アニソンはもっと自由に楽しめるはず Kalafina・May'nのジャンルレスな”歌”を体感するために
『Songful days』
2018年3月3日(土)に私達SPICEが主催する音楽イベント『Songful days』が両国国技館にて開催される。
Kalafina
May'n
既にKalafina、May’nの二組の出演を発表したが、もうおわかりのように、このイベントを大きな枠でくくれば「アニソン系イベント」という事になるんだと思う。企画のスタートはアニメ/ゲーム編集長の僕と総合編集長の秤谷が話していた「アニソンフェスの楽しみ方」という雑談なのだが、3月を前に急に発表したこのイベントが何を思って作られているのか、という事を伝えておくべきだと思い、このコラムを記す。
アニメソングの祭典、といえばまず『Animelo Summer Live(通称アニサマ)』が浮かぶ人も多いかと思う。2005年から毎年行われているこのイベントはまさにその一年のアニソンを総括したような物となっており、三日間で8万人以上が来場するモンスターイベントとなっている。同じように『ANIMAX MUSIX』や『リスアニ!LIVE』なども大々的に毎年開催されており、大勢のアニソンファンが集い、楽しんでいるが、これらのイベントに共通するものは“アニソンの動的な部分を取り上げたもの”だと思っている。
色々な所で言われているものだが、アニソンというものは基本アニメのOP・ED主題歌や挿入歌、キャラクターソングである。楽曲も作品の世界観、雰囲気に合うように作られているものが多い。だからこそリスナーは楽曲の中に作品の姿を見る。テレビ尺で言えば90秒のアニソンの中に人は1話から最終話までの作品の思い出を投影するのだ。曲を聞けば好きなアニメを思い出す。このバックボーンの結びつきは他にはなかなか見られない特色だ。
さらにアニソンには様々なジャンルが混在していることもある。ロック、テクノ、ハードコア、ストリングスやオーケストラによるバラード、EDM、これらもアニメに紐付いていれば全て“アニソン”だ。アニソンDJ界の重鎮であるWAN氏が以前雑誌で語った「アニソンはジャンルではなくタグである」という言葉が何よりもしっくり来るところであろう。
これだけ多様なジャンルを内包しているということは、ある意味「アニメをきっかけとしてジャンルを問わず音楽を楽しめる人」が沢山いるということだ。ジャンルの壁が確実にある音楽界でコレだけボーダレスなのはアニソン業界だけなのではないかと個人的に思うこともある。
両国国技館
そこで冒頭のアニソンイベントの話になる。全てのイベントがそれぞれの特色を活かして開催されているが、基本的にはサイリウムやペンライトをかざし、曲に合わせて声援を送り、コールをいれ盛り上がる、という応援方式が多い。勿論コレを否定するものではない。圧倒的な非日常空間で全力で声を上げ、演者と作品に思いを馳せるのは素晴らしいことだ。だが、SPICEは敢えて違う見方をしてみることにした。
「これだけ振り幅が広いアニソンという世界の中で、じっくりと曲を聞くイベントがあってもいいんじゃないか?」
僕はアニソンシンガーの歌の旨さ、表現力の高さに日々驚いている。作品がありきで生まれてくる楽曲たちに魂を吹き込むシンガーたちは、自分の思いと作品の思い、2つを内包した歌唱で曲の世界を表現している。これを思いっきり楽しむイベントを見てみたいよね、というのが僕と秤谷の雑談だったのだ。
興奮の中で楽しむ“動”のイベントがあるなら、着席して一言一言言葉を噛みしめるような“静”のイベントがあっていいはずなのだ。だが、なかなかそのイベントは見当たらなかった。見当たらないならやろうじゃないか、そう言い出したのが『Songful days』の始まり。
土俵もステージもない国技館は珍しいのではないか
奇しくも僕たちはSPICEというメディアを運営する身である。SPICEの編集方針の基礎には「面白いと思うことを、面白いと伝えられるものを書く」というのがある。通常WEBでの記事という形で発信しているものを、オフラインのイベントとしても発信していきたいという思いを叶える機会をもらったのだ。勿論コレはかなりの冒険である、やるなら小さいものをやっても仕方ない。様々な可能性を模索する中で選ばれたのが、両国国技館。
お馴染み枡席、通常四人で使うことが多いが今回は1枡二人までとなっている
