『ガールズ&パンツァー』の聖地・大洗に13万人『2017年あんこう祭』レポート トークショー詳報&『ガルパン』色に染まる大洗町内をお届け!
11時30分からメインステージで開催された『ガールズ&パンツァー』トークショー
茨城県の名産である冬の味覚・あんこうの魅力を堪能できる、茨城県大洗町の冬の風物詩「大洗あんこう祭」。大洗町がテレビアニメ『ガールズ&パンツァー』の舞台となったことが縁で、2012年からは出演キャストの面々によるステージイベントをはじめ、ガルパン関連の催しも合わせて行われるようになった。今年で6年目となるガルパンのコラボレーションを中心に、今年のあんこう祭の様子をお届けしよう。
あんこう祭で必見の演し物といえば、「あんこうの吊るし切り」。今年は「割烹旅館肴屋」隠居のご主人・大里さんが軽妙なトークと共にあんこうをスピーディーに裁く妙技を披露。途中で蝶野正洋が現れて、ご主人&あんこうと記念写真を撮っていく一幕もあった。
■昨年の混乱を見事に解消した今年のあんこう祭
昨年のあんこう祭は、『ガールズ&パンツァー 劇場版』のロングランヒットによって新規ファンが急増したためか、大洗へ向かう各交通機関が朝から麻痺状態となるトラブルが発生した。普段は鹿島臨海鉄道で10数分ほどの水戸から大洗への移動が2時間以上かかり、ステージイベントに間に合わないファンも大量発生。その混乱は帰りも同様で、駅に入りきらない人の行列が夜まで続くこととなった。
だが今回は、喜ばしいことにそのようなトラブルは見事に解消されていた。
鹿島臨海鉄道は臨時切符売り場の設置や臨時便の増発、普段は2両編成のところを3~4両編成にすることで輸送量を強化、大きな遅れも無くファンを水戸から大洗へと送り届けた。道路の方も大洗町内に臨時駐車場を大幅に増やすことで、駐車場不足が原因で発生した昨年の大渋滞を解消。さらに常磐線勝田駅からひたちなか海浜鉄道で那珂湊に向かい、そこから大洗へと向かう迂回ルートも事前アナウンスされた。
臨時駐車場利用者向けに嬉しい看板で道案内
こちらは歩きでも何とか移動可能なルートな事に加え、劇場版前半のエキシビションマッチの舞台となった場所をなぞって聖地巡礼も兼ねられるため、こちらを利用したファンも多かったようだ。
他にも二ヵ所にビジョンを設置してイベントを観覧しやすくしたり、物販メインの「ミニミニホビーショー」をあんこう祭前日から開催して人混みを分散させるなど、細かな部分にまで様々な改善が施された今年のあんこう祭。
大洗港第4埠頭会場では、あんこう祭前日より「ガルパンミニミニホビーショー」を開催。新作グッズの先行販売や新作フィギュアの展示などで盛り上がった。
商店街にほど近い大洗文化センターでは、ガルパンともコラボしているオンラインタンクバトルゲーム『World of Tanks』のイベントがあんこう祭前日より開催。トークイベントやゲームの試遊などで盛り上がっていた。
ガルパン劇中にも登場した「大洗リゾートアウトレット」は、「大洗シーサイドステーション」へとリニューアル。こちらもガルパンファンで賑わい、常設のガルパンギャラリーには長蛇の列が!
大洗町や鉄道各社、そして「ガールズ&パンツァー製作委員会」や現地スタッフには心から敬意を表したい。これなら『ガールズ&パンツァー最終章』がまだ続いている中での開催となる来年の「あんこう祭」にも、ファンは安心して訪れることができるだろう。
■あんこう祭のガルパンイベントも今年でもう6年目!
