SMPと北欧の音楽作家による『北欧ライティング・キャンプin JAPAN 2018』レポート

レポート
音楽
2018.12.20

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11月中旬、ソニー・ミュージックパブリッシング(SMP)が自社の専属作家と北欧(フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイスランドの計5ヵ国)の作家とのライティング・セッション『北欧ライティング・キャンプ in JAPAN 2018』(以下、北欧ライティング・キャンプ)を開催した。開催場所はソニー・ミュージックスタジオ。

『北欧ライティング・キャンプ』は、Nordic Music Export(NOMEX)が主催する『北欧MUSIC FEST 2018』にあわせ、SMPとNOMEXが共同で開催している取り組みで、今年で5回目となる。今回はLDH JAPANからアーティストで、ソングライターでもあるJAY'EDも参加した。

SMPでは北欧ライティング・キャンプの他にもライティング・セッションを積極的に実施しており、西野カナ、當山みれい、RIRI、J☆Dee'Z、ゴスペラーズ、Iris、10神ACTOR、CHEMISTRY、Hey! Say! JUMP、安室奈美恵、EXILE、KAT-TUN、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE、倖田來未、TWICE、倉木麻衣、E-Girls、GENERATIONS from EXILE TRIBE、Def Tech、(敬称略、順不同)などライティング・セッション曲が多数決定している。

以下、ライティング・キャンプと、リスニング・パーティーの様子をレポートする。

ライティング・セッションとは?

ライティング・セッションとは、作家(プロデューサー、トップライナー、シンガー・ソングライター)が3⼈1組または2⼈1組でチームを組み、限られた時間の中で楽曲を制作する作業のこと。作業は完全分業制で⾏われる。

セッションで作られた楽曲は、レコード会社のA&R(アーティストの育成、制作部⾨)やアーティストの所属事務所などに提案される。その後、クライアントと細やかなやり取りを重ね、楽曲の採⽤に向けてブラッシュアップを⾏っていく。

『北欧ライティング・キャンプ』では、2~3人の混合チームを組み、2⽇間に渡りキャンプが⾏われた。新⼈アーティストや、アイドルなど、⽇本のアーティストに向けた8曲が制作された。1⽇ごとにチームが変わるため、提⽰されたお題に対して作り上げるまでの時間はわずか1⽇(朝11時スタートなので実際は1⽇もない)。加えて、基本的にはコミュニケーションは英語となっている。今回は事前にプロデューサーとトップライナーがコミュニケーションを取り、セッション楽曲の方向性を共有し、当日をむかえた。

朝11時、⾃⼰紹介もほどほどに、お題に対して⾃分の得意分野を活かしながらブレストのような形でアイデアをぶつけ合う。⽣楽器や、PCとキーボードなど、それぞれ得意のスタイルでキーになるメロディやトラックをゼロから探っていくチームもあれば、プロデューサーが持ってきたトラックをチームで視聴しながらアイデアを膨らますチームなど、やり⽅はさまざま。

⼤枠ができると、お互いに作業を分担して楽曲を仕上げていく。チームとして意⾒を出し合いな がら、作業を分担して素早く楽曲を仕上げられるのはライティング・セッションならではの醍醐 味だ。J-POPのメロディに北欧のエッセンスを加えたり、⽇本にも北欧にも収まらない楽曲が⽣  まれたりと、さまざまな化学反応が起きていた。

北欧ライティング・キャンプ中には、アーティストのA&Rがソニー・ミュージックスタジオを訪れることも。作業開始から2〜3時間で出来上がったデモを聞き、「全体的にメロディが歌謡の要素が強いので、もっと洋楽に振り切ってほしい」や、「コード進⾏は切なくて、でも、メロディはもっと遊んでほしい」など、楽曲のディレクションや要望を作家に伝えていた。

リスニング・パーティー

2⽇間のライティング・キャンプを終え、最終⽇には各チームが制作した楽曲をお披露⽬するリスニング・パーティーも開催された。この⽇、お披露⽬されたのは、8チームが作り上げた計8曲。どれもすばらしい作品に仕上がっており、完成度の⾼さから会場は拍⼿喝采に。

その後、スタッフを含めての懇親会へ。国や⽂化を越えた交流は⼤いに盛り上がった。

国境を越えて作曲家が交流し、新しい⾳楽が⽣まれる『北欧ライティング・キャンプ』は、⽇本の作家、北欧の作家に新しい刺激を与えていた。また、お互い⺟国語が英語ではない⼈間が多    く、細かいニュアンスが伝えられないなど⾔葉の壁があるなか、その壁を⾳楽が越えて素晴らしい楽曲ができあがっていくのは『北欧ライティング・キャンプ』ならではの魅⼒だろう。

今後、『北欧ライティング・キャンプ』から⽣まれた楽曲がアーティストに採⽤され、世の中に出ていくことが期待される。

DAY1、DAY2のチーム紹介

■11⽉15⽇(DAY1)

Mikko Tamminen(Producer)、Vilde-J(Top-Liner/Singer)、Akihito Tanaka(Top- Liner/Singer)

Takashi Fukuda(Producer)、JAY'ED(Top-Liner/Singer)、Louise Lannartsson(Top- Liner/Singer)

RZY(Antti Riihimäki)(Producer)、Tomoyuki Uchida(Top-Liner)、Ucca-Laugh(Top- Liner/Singer)

Noboru  Abe(Producer)、ANYA(Top-Liner/Singer)、NICE73(Top-Liner/Singer)


■11⽉16⽇(DAY2)

Mikko Tamminen(Producer)、ANYA(Top-Liner/Singer)、Ucca-Laugh(Top- Liner/Singer)

URU(Producer)、Louise Lennartsson(Top-Liner/Singer)

RZY(Antti Riihimäki)(Producer)、Tomoyuki Uchida(Top-Liner)、Akihito Tanaka(Top- Liner/Singer)

TOMOKO  IDA(Producer)、Vilde-J(Top-Liner/Singer)


Text by 砂流恵介
Photo by 砂流恵介・中津畑 憲一
 
Sony Music Publishing (Japan) Inc.
https://smpj.jp/       

 

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