「ダーク・サイド・オブ・クリムゾン」! 70年代名曲だらけ必至の来日公演
きたる12月、ロック界の生ける伝説――キング・クリムゾンが待望の来日(12年ぶり!)を果たす。
この衝撃的なニュースに狂気…じゃなかった、狂喜乱舞しながら筆を執っている筆者=高木大地は、クリムゾンの影響下にあることを自認する「金属恵比須」でギター兼メロトロン(デジタル)兼リーダーを相勤める者である。
勘の良い方はすぐにお気づきだろう。
――クリムゾンの「総帥」ロバート・フリップの70年代に担当していたパートと全く一緒なのである。クリムゾン・フォロワーは、担当形態までもが“影響下”にあるのが基本だ。
その金属恵比須であるが、フォローイングを評価され、去る9/21放送のNHK-FM『今日は一日プログレ三昧』に取り上げていただいた。番組内の特集「ガイダンス:クリムゾンから始めよう」で、特にスターレス髙嶋(髙嶋政宏)氏に「パクリでもなんでもいいからこういうのが聞きたかった」と、クリムゾン影響下の“形態模写”をほめていただいた(と信じている)。
さて、話を本題に戻す。我が憧れのロバート・フリップ総帥によるこんな言葉を思い出した。
「キング・クリムゾンにしかプレイできない音楽が生まれると、遅かれ早かれキング・クリムゾンが登場してその音楽をプレイする」(1994年8月14日、DGMワールド・セントラルにて、ロバート・フリップ)(『マーキー別冊 キング・クリムゾン』108ページ)
1994年クリムゾン再々結成の「宣言文」の冒頭である。
この言葉が20年以上たった今でも風化していないのであれば、2015年、フリップにとって「キング・クリムゾンにしかプレイできない音楽」というのが今回の『THE ELEMENTS OF KING CRIMSON TOUR』で奏でられる楽曲なのだ。
2014年アメリカから始まった本ツアー38公演の全セット・リストをまとめてみた。すると、70年代の楽曲が圧倒的に多いことに気づかされる。
80年代の軽いノリに失望し、クリムゾンを「卒業」してしまった“70年代こそクリムゾン”信者は、今こそ「復学」すべきである。失神してしまうであろう曲の目白押しだ。あらかじめ会場の救護室は広く取っておいたほうがいい。
38公演すべてのセット・リストに入っていたのが以下の3曲。
●21世紀のスキッツォイド・マン
このイントロを聞いたことのない音楽ファンはいないであろう、ロック中の大名曲。“へヴィ・メタル”の元祖。ビートルズをチャート1位から蹴落としたデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』のオープニング・ナンバー。もしこの曲を日本でも奏でるならば本邦初披露となる。
●太陽と戦慄パートⅠ
1973年のクリムゾンの出世作『太陽と戦慄』からオープニング・ナンバー。フリップによる独自の音階による、人を焦燥と不安と恐怖に陥れる超高速フレーズ(人間椅子の和嶋慎治氏の言葉を借りれば「近親相姦に端を発した陰惨な復讐劇をも連想させる横溝正史調スケール」〈『プレイヤー』1998年8月号、257ページ〉)はこの曲から始まった。前曲同様、来日公演で演奏されれば本邦初披露。
●暗黒(スターレス)
1974年、クリムゾン最初の「解散」の発表とともに発売された名アルバム『レッド』のラストを飾る曲。幽玄なメロトロンと哀愁漂うバラードが特徴的な前半、ひたすら不安をあおる不協和音と奇妙なリズムで盛り上げる後半の2部構成のプログレッシヴ大曲。こちらも来日で演奏されれば本邦初。この曲を聞いたら必ず何人かは倒れること必至である。
見よ! このまがまがしい邦題の数々!
