ニューアルバム「V6遠神」リリース! 遠藤正明直撃インタビュー
遠藤正明
獅子の咆哮のように圧倒的な声量で歌い上げる「アニソン界の若獅子」遠藤正明。今年の2月1日には、6枚目のオリジナルアルバム「V6遠神」がリリースし、さらに4月にはこちらも3年半ぶりとなる全国ツアーも控えている。2017年も今まで以上に精力的に活動を続ける遠藤正明に、ニューアルバム「V6遠神」やツアーにかける想い、そしてヴォーカルとしてのこれからを聞いてきた。
――2月1日にニューアルバム「V6遠神」がリリースされますが、こちらのテーマを教えていただけますか?
今回は、2017年中に出したいというのがありました。昨年夏の段階から、JAM Projectのツアーの合間を見てレコーディングをしていこうという計画だったのですが、思いのほか暇がなく、後半になってバタバタしてしまいました(笑)。アルバムは今まで5枚出させていただき、全て1曲はアニメのカップリングなどが入っていたのですが、今回は全12曲オリジナルになっています。そういう意味では、今の遠藤正明を全て詰め込んだ内容になっています。
――「V6遠神」にある全12曲の中で、特に思い入れのある詩はありますか?
全ての曲に思い入れがありますので、1つ選ぶとなると難しいですね。今回の詩は、自分の新たな一面を表現したいという想い、それと思っていることって日によって変わってくると思いますが、今の自分の気持ちを素直に出す、ということをコンセプトに書いています。なので、今の自分が全て出ていると思います。
――今回の「V6遠神」を聴かせていただきましたが、本当に心の底から元気づけられるようで、まさに、「遠神(エンジン)」のように感じました。
今回はロックにこだわったわけではなく、ジャンルもバラバラでバラエティに富んだ楽曲になっていると思います。今回の1枚を通じて、そのように感じていただけると嬉しいですね。TOTALFATさんとは、「ENSON3」からの縁で今回もやっていただいたのですが、TOTALFATさんならではの明るい曲が、このアルバムの中で浮かないようにしたいという、というのはありました。
――今回の「V6遠神」も、作詞作曲をほぼ遠藤さんがおやりになられてますが、詞先や曲先になることもあるのでしょうか?
自分は、作詞と作曲の両方いっぺんに作るほうですね。メロディにあった歌詞というのを、その場で作るのを得意というか、そういう作り方を今までしてきたので。ただ、他のミュージシャンの方に作曲してもらった曲だと、曲先ですね。
――今回、作るのに苦労した曲はありますか?
今回、苦労したのは8曲目にあるR・O・N君の曲ですね。すごく彼らしい曲で、1回も同じメロディがない。パズルのように歌詞を組み立てていったのですが、苦労はしましたが楽しかったですね。
――「みちのくアニソンフェス」も今年で5回目となりますが、これまで続けてこられて何かしらの手ごたえは感じましたでしょうか?
手ごたえと言うか、毎回毎回出てくれるアーティストやお客さん、その場の雰囲気も違いますからね。ただ、これは続けていくことに意義があるイベントだと思いますし、今回で5回目ですが、これまで続けてこられたことにも感謝をしています。震災があった土地から元気の風を吹かせたい、ということからスタートしましたが、皆さんがバックアップしてくれて、これまで続けてこれました。出来ることなら、これからも「みちのくアニソンフェス」を続けていきたいですね。
――今回の「みちのくアニソンフェス2017〜Eastern Gale」には、JAM Project、GRANRODEO、FLOWという、破壊力のある方々が出演されます。
男くさいですね(笑)。
――男性アーティストだけなのは初めてです。
そうですね。そういう意味でも、新しい試みだと思います。たくさんのアーティストでにぎやかにやるイベントも楽しいですが、このようにメンバーを凝縮することで、アーティスト1人1人が、密度の濃い曲を届けることができるのではないかと思います。FLOWさんは、昨年の『AAA(Act Against AIDS)』のように、宮城のことにも携わってくれているバンドなので、今回もみんなの力が合わさってどんな化学変化が起きるのか、今から楽しみにしています。
――佐藤ひろ美さんや椎名へきるさんが出演された、1回目の公演が印象に残っています。
毎回、同じメンツにはこだわってないですし、その都度、その年の面白さが出ればいいなと思います。
――「みちのくアニソンフェス2017 〜Eastern Gale」のセットリストは、もう決まっているのでしょうか?
