THE ORAL CIGARETTESが明かす、最新作『UNOFFICIAL』誕生に至るまでの葛藤と確信

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2017.1.27
THE ORAL CIGARETTES 撮影=西槇太一

THE ORAL CIGARETTES 撮影=西槇太一

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THE ORAL CIGARETTESが3rdアルバム『UNOFFICIAL』を完成させた。個々の音楽的な挑戦や精神的な成長を、全て“オーラルの音”として綴じ込めることに成功した傑作だ。音楽的な面でも語ることは大いにある作品ではあるが、本稿ではあえて4人の内面的な部分……つまり、側から見ればオーラルが大きな飛躍を遂げた2016年に制作された本作品に対して、4人がどのように向き合い、取り組んでいったのか。そしてその最中にどのような思いを抱いていたのか。そこをじっくりと聞いてみた。
クレバーさとピュアな感情を同居させながら走り続け、大きな自信を獲得するに至った4人の理想的な到達点であり、さらなる加速をするための通過点。『UNOFFICIAL』とは、そういう作品である。

――SPICEのインタビューは2ndアルバム『FIXION』のリリース時以来なんですが、この1年というのはバンドにとってすごく大きかったと思うんですね。

山中拓也(Vo/G):激動でしたね。ずっと動いていたし、ずっとバンドのことを考えてた気がします。

あきらかにあきら(B):本当に走りっぱなしっていう感じで。その中で4人の葛藤もありましたけど、お客さんも増えてツアーの応募数がえげつないことになってる、みたいな状況は正直初めてで。(2015年末に)拓也が喉のポリープ手術から復活して、バンドに対する注目度や期待度も上がっている中で、それに付いていくのに必死だったのが、ようやく追いついて追い越そうとしている感じですね。

鈴木重伸(G):オーラルとしても個人としても、何をしなきゃいけないのかをすごく考えさせられた1年かなと思います。それこそ、夏に「DIP-BAP」を出したことも、あの時点でのチャレンジというか……HIP-HOPの要素がある曲って拓也の中にはルーツとしてあったものですけど、僕からしたら新しいことで。それを提示すること自体、ちゃんと芯を持っていないとできないことだっただろうし。いろんな面で、オーラルっていうものは何だろうな?っていうことを考えた1年だったと思います。

中西雅哉(Dr):お客さんに助けられた1年だったとも思っていて。期待してくれるお客さんに応えてこられたから、バンドとお客さんとの信頼関係がすごく親密なものになった実感はあります。

――あきらさんの発言にもあった通り、周囲からのリアクションが大きく変わったワケですが、その要因、勝因ってどこにあったと思いますか。

あきら:拓也が喉のポリープを取ってから「一回ドン底を見たらすごく強いんだな」ってことを僕らは感じたし、その迫力をお客さんが感じ取ってくれたのかな、多分。本当にライブ一本一本を大事にしたし、その大事さや辛かったことを拓也自身もすごく素直にステージ上で口にしていて。それに鼓舞されるように僕ら3人も感情を爆発させられるというか、そのスタンスがすごくハマってお客さんが共鳴したんです。“そのオーラルが見たかった”みたいな。
多分、2015年まではちょっとカッコつけようとしてたんですけど、カッコ悪いところも見せることでより信頼感が生まれたり、弱さを見せることで強さが際立ったり。……なんか、心の中で会話ができるようになったような感覚なんです。拓也は本当にステージ上で素直になったし、それがどんどん届いて広まっていってる感覚はありましたね。

THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=西槇太一

THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=西槇太一

――「素直になった」とありましたが、拓也さんは今のオーラルの状況をどう感じてますか。

山中:表面上でいうと――昔、あきらと飲みに行ったときに「まず、俺が出るから」って話したことがあって。まず俺が頑張って、オーラルのボーカリストとして世に出るから、そのあとにちゃんと他のメンバーやチームの良さを伝えていく作業をしたい、みたいな話をしていて――俺はそのことを2016年に絶対体現してやろうって、喉が復活して吹っ切れた感のあったタイミングで思ったんです。それを半年間でやってやろうと思ってたから、最初の半年間は「自分がどうするか?」ってことばっかり考えてましたね、メンバーには申し訳ないけど(笑)。
自分がどうやってロックシーンに切り込んでいくのか、自分の名前や、どういう風に歌っててどういう心情を歌って、どういうバンドのボーカリストなのかを、どうやってしっかり伝えるか? 伝えないといけない、って6月頃まではずっと思ってたから、ボーカリストとしてとにかくガムシャラにやった半年だったかな。

――後半にかけてはまたスイッチを切り替えて?

