KEYTALK、サカナクションからどうぶつビスケッツ×PPPまで ジャンルを越えた20組に12,000人が熱狂 『ビクターロック祭り~2017~』
KEYTALK Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
ロックフェスティバル『ビクターロック祭り~2017~』が、3月18日(土)に千葉・幕張メッセ国際展示場9・10・11ホールで開催され、同フェス過去最多20アーティストが出演し、観客約12,000人が集まった。
『ビクターロック祭り~2017~』は音楽事業で80年を超える歴史をもつ日本のレコード会社・ビクターが「ずっとロック、これからもロック」を合言葉に開催する‟ロックのお祭り”で、2014年に初開催された。4回目となる今年も、昨年2016年に引き続き2ステージ制での開催となった。
これまでにロック祭りに出演したことのあるKEYTALK、キュウソネコカミ、Cocco、サカナクション、Dragon Ash、レキシに加えて、ADAM at、雨のパレード、Xmas Eileen、KREVA、四星球、竹原ピストル、never young beach、夜の本気ダンスがロック祭りに初出演。さらにばってん少女隊やどうぶつビスケッツ×PPPという、ロックのジャンルにとらわれないアーティスト2組をオープニングアクトに迎え、今年で3回目となるDJダイノジや、ビクターロック祭りへの出演をかけた「ワン!チャン!!」オーディションでグランプリに輝いたAUSTINES、kobore、SILYUSの3アーティストなど、過去最多の20アーティストが出演した。
BARK STAGE
ばってん少女隊
ばってん少女隊 Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
2017年ビクターロック祭りのトップバッターを務めたのは、BARKS STAGEのオープニングアクトを務めたばってん少女隊。
6人それぞれ自身の名前を染め抜いたノボリを振り回して登場し「よかよかダンス」から「おっしょい!」を披露、短時間の中にすごい情報量が詰まった華やかな高速スカ・チューン2連発で、会場の温度を一気に上げた。「ビクターエンタテインメント100年に1組の逸材、ばってん少女隊でした!」とあいさつ、深く長いお辞儀をし、6人はステージを下りた。まさに、矢のように感じるひと時だった。
Text by 兵庫慎司
夜の本気ダンス
夜の本気ダンス Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
満場のクラップを受け登場したのは、「ビクターロック祭り」初出演となる夜の本気ダンス!「みんなおはよう!朝やけど、夜の本気ダンス!踊れる準備はできてますか!」という鈴鹿(Dr)の絶叫とともに流れ込んだ「WHERE?」では、米田(Vo・G)の歌声が一面のコール&レスポンスを巻き起こしていく。さらに、ロックンロールとダンスビートがデッドヒートを繰り広げるような「Crazy Dancer」の爆走感が、幕張メッセの歓喜の密度をぐいぐい高めていく。「超楽しいことやってライブを終わりたいんですけど、協力してくれますか?」の米田の呼びかけに応えて、オーディエンス一同座り込んでからのハイジャンプ!徹頭徹尾全力でロックとダンスのど真ん中を駆け抜けた、灼熱のアクトだった。
Text by 高橋智樹
Cocco
Cocco Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
バンドメンバーが現れたのに続いて、ゆっくりと歩いてステージのセンターへと向かったCocco。最初に放たれたのは2ndシングル「強く儚い者たち」だった。ベージュ色のワンピースに身を包んだ彼女を眩しいライトが包み、歌声が壮大に広がっていくのが美しい。続いて、1stシングルのタイトル曲「カウントダウン」。激しく高鳴るバンドサウンドと完全に一体となった歌声の熱量がものすごい。完全に引き込まれた観客は、息を呑んでステージを見守る……彼女の歌声のかけがえのない魅力を早速強く実感できたオープニングであった。