「待ってください(Matte kudasai)」やら「しょうがない(Shoganai)」なんて日本語がそのままタイトルになっていたころが嘘のような陰鬱ぶり。
――ロバート・フリップは70年代の“暗黒面”へと回帰した。
これらの曲は歴史的な名曲として非常に人気が高い。しかし過去5回の来日では1度も演奏されることはなかった。
その不満を晴らすべく、フォロワーたちが存在した。星の数ほど存在するフォロワーがカヴァー/コピーしてフラストレーションをぶつけていたのである。もちろん金属恵比須もしかり。
だが様相は変わった。
「ご本人登場」、である。
皆が待ち焦がれた楽曲の数々が、今、蘇る。歴史的瞬間を我々は体験できるのである。本公演を行かずしてロックの歴史は語れまい。ぜひとも見に行くことをお勧めする。否、行かねばなるまい。
さて。
なぜ、70年代クリムゾンをかたくなに避けていたフリップが、この期に及んで“暗黒面”を引っ張り出してきたのか。――答えは「キング・クリムゾンにしかプレイできない音楽」だからに違いない。
ここからは筆者の個人的な意見だが、フリップはフォロワーたちのそのような行動を見かねたのではないかと推測する。彼らの演奏の数々を聴いて確信したのではないか――「21世紀」にしろ「戦慄」にしろ「暗黒」にしろ、やはり「キング・クリムゾンにしかプレイできない音楽」だったのだと。だからこそ強い義務感を持ち、“暗黒面”クリムゾンを立ち上げたのではないか。
むしろ、フォロワーの演奏を“一掃”する魂胆なのではないかと邪推すらしてしまいたくなる。もうそのような“亜流”に頼る必要はない、と。
であれば、スターレス髙嶋にもフォロワー認定された金属恵比須の命も危ない。今回の来日は、亜流バンドの存在意義がなくなってしまうぐらい衝撃的な事件になるはずだ。
でも、せめて我がバンド金属恵比須だけは存続させていただけないだろうか。なにせクリムゾンの影響下だけでないオリジナリティを持っている。
ジェネシスの影響下でもあるのだ。
どうか、お願いだ。
この衝撃的なニュースに狂気…じゃなかった、狂喜乱舞しながら筆を執っている筆者=高木大地は、クリムゾンの影響下にあることを自認する「金属恵比須」でギター兼メロトロン(デジタル)兼リーダーを相勤める者である。
勘の良い方はすぐにお気づきだろう。
――クリムゾンの「総帥」ロバート・フリップの70年代に担当していたパートと全く一緒なのである。クリムゾン・フォロワーは、担当形態までもが“影響下”にあるのが基本だ。
その金属恵比須であるが、フォローイングを評価され、去る9/21放送のNHK-FM『今日は一日プログレ三昧』に取り上げていただいた。番組内の特集「ガイダンス:クリムゾンから始めよう」で、特にスターレス髙嶋(髙嶋政宏)氏に「パクリでもなんでもいいからこういうのが聞きたかった」と、クリムゾン影響下の“形態模写”をほめていただいた(と信じている)。
さて、話を本題に戻す。我が憧れのロバート・フリップ総帥によるこんな言葉を思い出した。
「キング・クリムゾンにしかプレイできない音楽が生まれると、遅かれ早かれキング・クリムゾンが登場してその音楽をプレイする」(1994年8月14日、DGMワールド・セントラルにて、ロバート・フリップ)(『マーキー別冊 キング・クリムゾン』108ページ)
1994年クリムゾン再々結成の「宣言文」の冒頭である。
この言葉が20年以上たった今でも風化していないのであれば、2015年、フリップにとって「キング・クリムゾンにしかプレイできない音楽」というのが今回の『THE ELEMENTS OF KING CRIMSON TOUR』で奏でられる楽曲なのだ。
2014年アメリカから始まった本ツアー38公演の全セット・リストをまとめてみた。すると、70年代の楽曲が圧倒的に多いことに気づかされる。
80年代の軽いノリに失望し、クリムゾンを「卒業」してしまった“70年代こそクリムゾン”信者は、今こそ「復学」すべきである。失神してしまうであろう曲の目白押しだ。あらかじめ会場の救護室は広く取っておいたほうがいい。
38公演すべてのセット・リストに入っていたのが以下の3曲。
●21世紀のスキッツォイド・マン
このイントロを聞いたことのない音楽ファンはいないであろう、ロック中の大名曲。“へヴィ・メタル”の元祖。ビートルズをチャート1位から蹴落としたデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』のオープニング・ナンバー。もしこの曲を日本でも奏でるならば本邦初披露となる。
●太陽と戦慄パートⅠ
1973年のクリムゾンの出世作『太陽と戦慄』からオープニング・ナンバー。フリップによる独自の音階による、人を焦燥と不安と恐怖に陥れる超高速フレーズ(人間椅子の和嶋慎治氏の言葉を借りれば「近親相姦に端を発した陰惨な復讐劇をも連想させる横溝正史調スケール」〈『プレイヤー』1998年8月号、257ページ〉)はこの曲から始まった。前曲同様、来日公演で演奏されれば本邦初披露。
●暗黒(スターレス)
1974年、クリムゾン最初の「解散」の発表とともに発売された名アルバム『レッド』のラストを飾る曲。幽玄なメロトロンと哀愁漂うバラードが特徴的な前半、ひたすら不安をあおる不協和音と奇妙なリズムで盛り上げる後半の2部構成のプログレッシヴ大曲。こちらも来日で演奏されれば本邦初。この曲を聞いたら必ず何人かは倒れること必至である。
見よ! このまがまがしい邦題の数々!
