海宝直人、30歳の節目となる今夏 バースデーライブへの思いとは?『海宝直人Birthday Live 2018』
海宝直人
俳優、ヴォーカリストとして活動中の海宝直人が、30歳の節目となる今夏、『海宝直人Birthday Live 2018』を出身地である市川、東京、名古屋の三都市で行なう。5月にはショー作品『TRIOPERAS』の主要キャスト(シンガー)としてロンドン・ウエストエンドの舞台でデビューを果たすなど幅広い活躍を続ける彼に、公演への思いを聞いた。
ーー30歳の節目となる年のバースデーライブとなります。
これまで応援してくださった方、最近僕のことを知ってくださった方、初めて聞いてくださる方、皆様に楽しんでいただける舞台にしたいなと思っています。歌うのは主にミュージカルの楽曲ですね。自分を変えてくれた作品、育ててくれた作品、ずっとふれてきた作品、そんな作品の中から選んだナンバーを歌いたいと思っています。
僕が出演してきたディズニー・ミュージカル、『アラジン』『ノートルダムの鐘』からの曲は必ず歌うと思います。これまで自分がどう活動してへきたのか、これからどう活動していくのか、そんなことが伝わるような内容にしたいですね。演じてみたい作品からの曲や、女性の役の歌う曲なんかも歌いたいなと。女性の歌う曲には繊細で美しいメロディが多いなと思うんです。
昨年末、「第一回市川市文化振興財団芸術文化奨励賞」をいただきまして、市川市文化会館での公演はその受賞を記念してのものとなります。市川市文化会館には子供のときからダンススタジオの発表会や高校の合唱コンクールなどでよく訪れていて、思い入れの深い会場ですね。名古屋は会場がZepp Nagoyaということで、僕がヴォーカリストを務めるロックバンド「シアノタイプ」もゲスト出演しますし、歌う曲もミュージシャンの編成も異なり、他の二都市とは毛色の違う感じになると思っています。
海宝直人
ーー数々のディズニー作品に出演されてきましたが、そのナンバーの魅力は?
『美女と野獣』で小学生のときにデビューし、その後『ライオンキング』『アラジン』『ノートルダムの鐘』と出演してきましたが、自分にとって人生が大きく変わる作品ばかりですよね。ミュージカルが好きになったきっかけでもありますし、ディズニー作品がなければ今の自分はなかったと思います。
アラン・メンケンさんが作曲した作品に多く出演してきましたが、演じていると特に感じるのが、シンプルというか、必ずしも複雑ではないけれども美しいメロディの中に、キャラクターの心情、細やかな心の流れが繊細に描かれているということ。『ノートルダムの鐘』でカジモドが歌う『陽ざしの中へ』にしても、一曲の中にダイナミクスがあるというか。それをきちんと理解して歌えば、特に奇をてらったことをしなくても表現として成立するんですよね。
ーー劇中で歌うのと、ライブで歌うのとで違いは?
ライブではその一曲で成立させなくてはならないので、歌っていて芝居が入りすぎると逆にお客さんが入りづらいかなと思いますね。メロディをきちんと伝えるようにして、感情を爆発させすぎずに、折り合いをつけつつ、音楽に集中して一曲の中で成立させないといけない。演じていて歌うときとは異なるバランスのとり方をするというか。でも、最近ではあまり意識せず、ライブの場合はお客様とコミュニケーションを取りながら歌うということを自然とできるようになってきた感じがしますね。
僕はコミュニケーションが苦手なんですが、自己表現するツールの一つが歌だなと思うんです。だから、ライブ、コンサートって、自分という人間を表現する場だなと感じますね。舞台では演出家とのディスカッション、作品や役柄について分析して構築していくのが楽しいですし、役を生きるという感覚。ライブではけっこう自分の好きなことをやっていて、構成も自分で決める、そうやって一つのステージを作っていくという、違う楽しさがありますね。
海宝直人
ーー30歳という年齢についてはいかがですか。
まだ実感はないんですが、今年は海外で初めて舞台に出演したり、ポーランドでコンサートをやったり、英語でパフォーマンスをしていくという新しいチャレンジも多いので、また環境が変わる一年になるのかなと思いますね。英語も勉強し、海外でもいろいろなことを吸収して、また日本での舞台でも生かしていけたらと。海外で歌う曲も今回のライブに取り入れていきたいですね。
ーー今後演じてみたい役は?
いつかは『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンとジャベールを演じてみたいですね。ジャン・バルジャンは前からやってみたいと思っていて、ジャベールは(吉原)光夫さんに「お前の影の部分はジャベールに合うから」と言われて、人間の複雑な部分を表現できる役ですし、やりがい、挑戦し甲斐があるだろうなと。
『レ・ミゼラブル』は子役時代からガブローシュをやりたいなと思って毎年観ていた思い入れのある作品なんです。その後出演することになり、原作にもふれ、ミュージカル作品としての複雑さや難しさも知り、ますますひかれていきました。さまざまな気づきがあり、作品と共に自分も成長していったなと感じますね。
ーーでは、今回のライブでも『レ・ミゼラブル』の曲を歌われたり?
歌うことになるんじゃないかなと思います(笑)。
海宝直人
取材・文=藤本真由(舞台評論家) 撮影=岩間辰徳
公演情報
<東京公演><名古屋公演>
森亮平 ほか
【スペシャルゲスト】シアノタイプ vo海宝直人 g小山将平 b西間木陽 g大里健伍 key半田彬倫 ほか