瑞々しい歌声をじっくり噛み締めることができた「樹海の糸」と「Raining」。アルバム『ザンサイアン』から披露された「愛うらら」。そして、ラストを飾ったのは、昨年リリースの最新アルバム『アダンバレエ』に収録されていた「有終の美」。雄大に響き渡る歌声が胸に深く沁みた。
全曲を歌い終えると、「ありがとう」と言って深々と頭を下げ、笑顔で手を振りながらステージから去って行ったCocco。途中でMCを挟むことはなく、ひたすら曲を届けるライブであったが、3月21日にデビュー20周年を迎える彼女の足跡をじっくり辿るかのような濃密な時間となった。
Text by 田中大
KEYTALK
KEYTALK Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
開演早々から「ASTRO」で幕張メッセの巨大な空間を一気に狂騒感と祝祭感であふれ返らせるKEYTALKは、そのまま変幻自在な激烈アッパーチューン「MONSTER DANCE」でフロアをがっつり揺らす! 最新アルバム『PARADISE』からダンスロックウェポン「Summer Venus」炸裂! さらに「PASSION」を挟んで、法被姿のダンサー陣とともに「MATSURI BAYASHI」へ――この日のアクトからは、KEYTALK「最新型」への4人の揺るぎない自信が滲んでいた。今回「ニッパー大使」にも任命されているということで、「ニッパーくん」を呼び込んでみせる一幕も。「新しいことに挑戦しようとしているすべての人に、応援歌を作りました!」という巨匠こと寺中の言葉に導かれて、ラストナンバーはもちろん「Oh!En!Ka!」! 力強い歌声とビートが観客の情熱と共鳴し合った、最高の名場面だった。
Text by 高橋智樹
キュウソネコカミ
キュウソネコカミ Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
サウンドチェックから「本気リハ」を敢行したキュウソネコカミ。本編1曲目は「邪邪邪VSジャスティス」。ビビッドカラーの照明とともに、切れ味抜群のサウンドが放たれた。決してスタンダードとは言えない、しかし紛れもなくこのバンドならではのやり方で突き進んできた5人。ヤマサキ セイヤ(Vo/Gt)は「DQNなりたい、40代で死にたい」でオーディエンスの頭上をグングン歩きながら、「お前らが観に来てくれる限り、50になっても60になっても70になってもこのパフォーマンスやってエエか!?」と絶叫。やっぱり今日のキュウソは、めちゃくちゃアツかった。このバンドがずっと言ってきた「生き残りたい」という意志、そしてその根底にある想いがガツンと表れた熱演だった。
Text by 蜂須賀ちなみ
Dragon Ash
Dragon Ash Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
“Real Live Monster”の文字がビジョンに映し出される中、Dragon Ashがオンステージ。 「Mix It Up」が始まった瞬間、でかさ重さ激しさクリアさシャープさ、もうすべてが「鳴った時点で規格外」なその響きに、オーディエンスみんなアガる以前に圧倒されているが、Kjの「飛び跳ねろ!」という号令でフロアが波打ち始める。「光りの街」でリリカルなメロディをいっぱいに広げ、 KenKenのスラップから突入した「The Live」では重低音でメッセが包まれる。どの方向の曲をやっても圧倒的なまま。 ラストの「Fantasista」でオーディエンスは狂喜、でっかいシンガロングを巻き起こして終了。ライブ前とライブ後で物理的に会場の温度、変わったと思う。暑い。
Text by 兵庫慎司
KREVA
KREVA Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
今年2月にアルバム『嘘と煩悩』をリリースしたKREVA。「この歌、全員歌えるから!」、ということで1曲目は「Na Na Na」。そして「嘘と煩悩」(short ver.)ではオーディエンスとともに《嘘と煩悩》と合唱すること連続16回。いくつもの声を引き連れながらどデカい祝祭感を生み出していく。