「待ってください(Matte kudasai)」やら「しょうがない(Shoganai)」なんて日本語がそのままタイトルになっていたころが嘘のような陰鬱ぶり。
――ロバート・フリップは70年代の“暗黒面”へと回帰した。
これらの曲は歴史的な名曲として非常に人気が高い。しかし過去5回の来日では1度も演奏されることはなかった。
その不満を晴らすべく、フォロワーたちが存在した。星の数ほど存在するフォロワーがカヴァー/コピーしてフラストレーションをぶつけていたのである。もちろん金属恵比須もしかり。
だが様相は変わった。
「ご本人登場」、である。
皆が待ち焦がれた楽曲の数々が、今、蘇る。歴史的瞬間を我々は体験できるのである。本公演を行かずしてロックの歴史は語れまい。ぜひとも見に行くことをお勧めする。否、行かねばなるまい。
さて。
なぜ、70年代クリムゾンをかたくなに避けていたフリップが、この期に及んで“暗黒面”を引っ張り出してきたのか。――答えは「キング・クリムゾンにしかプレイできない音楽」だからに違いない。
ここからは筆者の個人的な意見だが、フリップはフォロワーたちのそのような行動を見かねたのではないかと推測する。彼らの演奏の数々を聴いて確信したのではないか――「21世紀」にしろ「戦慄」にしろ「暗黒」にしろ、やはり「キング・クリムゾンにしかプレイできない音楽」だったのだと。だからこそ強い義務感を持ち、“暗黒面”クリムゾンを立ち上げたのではないか。
むしろ、フォロワーの演奏を“一掃”する魂胆なのではないかと邪推すらしてしまいたくなる。もうそのような“亜流”に頼る必要はない、と。
であれば、スターレス髙嶋にもフォロワー認定された金属恵比須の命も危ない。今回の来日は、亜流バンドの存在意義がなくなってしまうぐらい衝撃的な事件になるはずだ。
でも、せめて我がバンド金属恵比須だけは存続させていただけないだろうか。なにせクリムゾンの影響下だけでないオリジナリティを持っている。
ジェネシスの影響下でもあるのだ。
どうか、お願いだ。
イベント情報
キング・クリムゾン
<東京>
12月07日(月) Bunkamuraオーチャードホール【SOLD OUT】
12月08日(火) Bunkamuraオーチャードホール【SOLD OUT】
12月09日(水) Bunkamuraオーチャードホール【SOLD OUT】
12月10日(木) Bunkamuraオーチャードホール【SOLD OUT】
<東京追加>
12月16日(水) Bunkamuraオーチャードホール 発売日:10/31(土)~
12月17日(木) Bunkamuraオーチャードホール 発売日:10/31(土)~
INFO:クリエイティブマン 03-3499-666903-3499-6669
12月16日(水) Bunkamuraオーチャードホール 発売日:10/31(土)~
12月17日(木) Bunkamuraオーチャードホール 発売日:10/31(土)~
INFO:クリエイティブマン 03-3499-666903-3499-6669
12月12日(土) フェスティバルホール【SOLD OUT】
12月13日(日) フェスティバルホール
INFO:キョードーインフォメーション 0570-200-888
12月13日(日) フェスティバルホール
INFO:キョードーインフォメーション 0570-200-888
12月19日(土) サンポートホール高松 発売日:10/31(土)~
INFO:DUKE高松 087-822-2520
INFO:DUKE高松 087-822-2520
12月21日(月) 名古屋国際会議場センチュリーホール
INFO:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
INFO:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
※未就学児(6歳未満)の入場不可。