『ARGONAVIS from BanG Dream!』のボーイズバンド「Argonavis」ドラムを迎えて本格始動! ミュージシャンシップ溢れる実力を発揮した下北沢の夜 ~『Argonavis 0-BEYOND LIVE -始動-』レポート~

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2018.12.21
『ARGONAVIS from BanG Dream!』のバンドArgonavis

『ARGONAVIS from BanG Dream!』のバンドArgonavis

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アニメ、ゲーム、コミック、声優によるリアルライブなど多彩なメディアミックスで展開中の人気コンテンツ『BanG Dream!』(以下、バンドリ!)。その新プロジェクト『ARGONAVIS from BanG Dream! (アルゴナビス フロム バンドリ!)』のボーイズバンドとして活動をスタートしていた「Argonavis(アルゴナビス 通称:アルゴナ)」が、2018年12月10日、東京・下北沢GARDENにて『Argonavis 0-BEYOND LIVE -始動-』を開催し、ライブの一部を生配信。新バンドメンバーのサプライズ参加やキャラクター設定の初公開、初のシングルリリースや2019年5月の1stライブ開催など、多数の新発表でファンを沸かせた。

ライブの様子を振り返る前に、これまでのアルゴナの道のりをおさらいしてみたい。"次世代ガールズバンドプロジェクト"として誕生し、「Poppin'Party(ポッピンパーティ)」や「Roselia(ロゼリア)」など、"キャラクター役の声優がバンドを組んでリアルライブをする"人気バンドを生んできた『バンドリ!』が、男性キャラクター&男性声優による新プロジェクト『ARGONAVIS from BanG Dream!』を始動したのは、2018年5月のことだ。新バンド「Argonavis」の存在がお披露目となり、桔梗凛生役の森嶋秀太(Key.&Vo.)、五稜結人役の日向大輔(Gt.&Vo.)、的場航海役の前田誠二(Ba.&Vo.)の3人体制が発表されて、7月には1stライブ『Argonavis 0-1st LIVE -始動-』を開催。9月の2ndライブ『Argonavis 0-2nd LIVE -始動-』からは七星 蓮役の伊藤昌弘(Vo.)が加入し、徐々にその姿が明らかにされていった。

しかし、5人組バンドであるはずのアルゴナには、まだドラムのメンバーが足りない。アルゴナ本格始動前ゆえに"0"を掲げたライブシリーズ、今回でいよいよメンバー全員が揃うはず! そんな期待感は、これまでアルゴナがずっとライブを続けてきた聖地・下北沢GARDENを埋め尽くしたファンの開演前の熱気からも、十二分に感じることができた。

ボーイズバンドでも観客席には男性客も

ライブ開始は19時。アルゴナのロゴが掲げられた薄暗いステージに、軽快なBGMにのせて客席から大きな手拍子が巻き起こる。上手から一人ずつメンバーが姿を現すたびに歓声が挙がり、日向が気合いの入った表情で「『Argonavis 0-BEYOND LIVE -始動-』!最高に楽しんで行くぜー!」と叫ぶと、「Hi! Hi!」の掛け声とともに、ファンにはもうおなじみとなった「Butter-Fly」がスタート。「楽しんで行きましょうー!」の伊藤の声に負けじと、宇宙がビッグバンを起こしたかのようにオーディエンスがドンッと弾ける。歌い終わると、すぐさま伊藤が「ベース、前田誠二!」とコールし、タイトなベースから始まったのは「メリッサ」だ。立て続けにぶつけられたアッパーナンバーに、さっそく胸がワクワクする。

アルゴナのライブは、アニメ・ゲームファンも音楽ファンも、誰もが知るヒットナンバーを彼ら自身が紡ぐバンドサウンドでカバーしているのが魅力だ。だから、アルゴナを初めて観る人、彼ら自身を詳しく知らない人でも、すんなりとアルゴナワールドに入り込めてしまう。アルゴナ初見である筆者は、男性バンドなのでさぞかし会場は女性ファンで埋め尽くされているのだろうと予想していたのだが、オーディエンスの1/3以上は男性ファン。『バンドリ!』シリーズを愛するファンの幅の広さにも驚かされる。