お祭り当日の11月19日には、早朝から町を訪れるガルパンファンのために、朝6時から朝食を提供するお店や屋台も動き出すなど、祭にむけて大洗町全体が盛り上がり始めていた。
メイン会場となるマリンタワー前広場では、午前9時から開会セレモニーがスタート。開会の挨拶は例年通り西住みほ役の渕上舞が務め、元気なかけ声と共にあんこう祭が始まった。
開会セレモニーで挨拶する西住みほ役の渕上舞。
地元のイベントや子ども達のための『キラキラ☆プリキュアアラモード』ショー、交流市町村のゆるキャラ達が集合しての観光アピールなどを経て、午前11時30分よりいよいよ『ガールズ&パンツァー』トークショーがスタート。まずはあんこうチームを演じるキャスト陣が、最終章第1話に登場する大洗女子学園仕様のPコート姿で登場。
ステージ冒頭の挨拶でキャスト陣もふれていたが、同じアニメのイベントが同じ場所で6年連続で続くというのはかなり異例なこと。最初のイベントの時に生まれた子どもは、もうすぐ小学生になるという事に一同驚く。さらに今回から設置されたビジョンには「野外フェスみたい」と喜び、前方の家族席にいた大洗女子のコスプレをした小さい女の子にテンションはさらにアップ。
そんな中で、最終章公開を間近に控えた心境を尋ねられたキャスト陣。渕上舞は「私個人としてはもっとドキドキするのかと思っていたら、すごくリラックスしていて、おだやかな気持ちで公開を迎えられそうです」と答え、まだキャスト陣が誰も実際の映像を見ていないため、尾崎真実からは「上映はしますよね?」とのツッコミが。今回は12月9日に予定通り公開するから大丈夫とのこと。
続いてガルパン応援大使&大洗大使であるプロレスラー・蝶野正洋が、ボコ&町のゆるキャラ・アライッペと共にステージに登場し大洗町のPRコーナーがスタート。しかし、いきなり蝶野に名前をど忘れされて、アライッペが荒ぶりまくる波乱の幕開けに。
応援大使&大洗大使の蝶野正洋と、大洗町のゆるキャラ・アライッペ、ガルパン本編でおなじみのマスコット・ボコも登場
今年の夏には茨城県観光大使にも就任した蝶野だが、その翌月に県知事選で新たな県知事が誕生。就任も無かったことになるのでは心配していたが、無事に継続するとのことだ。
PRタイムでは、大洗町商店街で使えるクーポンも兼ねた日めくりカレンダーを紹介(一部1000円。町のイベント以外では大洗商工会にて販売)。蝶野はアライッペとボコにカレンダーのことを知っていたか訪ねるが、両名とも詳しくは知らない様子。それに対して蝶野は「アライッペは毎回中身が違うから仕方無いか」と発言して、司会&キャスト陣から「中の人などいない」とつっこまれて笑いを誘う。
最後に蝶野は「でも、これだけの人数がちゃんと話を聞いてるのってすごいよね」と来場したガルパンファンのマナーの良さにふれて、この後も町を楽しんでほしいとコメント。もともと蝶野正洋がガルパンに関わる事になったのも、一昨年夏に行われた大洗町の夏のイベントに招かれた際、その盛り上がりとマナーの良さに興味を抱いたのがきっかけだ。その印象が今でも続いているのが分かる、嬉しいコメントだった。
■見どころを単語でアピール! 声優陣から気になる発言が続々
続いては、最終章第1話の見所をキャスト陣が単語でアピールするというコーナー。それぞれが単語を書いた色紙を掲げながらのトークとなった。
第1話の見どころをキーワードでアピールする声優陣
・井口裕香「歌」
「佐咲さんの主題歌も素敵ですし、私達も「Enter Enter MISSION!」を新録・新アレンジで録り直したので、ぜひ劇場で聴いてほしいです。キャスト全員感慨深く歌ったし、ずっとガルパンを応援してくれたファンなら涙ぐむかもしれない曲に仕上がっているので楽しみにしてください。あと本編中にも歌があるので、そちらも楽しみにしていただきたいです」
・中上育実「探検」
秋山優花里が冒険!? 演じたキャストが言うのだから間違いない
「優花里が探検します! 優花里だけじゃなくて、他のキャラも「こんな所があったんだ」的な行ったことない所に行ったりします。どこに行くか言いたいけど言えないので最終章をお楽しみに!」
・尾崎真実「おかわり」
「華さんがとっても大事なシーンで「おかわり」します。何を何故おかわりするのかは最終章を見ていただければわかります」
キャスト陣からは「あんなかっこいいおかわりは初めて」とのコメントがあり、新たな生徒会長となった華ならではの、かなり重要なシチュエーションのようだ。
・茅野愛衣「対立」
「PVを見ていただければ分かるんですけど、対戦相手となるBC自由学園VS大洗女子を軸に、BC自由学園内でも色々やりあっていたり、他にも色々な対立が起きているので、そこに注目してもらいたいなと」
