アルスマグナ インタビュー 「+♂」を上回る“超高速ボカロナンバー”「チョークスリーパーまり子先生」を語る
アルスマグナ
アルスマグナが10月4日にDVDシングルとして、ボカロナンバー「チョークスリーパーまり子先生」をリリースする。
これまでも高速ボカロナンバー「ギガンティックO.T.N.」「+♂(プラス男子)」などをパフォーマンスしてきた彼らだが、今作は前述の2曲を上回る“超高速”な楽曲となっている。泉奏までも「今まで踊ってきた中で一番疲れます」と語る楽曲「チョークスリーパーまり子先生」に迫る。
――超高速ボカロナンバーの「チョークスリーパーまり子先生」、ライブですでに披露されているそうですが、どんな手応えがありますか?
九瓏ケント:現時点(取材は9月中旬)で2度ほどライブでやったんですけど、僕はもう、いっぱいいっぱいで。ホントにね、今“高速”と言われた通りとんでもなく速いから、周りが見えません!(笑)
――MVを観て、早送りしているならわかるけど、そうじゃないなら人間技ではない!と思いましたから(笑)。
ケント:ライブでパフォーマンスしているとき、お客さんも見えないし、自分がどういう経路でどうなったのかもわからないっていう(笑)。でもね、この2人(両脇の奏&タツキを見て)は全然平気だったみたいで。
朴ウィト:(小声で)サボってるんですよっ(笑)。僕、ほとんどセンターでそんなに動いていないはずなのに、お客さんが見えないですからね。それくらい、精一杯です。
――いっぽう、奏さんとタツキさんは余裕があったわけですか。
榊原タツキ:もちろん、僕も本気で一生懸命だったし、サビでは周りが見えなかったりもするんですけど……時折、(客席が)見えちゃったんですよね、えへへ。
泉 奏:僕も、お客さんは見えていました。
ケント:サボってるな(笑)。
奏:いやいや、ちゃんとやっているんですよ? でも本音を言うと、今まで踊ってきた中で一番疲れます。
神生アキラ
――「ギガンティックO.T.N.」「+♂(プラス男子)」のパフォーマンスを凌駕しますか。
奏:しますね。自分でもっとトレーニングして気合いを入れていかないと人前に立てないなと思ったので、少し頑張りました。
ケント:少しなんだ(笑)。
奏:揚げ足をとりまくりますね(笑)。
ケント:うん(笑)。アキラはどうよ。
神生アキラ:いやもう、ほんっとに大変なんですよ。しかも、これまでダンスだけの曲は僕らが“踊ってみた”で動画を発信してライブでやっていたわけで、レーベルさんも巻き込んで僕らのダンスを商品にしましょうっていうのは、これが初めて。変な言い方ですけど、「ちゃんとやんなきゃ」って急に力んじゃうようなところもあって。
――きっとプレッシャーがありますよね。
ケント:これまで投稿してきた“踊ってみた”動画は、いわば僕たちの遊びだったわけですけど……責任感が一気にズドーンとね(笑)。
アキラ:そうそう。シングル9枚目までは歌って踊っていたのに、言葉を発することなくダンスだけで5人がひたすら頑張る4分間っていうのが、急に長く感じて。アルスって、それぞれの立ち位置を基本的には決めているものの、ライブ会場によって踊る位置を変えるんですけど、昨日ライブでやったときには、そもそも決めていた立ち位置も頭の中で吹っ飛んじゃって、もうどこでもいいや!みたいな感じで踊っていました(笑)。
ケント:わかるよ(しみじみ)。
アキラ:本番前に、僕が移動するところで先生(ケント)から「こうしてよ」って言われていて、頭ではわかっているのに本番になったらすっかり忘れていて。
ケント:でも、やってたよね。
アキラ:直前に先生の顔が見えた瞬間、記憶が蘇ったんですよ。
――条件反射的に(笑)。
奏:なんなら、いつにも増してやっていましたもんね(笑)。
アキラ:うん、勢い余って(笑)。慣れてくれば全体も見えてくるし先のことも考えられるけど、「チョークスリーパーまり子先生」は、まだその場その場で出てくる感じ。これまでの2回で、ミスなく踊りきれたことがないんじゃないかな。いつもは、たとえミスをしても修正能力がある5人なんですよ。でも、この曲はできないですもんね!
奏:修正しようとしていたらどんどん先にいっちゃいますからね(笑)。
アキラ:そうそう。っていう曲です(笑)。
ウィト:なので、ライブではメイト(アルスメイト:アルスマグナのファンの総称)さんたちにはたくさん声を出していただいて、僕たちを応援していただけるとうれしいですね。そうすると、とても頑張れます。
ケント:まぁ、過去につらいなと思った曲も今や自由に遊べていたりはするし、今のこの大変さを楽しもうかなとも思いつつ。
泉 奏
――さすがは百戦錬磨!
