アジアに羽ばたく若手アーティストを支援 『Asian Art Award 2017』の大賞と特別賞が決定!

レポート
アート
2017.10.11
左から小澤慶介、來住尚彦、山城知佳子、谷口暁彦、寺田倉庫 中野善壽社長

左から小澤慶介、來住尚彦、山城知佳子、谷口暁彦、寺田倉庫 中野善壽社長

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日本からアジアを起点に国際的な舞台での活躍が期待される若手アーティストの支援を目的に創設された『Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA』。計25組の候補アーティストの中から選出されたファイナリスト5組の展覧会が、9月23日から10月29日までの期間、品川にある「TERRADA ART COMPLEX」で開催されている。9月27日に行われた大賞と特別賞発表の様子をレポートする。

アジア、ひいては世界で活躍する若手アーティストを支援

『Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA』のファイナリストに選出されたのは谷口暁彦、松川朋奈、山本高之、山城知佳子、contact Gonzoの5組。いずれもメディア、絵画、映像、映画、パフォーマンス作品など、バラエティに富んだ形式で作品を発表し続けるアーティストだ。

上記5組から大賞と特別賞を選出するのは、金沢21世紀美術館の特任館長である秋元雄史、東京都現代美術館参事の長谷川祐子、シンガポール美術館のジョイス・トー、ユーレンス現代美術センター副館長のユー・ヤン、著名なアート・コレクターとして知られる高橋龍太郎と宮津大輔、文化庁芸術文化調査官の林洋子の計7名の審査員と特別審査委員の隈研吾。日本、中国、シンガポールの第一線で活躍するスペシャリストたちだ。

『Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA』を主催するアート東京の來住尚彦代表理事は、今回の趣旨を以下のように説明した。

「本日は5組のファイナリストから大賞と特別賞を発表します。ここに集まってもらったアーティストたちをわれわれがしっかり見守って、世界に羽ばたいてもらう。それが本アワードの目的です。今回は日本人のアーティストがメインに選ばれましたが、将来はアジアのいろいろな国からアーティストが選ばれると思います。次回は来年の3月に開催されることが決まっており、同月にアートフェア東京をはじめ多くのアートフェアが東京で開かれます。3月の東京をアートの街にして、これからも若手のアーティストを応援していきます」。

 

選出のキーワードは「同時代性」、「身体性」、「表現の領域横断性」の3つ

5組のファイナリストを選出した選考委員のメンバーであり、同アワードのディレクターもつとめる小澤慶介は、今回のファイナリストを選ぶ際に重視したキーワードがあると語る。それは、「今はどのような時代であるのか?」という問いにアプローチする「同時代性」、スマホやタブレットで身体感覚が変わってきている時代における「身体性」、関心やモチーフに応じて表現方法の領域を自由に往来する「表現の領域横断性」の3つ。

「本日、審査員の方にファイナリストの作品を見ていただき、審査し各賞を決めましたが、『いずれのアーティストも過去、現在、未来という時代の変化に向き合って、自分の存在がどのようなものであるのかをさまざまなメディアを通して問いかけている』という意見が挙がってきました」と小澤は話す。

特別賞を受賞したのは谷口暁彦。1983年生まれの谷口はメディアアート、映像、彫刻などの作品を発表している。審査員の長谷川祐子は選出理由を「審査においては、中国とシンガポールの審査員に対して『グローバリティとは?』、『日本からの新しい視点とは?』をハッキリと表現しているかどうかを重視しました」と語る。

谷口は受賞の喜びを以下のように話す。「賞が取れるとは思ってなかったのでビックリしました。今回の作品では、新しい表現に挑戦できたと思います。濃密な時間をかけて制作できた作品が賞をもらえて感謝しています」。

 

大賞は沖縄の問題に寄り添った山城知佳子の作品

大賞受賞者は山城知佳子。1976年生まれで沖縄在住の山城は、映像や写真で沖縄の地政学的なあり方をテーマにした作品を発表している。

審査員の秋元雄史は「大賞の選出に当たってはディスカッションが白熱したが、最後は全員一致で山城さんの作品に決まりました」と話す。

大賞を受賞した山城の作品は、もともと2016年に3面のスクリーンで発表したものがベースになっている。「あえて一度できた作品を壊して、再構築、再編集して映画のスタイルであるシングルチャンネルに作りかえました。発表した作品をもう一度新たなフォーマットに、映画としても通用する作品へと生まれかわらせることで、もっと多くの人に届けたい。作品には異なる言語の人が話をするシーンがたくさんつまっています。この作品を通じてアジアの人とつながっていきたい、という思いを込めて作りました」と作品について語った。

山城には100万円の賞金が贈られる。作品は来年の1月にシンガポール、3月にアートフェア東京で展示される予定だ。

イベント情報
Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA

会期:2017年9月23日(土)~10月29日(日)
会場:TERRADA ART COMPLEX 4F(東京都品川区東品川1-33-10)
開催時間:火~木曜日・日曜日 11:00~18:00、金曜日・土曜日 12:00~20:00、月曜日 休み
※9月27日(水) は13:00~19:00  
入場無料
http://asianartaward.com/
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