山中:(前半で)自分がボーカリストとして少し自信を持てたタイミングがあったので、6月からは自分の中で第2期みたいな感覚で、メンバーの良さをどうやって知ってもらったら良いのか?っていうことを考えました。オーラルの強みって4人それぞれに個性があることだと俺は思っているし、そうなりたいとも思っているから、ワンマンではどういう役割分担をして、どういう風にやってもらったらそれが伝わるのか?とか、そういうことをすごく意識しましたね。俺は、2016年オーラルがすごく色々な人に知ってもらえるようになった上で、そこがすごく強みになったんじゃないかと思ってます。
正直にいうとすごく頭も使ったし、戦略的なこともすごく考えて。でも内側では葛藤もあって……自分の中にずっとある“優しさ”が邪魔だなとも思っていたし、自分が歌う歌に表れるものってなんだろう? 俺の中から出てきた優しい言葉を歌うときに、じゃあこの俺のどろどろした部分は何なんだろう? っていうことは、この優しさは嘘なんじゃないか?とか、ずっと疑っていたし。もっとガムシャラにやればいいかもしれないとか、逆にもっとズル賢くやったほうが前に進めるんじゃないか?とか、いろいろ考えましたけど、結局は人間ってそういうものかなぁと思って。それがきっと山中拓也だし、歌にもつながっているんだろうなって。だからどっちの面も大切にしようと。そこが今回の作品にも出ていると思うし、人間が隠したいけど隠しきれない部分、それって隠さなくても良いんじゃないですか?みたいな。あきらが「素直になった」って言ってくれた部分にもつながるんですけど。

――フロントマンとして先頭に立って、一番自己表現をする立場なわけで。その拓也さんがいろいろと吹っ切ったことが大きかったのかもしれないですね。曝け出したものを受け入れられない可能性も当然あったところを踏み出せた。

山中:そうだと思うし、もしそれが受け入れられなかったとしたら、その時点でオーラルの曲って力を発揮しないんだろうなって思うんですね。人間の汚い部分を歌っているし、でもそこに光る優しい部分があって、対照的な部分があるからこその強さを楽曲やライブに落とし込めていると思うので。それは4人全員がそうだと思うんですよね、うん。人の気持ちだとかを各々がずっと頭で考えているし、クレバーな部分……バンドをどういう風に進めたいのか、どういう順序を踏めばこういう音楽を受け入れてもらえるのかとか、考えてあげることって優しさがないと無理じゃないですか。そういう面で、感情の部分は紙一重やなって。それを表現しているのがオーラルだから、それを受け入れられないお客さんはいないんじゃないかって思っているんです。

THE ORAL CIGARETTES・あきらかにあきら 撮影=西槇太一

THE ORAL CIGARETTES・あきらかにあきら 撮影=西槇太一

――そんなマインドで1年を過ごしていく間に、アルバムの制作があったわけですけど、まずは「DIP-BAP」という曲が世に出て。初披露の際には「冒険であり、受け入れられるかどうか」といった発言もありましたが、あの曲が受け入れられたことで得た自信もありましたか。

山中:うん。どっちの面もありましたけどね。プラスの意味でもマイナスの意味でも。プラスでいうと、すごく期待が膨らんだんです。「ちゃんと音楽を聴いてくれているな」とか、オーラルに対する「何かしでかしてくれるんじゃないか」っていうこれからへの期待感も感じたし、それが俺らにとってすごく嬉しかったんですよね。次の音源やライブに対してのプライドはすごくあって、でも周りの状況をみて「今これを出したらただのエゴになるんじゃないか」とか、そういう葛藤はずっとあったところを、「DIP-BAP」で拭えたことはすごく大きかった。それがプラスの面かなと。

――では、マイナスは。

山中:マイナスって言うとあれなんですけど……「DIP-BAP」が受け入れられたぶん、次に何を提示したらいいのかっていうことを、すごく悩んだんですよね。次に出すシングルは「DIP-BAP」を超えたいし、そのためにはどうしたらいいんだろう?っていう。そこが今となってはすごく成長に繋がったんですけど、その当時は、「DIP-BAP」を出すことを望んでたけど、実際に出したら自分たちが思っていた以上の評価が返ってきたことに対する、「次はこれの上をいかなあかん」っていうプレッシャー。