さらに言えば、『バンドリ!』というコンテンツありきで結成されたものながらも、アルゴナが"しっかりとバンドである"ことにも驚いた。マイルドさとシャープさが混在した伸びやかな歌声で、多彩なジャンルの楽曲をエモーショナルに聴かせるボーカル・伊藤。心地よい歪み感で力強いカッティングと"太い"ソロを披露するギターの日向は、サンバーストのレスポール・ルックが良く似合う。ベースの前田は、いつもはタイトにリズムを刻み、ここぞという場面で印象的なフレーズをぶち込んでくる。キーボードの森嶋も、アップテンポな曲では本人の優しいルックスや語り口とは対照的に、パワフルなピアノサウンドを叩きつける。何より、メンバー全員がお客さんと一体になって、笑顔で演奏している姿が、観ていて楽しい。本業は役者である彼らだが、曲中でメンバー同士がアイコンタクトしながら演奏を合わせていく様子、アクティブなステージでの佇まいには、新人バンドらしいフレッシュなミュージシャンシップがあふれている。

しっかりしたバンドサウンドで奏でるヒット曲で観客を魅了する

MCでのメンバー同士のワチャワチャ感も、観ていて楽しいアルゴナらしさだ。最初のMCで、まだ緊張が解けないからか、日向が曲紹介を噛んだときも、他の3人からすかさず声が飛び、客席からも温かな笑い声が挙がる。「なんとこの公演、満員御礼でございます!」と報告されたオーディエンスが一気に沸きたち、喜びのコールを送る光景もほほえましい。メンバーひとり一人の自己紹介を終えると、「今日は偉大なアーティストたちの楽曲をたくさんカバーさせていただきますので、最後の最後まで楽しんでってください!」の言葉通り、森嶋と伊藤がメインボーカルを分け合う「ピースサイン」、「跳べーー!」と激しく煽った「サムライハート(Some Like It Hot!!)」、「ALONES」と豪華な選曲でセットリストは続く。

ここでステージには伊藤と日向だけが残り、今までのライブではやったことのない、アルゴナ初のアコースティックコーナーが始まった。日向は「こんなに早く、アコースティックができると思わなかった!」と感動の表情を浮かべると、「元シンガーソングライターの二人で、やっていきたいと思います。短い時間ですが、お付き合いください」と伊藤。日向がアコースティックギターでリズミカルにアルペジオをつま弾いてスタートしたのは、「君じゃなきゃダメみたい」だ。オーディエンスのコーラスと手拍子に合わせ、伊藤が跳躍するメロディーラインでファルセットと地声を巧みに繋ぎ、日向のテクニカルなギターとコーラスがしっかりと歌を支える。オーイシマサヨシらしく技術的にもハードルの高いこの曲を、見事な演奏で聴かせてくれた。「とにかく難しかった」と自主練習に励んだ二人は、公園で練習したこともあったそう。日向は伊藤に、日々のギターの練習成果を動画に記録して報告していたそうだ。もう1曲、アコースティックコーナーで披露されたのは、「青いベンチ」。日向が吹くブルースハープと二人の美しいハーモニーが、爽やかに響いた。

「今度はアコースティックな路上ライブをメンバー全員でやりたい!」と二人が野望を語ると、「感動した!」と言いながら森嶋&前田がステージに再集結。続いて森嶋が改めて「Argonavis」というバンド名の由来を説明する。Argonavisとはギリシャ神話に登場する大きな船"アルゴー"にちなんだ、今はなき古い星座"アルゴ船座(Argo Navis)"が由来。ほ座、とも座、りゅうこつ座、らしんばん座の4つの星座が一人の船頭の下に集まったものなのだとか。バンドのロゴにも描かれている"星"が、Argonavisのテーマ。「その"星"をテーマにした曲を聴いてください!」と告げて、「スターライトパレード」へ。キラキラしたサウンドが、ファンタジックな世界を作り上げた。

メンバーそれぞれが過去2回のライブを振り返って思い出を述べ、ライブはいよいよ後半へ。「シュガーソングとビターステップ」と、メンバーがボーカルをリレーしながら届けた本編ラストの「GO!!!」では、会場全体が元気なジャンプと掛け声で下北沢GARDENを激しく揺らした。

ドラムセットに見慣れない人影が!

