演奏力と音楽愛、遊び心――フレデリックがその進化と真価をみせつけたツアーファイナル

レポート
2017.1.26
フレデリック 撮影=Kohei Suzuki

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フレデリズムツアー2016-2017  2017.1.22  新木場STUDIO COAST

フェス&イベント出演と併行しながら、全国11箇所(東名阪での追加公演・台湾公演を除く)を3ヶ月かけてまわったフレデリックのワンマンツアー『フレデリズムツアー2016-2017 』。昨年夏に行われた東名阪ワンマンを彼らは“挑戦”のツアーと位置付けていたが、この日のMCにて今回のツアーは“進化”のツアーなのだと説明された。セルフタイトルと言っても差し支えのないフルアルバム『フレデリズム』のリリースもあったこの半年間で、あるいはデビューから現在までの歩みのなかで、フレデリックというバンドはどう変わっていったのか。ツアーファイナル・新木場STUDIO COAST公演は、彼らの過去・現在・未来をまっすぐに伝えるものだった。

フレデリック 撮影=Kohei Suzuki

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撮影=Kohei Suzuki

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もうすぐ開演することを影アナが知らせると、前方目掛けてグワーッと押し寄せる人の波。その様子ひとつからもオーディエンスの期待値の高さが伝わってきたが、場内が暗転すると、本ツアーならではの演出を見守るかのようにフロアがサッと静かになった。そこでひとりの女性が登場。ステージ上に置かれたラジカセのスイッチを入れるとオープニングムービーが始まり、「フレデリズムツアー、始めます」という合図を皮切りに三原健司(Vo/Gt)、三原康司(Ba/Cho)、赤頭隆児(Gt)、サポートドラマーの高橋武が登場する流れ。SEは「リリリピート」のイントロをループさせたものになっており、SEにシンクロするように4人が音を合わせ、同曲で本編がスタートした。<リピートして 今までの関係も/全部リセットするわけないわ 全部背負ったまま>。メロディが繰り返され時間が重なるほどに、バンドサウンドの熱も増していく感じがたまらない。続く「KITAKU BEATS」ではバネのように弾むビートと健司の粋な歌詞替え、虹色の華やかな照明がオーディエンスを昂揚させていく。

フレデリック 撮影=Kohei Suzuki

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レコ発ツアーということでセットリストは新譜曲多め。ダンサーが登場したりアニメーションが流された半年前のワンマンよりかは演出は抑えめ。だからこそ「今までずっとやってきたことを詰めこんだ」という『フレデリズム』収録曲が粒ぞろいであることを改めて実感させられたし、各曲の素の表情で以ってフロアを沸かせるバンドの姿は頼もしく見えた。そういう意味で特に印象に残ったのは、「レプリカパプリカ」や「音楽という名前の服」。マイナーコードで哀愁ある響きをしたこの2曲は、元々バンドが得意とする横揺れのダンスビートを土台に持つ曲でありながらも、健司の独特な節回しが活きる歌謡曲的メロディラインも特徴的。こうして自分たちの手持ちの武器を存分に活かすことができるのは、ここに至るまでの道のりで「フレデリックとは」を何度も確かめてきたからこそだろうし、聴かせる/踊らせるの両軸を同時に、かつナチュラルに体現していく様子は、もはや他の誰かが簡単に真似できないような境地だ。スモーク大噴射が名物になりつつある「うわさのケムリの女の子」の後に演奏されたのは、「峠の幽霊」(インディーズ期のミニアルバムに収録)。健司の弾き語りで始まり、そこに康司が声を重ね、さらにバンドの音がにじんでいく、という繊細なアンサンブルもまた絶妙である。