――そもそも次作に向けての進行方向から迷いますもんね。

山中:そうそうそう(笑)。そこですごく悩みましたね。

――先ほどシゲさんも新しいチャレンジのあった楽曲だったというお話をしていましたけど、「DIP-BAP」が評価を得たことで、次もまた新しい面を開拓していくのか、それとも元々引き出しの中にあるものを研ぎ澄ませるのか?っていう観点でいえば、プレイの面でもターニングポイントになったんじゃないですか。

鈴木:そうですね。「DIP-BAP」ですごく悩んだぶん、今回のアルバムではそこで得たものをすごく出しやすかったというか。「DIP-BAP」のときはいろんな曲を教えてもらって聴き込んで、それを自分なりに消化して出すっていう作業に苦労したんですけど、次を出すってなったときには、前に使った手法は出しやすくて、そのぶんまた次に自分がやりたいなって思うことにも挑戦できました。
今までは王道なものを僕は忌み嫌っていて、自分のギターフレーズは一癖も何癖もあるものじゃないと、っていう拘りがあったんですけど、次のステージに上がるためには王道なものも必要だなって思えたんですよ。このシングルが2枚あってアルバムへっていう流れの中で、僕はちゃんと成長させてもらえたなと。

――悩んで試みたことが血肉になったし、成功体験にもなったわけですよね。だから次にいろんなアプローチを考えるときに、以前より扉が開いているというか。

鈴木:はい。正直、HIP-HOPというものを、半年前、1年前は分かっていなかった自分がいて。それが今ではやりたいものの選択肢の中の一つにあるっていうのは、すごくデカくて。今となってはやってて楽しいですしね。

THE ORAL CIGARETTES・鈴木重伸 撮影=西槇太一

THE ORAL CIGARETTES・鈴木重伸 撮影=西槇太一

――そういう個々の挑戦と成長、そこから得た自信っていう部分を、僕はこのアルバム『UNOFFICIAL』から強く感じたんですよね。ある種の無敵感というか。

中西:一個人としては、まだまだ無敵感と呼べるほどではなくて。バンドとしては復活してからのライブで感じた無敵感はありましたけど、それは周りの反応とか色々な要因もあってそういうライブができていたんですよね。
そこから2016年の1年間は、フェスにしても自分たちのライブにしても、すごく良い感じで上ってこれて、自分たちの目指していたところにもちゃんと行けてるし、思っていた以上の反応もあったりっていう、そういう自信はすごく持てました。「今のオーラルに求められているものは何だろう?」って考えて作った『FIXON』が受け入れられて、それを経たオーラルは何を提示すべきかっていう、ビジョンの変化はすごく大きかったですし、それがあったから今回のアルバムを作る過程で自分たちが本来やりたいこと、作りたいものを作るっていう発想で考えられました。2017年にもっと大きなステージに行くために、曲作りの姿勢も変わったし、見ている景色や目指すべきステップが変わったのも自信がついたからだろうし。
でも、そこに対する無敵感っていうのは……自信はあるけど、昔みたいに根拠のない自信ではなくて。そこにはしっかり積み上げてきたものがあるからこそ、不安もないし、ある意味すごく冷静でいられるんですよね。無敵っていう言葉を使わなくとも、自信を持って提示できるものができたと思うし、そういうライブもできてる印象です。

鈴木:自信がついたっていうのはまさにその通りで。やりたいことをしっかりやれているから自信にもつながっているだろうし、今までの経験によってやりたいこと自体もこんなにも増えてきてるんやなっていう。昔はオーラルっていうものに対してのフィルター――自分の中での「オーラルってこういうものちゃうかな」っていうすごく分厚いフィルターをかけちゃって、すごくちょっとしか出てこなかったんですね。それが、一つ持っておかなきゃいけない芯がすごく研ぎ澄まされてきたから、そこをフィルターとして通した時に、こんなにも曲調やバリエーションの部分でやれることがあるんだ!って。そこが今回のアルバムの10曲それぞれに出ているし、そこが成長なんじゃないかなぁと……自分ながら言わせてもらってアレですけど(笑)。

――いやいや、実際に色々な曲がありつつ、ちゃんと「オーラルの曲だな」って聴ける作品になっていると思います。あきらさんはこのアルバムを作り終えてどう感じていますか?

