展覧会『モダン美人誕生-岡田三郎助と近代のよそおい』が、箱根・ポーラ美術館で開催
岡田三郎助《あやめの衣》1927(昭和2)年
展覧会『モダン美人誕生-岡田三郎助と近代のよそおい』が、2018年12月8日(土)〜2019年3月17日(日)まで、箱根・ポーラ美術館で開催される。
新しきニッポンの美人、ここにはじまる
岡田三郎助《ダイヤモンドの女》1908(明治41)年 福富太郎コレクション資料室蔵
西洋文化が流入しはじめた明治から、平成も終わりを迎える現在まで、生活スタイルの変化とともに女性の生き方は多様化し、「美」の概念も大きく変化した。そのなかで人々が憧れる「美人イメージ」は、いつ、どのように作られていったのだろうか?
本展では、近代の美人イメージの創出に大きな役割を担った洋画家の岡田三郎助(1869-1939)を中心に、日本初の美人写真コンテストや百貨店による流行創出などの時代背景と、ファッションや化粧道具の変遷を追い、現代に通じる「モダン美人」の原点を、岡田ほか藤島武二、村山槐多などの絵画約40点、化粧道具類約100点、着物約10点、ジュエリー約20点に、ポスター・雑誌・写真などを加えた計約200点の展示作品で探る。
「五三桐紋蒔絵婚礼化粧道具」明治時代
明治期から昭和初頭にかけて、日本ではファッションや美意識の一大変革が起こった。開国後の急速な欧化政策により、江戸時代から続く伝統的な化粧や髪型、服装は次第に消え、西洋式のスタイルが取り入れられるようになったのだ。また大正期には、女性の社会進出や大戦後の好景気にともない、モダンで華やかなファッションが求められ、新しい生活スタイルや娯楽を享受する人々が増えていく。
岡田三郎助《婦人像》1907(明治40)年 石橋財団ブリヂストン美術館蔵
この時代、新たなファッションアイコンや理想の「美人イメージ」誕生に大きな役割を果たしたのが、洋画家の岡田三郎助(1869-1939)だ。明治末頃から、百貨店の仕事や日本初の美人コンテストにも携わっていた岡田は、女性のよそおいに敏感に反応し、新しい美人像を次々と生み出していった。大きな瞳と物憂げな表情が特徴的な岡田の女性像は、百貨店のポスターや雑誌の表紙などを通じて広がり、「岡田調の美人」は人々の憧れの的となったのだ。本展では、近代の女性のよそおいや美意識の変遷を絵画やポスター、化粧道具、染織史料などで辿りながら、近代洋画の大家である岡田が身近な女性たちに寄り添い、新時代の「美」を紡ぎ出していった様子を紹介する。
藤島武二《女の横顔》1926-1927(大正15-昭和2)年
榎本千花俊《池畔春興》1932(昭和7)年 島根県立石見美術館蔵
楊洲周延《上野不忍競馬之図》1884(明治17)年
「あやめ文銀製化粧セット」1903-1907(明治36-40)年
「納戸縮緬地 八橋に杜若模様小袖」江戸時代後期 松坂屋コレクション(J.フロント リテイリング資料館蔵)