一転、「ここからは協力しなくて大丈夫。俺のスキルを味わってください」とクールに一言。こういうモードに入られてしまったら聴く側は魅せられるばかり。言葉のひとつひとつは散弾銃のように速く鋭く硬く、そのどれもが絶妙なリズムラインに乗っかっているため、隙が無い。はじめましての相手に迎合などせず、彼がずっと伝え続けてきた「挑戦を続ける意志」を改めて掲げるようなステージだったこと自体が、KREVAのカッコよさを何よりも明確に示していた。
Text by 蜂須賀ちなみ
レキシ
レキシ Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
入場者に配られたロック祭りのキャラクターのお面を頭部に装着してレキシ登場!途中でお面にマイクを当てて「歌え、ビクターの犬……まあ俺もビクターの犬や(笑)」と、最初からオーディエンスを渦に巻く。「1曲目からINAHOを振るんですよ!」と「狩りから稲作へ」でライブがスタート。「ちょっとイルカ取ってくる」とソデにはけ、ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)の手を引いて登場。セイヤの「中臣鎌足」のひとことで「KMTR645」に入るはずが、セイヤが三度にわたってボケて曲に入れずの一幕を経て披露した。3曲目を披露する前に、4/26に出るニューシングル「KATOKU」に今からやる曲をカップリングに収録すると発表!盛り上がるオーディエンスの声も含めて「きらきら武士」を録音する。CDにできなくなるので人の曲を歌うのをがまんしながら歌い切る。いや、正しくは最初のピアノと歌だけのところで何度か人のネタをぶっこんだが、「ここから収録やな」と言ってから無事歌いあげた。
以上、本日のレキシこと御舘様こと池ちゃんでした。「狩りから稲作へ」の時の、「ワンマンならわかるけどフェスだよ? 何これ!?」と言いたくなる、大量のINAHOがフロアで揺れるさま、すごかった……って最近はいつでもどこでもそうか、この人が出ると。
Text by 兵庫慎司
サカナクション
サカナクション Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
BARKSTAGEで大トリを務めたのはサカナクション。1曲目に放たれたのは、サカナクション全員が横一列に並んで機材を操作するクラブDJスタイルによる「SORATO」だった。レーザービームが何本も飛び交う会場内のムードが神々しい。鳴り響くビート、エレクトリカルな音像、歌声が、まるで聖歌のように清らかに広がっていく。彼らの世界に一気に引き込まれたオープニングであった。2曲目「ミュージック」に突入すると、ますます夢見心地の様子で踊り始めた観客。バンドサウンドで構築しているサウンドの熱量がすごい。続いて、「みんな、まだまだ踊れる?」、山口が問いかけて3曲目「夜の踊り子」。飛び跳ねたり、腕を振り上げたりしながら盛り上がる人々は、皆、心底気持ちよさそう。華々しい大合唱とダンスを巻き起こした「アイデンティティ」。しなやかに躍動するビートと爽やかなメロディで思いっきりワクワクさせてくれた「多分、風。」……各曲が絶妙に連なり合ったセットリストは、観客を完璧に魅了していた。
本編は「新宝島」が締め括ったが、観客の興奮は全く収まらず、メンバーたちが再登場。「サカナクションは、今年でなんと10周年。4年、アルバムを出していないんです。今年はビクターからの圧力も強くなって(笑)、アルバムをリリースしようと思います。必ずいいアルバム作ってビクターロック祭りにも戻って来るので、一緒に音楽で遊びましょう!」、山口のMCを経て、アンコールでは「さよならはエモーション」を披露。とても爽やかなエンディングであった。
Text by 田中大
BARK STAGE
どうぶつビスケッツ×PPP
どうぶつビスケッツ×PPP photo by Yosuke Kamiyama(SOUND SHOOTER)
ROAR STAGEのオープニングアクトを務めたのは、TVアニメ『けものフレンズ』に登場するキャラクター(声優陣)によるユニット・どうぶつビスケッツ×PPP。アニメの挿入歌「大空ドリーマー」、オープニングテーマ「ようこそジャパリパークへ」の2曲を披露。元気いっぱいのダンスと歌声に合わせてサイリウム、様々なバンドのカラフルなタオルなどが揺れて大盛り上がり。とても心温まるパフォーマンスだった。