あきら:僕らの活動、ライブ以外に音源っていう部分でも、規模が大きくなっていってることを表現できたと思っていて。こんな曲も作れるようになったよ、とか、この曲を聴いたら俺らがもっと大きなステージでやっている姿を想像できるでしょ?とか、そういう「一歩先に行くからついてこいよ」っていう姿勢をCDに落とし込めたなって思います。これから実際、僕らが立つステージが大きく広くなっていくと思うので、そこへ向けた、次のステージに向けた第一歩のアルバムになるのかな。
もしかしたらこれ以降の作品はもっと規模が大きくみえたりするかもしれないし、それは今の僕らからしたらもう見えている景色なんですけど、まだお客さんからしたら想像が付いてないかもしれない、それをこのアルバムを聴いてもらうことで教えてあげられるようなCDになったんじゃないかと思います。

山中:2016年にお客さんからすごく自信を……目に見えるくらいの形として「自信を持って良いんだよ」っていうメッセージみたいなものを受け取って、それが信頼感なんだと思うんです。「オーラルは自信を持ってやっていいし、それを期待しています」「オーラルは何をやってもオーラルだよ」っていう信頼感を感じさせてもらったことが、この作品が出来るまでに一番深く繋がっていると思っていて。
だから、スタンスは2015年までとは少し……いや、結構変わったのかなっていう感じはしていて。本当にあきらが言ったみたいに「ついてこいよ」っていうスタンスを取れるようになったのは大きいと思いますし、2017年からのオーラルがみんなの一歩先を……一歩“だけ”先なのかもしれないけど、ずっとちょっと前を歩き続ける中で、俺らが何を提示してついてきてもらうのかを、やっとしっかり表現できたなって思うし。正直なところ、まだやりきってはいないっていう感覚はあるけど、これからオーラルがどうしていくのか?っていう上での第一歩に適したアルバムになったなと思います。

THE ORAL CIGARETTES・中西雅哉 撮影=西槇太一

THE ORAL CIGARETTES・中西雅哉 撮影=西槇太一

――所信表明ともいえるかもしれませんね。アルバムに着手したタイミングや制作時期としてはいつ頃だったんでしょう。

山中:「DIP-BAP」を出したときにアルバムを意識し始めたかなぁ。「DIP-BAP」って挑戦だったから、ということは当然、次にアルバムを作るってなったとき、そこには「DIP-BAP」も入るわけやんなぁ……って意識し始めました(笑)。

――それがさっき言っていた、悩んだり葛藤したところに繋がって。

山中:そう、それは絶対的にあって。アルバムに「DIP-BAP」が入る、多分この先シングルも何枚か切るだろう、その中でアルバムはどういうものにしたら良いんだろう?っていう考え。始まりはそこやったかもしれないですね。

中西:オーラルは良いスパンでシングルやアルバムを出してこれたので、常にそこの意識はあるんです。シングルを出したら、次にシングルを出すのはいつぐらいかな?とか、アルバムはどのタイミングかな?っていうことは常に考えていて。その方向性や照準を、毎回リリースするたびに合わせていくんですけど。

山中:具体的にアルバムに向けた話し合いがチーム内であって、最初は「じゃあ、いついつを目掛けて曲作っていきますわ」みたいな感じでスッとスタートしたんですけど、やっぱり「5150」が一番の鍵を握っていて。

――その間にシングルとしてリリースされましたからね。

山中:「DIP-BAP」からの葛藤があって「5150」に行き着くまでの、曲の出来なさたるや、ヤバかったんですよ(苦笑)。曲はできるけど全部捨てちゃう、何も良いと思えない、みたいな。その中でこれからのオーラルについて考え始めて、「5150」と向き合う中でだんだんと次のアルバムの形が明確になっていきました。それが「5150」をリリースしたタイミングで、綺麗に確定的にまとまった感じです。

――曲ごとの出来上がった時期は「5150」以降のものが多いですか。

山中:両方あるんですけど……「リコリス」や「WARWARWAR」なんかは「5150」より前か同時期くらいにできてて。「リコリス」に関しては完全に自分の中でリード曲やなっていう位置付けだったんですけど、次のシングルではないな、アルバムで提示したい曲だなと思ったから、「5150」を作っていったんですよ。
シングルとアルバムって、伝えたいことが点か線かみたいな違いがあると思うんですね。シングルは点で、それを繋いでいってるような感覚が僕らの中にあって、「DIP-BAP」を出したから、次の点はどこに打つか考えよう、みたいな。で、線に関しては、6年間オーラルをやり続ける中で毎年考えながら描いてきたというか、すごく長いスパンの上での考え方になっている。点と線で考えたときに、それぞれに適したリード曲も変わるから、「リコリス」はシングルじゃなかったんだろうなと。

