『魔女の秘密展』名古屋会場レポート

レポート
2015.8.25
『魔女の秘密展』エントランス 非日常感が味わえる世界へ、いざ!

『魔女の秘密展』エントランス 非日常感が味わえる世界へ、いざ!

神秘に包まれた“魔女”の謎を解き明かす展覧会

名古屋の歴史資料を収集・保管し、国内外の優れた文化遺産を紹介する<特別展>と、尾張の歴史文化を掘り起こす<企画展>を軸に展観している「名古屋市博物館」。“歴史系の博物館”と聞くと堅く地味な印象を受けるかもしれないが、近年は、圧巻の見応えで人気を博した『大浮世絵展』、おもしろ口上やマジックの実演も行った『マジックの時間』、江戸時代後期の“猫ブーム”に焦点を当て猫好き心をくすぐった『いつだって猫展』など、ポップな要素を含んだ注目展もしばしば。そして、現在開催中の『魔女の秘密展』である。

グスタフ・アドルフ・シュパンゲンベルク《ワルプルギスの夜》 4月30日の夜に開かれる魔女の集会が描かれた作品 ©Hamburger Kunsthalle/bpk Photo:Elke Walford

グスタフ・アドルフ・シュパンゲンベルク《ワルプルギスの夜》 4月30日の夜に開かれる魔女の集会が描かれた作品 ©Hamburger Kunsthalle/bpk Photo:Elke Walford

日本における「魔女」といえば、ジブリ映画『魔女の宅急便』や『魔法少女まどか☆マギカ』などのアニメ作品、劇団四季ミュージカル『ウィキッド』といったファンタジーのキャラクターとしてや、漠然とした神秘性をイメージする人が多いだろう。しかしその実在が信じられ、恐れの対象や異端の存在と捉えられていた中世~近世ヨーロッパの歴史をたどれば、「魔女狩り」や「魔女裁判」「拷問」といった恐ろしい一面も。本展は、そんな多面的な奥深さと謎めいた背景ゆえに、芸術家の創作意欲や多くの人たちの興味を掻き立ててきた「魔女」をテーマにした日本初の本格的な展覧会なのだ。

ルイ=モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル《サバトへ行く前のレッスン》 ©RMN-Grand Palais / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF

ルイ=モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル《サバトへ行く前のレッスン》 ©RMN-Grand Palais / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF



しかも、2009年に「ドイツ・プファルツ歴史博物館」で人気を博した『魔女ー伝説と真実』を基に再構成された特別展だけに、見応えたっぷり。ドイツ、オーストリア、フランスの美術館・博物館から集められた貴重な史料や作品に「魔女裁判」で実際に使用された道具類など、本場ヨーロッパで企画開催されたものだからこそ実現した充実のラインナップを堪能できる。
会場風景

会場風景



会場は4部で構成され、導入となる第1章【信じる】では、「魔女」とは何か?や、魔術とそれに対抗する魔除けやお守り、悪魔との関係について紹介。続く第2章【妄信する】は、「魔女」が人々の不満や憎悪の標的となっていった時代背景がよくわかる展示になっており、双頭の仔牛や猫といった衝撃的な標本も! ここでは、「魔女」を定義づけた当時のベストセラー『魔女に与える鉄槌』や、デューラーの銅版画など著名画家が描いた魔女像も見ものだ。
悪魔や魔術、災難や病気に対するブレーフェルル(護符) ©Ried im Innkreis, Museum Innviertler Volkskundehaus. Foto: Clemens Mader

悪魔や魔術、災難や病気に対するブレーフェルル(護符) ©Ried im Innkreis, Museum Innviertler Volkskundehaus. Foto: Clemens Mader

 
目が良くなるためのお守りとして好まれた、モグラの前脚のお守り ©Ried im Innkreis, Museum Innviertler Volkskundehaus. Foto: Clemens Mader

目が良くなるためのお守りとして好まれた、モグラの前脚のお守り ©Ried im Innkreis, Museum Innviertler Volkskundehaus. Foto: Clemens Mader



さらに第3章【裁く】では会場の様子が一変、キャンドルが焚かれた薄暗い空間には身の毛もよだつ拷問道具や処刑に関する展示がずらり。「異端審問」や「火あぶりの刑」のメディアインスタレーションによって、当時の雰囲気を疑似体験することもできる。
刺のある椅子 ©The Mainichi Newspapers

刺のある椅子 ©The Mainichi Newspapers

 
「異端審問」コーナー

「異端審問」コーナー



そして第4章【想う】では、魔女への差別や迫害の時代が終わった18世紀以降の芸術作品を展観。ラストを飾る「ジャパンカルチャーの魔女たち」のコーナーでは、安野モヨコ、真島ヒロ、吉河美希ら人気漫画家の書き下ろし作品や原画が並び、これを目当てに訪れるアニメファンも多いという。

また、俳優の佐々木蔵之介がナレーションを務める音声ガイド(楽しい白猫と怖い黒猫の2バージョン、有料)や、魔女の扮装ができる撮影コーナー、バラエティに富んだオリジナルグッズの販売(人気は激辛の「魔女カレー」とか)といったお楽しみ要素も満載だ。

全国巡回展につき、このあと浜松、広島、そして来年には東京、福岡(大阪、新潟は既に終了)でも開催予定だが、来月下旬までに名古屋近郊へお出掛けの方は「名古屋市博物館」へぜひ。静謐でどこかホッとするゆったりとした雰囲気と、さりげなく心のこもった展示、ちょっとした遊び心も光る当館自体の魅力も併せてお楽しみを。鑑賞後には、小さな滝のある川や東屋、散策コースが整備された敷地内の日本庭園でくつろぐのもおすすめだ。

当館独自の子ども向け解説ボードによって、小さな鑑賞者も楽しめる

当館独自の子ども向け解説ボードによって、小さな鑑賞者も楽しめる



名古屋市博物館の外観。手前には緑まぶしい日本庭園が広がる

名古屋市博物館の外観。手前には緑まぶしい日本庭園が広がる


 
イベント情報
魔女の秘密展

会期:2015年7月18日(土)~9月27日(日)
会場:名古屋市博物館(名古屋市瑞穂区瑞穂通1-27-1)                           
開館時間:9:30~17:00 ※入場は16:30まで
休館日:月曜(祝日の場合は直後の平日、ただし9/24は開館)、第4火曜(祝日の場合は開館)
観覧料:一般1,300円、高大生900円、小中生500円
アクセス:名古屋駅から地下鉄桜通線で「桜山駅」下車、4番出口から徒歩5分

※10/10~ えんてつホール(遠鉄百貨店 新館8階) (静岡県)有り。

            
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