Text by 田中大
ADAM at
ADAM at photo by Yosuke Kamiyama(SOUND SHOOTER)
軽妙なMCからサンバのリズムになだれ込み、「MONOLITH」をスタートさせたADAM at。インストバンドゆえに彼らが鳴らす曲には歌詞がないが、ミュージシャン同士で楽しげに音を合わせる様子は、まるで友達同士でたわいもない会話をしているかのよう。その人懐こさですぐにフロアを巻き込んでしまったようで、オーディエンスは早速曲に合わせて身体を揺らしている。続く「五右衛門」では各ソロも炸裂し、「がってん!」コールを巻き起こす。初出演ということで自己紹介も織り交ぜつつ、オーディエンスとの距離を一歩ずつ縮めるかのようにライブは進んでいった。最後に演奏したのは「ToT」。おもちゃ箱をひっくり返したみたいにカラフルなサウンドが、何とも愛らしいラストシーンだった。
Text by 蜂須賀ちなみ
雨のパレード
雨のパレード photo by Yosuke Kamiyama(SOUND SHOOTER)
「Tokyo」でスタートし、3/8にリリースされたばかりのニューアルバム『Change your pops』のリードトラック「Change your mind」、同じくニューアルバム収録の「1969」をプレイし、「new place」で締めくくる。4曲という短いステージだったが、4曲が4曲とも雨のパレードというバンドの意志や決意や思想やスタンスをギュッと封じ込めたような、極めて濃く、極めて重要な曲だった。もともと、最初の音が鳴った瞬間にフェスの祝祭空間を「オーディエンスが“ノる”のではなく、“曲を聴く”という状態になる」「でも誰も出て行かない」という異空間に変えてしまうような力のあるバンドだが、このバンドの魔力が広がっているということの証なのか、ライブが進むにつれて徐々にオーディエンスが揺れ始め、「new place」ではフロアいっぱいに腕が掲げられた。
Text by 兵庫慎司
四星球
四星球 photo by Yosuke Kamiyama(SOUND SHOOTER)
「ロックは他のバンドに任せて、僕らは祭りを担当しますから」という北島康雄(シンガー)の宣言通り、モリス(ベース)が段ボール製のサーフボードに乗ってフロアからステージへ運ばれていくというオープニングを皮切りに、四星球ワールドが大爆発!縛り上げた“ビクターのそこそこ偉い人”をステージに運び込む暴挙に出た「クラーク博士と僕」。「僕のビッグマウスはみんなの憂鬱を吸い込むためにあります。僕らが作ってるのは時代です!」、真面目に語っていたと思ったら、今度は“ビクターのそこそこ偉い人”が、サーフボードに乗ってフロアを浮遊するというぶっ飛んだ展開を遂げた「出世作」……披露されたのは3曲のみだが、観客に与えたインパクト&ポジティヴなエネルギーは計り知れず。彼らはこのライブで笑いの爪痕を残し、去っていった。
Text by 田中大
Xmas Eileen
Xmas Eileen photo by Yosuke Kamiyama(SOUND SHOOTER)
轟々たる狂騒と歓喜に包んでみせたのは、覆面姿のカオス伝道師=Xmas Eileen! 威風堂々の佇まいに湧き上がったオーディエンスの歓声を、いきなり「Kiss me Kill me tonight」でカラフルな爆音の嵐の真っ只中へと叩き込んでみせる。ツインヴォーカル&パフォーマーのアグレッシブな躍動感も、ラウドの極みのようなギター/ドラム/DJのプレイも、それらのひとつひとつが隙あらば観る者すべての衝動のど真ん中にゴールを決めるべく、全員フォワード状態で攻め込んでくる。最高だ。
「また『ビクターロック祭り』でみんなに会いたいんで、また明日から頑張ります!」と感無量の言葉とともに、4月リリースの新曲「99.9」でフロア一面にタオルの渦を巻き起こしてフィナーレ! そのポテンシャルと爆発力を存分にアピールしていった。
Text by 高橋智樹
never young beach