アキラ:もともと今回は超高速ボカロナンバーでいこうと決めていたわけで、最初から簡単に体が追いついて踊れちゃうようなスピードだったら、らしくないじゃないですか。
――アルスマグナにとって記念すべき10枚目のシングルだからこそ、そういうチャレンジをしたのでしょうか。
ケント:それはあります。初心に戻るには、いい機会だなって。
――シングル9枚、アルバム2枚とメジャーシーンでいろいろなアルスマグナを見せてきた上で、原点に立ち戻ろうと。
ケント:“速い曲で踊るのを楽しみに待っていた”っていう声もあったので。メジャーデビュー以降、そういう曲に出会わなかっただけなんですけどね、然るべきタイミングで、出会うべくして出会った曲なんだと思います。
――そして、DVDシングルというのは、アルスマグナにとって初のリリース形態になるんですよね。「チョークスリーパーまり子先生」は、映像のインパクトもだいぶ大きくて。
タツキ:CGがすごいよね。
奏:グリーンバックでひたすら踊っていたので……
ケント:そうそう。監督さんに「すごくなるよ!」って言われつつも、なにもわからないまま(笑)。完成した映像を観て、僕たちもびっくりしました。
――合間にはさみ込まれる、みなさんのアップの表情にもクスっとさせられつつ(笑)。
奏:監督さんが、一番楽しそうでした(笑)。初めて一緒にお仕事をさせていただいたんですけど、アルスに興味を持って楽しんでくださっていましたね。
――タツキさんは、なにかとメンバーとの絡みが多い印象ですが……。
タツキ:そうですね、先生とかウィトっちとか。先生はすごくやりやすいんですけど、ウィトっちはすごくこう……濃いじゃないですか。だから僕も負けじと頑張るんですけど、ひとりひとりの表情を撮っていくときなんかは、ウィトっちが撮影現場全体を盛り上げるから、そのあとで撮る僕は、だいぶハードルが上がった中で表情を撮らなきゃいけなくて。
ケント:いいんだって、タツキはタツキなんだから。
タツキ:いや、そうですけど……会場のボルテージは下げられないじゃないですか。
奏:会場のボルテージ……。
アキラ:ライブじゃないんだから(笑)。朝からの撮影で、午前中はそういう寄りの表情やお芝居のシーンを撮りながら監督さんとお互いに探り合っていたんですけど、朴がもう、最初にドンと思いきって見せちゃったので(笑)。監督が大喜びして、そのテンションのまま、午後のダンスシーン撮影にいけました。
朴ウィト
――コンスタンティンが昂っているシーンもあって。
コンスタンティン:……(タツキの腕の中で手を振る)。
タツキ:コンちゃんも喜んでいます(笑)。
――言葉遊び満載、下ネタにドキドキな歌詞も楽しいですし。
ケント:下ネタに感じられるかどうかは、その人のフィルター次第なんでしょうけどね。だって、振りでも直接的に表現しているわけではないし……。
――そう見えてしまうのは、目が曇っているからですかね(笑)。
ケント:曇っているというより……求めているんじゃないですかね(笑)。
ウィト:むしろ、曇っていないのかも。
アキラ:なるほどね、そう見えてしまう人は純粋すぎるのかも(笑)。
――ちなみに、「チョークスリーパーまり子先生」には、みんなの憧れの存在であるまり子先生が出てきますが、それぞれどんな先生に憧れを抱きますか?
奏:知識豊富な先生ですね。専門教科だけでなく、幅広く知識を得ている先生は尊敬します。
アキラ:小学校の先生って、基本的に全教科教えるじゃないですか。僕が低学年のときの担任の先生は、たぶん体育大学出身の人で、どの教科の授業でも本気を出すときにシャツの袖を腕まくりしたんですよ。女性でも男性でも、そういう先生が好きです。
奏:ただまくればいいんですか?
アキラ:いや、そうじゃない(笑)。「やるよ!」っていう……。
――熱血タイプですかね。
アキラ:そうですね、うん。
タツキ:僕は、わかりやすい授業をしてくださる先生が好きです。そういう先生って、子ども目線に立ってくれて、いろいろな相談もしやすいですから。
ウィト:わかる。子ども同士みたいに、あだ名で呼んでくれたりとかね。僕だったら、「ちょっと、ウィトっち」って呼びかけてくれて……『ごくせん』(ドラマ)みたいな感じなんですかね。あ、僕は全然ワルじゃないですけど(笑)、親しみやすくてみんなの心をひとつにまとめてくれる先生、憧れます。
ケント:なるほどね。僕は、ホメるときに「頑張ったね」って言うだけじゃなくて、心から笑える先生って、生徒からの信頼が厚いと思うんですよ。
タツキ:確かに、ケント先生もホメるときに笑ってくれるよね。
アキラ:そう、ケント先生こそ理想の先生です!
奏:そうですね。
ウィト:僕たちと同じ目線でしゃべってくれるし!
ケント:照れるなぁ、ウィトっち(笑)。
アキラ:急にあだ名で呼んだな(笑)。
ケント:あとは、僕の信念として、自分が一番バカをやろうとは思っていますね。そうしないと、みんながやりづらいだろうし。
榊原タツキ
――まず自分が踏み出して、その背中を見せるわけですね。
ウィト:そんなケント先生が、僕たちは大好きです!