フレデリック 撮影=Kohei Suzuki

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11曲目「ディスコプール」を終えるまではほぼノンストップ。とはいえ、至るところから音楽への愛情が溢れまくっているこの人たちの場合、何よりも音が雄弁だったりするため、場内はどんどん温かな空気に包まれていくばかりだった。「俺たちのこともっともっと知ってほしいと思っているからさあ……めっちゃ喋っていい?」と健司が切り出したのをキッカケに、ここからはメンバー紹介を兼ねたMCタイムへ。「この広い宇宙の中で出会うことができて」「同じ時代に生まれることができて」とやたら大規模な話を繰り出しながら喜びを伝える康司、お気に入りのゴールデンマイクでこのツアー中はMCをしていたものの滑りがちだったがためにこの日限りでそれを封印することに決めた隆児――と各々のキャラをマイペースに伝えたあと、高橋がドラムソロで再び空気を締めてから、「残り5曲、めちゃくちゃカッコいいしキラーチューンばっかりなんですけど、みなさん大丈夫ですか?」と健司がフロアへ語りかけ、後半戦へ臨む。

フレデリック 撮影=Kohei Suzuki

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健司&康司が声を揃えてタイトルコールした「ふしだらフラミンゴ 」以降は怒涛。「オドループ」ではおなじみのフレーズをオーディエンスとともに歌い上げ、レーザー光線とテープキャノンが場内を彩った「オンリーワンダー」が本編ラストを飾った。ここで少しバンドの道程を振り返ってみると、長年ともにやってきたkaz.(Dr)が脱退したのが2015年9月で、“変わりたい”という意志が表出し始め、歌詞も一際直情的になってきたのが同年11月の『OTOTUNE』。さらに昨年(2016年)は、元々自分たちがMASH A&Rのオーディションで特別賞を受賞したバンドであることとも紐付けながら、“オンリーワン”を掲げ、アイデンティティを確かめてきた1年だった。そうやって本人たちに足掻いてきた経緯があるから、今の彼らが鳴らす「オンリーワンダー」という曲には説得力が宿っているわけだが、だからこそ、その直後のアンコールで『OTOTUNE』収録の2曲が演奏されたことが嬉しかった。ここで健司の口から今回のツアーのテーマが“進化”であることが伝えられ、「進化できるのがライブという場所なんです。っていうのもね、俺たち4人だけじゃフレデリックの音楽はできないんですよ。それを俺らは進化と呼びたい」と付け加えられた。

フレデリック 撮影=Kohei Suzuki

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そのまま「ハローグッバイ」へ。夏のワンマンでは「この声で武道館に立ってやる」という宣言とともに健司の弾き語りで届けられたこの曲に、今回はオーディエンスの歌声が力を添える。そうして決意表明の曲が約束の曲に変わっていった場面には、この半年間の意味がギュッと詰まっていた。信じられるものを確かめることができたなら、それを胸に灯し続けながら次に進むのみ。いつか不安に襲われそうになった時には、もう一度ここに戻ればいい。そういうものを自らの音楽の内側に見出せた経験は、今後彼らの大きな糧になってくれるはずだ。

フレデリック 撮影=Kohei Suzuki

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エンディングムービーが流れたところでアンコールも終了……と思いきや、ライブ冒頭に登場した女性が再び現れ、ラジカセのスイッチをオン。オープニングにも流れたムービーが再び始まると、「フレデリズムツアー、リピートします」と4人が登場し、1曲目に演奏された「リリリピート」をもう一度鳴らし始めたのだ。誰もが予想していなかったであろう展開を前に、フロアのみんな、思わず笑いだしてから踊りだす。バンドの中に芽生えた確信をガツンと見せつけられ、遊び心の効いた演出にニヤリとさせられてしまったら、うん、もう降参です。誰にも文句を言わせたくないほど、最高のツアーファイナルだった。


取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=Kohei Suzuki

フレデリック 撮影=Kohei Suzuki

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セットリスト
フレデリズムツアー2016-2017  2017.1.22  新木場STUDIO COAST
[OPENING]
1.リリリピート 
2.KITAKU BEATS
3.トウメイニンゲン
4.レプリカパプリカ
5.音楽という名前の服
6.うわさのケムリの女の子
7.峠の幽霊
8.真っ赤なCAR
9.ナイトステップ
10.CYNICALTURE
11.ディスコプール
12.ふしだらフラミンゴ 
13.バジルの宴 
14.オワラセナイト
15.オドループ
16.オンリーワンダー
[ENCORE]
17.FUTURE ICECREAM
18.ハローグッバイ
[ENDING]
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