いえ、まだですね。ただ、僕はJAM Projectの一員で出演するのですが、この『V6遠神』にある「EASTERN GALE」という曲は、「みちのくアニソンフェス」のために書かせてもらった曲なので、これは「みちのくアニソンフェス」でぜひみんなで歌いたいですね。
――これは歌わないわけにはいきませんね。
ただ、これ僕のキーで歌っているので、ちょっとキーが高くて歌いにくいかもしれないですね。
――遠藤さんの高く、声量のある歌声は、ネットなどでも「スーパー遠藤タイム」というように言われてます。
実は昔、「スーパー遠藤タイム」と言われるのが嫌だったんですよ。それだけのように聞こえるし、そういう代名詞のようになるのが嫌で。それで、ソロパートで歌うのを一時期やめたんですけど、そのときランティスの社長に「みんなが楽しみにしているんだから、歌えよ」と怒られたんですよね。それで吹っ切れて、楽しんでくれている人がいるなら歌おうと。
――難しいですね。遠藤さんのステージでは、必ず「スーパー遠藤タイム」があるというように、予定調和のようにもしたくないでしょうし。
そうですね。ただ、アルバムでは簡単そうに聞こえても、実はキーが高くて難しいというように、自分しか歌えない音楽をやるのも自分たちの仕事だと思います。
――以前、「君の知らない物語」を初めて聴いた時は、まさに遠藤さんしかできない歌声だと感動しました。
演奏に関しては、アニメの物語関係なしに歌だけをフューチャーして、また別の良さを出せたらというコンセプトでやっています。「君の知らない物語」は女の子の曲ですが、それを男が歌ったのでインパクトがあったと思います。
――遠藤さんの歌声からは、すさまじい熱量を感じます。
自分にしか伝えられない熱さを、みんなに伝えられるよう頑張りたいですね。
――みちのくアニソンフェスの次は、3年半ぶりのツアーが始まります。
JAM Projectが忙しかったので、自分のツアーが全くできていませんでした。久しぶりなので、すごく楽しみですね。
――JAM Projectのツアーと、やはり心持ちが違ったりしますか?
JAM Projectの場合は、人任せというわけではないですが、メンバーが多いので安心できるじゃないですか、ちゃんとしたことは兄さん(影山ヒロノブ氏)が言ってくれるし(笑)。だから、その分歌に集中できますね。ソロツアーだと、自分が全部背負わないといけないので、楽しいですけどドキドキもありますよね。
――今回のツアーは1か月で全国7か所と、かなりタイトなスケジュールに思えます。
今年も他にいろいろとあるので、4月はツアーの月にしようと集中していれてます。
――ソロツアーでの抱負を教えていただけますか。
JAM Projectの僕しか知らない人もいっぱいいると思うので、「ソロでこんな感じなんだ」というように、「遠藤ワールド」に浸ってくれたら嬉しいですね。JAM Projectとは違った感じになるので、そこを体感していただければと。
――以前のインタビューで、遠藤さんはボイトレなどはしないと仰ってましたが、今回のソロツアーに向けて、何か準備されていることはありますか?
歌詞を覚えるぐらいですね(笑)。人それぞれでしょうけど、僕は昔から人に教わったことがないんですよ。人に教わって、その真似をしてもつまらないじゃん、という考えなので。今までがこんな感じなので、これからも自己流でいいかなと思います。
――自己流でいいとは、会社ではなかなか言えませんが、遠藤さんらしいセリフです。
ヴォーカルって、他の楽器と違って、ここを押さえればこういう音が出るというものではないので、やはり特殊だと思いますよ。持って生まれた声質もありますし、どんなに努力してもかなわないこともある。こればっかりは、恵まれた人じゃないと歌えてないと思いますし、もしそういう機会を与えられたのなら、全開でみんなに歌声を伝えたいと思います。
――遠藤さんの、今年の抱負を教えていただけますか?
毎年そうなのですが、「全力で歌いたい」です。「always full voice」というキャッチフレーズもあるのですが、何でも手を抜くとしんどいじゃないですか。何でも全力でやったほうがしんどくないので、今回のアルバムもライブも全力でやってきたし、1ステージずつ与えられたことを120パーセントにして返したい。
――歌に対して、全力を尽くす遠藤さんですが、オフの時は何をしてらっしゃるのですか?
JAM Projectで忙しくしてますので、逆にどこにも行きたくないですね。飛行機にも乗りたくないし(笑)。家にいるか、外にお酒飲みに行ってるかのどちらかですね。
――家では何をされているのですか?
めっちゃボーっとして静かですね。暗いって言われるぐらい、オフの時は何もしていません(笑)。
――遠藤さん自身には、暗さを微塵も感じないのですが……。
たぶん元々、僕は暗い人なんだと思います。
――お酒を飲んでる時はいかがですか?