――それから、キャッチーな「Eureka moment」はライブでみんなが一体となれそうですし、歌詞には生きるヒントがちりばめられていて。
アキラ:そう、ライブではタオルを持ってみんなで一緒に楽しみたい曲ですね。“Eureka moment”という言葉は、“閃きの瞬間”という意味なんですけど、壁にぶち当たったとき、なにかつらいことがあったときって、自分の“これしかない”っていう想いとか閃きを大事にするしかないじゃないですか。答えはすぐに見つからなくとも、そういうものを大事にして、みんなでこの瞬間を楽しもうという曲です。
――というポジティブな「Eureka moment」にしろ、爆発力のある「チョークスリーパーまり子先生」にしろ、これからライブでどう育っていくか楽しみです。なお、11月23日にパシフィコ横浜 国立大ホールにて開催される『MX 祭 vol.1「ARSMAGNA SPECIAL X'mas LIVE ~Several Winter Story~」』は、どんな公演になりそうでしょうか。
ケント:せっかくのクリスマスライブですからね、みんなを楽しませる作戦はいろいろ練っていますよ。
アキラ:年内最後のライブでもあるし、どんちゃん騒ぎしたいなと。プラス、僕らのライブならでは、ただ歌ってダンスしてっていうだけではなく、メンバーひとりひとりの背景もしっかり描きたいなと。
奏:初めて立つステージではありますけど、楽しんで、なにかをつかめる公演にしたいですね。俺の兄である泉 弦も来ますし、学園のいろいろな仲間たちと、新たなアルスの世界をお見せしたいなと思っています。
ウィト:クリスマスをパシフィコ横浜のような大きな会場で祝えることって、そうそうないと思うので。誰よりも目立つつもりでいます!
ケント:チャック開けておけば目立てるよ?
タツキ:え、そういう方法!?(笑)
ウィト:僕も、やっぱり目立ちたい気持ちはあって。今回は、クリスマスツリーの一番上の星になりたいなと思っています(笑)。あと、みなさんを感動させたいですよね。会場にあるはずの無いものがあったりとか、「寒くなってきたね」って人肌恋しくなったりとか。
奏:「寒くなってきたね」は、冷房を効かせるんでしょ?
ウィト:はい……ま、いつも通りそうなりますね(笑)。あとは僕がクリスマスツリーの上に立っていれば、やりたいことは全部できちゃいます。
アキラ:全部言っちゃったな!(笑)
九瓏ケント
――なにしろ、素敵な一夜になりそうです(笑)。あと、それぞれ2017年中にやっておきたいことがあれば、お聞きしておきたいなと。
奏:願望としては……
ケント:バーベキュー?
奏:いや、それもできていないですけどね、ぶど……
アキラ:鍋?
奏:僕のやりたいことを先に言わないでください!(笑) 今年3月の武道館公演では、兄がバイオリンを弾いて僕が踊ったんですけど、今度は一緒に演奏したいですね。
――奏さんがピアノを弾いて。
奏:そうです。もし今年中が無理でも、いつか実現させたいです。
ウィト:僕はすごい断捨離。ホントの断捨離。
奏:ウソの断捨離はないでしょう。
ウィト:いやもう、僕ってなかなか捨てられないから。ホントに最低限のものしか残らないくらいの断捨離。
奏:やりましょうか?
ケント:わかった、俺に任せろ。ゼロにしてあげるから(笑)。
ウィト:それは怖いから自分でやります!(笑)
タツキ:僕は、部活の練習着を買うことです。自分ではなかなか買わないので、オシャレ番長のアキラくんについてきてもらって、オシャレな練習着を手に入れたいんです。
ケント:ジャージがあるのに?
タツキ:あるけど……
奏:たまには違うのを着てみたいんですか?
タツキ:そう。個人練習のときに着るやつ。
ケント:誰に見せるの?
タツキ:え、みんなを僕のおうちに呼びつけるから(笑)。オシャレなのが欲しいの!
ケント:はいはい(笑)。僕は、まさに今年中に、久々にアルスマグナで“踊ってみた”動画を上げたくて。「やっぱりこいつらおもしろいな」って思ってもらえる動画にしたいと思っているので、楽しみに待っていてください。で、アキラは……すっごい考えているけどさ、ないんでしょ?(笑)
アキラ:海に行けなかったから行きたいなとか、そういうタツキっくみたいな小さいやつならあるんだけどね(笑)。
ケント:でも、しょうがないと思う。僕たちは振りだけ覚えればいいけど、アキラの場合は歌詞を覚えて歌の練習をしなきゃいけないわけで、先のことや過去を振り返って考える余裕がないだろうからね。って思いながら、俺はいつも風呂に入っています(笑)。
アキラ:そうだったのか(笑)。ま、12月31日に、振り返って「あれやっておけばよかった」って言えたらいいな。
タツキ:……オシャレぇ(感嘆)。
奏:オシャレではないですよ。
アキラ:なんだよ、急に恥ずかしくなっちゃったよ!(笑)
取材・文=杉江優花 撮影=菊池貴裕
アルスマグナ
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