARKS」に所属していたが、あるキッカケでチアをやめる。でもまだ諦めきれない……。

高野洸

高野洸

ハゲ店長(赤羽健一):ヒマワリ食堂(カフェ・サンフラワー)の店長。彼らが結成するチア部「BREAKERS」のよき理解者。

右、赤羽健一

右、赤羽健一

 

■稽古場レポ―ト

小雨ぱらつく寒い日、稽古場の入り口から白い熱気が飛び出している。稽古場に入ると中央で出演者全員が円陣を組み、本田礼生が「ゴー、ブレイカーズ!」の掛け声と共に散らばって始まった稽古は、もうすでに「チア男子!!」らしく信頼感・安心感で繋がったチームのように見えて、本田の座長っぷりに感心させられた。

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まずは登場シーンから始まっていく。セットに乗って運ばれて入ってくるハルとカズの2人。ここからめくるめく、ダンスと歌と芝居、そしてチアが始まっていくのだが、ここからは、劇場に行ってご覧になってほしい。

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目をみはるのが、統制のとれた筋肉の塊(トンはちょっと違う)と言わんばかりの役者の激しいアクロバティックなダンスだ。簡単に側転やロンダートをしたかと思えば、次の瞬間にはバク転さえ飄々とやってのける。チアというタイトルがつくのだから当然といえば当然だけれど、それをできる7人が集まったことが奇跡というよりほかない。

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そして歌。ライブといわれるナンバーは、まさに観客をコール&レスポンスに誘うような体を動かしたくなる曲調、あるいは歌詞になっている。インタビューでも本田が言っていたように、舞台の背後に電光掲示板のような装置があって、そこに「GO FIGHT WIN!」「LET’S CHEER UP!」などの文字が流れるそうだ。そこで観客はコール&レスポンスをする。もちろん役者が観客に仕掛けるのだが、それは覚えておいて損はなし。ぜひ、彼らと一つになって歌い、叫び、泣き、喜ぼう。劇中歌が表現しているのは喜びだけではなく、彼らの抱える苦悩や葛藤もうかがうことができる。これを情感たっぷりに歌われたら涙腺が崩壊してしまう……。

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原作に朝井リョウ、脚本・演出に伊藤マサミのタッグが手掛ける、しっかりと構成されたストーリーは心を揺さぶる。役者たちの熱い芝居に五感が刺激される。

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そして大事なチアの部分。こちらは、本家のSHOCKERSに見劣りすることなく仕上がっていた。もちろん本番はもっとド派手に、そして華麗に決めてくれるだろう。筆者も関節やシェイプされた筋肉一つ一つの動きに見惚れてしまったぐらいだ。これこそまさにスポーツの美学。とにかく素晴らしいの一言であった。

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稽古場を後にする際、「これは観ないと後悔するな」と思わされた。稽古中の様子を見ただけでなぜか励まされ、涙が出そうなほどに感動してしまったのだ。これは一度だけでも観劇することをお勧めする。皆で『チア男子!!』の一部になりに行こう。LET’S CHEER UP!

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本田礼生、古田一紀らがチアリーディングで全力の笑顔! Live Performance Stage「チア男子!!」ゲネプロレポート

(取材・文・撮影:竹下力)
 
公演情報
Live Performance Stage「チア男子!!」
 

日時:2016年12月9日(金)~18日(日)
場所:AiiA 2.5 Theater Tokyo
 
〈出演〉
本田礼生
古田一紀
 
平田雄也
皇希
才川コージ
福澤 侑
 
高野 洸
 
 
〈スタッフ〉
原作:朝井リョウ「チア男子!!」(集英社文庫)
脚本:伊藤マサミ(bpm/進戯団 夢命クラシックス)、入江おろぱ
演出:伊藤マサミ(bpm/進戯団 夢命クラシックス)
主催:LPS「チア男子!!」製作委員会2016
 
公式ツイッター:@cheerboys_stage

 
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