never young beach photo by Yosuke Kamiyama(SOUND SHOOTER)
「みんな元気? 楽しみにしてた? 『ビクターロック祭り』、はじめまして! よろしく!」
安部勇磨(Vo・G)のコールとともに「どうでもいいけど」へ流れ込んだ瞬間、熱気はいとも自然に、そして鮮やかにnever young beachのヴァイブと溶け合っていく。アンニュイさとイノセンスを兼ね備えた安部の豊潤な歌声が、トリプルギターのしなやかなアンサンブルとともに、濃密な包容力をもってフロアの隅々にまで広がっていく。
「あまり行かない喫茶店で」から「どんな感じ?」のスロウなグルーヴを経て、「明るい未来」では一転して弾むような躍動感を描き出してみせる5人。最後は「お別れの歌」のドライブ感あふれるロックンロールで無上の高揚感を生み出してみせる。今年スピードスターレコーズからメジャーデビューが決定しているnever young beach。その唯一無二の存在感を、この上なく晴れやかに体現していった。
Text by 高橋智樹
竹原ピストル
竹原ピストル photo by Yosuke Kamiyama(SOUND SHOOTER)
ROAR STAGEも残り2アクトというタイミングで登場したのは、一人きりの表現を極めてきた竹原ピストル。
「それでも生きろ」というメッセージが根っこにある彼の歌は、聴き手に日常を見つめ直させる力を持つため、フロアを埋め尽くすオーディエンスもじっくりと聴き入っているよう。力強くも温かなハスキーボイスは、その歌を聴く一人ひとりの心に直接触れ、語りかける。一転、「みんな~、やってるか!」では弾むようなカッティングに合わせてフロアから手拍子が。竹原も「僕のライブで自然発生的に手拍子が起こるなんて、4年に1回あるかないかなので嬉しいです」と笑みをこぼした。
そして、「僕みたいな名もなき旅芸人をメジャーデビューさせてくれたビクターさんへ」と最後に届けられたのは、自作ポエム「のろし」の朗読。全8曲と一篇は、アコギ1本で日々全国を巡る彼の汗と涙の結晶のようで、生き様が滲み出たステージだった。
Text by 蜂須賀ちなみ
DJダイノジ
DJダイノジ photo by Yosuke Kamiyama(SOUND SHOOTER)
「ビクターロック祭り2017」のトリを飾るサカナクションのアクトも終了――という高揚感も一抹の寂しさも、最後の最後にアゲ倒してくれたのが、クロージングアクト:DJダイノジ! ゲストのてんぷらDJアゲまさ a.k.a. 小野武正(KEYTALK)もステージに登場し大団円! 「打ち上げ終了! 一本締め!」(大谷)の言葉に、高らかな手拍子の音が響き渡った。
Text by 高橋智樹
ワン!チャン!!オーディション グランプリ
オーディション「ワン!チャン!!~ビクターロック祭り2017への挑戦~」にてグランプリを獲得したkobore、SILYUS、そして昨年の準グランプリのAUSTINES(ex.kiki)が連続で登場。
トップバッターはAUSTINES。「楽しむ準備できてますかー!」と鶴田(Vo)の挨拶を機にタイトに締まったビート、きらびやかなフレーズの数々、伸びやかな歌声が躍り出る。ダンサブルなサウンドが朝10時の幕張を早速揺らし、始まりに彩りを添えた。
続くは、自身でトラックメイキングも行うヒップホップ・R&BソロアーティストのSILYUS。1曲目「Monaural」から、全身で訴えかけるように言葉を紡ぎ出す。その声には気合いが滲み出ているが、元々「孤独」の感情を昇華した楽曲を表現する彼だけに、多くの人々に観られること自体が彼にとって大きな意味を持つのだろう。彼の言葉は、夜明けを告げるかのようだった。
ラストは東京・府中発のバンド、kobore。彼らが鳴らすサウンドは、情けなさや強がりをもそのまま落とし込んだ直球のギターロック。彼らの言葉は、聴き手の胸を掻き乱すような切実さと、側に寄り添うような温かさを併せ持つ。渾身の「今」を刻みつけるバンドの姿は、この上なく眩しかった。
Text by 蜂須賀ちなみ
約11時間に及ぶ「ビクターロック祭り」は大声援の渦の中、音楽愛にあふれたイベントのフィナーレを迎えた。
●●BARK STAGE●●
ビクターロック祭り~2017~