「国際オーボエコンクール」優勝の荒木奏美を聴ける演奏会

30年の歴史あるコンクールでアジア人初

10月10日に軽井沢の大賀ホールを舞台に開催された「第11回 国際オーボエコンクール・軽井沢」本選にて、荒木奏美（東京藝術大学在学）が第一位[大賀賞]を獲得、併せて軽井沢町長賞（聴衆賞）も受賞した。今年6月には東京交響楽団に「首席奏者研究員」として入団しており、期待の若手オーボエ奏者として注目を集め始めていたところでの受賞だ。

このコンクールはソニー音楽財団の初代理事長を務めた大賀典雄の発案で1985年に開始されて、以後三年に一度の間隔で開催されてことし11回めを迎えた、世界でも珍しいオーボエのみを対象とするコンクールだ。これまでの歴史の中で第一位を獲得してきたのはすべてヨーロッパの奏者たちだったため※、荒木は日本人の、というよりアジア圏で初の優勝者となった。コンクールの開始から30年目の快挙である。

※一位なしの二位（最高位）であれば、過去に韓国、ブラジルの奏者が、そして日本の辻功（現 読売日本交響楽団 首席奏者／第一回・1985年に第二位）が獲得している。

今回のコンクールで世界的に認められた若き才能を、既に多くの舞台が待っている。近い日程では、10月21日にタカギクラヴィアの松濤サロンで開催されるサクソフォン奏者の上野耕平による室内楽コンサート「上野Coffee」の第六回がある。このコンサートでは上野、荒木に加えてもうひとり、日本フィルで研修中のクラリネット奏者、照沼夢輝も出演するのだが、この三人は全員が東京芸術大学に在籍中で、しかも同じく茨城県東海村の出身だという。時期を問わず同郷から才能が、というケースはままあるかもしれないが、同じ分野に三人も同世代の才能が現れた、という事実には驚かされる。少しでも早く、若き三人の音楽に触れたい方は松濤まで出向いてみては如何だろう。

そして東京藝術大学に学ぶ彼女は、学内での演奏会などにも出演する。現時点で発表されているものでは、東京藝術大学の奏楽堂で開催されているモーニング・コンサートの2015年度最終回（2016年2月18日(木)開催）に、リヒャルト・シュトラウスの協奏曲のソリストとして登場することが発表されている。

また、荒木は学生ながら前述のとおり東京交響楽団の首席奏者としても活動しているので、本拠地のミューザ川崎シンフォニーホールや定期演奏会を行っているサントリーホール、東京オペラシティや新潟のりゅーとぴあなどの会場で聴く機会もあるだろう（もっとも、管楽器奏者の出番は他の団員とのローテーションなどにより決められるので、毎回出演しているわけではない、ということは申し添えておく）。

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コンクール本選の翌日には軽井沢で、そして12日には上野の東京文化会館にて、お披露目となる本コンクールの入賞者＆審査委員コンサートに登場し大喝采による祝福を受けた荒木奏美。オーボエには独奏にそして室内楽、そしてもちろんオーケストラの中心でと活躍の場が多くあるのだ、若い彼女の活躍もまた多方面に拡がっていくことを期待しよう。