松尾スズキ作・演出『ニンゲン御破算』公演日程、宣伝ビジュアル、出演者コメント発表
2003年に、大人計画の松尾スズキが、十八代目中村勘三郎(当時・勘九郎)にあてて書いた、松尾唯一の時代劇にして実験的な作品としても話題となった『ニンゲン御破算』(当時・御破産)。15年ぶりの上演と、豪華キャストの出演が明らかとなり、多くの期待が集まるなか、公演日程と宣伝ビジュアル、更に、出演者からのコメントが届いた。
<コメント>
松尾スズキ
『ニンゲン御破算』はそもそも15年前に中村勘三郎(当時は勘九郎)さんにあてて、歌舞伎に対して真っ向勝負みたいな気持ちで書いたものだったのですが、今回は思いっきり考え方を変えて阿部の主役でやらせていただきます。それに伴い、それぞれのキャストに合わせて書いた部分や細かいギャグなどはどんどん書き換えますし、タイトルも一文字(産→算)変え、クラッシュするイメージの“御破産”からリセットするという意味で“御破算”にしました。全体的にちょっと実験的で複雑な構成でしたが、再演ではよりテーマをくっきりさせ老若男女が素直に楽しめる、リアリティのある時代劇にするつもりです。江戸の文化を僕流にアレンジし、怒涛のエンターテインメントに仕上げます。
阿部サダヲ
とにかく初演は芝居の内容よりも、勘三郎さんと一緒に芝居をしたということ自体がものすごく強烈に記憶に残っています。その勘三郎さんがやっていた実之介という役を今回は僕がやらせていただくわけですが。勘三郎さんにしかできないような歌舞伎っぽいセリフ回しが結構あったイメージがあるので、そういうところは松尾さんが書き換えてくれるのではないでしょうか。というか、ぜひ書き換えてほしいです(笑)。おそらく前回とはかなり違ったものになるでしょうから、僕としては一度やった作品ではありますけど改めてまっさらな気持ちで取り組めそうな気がしています。
岡田将生
『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』で松尾さんの作品に初めて出させていただきました。まさかまた呼んでいただけるとは思っていなかったのですごく意外だったのと同時にプレッシャーも感じますが、とてもうれしかったです。稽古を積み重ねていくという作業が好きなせいか、舞台は自分の性格に合っている気もしています。僕は初演で阿部さんが演じられていた灰次役なのですが、阿部さんとは違うところを目指しつつ、前回の舞台を観ている方々にも認めていただけるよう、新たなチャレンジとしてがんばりたいです。そして荒川さんと兄弟の役でもあるので、すごくシゴかれそうですが、きっと精神的にタフになれるんじゃないかとも思っています。
多部未華子
舞台のお仕事は常に挑戦したいと思っているジャンルでもありますし、大好きな松尾さんの作品でもあるので、今回のお話をいただいた時は素直にうれしかったです。着物を着て舞台に立つことは初めてなので楽しみなんですが、動きや所作はどうすればいいのか、まだ全然想像ができません。以前、出演させていただいた『ふくすけ』の時も『キレイ』の時も人数の多い稽古場で、皆さんのシーンを見ているのがすごく面白かったです。特に和気藹々としているイメージはあまりないのですが(笑)、ふだんは静かな方々の集まりなので私としてはとても居心地のいい稽古場なんです。今回も共演するみなさんの稽古を見ることが、一番の楽しみになりそうです。
荒川良々
初演ではみんなが何度も水に濡れては着替えていたことや、勘三郎さんが意外と稽古中にとても悩んでいた姿を覚えています。そして僕としては今回、松尾さんの作品の再演で初めて違う役に挑戦することになったので、どうなるか今はまだ全然予想できないんですよ。それに僕、松尾さんの作品に出ること自体が結構久しぶりで、実はとても緊張しています。たとえ大人計画の劇団員たちが多くても、稽古初日や本読みの時はものすごく緊張するんです。既にお互いの手の内をわかっていて、まったく手が抜けないということもありますしね。とにかく、観たことのないような舞台になりそうな予感があります。ぜひみなさん楽しみに観にいらしてください。
公演情報
■キャスト:
阿部サダヲ 岡田将生 多部未華子
荒川良々 皆川猿時 小松和重 村杉蝉之介 平岩紙 顔田顔彦 少路勇介 田村たがめ
町田水城 山口航太 川上友里 片岡正二郎 家納ジュンコ 菅原永二 ノゾエ征爾 平田敦子
松尾スズキ
石橋穂乃香 青山祥子
■制作協力:大人計画
■製作:Bunkamura
【東京公演】
■公演期間:2018年 6月7日(木)~7月1日(日)
■会場:Bunkamura シアターコクーン
■公演期間:2018年7月5日(木)~7月15日(日)
■会場:森ノ宮ピロティホール