どうもファンならビックリするような、思いがけない対立もある様子。
・渕上舞「阻止」
渕上舞のキーワードはかなり重要らしい
「久し振りに聞いた、何かが甦ってくるような言葉ですけど、阻止をしなくちゃならないことがあって、みほ達みんなが阻止に向けてがんばります! それが最終章の大きなテーマの導入になるんじゃないかと」
ガルパンで阻止するものと言えばということで誰もが「廃校」を思い浮かべたが、
渕上舞「それはさんざん乗り越えましたんで」
尾崎真実「もうやめてほしい」
ということなので、それとは別のことなのだろうか? 「人生で一番「阻止」って言葉を使ったと思うぐらい口にした」とキャスト陣全員が口にしていたので、かなり重要なキーワードとなっているようだ。
■主題歌を唄う佐咲紗花の生ライブ! そして様々な今後のイベントも
最終章第1話上映の来場者特典の公開を挟んで、今度はあんこう音頭の歌に乗ってゲストアーティスト・佐咲紗花が登場。自らが作詞を手がけた『ガールズ&パンツァー最終章』第1~3話の主題歌『Grand symphony』について語り、ライブで曲を披露した。
主題歌を熱唱する佐咲紗花
佐咲紗花「この曲は全てのキャラの曲になるように思いを重ねて作ったので、聴いて下さった皆さんとも思いを重ねて、もっと大きなグランドシンフォニーにしたいと思います」 これまでのガルパン主題歌よりもシリアスめの歌詞となっており、この曲と共に描かれる最終章のストーリーに期待が膨らむライブとなった。
ライブ後に再びキャスト陣も登壇し、最終章と合わせて催される多種多彩なイベントに関する告知が。その数は過去最大級で、最終章への期待の高さをうかがわせるものとなった(告知の詳細は掲載済の別記事参照)。
そして告知終了後はキャスト陣&佐咲紗花のコメントで、大いに盛り上がったトークショーも幕となった。
11時30分からメインステージで開催された『ガールズ&パンツァー』トークショー
佐咲紗花「最終章公開と合わせて『Grand symphony』も楽しんでください」
井口裕香「最終章のお話もできましたし、過去最大量の告知もありました。テレビシリーズが終わってしまっても作品は続いていって、お知らせできることが途切れず続いていくというのは、本当に嬉しいことだなと思いますし、応援してくれる皆さんのおかげだと本当に感じています。また来年もあんこう祭に5人で戻ってこられるようがんばりますので、これからもガルパンをよろしくお願いします」
中上育実「6年連続でステージに立たせていただき、あんこう祭も進化したり、私自身もママレベルが進化したり(※今年二人目のお子さんをご出産)、そんな中でもイベントに呼んでいただけてほんとうに幸せ者だと思います。来年も進化したあんこう祭にまた呼んでもらえるよう進化し続けたいです。来年もスケジュール空けておきますので、みんなも空けておいてくださいね」
尾崎真実「こんな気持ちの良いお天気の中、こういうたくさんの方々とお会いできる屋外ステージってそんなに多くないので、あんこう祭は毎年楽しみにしています。今年も6回目のステージに立たせていただいて、とても楽しかったです。最終章の舞台挨拶で皆さんとお会いできる機会がありますが、他にも楽しいイベントに呼んでいただけるとのことなので(※水戸でのクリスマスディナーショー&大洗アクアワールドでのトークイベントが告知コーナーにて発表)、年末まで楽しいことがたくさんで本当に幸せです。皆さんいつもありがとうございます。この後もあんこう祭をめいっぱい楽しんでいってください」
茅野愛衣「来月いよいよ最終章の第1話が始まります! 何だかやっと観ていただけるんだなあという気持ちと、ここからまだ全6話ありますから、まだまだ皆さんと楽しめることがいっぱいあるなって気持ちです。また来年もこの光景を見たいので、出演することがあったら来てくれますか? また皆さん来年お会いしましょう」
渕上舞「いよいよ最終章第1話を皆さんに観ていただける日が迫ってまいりました。まだ完成した映像は見ていませんが、きっと皆さんに楽しんでもらえるだろうって確信があるので、ここにいるみんなもリラックスできてるんだとすごく思います。これだけたくさんの人に囲まれているイベントは普通緊張するものなんですけど、毎回進化していくあんこう祭と、ちょっと変わっているけど変わらない大洗の景色がリラックスさせてくれるのも、ガルパンという作品ならではなのかなと。これからもどんどん自分自身もレベルを上げて、成長した私達やキャラクターと、この変わらない大洗の土地にまた来年も戻ってきたいと思いますので、またガルパンをよろしくお願いいたします」
■物語の舞台を彩る痛車と屋台の賑わい……あんこう祭は商店街も大盛況!