――で、満を持してアルバムのリード曲になったと。

山中:ですね。タイトルやアートワークを含めて一貫して伝えたいことがあって、それを一番歌ってくれているのが「リコリス」だなとも思いますし、満場一致で一曲目が「リコリス」になりました。

――勢いのある楽曲ですし、そこから“ついてこいよ感”満載の「CATCH ME」へ繋ぐ冒頭の流れも、すごく良いと思います。そしてこのアルバムのリリース後にはツアーもあり、さらには日本武道館という大きな公演が控えています。そこを踏まえて、この先のオーラルをどのように思い描いているのかをお聞きしたいです。

中西:武道館はすごく大きいターニング・ポイントになるなとは思っているんですけど、やっぱり僕らは武道館を通過点にしたいという意識がずっとあって。武道館が決まるより前にアルバムを作っていたし、そのとき見ていた景色って武道館よりももっと大きいものだったから、そのために自分たちのライブや視野そのものを広げていく作業をしている、そんな中での武道館なんですね。もちろん、武道館をやることの重要性や責任感はすごくあるんですけど、その先が見える2017年にしたいっていう思いが一番強くて。お客さんとも「オーラルは武道館では止まらない」っていうことはしっかり共有したいテーマではあるので、そのためにツアーを通して提示していく責任感はしっかり持ってやりたいです。

鈴木:武道館の前にライブハウスを全国回らせてもらうんですけど、ライブハウスでも「早く大きいところでやってるオーラルを観たいな」っていう想像力を掻き立てられるようなライブをしていかなきゃいけないし。武道館の先を考えたときにも、僕はまだお客さん側でしか武道館を見たことがなくて……フェスとかでは万単位の前でやることはありますけど、やっぱりワンマンでそこに立つと見えてくるものも違うんだろうな、考えなきゃいけないことがまだあるだろうな、とも思っているので。その先への意思表示はありつつも、具体的なことは立ってみなきゃ分からないのかな、というのが正直なところですね。だから楽しみではあります。

あきら:僕らは関西出身やし、武道館が昔からの夢、焦がれてた場所っていう感覚ではなく、どちらかというと大阪城ホールの方が身近だし、親も来てくれるし(笑)……って思ってたんですけど、武道館公演を発表するとなったときに、やっぱり応援してくれているみんなが頭に浮かんだし、実際に喜んでもくれたので。そういう意味では発表できてよかったし、バンドをやっているからにはちゃんと通るべき道なんだろうなって。すごく気合も入りますし、そこに向けてちゃんとやらないとなってことは思います。
でもやっぱり、早く全国各地の大きい会場でどんどんやっていけるようなバンドになりたいし、これから憧れられる存在になるためには信頼関係をもっと大事にしないといけないなとも思っていて、簡単に裏切るようなことはしないように、メンバー同士やチーム内で話し合ったりを繰り返して、本当に純粋に応援したり支えあったりできるような関係を、全国のみんなと作っていけたらいいなと思っています。

山中:今までは「2015年はこうしよう」「2016年はこうしよう」みたいな考えがあったんですけど、「2017年にこうしよう」みたいなものは無くて、「2017年以降こうしよう」っていう意識が強くて。2017年以降、自分たちがロックシーンに何をもたらしたいのか、何故音楽をやっているのか、何故ステージで表現をしているのか。そこに立ち返って作ったアルバムが『UNOFFICIAL』なので、頭で考えていたことをどんどん体現していくのが今年以降にすべきことなんだろうなぁって。で、さっきキーワードとして出た、規模をどんどん大きくしていきたいっていうこととか、オーラルが何万人と1対1で向き合っていけるのかっていう力が試されるようにもなっていくと思うし。
……オーラルっていう存在が今の日本でポピュラーとされる音楽になり得る可能性って、少ない気はしていて。かすっている部分はあるけど、光と闇っていう観点だけで分けたとしても、ポピュラーとされる音楽とは違うなとも思うんです。その中で、俺らがいかに「これが新しいスタンダードだよ」っていう提示をしていって、音楽シーンを変えられるかとか、日本中を変えられるか、それを世界にどうやって持っていくのか……みたいなところは2017年は少しずつ考えていって、その時に出た答えをいろんな場所で答え合わせして、そこがデッカい会場かもしれないしライブハウスかもしれないけど、そういうことをやっていけたら、自分たちが今まで一番の目標にしてきた場所にたどり着けるんじゃないかなって感じています。