イメージとしてはこんな感じ、男性二人でもらくらく足を伸ばせる
相撲の殿堂としても名高い場所ではあるが、ここを選んだ理由の一つが枡席である。靴を脱いで座る枡席は、通常相撲やプロレスなどの興行では四人で一枡1.5メートル四方を使うのが一般的となっている。(相撲では一枡でいくら、という席の売り方をしているので、必然的に人数が少なくなるほど割高になる)しかしこの枡席を四人で使うとかなり窮屈なのが本音だ。せっかく歌を楽しむというコンセプトなのに、座っているのが苦痛なのは本末転倒である。打ち合わせの結果枡席は2名掛けとした。これで足を伸ばすのも胡座をかくのも自由。のんびりと見てもらえるはずだ。
二階指定席も国技館のしっかりとしたシートで楽しんでもらえる
枡席だけではなく、アリーナのプレミアムシートにはお土産を付ける予定にした。内容は現在調整中だが、ここでしか手に入らないアイテムを考えている。俯瞰でゆっくり見たい人にはスタンド指定席を。それぞれがそれぞれのスタンスで音を楽しめるように最大限配慮をしたいと思っている。通常国技館では中央にステージを配置することが多いのだが、今回は四方の一つを潰すエンドステージ方式にした。この方がどの席からでも良い音で歌を楽しむことが出来る。正直キャパシティは減るが、やるのなら妥協はしたくない。
丁度アリーナ部分奥側にステージを制作する予定、この画角だとステージはほぼ正面に来る
勿論演者も妥協はしていない。Kalafina、May’nの両組はアコースティックライブも行っているが、その2つが同じ空間で曲を紡ぐ時、なにか新しい感動が生まれるのではないか?
僕がアニソンのライブで涙をこぼしたのは三回だけだ、一つは2012年の『HAPPY 娘(にゃん)YEAR FESTIVAL 娘フェス』でMay’nと中島愛が初めて生で披露した「サヨナラノツバサ」を聞いた時。2つめが昨年行われた『Kalafina LIVE TOUR 2015~2016 “far on the water” Special FINAL』での「seventh heaven」を聞いたときだ。(もう一つはもっと前のことなのだが、これは秘密にしておきたい)何故涙したのか? それはまさしく彼女たちの持つ「歌」を体感したからだ。
KalafinaとMay’nの歌には力がある。時に鳥肌を立たせるような質量を持った説得力を感じるその力は、きっと人の人生すら変えうるのではないか? そんな期待すら覚える。だからこそ沢山の人が集う空間で、その瞬間に起こるかもしれない奇跡を体感したい。一つの歌で生き方が変わることだって、きっとあるのだ。アニソンがアニソンを超えて全ての人の心を震わせるその時を生み出せるかもしれないという興奮に今運営チームは震えている。最もボーダレスで最もジャンルレスなアニソンの世界だからこそ、このちょっと変わっているイベントだって受け入れて喜んでもらえると僕は信じている。
勿論この後にも追加出演者の発表が控えている、それら全てを組み合わせて出来上がるパズルの1ピースはこれを読んで、興味を持ち会場に来てくれるあなた達だ。ただのんびりといい曲を聞きながら楽しんでもいいし、真剣に歌詞を心に刻みこむように聞いてもらってもいい。2018年ひな祭りの国技館の真ん中には必ず「歌」がある。太古から人は喜びも悲しみも音楽として表現してきた。その現在進行形を、共に楽しんでもらいたい。
SPICEアニメ/ゲームジャンル編集長 加東岳史
【時間】OPEN16:00 / START17:00
【会場】両国国技館
【出演】Kalafina / May’n ... and more(五十音順)
【料金】
アリーナ指定席:12,960円(お土産付き)
枡指定席:8,640円
スタンド指定席(A):8,100円
スタンド指定席(B):7,020円
※料金は税込価格です。
※枡席は2名掛けを予定しており、ゆったりご覧いただけます。
【主催・企画】SPICE/e+(イープラス)
【制作】SPICE/ユニオンマスターエンターテインメント
【協力】キョードー東京
【スケジュール】
▽各アーティストFC先行抽選受付:12月15日(金)正午~12月25日(月)23:59
▽SPICE読者先行受付:12月28日(木)13:00~1月8日(月・祝)23:59
▽一般発売:2018年1月27日(土)10:00~
▶イベントURL:http://eplus.jp/songfuldays/