「アールゴナ!」の大きなコールに迎えられたアンコール。いつの間にか降ろされていた幕が上がると、それまで楽器だけが置かれていたドラムセットに、見慣れない人影が座っている。客席から「おおーっ!」というどよめきと、女性ファンの嬌声が響き、ライトがパッと点されると、颯爽としたドラムカウントから始まったイントロは「天体観測」だ。「オン・ドラムス! 橋本祥平!」と伊藤が叫ぶと、歓声と手拍子がますます大きくなり、一気に室温が上がる。軽快に8ビートを刻む橋本のドラミングが、5人で紡ぐ初めてのアルゴナサウンドをタイトに支える。ついにフルメンバーで演奏できる喜びが、メンバーひとり1人の表情からも、オーディエンスの大歓声からも確かに感じられた。

演奏を終えると橋本が自己紹介し、全員がステージの前方に勢揃いする。「今日、この0-BEYOND LIVEで、メンバー5人揃いましたー!」と改めて感激を伝えるメンバー。「登場の瞬間は緊張しました。早く5人でこのステージに立ちたいのと、会場の皆様の温かさが安心材料になりました。あと、出る前に(メンバーを見回して)みなさんからのお手紙読ませていただきました」と語った橋本に、さらなる歓声が贈られた。

さらに会場では、ステージ後ろに飾られたバックドロップでアルゴナ5人のキャラクターイラストを初公開。Argonavisは北海道・函館の大学に通う大学一年生のバンドであること、それぞれの名前には北海道にゆかりのある文字が入れられていることなどの物語設定に加え、メンバーのそれぞれの口から各キャラクターのプロフィールが紹介され、会場は沸きに沸いた。また制作スタッフとして、ストーリー原案は本家『BanG Dream!』のストーリー原案も手掛ける中村 航、世界観・キャラクター設定は舞台やテレビドラマで演出・脚本を担当する毛利亘宏、キャラクター原案はジャンプSQ.にて『憂国のモリアーティ』を好評連載中の三好 輝であることが発表されると大きな歓声に包まれた。

和気あいあいとしたメンバートークで盛り上がった後は、5人がバンドセットに戻り、あふれる熱気の中で1stライブから演奏し続けてきたオリジナル曲「Steady Goes!」を披露。疾走感あふれるポップでキャッチーなロックナンバーでみんなが一体になる。日向の「0-1st LIVEからようやく5人揃いました。今日から5人で一歩ずつ歩き始めたいと思います、応援よろしくお願いします!」の声に、拍手を贈るオーディエンス。すると伊藤が、今回初登場の「告知ノート」を手にして、さらなる新発表を告げる。「2019年2月20日、1stシングル発売決定です! さらに……5月19日、舞浜アンフィシアターにて、Argonavisの1stライブ開催が決定しましたー! 5月に向けて、より一層パワーアップした姿をお見せしたいと思いますので、ぜひぜひ遊びに来てください!」。

これ以上はないというくらいの大歓声に襲われた下北沢GARDEN。メンバーひとり1人が、彼らの言葉をじっと聴き入るファンの前で、これからの意気込みとファンへの感謝の気持ちを述べる。アンコールラストは、5人がステージ中央で円を組み、拳を合わせて「アルゴー、ナビース!」とコールし、2月リリースとなる1stシングルのオリジナル曲「ゴールライン」を演奏! ここで初めて披露された新曲は、突き抜けるサビが印象的なパワフルなロックナンバーだ。夏から1段階ずつ、ミュージシャンとしての成長とメンバーの絆を深め合いながら、バンドらしさを築き上げてきたArgonavis。5人揃っての"アルゴー船"の旅立ちを、これからもしっかりと見守りたいと思えるステージだった。

なお、この日に発表されたArgonavisキャラクターの詳細や1stシングル「ゴールライン」のPV、リリース&ライブ情報は現在、『ARGONAVIS from BanG Dream!』の公式サイト(https://argo-bdp.com/)で公開中。ぜひチェックしてほしい。

取材・文:阿部美香

セットリスト

1. Butter-Fly
2. メリッサ
3. ピースサイン
4. サムライハート(Some Like It Hot!!)
5. ALONES
6. 君じゃなきゃダメみたい
7. 青いベンチ
8. スターライトパレード
9. シュガーソングとビターステップ
10. GO!!!
アンコール
天体観測
Steady Goes!(オリジナル曲)
ゴールライン(オリジナル曲)

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