東京都現代美術館のリニューアル・オープン記念展が開催 2つの展覧会で、コレクションを大規模に紹介
靉嘔《田園》1956
東京都現代美術館のリニューアル・オープン記念展が、2019年3月29日(金)〜6月16日(日)まで開催される。
横尾忠則《腰巻お仙》(劇団状況劇場)1966
東京都現代美術館は、1995年の開館から20年を経て、諸設備の改修と利便性の向上のためおよそ3年にわたる休館を挟み、2019年3月下旬にリニューアル・オープンを迎えることとなった。それを記念して、企画展示室(3フロア)とコレクション展示室(2フロア)において2つの展覧会を企画し、美術館全館で当館コレクションを大規模に紹介する。
鶴岡政男《重い手》1949
東京都現代美術館のコレクションは、遡れば大正末年より同時代美術の展示を行なってきた上野の東京都美術館の収蔵作品およそ3,000点を当館の開館を機に移管し、現在に至るまでの間に収集された2,200点あまりの作品を合わせた計約5,200点で構成されるもの。その特質は、それぞれの時代における突出した独自の創造に着目してきたものであり、オーソドックスな美術史の体系とは別の方向性を持っている。これら戦前と戦後を繋ぐ前衛や、今世紀の創造も視野に入れたコレクションを、当館の新たな出発のときに、全館での展示を通して再考することは、常に同時代の創造活動と向き合ってきた当館の意味をひろく問う大切な試みとなるだろう。
森村泰昌《肖像(少年1,2,3)》1988
企画展では、これまでの展覧会や調査活動を通して収集された作品や美術図書室等の資料体から構成されるコレクションの特質を新たな切り口から検証する展示、コレクション展では特に近年の収集作品に焦点を当て、最近新たにコレクションに加わった作品を中心としたものとなる。
企画展『百年の編み手たち-流動する日本の近現代美術-』
岸田劉生《椿君に贈る自画像》1914
本展は、1910年代から現在までの百年にわたる日本の美術について、編集的な視点で新旧の表現を捉えて独自の創作を展開した編み手である作家たちの実践として、当館のコレクションを核に再考するもの。
岸田劉生が活躍した大正時代から現在まで、それぞれの時代の「編み手たち」は、その時々の課題と向き合い、「日本の美術のありよう」をめぐって批評的に制作してきた。本展で試みる日本の近現代美術をめぐる語りは、揺るがぬ史観に基づくものというより、さまざまな要素の選択的な「編集」を通して主体を揺るがせつつ制作を行う作家たちの活動に着目し、その背景を探っていくものだ。さらに、時代とともに変化してきた、当館が位置する木場という地域をめぐる創造も紹介する。
日本の近現代美術史のなかに点在する重要な作品群を、当館の3フロアの展示室全体を使って総覧することで、百年にわたる歴史の一側面が明らかになるだろう。
中原實《杉の子》1947
桂ゆき《抵抗》1952
コレクション展『MOTコレクション ただいま / はじめまして』
中園孔二《無題》2012
東京都現代美術館では、現在、約5,200点の作品を収蔵している。その範囲は、戦後美術を中心に、近代から現代に至る幅広いジャンルに及んでいる。こうした収蔵作品を紹介する『MOTコレクション』展では、会期ごとに様々な切口を設け、同じ作品であっても常に新たな視点から鑑賞できるよう工夫しており、現代美術の持つ多様な魅力の発信に努めている。
当館では、この3年弱に及ぶ休館中に、約300点の作品が新たに収蔵された。そこで、リニューアル・オープンを記念した今年度のコレクション展では、新収蔵作品を中心に紹介する。その第1弾では、主に2010年代に制作された作品群に焦点を当てながら、修復後の作品のお披露目も予定している。
棚田康司《雨の像》2016
イベント情報
[コレクション展]東京都現代美術館 コレクション展示室 1F / 3F