野田秀樹の名作『赤鬼』、なんと高校生バージョン!

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目指すは、プラットのナンバーワン

 愛知県豊橋市には、なんでも「鬼祭」というのがあるらしい。平安末期創建と伝えられる安久美神戸神明社の例祭で、青鬼も子鬼も出てくるらしいが、どうやらクライマックスは、暴れる赤鬼を天狗が退治する『赤鬼と天狗のからかい』という無言劇らしい。赤鬼はいいやつ!(泣いた赤鬼とか)と相場が決まっている?のに。時間堂の代表(堂主というらしいが)で脚本・演出の黒澤世莉が、そのことを知ってこの作品を選んだかどうかは知らないけれど、穂の国とよはし芸術劇場で『赤鬼』が上演される。原作の4人芝居から、英国、タイ、韓国バージョンなど形を変えて上演され続けている名作だが、豊橋では、なんと黒澤の演出による高校生バージョンだ。この『赤鬼』、なかなかいかしたやつだ。

 オープンから来春で3年となる、穂の国とよはし芸術劇場。舞台芸術、とりわけ演劇のラインナップはバラエティに富んでいて目を見張るものがある。2年目の昨年から、早くも、「劇場が中心となって高校生たちに本格的な舞台芸術の実践機会を提供し、プロの演劇人・ スタッフらと共に創造活動を行う」企画を実施している。初回は、平田オリザ作の『転校生』をアマヤドリの広田淳一を演出で『穂の国の「転校生」』を作り上げた。高校生はオーディションで選ばれた21名とスタッフを担当した8名の総勢29名。

 そしてその第2弾が『赤鬼』だ。ほかのスタッフも美術に原田愛、照明に榊美香、音響に市来邦比古と、そうそうたるメンバーが顔をそろえている。つまり、本気なのだ。あちこちでやられている市民演劇だってもちろん本気だ。けれど、楽しいということだけを味わってほしいわけではなく、つらさも大変さもひっくるめて体験し、なおかつ素晴らしい作品をつくる、その先にこそ生まれる演劇の魅力を知ってもらうことを目的としている。だって、PLATは劇場だから。それができる場所と人材がある。今回は15人の俳優で演じられたタイバージョンをベースに、主ホール舞台上にて特設の四方囲みの舞台と客席という空間をつくり上演するという。舞台の組み方にも本気度が! 普通なかなかそこまではやらせてくれない!! 高校生たちは、演技はもちろん、ダンス表現的な身体の動き、効果音や音楽の演奏、衣裳パーツ製作なども担当している。

 「閉鎖的な集落に部外者の“赤鬼”がやってきて事件が起きる物語は、軽妙で分かりやすく奥深い。1996年に生まれた『赤鬼』に描かれている集団の中での差別、不寛容と狂気による迫害は、残念ながら現代の我々にも解決できていない普遍的な主題である。だが、『赤鬼』に描かれているものはそれだけなのだろうか。豊橋の高校生たちと一緒に走りながら、新しい可能性を探し回ろうと思う」とは黒澤の言葉だ。

 高校生たちは“プライチ”という言葉をかかげて、6週間頑張ってきたという。“プライチ”とは、PLATでいちばんの作品を目指すこと。もう、蜷川幸雄にも、永井愛にも、キャラメルボックスにも、地元出身で芸術文化アドバイザーの平田満にも負けないぞという意思表明だ。ね、やっぱり本気でしょ?

イベント情報
高校生と創る『赤鬼』
■日時:2015年11月7日 13:00/19:00、8日13:00/17:00
■会場:穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール舞台上特設舞台
作:野田秀樹
構成・演出:黒澤世莉
ムーブメント:小林真梨恵
出演:オーディションで選ばれた高校生 秋葉潤、市原麻帆、伊藤由佳、金田帆那、近藤瀬里奈、白井風菜、白木菜々美、寺岡壱久、 中神真智子、浪崎恵実、野元結水、長谷川恭加、彦坂祐衣、兵藤真世、松井瀬奈、松尾理代
■料金:全席自由・整理番号付 一般2,000円/24 歳以下1,000円/高校生以下500円
お問合せ:穂の国とよはし芸術劇場 PLAT Tel.0532-39-8810
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