――その一番の目標にしてきた場所、あえて今のタイミングで。改めて聞いておいていいですか。

山中:いや、バカか!?って思われると思いますよ?(笑)
……俺はもう、絶対にマディソン・スクエア・ガーデンでやりたいんですよね。そこまで行けるバンドになれると信じてるし、そこまでしっかり歩んでやっていきたいと思っている。だからこそしっかり、あきらが言ったように人と歩み寄って、人のことをしっかり考えることを大事にしながらやっていかないと。やっぱりどこまで行っても人と人っていう関係は変わらないと思うので、そこを大事にしたいですね。で、そこまで行けたらみんなも気持ちいいし、俺らも気持ちいい(笑)。そうなっていきたいと思います。


取材・文=風間大洋 撮影=西槇太一

リリース情報
New Album『UNOFFICIAL』
2017.2.1 リリース
初回盤:¥3,000(tax out)
初回盤

初回盤

通常盤:¥2,500(tax out)
通常盤

通常盤

収録曲:
1.リコリス
2.CATCH ME
3.悪戯ショータイム
4.5150
5.WARWARWAR
6.エンドロール
7.DIP-BAP    
8.Shala La
9.不透明な雪化粧
10.LOVE
 
<初回盤DVD内容>
2016年11月22日に行われたZepp Tokyoでの「THE ORAL CIGARETTES唇ワンマン2016」ライブ&ツアードキュメンタリーを収録(約90分収録)
 
<CDショップ特典情報>
【タワーレコード/タワーレコードオンライン】
〇 BKW!!カード ~「UNOFFICIAL」ver.~
〇「UNOFFICIAL」オリジナルラバーバンド
○    タワーレコードオリジナルポストカード
【AMAZON/TSUTAYA/HMV】
〇BKW!!カード ~「UNOFFICIAL」ver.~
〇「UNOFFICIAL」 A4クリアファイル
【上記以外の一般CDショップ】
〇「UNOFFICIAL」ジャケットステッカー 
【THE ORAL CIGARETTES OFFICIAL SHOP】
〇 BKW!!カード ~「UNOFFICIAL」ver.~
〇「UNOFFICIAL」ジャケットステッカー
【THE ORAL CIGARETTES OFFICIAL SHOP
~「BKW!! Premium Members」限定特典~】
〇 BKW!!カード ~「UNOFFICIAL」ver.~
〇「UNOFFICIAL」オリジナルスリーブケース
※ 特典は全て、CD発売タイミングでのお渡しとなります。
※ 上記特典は全て数量に限りがございます。予定数になり次第終了となりますのでご
了承ください。
※ 特典に関する詳細は各CDショップにお問い合わせください
 
<配信情報>
「UNOFFICIAL」のiTunesプレオーダーと「リコリス」の先行配信開始!
■iTunes
https://itunes.apple.com/jp/album/id1188645626?app=itunes&ls=1

 

ライブ情報
THE ORAL CIGARETTES唇ワンマンツアー UNOFFICIAL BRUNCH TOUR 2017
3月21日(火) 大阪 BIGCAT
3月22日(水) 愛知 名古屋ダイアモンドホール
3月28日(火) 東京 赤坂BLITZ
代:前売 4,500円(税込・ドリンク代別途必要)


THE ORAL CIGARETTES唇ワンマンツアー UNOFFICIAL DINING TOUR 2017
4月6日(木)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
4月8日(土)高松 festhalle
4月9日(日)高知 CARAVAN SARAY
4月11日(火)札幌 PENNY LANE 24
4月12日(水)札幌 PENNY LANE 24
4月16日(日)仙台PIT
4月23日(日)新潟 LOTS
4月27日(木)福岡 DRUM LOGOS
4月28日(金)福岡 DRUM LOGOS
4月30日(日)広島 CLUB QUATTRO
5月4日(木・祝)Zepp Nagoya
5月12日(金)大阪 Zepp Osaka Bayside
6月16日(金)東京 日本武道館<追加公演>

代:前売 4000円(税込・ドリンク代別途必要)

<※日本武道館追加公演>
6月16日(金)東京 日本武道館
開場17:30 開演 18:30
全席指定4800円(税別)
一般発売日:2017年04月01日(土)

 
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