気の置けないメンツと飲んでるので、その時はたわいのない話だったり、たまに誰かの悪口言ったり(笑)、他の方と同じだと思いますよ。
――ソロツアーが終わった、4月以降はどのような活動をされるおつもりですか?
JAM Projectの活動ありきで、いろいろ調整しています。ソロだと、自分の誕生日にやるバースデーライブや、ツアー、クリスマスのアコースティックライブですね。あとは、毎年、石巻で行っているファンクラブツアーを、今年も5月に行います。
――今年の2月に発売される『スパロボV』の主題歌「THE EXCEEDER」も、JAM Projectさんが歌われています。今回、この曲にはどのような意味が込められているのでしょうか。
今回の『スパロボ』の主題歌は、今までより原点回帰と言いますか、昔に戻ってあまりキーも高くありません。また、海外でも発売するので、「スーパーロボット」というかけ声を歌詞に入れるなど、誰が見てもわかりやすい曲にすることを意識していました。歌詞もわかりやすいですし、歌いやすいと思います。
――『スパロボ』の主題歌は、だいたいいつ頃、作詞をされるのですか?
結構、早いですね。発売の半年から1年前ぐらいから準備します。今回の『スパロボV』でも、半年前ぐらいにはもう出来ていました。
――『スパロボ』とJAM Projectは、一緒に成長してきた感じがあります。
嬉しいですよね。たまたまロボットソングを歌うようになって、このジャンルに合うんだと自分でも気づかされましたし、今はとても幸せです。
――アニメソング以外にも、歌いたいというお気持ちはありますか?
アニメソングに関わっていなかったら、自分の好きな曲しか作ってないと思うので、もう歌ってなかったと思いますね。今、仕事としてアニメソングを歌うことで、自分の引き出しも増えましたし、今の自分がいるのはアニメソングのおかげだと思います。なので、何が歌いたいといいますか、どんな歌でも歌います、という感じです。どんな歌でも、ヴォーカル次第で悪くなったり、良くもなったりします。そういった意味で、ヴォーカルはとてもやりがいのある仕事ですね。
――遠藤さんのファンの方にメッセージをお願いします。
久しぶりのアルバムです。今回は全てオリジナルの曲で、今の遠藤正明が考えていることが詰まっていますので、JAM Projectしか知らない人たちも、遠藤の音楽の世界にどっぷりはまってくれればと思います。いろんなタイプの曲がいっぱいあるし、また僕と付き合いのあるミュージシャンとも一緒にコラボをしているので、そのあたりもアルバムを聴いて楽しんでいただければと思います。
日時:2017年3月5日(日)
会場:仙台・イズミティ21(仙台市泉文化創造センター)大ホール
出演者:JAM Project/GRANRODEO/FLOW
■2017年4月2日(日)北海道・KRAPS HALL 開場16:30/開演17:00
■2017年4月9日(日)宮城・SENDAI CLUB JUNK BOX 開場17:00/開演17:30
■2017年4月15日(土)広島・広島Cave-Be 開場17:00/開演17:30
■2017年4月16日(日)福岡・DRUM Be-1 開場16:30/開演17:00
■2017年4月22日(土)大阪・BIGCAT 開場16:30/開演17:00
■2017年4月23日(日)愛知・Electric Lady Land 開場17:00/開演17:30
■2017年4月29日(土祝)東京・赤坂BLITZ 開場17:00/開演17:30
■発売中
■INDEX
1. System All Green ~deus ex machine~
music & arrangement:八代新平
2. エンジン
word & music:遠藤正明 arrangement:TAKEO
3. SCRAP & BUILD
word & music:遠藤正明 arrangement:小山 寿
4. FLOPPY
word:遠藤正明 music & arrangement:三宅博文
5. 笑いのありか
word & music:遠藤正明 arrangement:三宅博文
6. EASTERN GALE -Theme Song of MAF-
word & music:遠藤正明 arrangement:宮崎京一
7.Hang in there
word & music:遠藤正明 arrangement:鈴木マサキ
8. BRING IT ON!
word:遠藤正明 music & arrangement:R・O・N
9. OYMGSG
word:遠藤正明 music & arrangement:鍋嶋圭一
10. LOVE SONG
word & music:遠藤正明 arrangement:宮崎京一
11. 終わらない歌
word:遠藤正明 music:千綿偉功 arrangement:渡部チェル
12. FIRST COMES ROCK
word:遠藤正明 music & arrangement:Jose(TOTALFAT)