あんこう祭に合わせて大洗を訪れる楽しみは、何もガルパン絡みのイベントだけではない。
多少の変化はあるが、TVシリーズ第4話では大洗女子学園VS聖グロリアーナ女学院の練習試合、劇場版では大洗女子&知波単VS聖グロリアーナ&プラウダのエキシビションマッチの舞台となった町並みを実際に回ってリアルに体感できることは大きい。アニメでも毎回、緻密なロケが行われており、商店街の方々も自分の店や施設がどうなるかを楽しみにしているとか。
磯前神社や海辺を歩いてみると、戦車に突っ込まれたことで一躍有名になった肴屋本店や、劇場版のエキシビションマッチで海からKV-2が出てきた場所などおなじみの風景を見ることができる
そして、地元の美味がそろった屋台を楽しみながら歩くことで、キャラクターたちがいる大洗という町の空気を楽しめることが、最大の魅力かもしれない。
この日も商店街は歩行者天国となり、ファンが渾身のアイデアを盛り込んで作り込んだ痛車の数々が路上を彩り、キャラクターの等身大POPやオリジナルディスプレイに、商店街でしか手に入らないご当地ガルパングッズが店先を飾って、あんこう祭で訪れたガルパンファンをもてなしていた。
店頭POPはキャラが増えるにつれて、看板娘として設置するお店も増えている。オリジナルアイテム販売もある。
ライバル校の支援店も。最近は店主POPも大流行だ。
大洗では美味しくてボリュームのある店も多く、POPだけでなく店をファンが支持していたりするので、この行列。
アンチョビのPOPが窓から飛び出しているのは、最初は隠しキャラ的に二階の窓に飾られていたのを再現したお遊びなのだ(当時はガルパンもテレビシリーズのみだったので、OVAでメインを飾ったアンチョビも出落ちキャラでしかなかったため)。
痛車はお祭り合わせの企画だが、お店ごとのもてなしは普段の日でも変わらず行われているのが、大洗町の取り組みのすごいところだ。
あんこう祭の商店街名物となったガルパン痛車の大集合。洗練されたデザインにこだわったものからアイデア勝負のものまで、今年もクオリティの高い痛車が勢ぞろいしていた。
今回も道沿いに設置されたあんこう祭&商店街歩行者天国へのルート案内看板が、すべてガルパン仕様という遊び心を発揮。当日は看板を探しながら街歩きを楽しむファンもかなりいたという。これはガルパン聖地巡りを楽しむファンの基本行動。ここから大洗という街の良さにハマってしまう人も多いのだ。
作品中での場面写真でその場所での聖地も早わかりという素晴らしい案内看板。
これまで何度となく登場している「旅館肴屋本店」。ここの大回りも名所だ。
作中にも登場する「肴屋」オヤジのTシャツも販売。他のお店でも面白アイテムが販売中で、見ていて飽きることがない。
あんこう祭を機に大洗を訪れたガルパンファンが、何もない時でも足を運ぶリピーターとなったり、商店街が開催するあんこうチームの誕生日イベントには平日でも数百人以上のファンが集まるようになったのも、そういった大洗のノリと空気にはまってしまうからなのだ。
イベント時にはファン自作の戦車も痛車同様にやって来る。ミリタリーマニアにとっても重要な場所なのだ。
さらに食べ物ももともとが観光地だけあって、とにかく美味いのも魅力だ。
今回初めて大洗を訪れた人や、この記事で大洗に興味を持った人がいれば、ぜひ時間を作って普段の大洗にも足を運んでみてほしい。きっと楽しい癒しの時間を味合わせてくれるはずだ。
そして、間もなく公開される最新作では新たな名所や新キャラが増えるのかも注目。その内容次第で大洗も新しい聖地が誕生する。現在進行系の聖地を、ぜひ劇場で最終章第1話を観た後にも訪れてみてほしい。
取材・文・写真:斉藤直樹
■会期 2017年12月23日(土・祝)~12月31日(日)【9日間】