桜庭和志インタビュー 打撃禁止の組み技限定イベント「QUINTET」を始動した目的 そしてUFC殿堂入りと木村政彦を語る
●最年長・桜庭和志のスタミナ問題
――QUINTETは勝ち抜き戦なので1人で2~3試合やるケースもあり得ますよね。あの、唐突な質問なんですが、桜庭さんは今もタバコを吸っていらっしゃいますか(笑)?
吸ってますよ!
桜庭和志
――スタミナには全く影響はないですか?
全くではないですけど、陸上とか水泳みたいにずっと動いてるわけじゃないじゃないですか。何気に、寝技って休んでるんですよね。
――特に、桜庭さんは休みどころを分かっていらっしゃるでしょうしね。ということは、勝ち抜いたとしてもスタミナには不安はない?
いやぁ、勝ち抜いてもせいぜい2人じゃないですか。 でも、そんなに抜けないだろうという気もします。高校生くらいのレベルだったらダーッて抜くこともあり得ますけど、なんだかんだ言ってどっこいどっこいのチームばかりなので。
――もしも、連続の勝ち抜きが実現したら、会場は沸くでしょうね!
2人抜いたくらいで、もう大盛り上がりじゃないですか(笑)?
――かつて、桜庭さんはホイスと90分やったわけですから「あのスタミナがあれば大丈夫じゃないか?」という幻想が我々にはあります。歳を重ね、スタミナに関してはいかがでしょうか?
歳とともに落ちてはいます。
――我々は、桜庭さんの勝ち抜きを勝手に期待しています。
僕はもう、一番年上なんで無理ですよ~。他の選手には「俺にケガさすなよ」って言います(笑)。そういう意味で、ヒールホールドは禁止にしているんで。あれは簡単な力で膝をぶっ壊しちゃうんで。練習だとゆっくりやるけど、試合になるとどうしても興奮して“ガツン!”ってやるんで壊れるし。トーナメントだから、勝ってもケガ人が出ちゃったら「次は1人減らすの?」って話じゃないですか。壊し合いじゃなく、「関節技って面白いものだよ」って見せるためにやるので、そこは気を付けてくださいって言おうと思ってるんですけど。
――安全性に留意してということですよね。ただ、何が起こるかわからないので、勝ったチームにケガ人が出てしまったら、次は5人 vs 4人ということになるんですか?
そうです、そうです。補欠がいるわけでもないし。
●QUINTETに往年のグレイシーが参戦する可能性は……?
――グラップリングのルールなので、QUINTETは年長の選手も出やすいイベントだと思います。2月1日の記者会見で、ポラリスのマット・ベイヨン代表は「桜庭と戦うならグレイシーは絶対だ」とグレコー・グレイシーの出場を発表しましたが、ファンの勝手な期待で往年のグレイシー、要するにホイスやヘンゾが上がったら面白いなぁと思っています。可能性はいかがでしょうか?
言えば出るんじゃないですか。試合数は減ってますけど、まだ現役ですしね。たぶん、やるんじゃないですかね?
――それ、観たいですよねぇ。昨年のRIZINでも、フランク・シャムロックとのグラップリングマッチがありましたが……
あれ、ひどかったですねえ……(苦笑)。だから、壁ありだとああいう風になるんですよ! 押しても押しても来ないんすよ、適当にかわして! 柔道とかレスリングだと、消極的過ぎてあんなの失格負けですよ!? そういう問題も、壁ありにはあるんですよ。壁が無いと、向こうは枠から押し出されてるだけで何も攻撃してないんで失格負けになるんです。
――「桜庭vsフランク」は、僕もメチャクチャ楽しみにしていました。
ひっどいですよ。経験者からは「わかるよ。あんな感じで来られたらどうしようもないよね」と言われました。
――どうでしょう、QUINTETでフランクとの決着戦は……
(遮って)いや、もういいですよ。もう、絡みたくない! そういう奴とは絡みたくないんで。
桜庭和志
――このカードは長年の夢だったんですけど、残念ですね……。
昔やったら良かったんじゃないですか。パンクラスの頃とかに。もう、いいんです。夢は夢でしたって感じです(苦笑)。相手にやる気が無いんだもん。QUINTETでは、サークリングやる奴には速攻で注意を与えます。
――確かに、あの試合を観ると「フランク、そう来るか……」という感じでした。QUINTETではホイス戦やヘンゾ戦など、かつて桜庭さんと名試合を繰り広げた選手と数年後に再び相まみえるという展開にも期待大なんですが、極端な話、田村潔司選手の参戦もあり得るのでは? と、妄想してしまいます。
まあ、別にいいですけど、どのチームに入るんですかね。
――「孤高の天才」ですし、デリケートな問題ですね(笑)。そうか、仲間がいないと難しいのか……。