平塚市美術館企画展『空間に線を引く─彫刻とデッサン展』 画家と彫刻家のデッサンの違いとは?

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2019.2.28
柳原義達《道標・鳩》1991年 碧南市藤井達吉現代美術館蔵

柳原義達《道標・鳩》1991年 碧南市藤井達吉現代美術館蔵

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平塚市美術館企画展『空間に線を引く─彫刻とデッサン展』が、2019年4月20日(土)~6月9日(日)まで開催される。

彫刻家は素材に働きかけ、何もない空間に作品を表す。彫刻を制作するにあたり、自身のイメージを定着させるためデッサンを描く場合がある。彼らが描いたデッサンは魅力に富んでおり、画家のデッサンにはない美しさがある。この美しさはどこからくるのだろうか。

舟越直木《Drawing》1987年 世田谷美術館蔵

舟越直木《Drawing》1987年 世田谷美術館蔵

おおむね画家の絵は、三次元を二次元で表現する。一方、彫刻家のデッサンは二次元から三次元を目指す。対象が空間にどのように働きかけるかということが、常に彫刻家の念頭にあるからだ。紙面は空間であり、いわば空間に線を引く感性だ。これらの線は、対象の存在感、ものの粗密を表現しているように見える。これを可能としているのは、彫刻家の「手」(触覚)だ。

舟越桂《水に映る月蝕》2003年 作家蔵 画像提供:西村画廊

舟越桂《水に映る月蝕》2003年 作家蔵 画像提供:西村画廊

彫刻家にとって、まず重要なのは触覚だ。彫刻は視覚以前に触覚にうったえかける芸術である。彫刻家は触覚に導かれて作品を手がける。彼らの手は描く以前に「触れる手」なのだ。このような手によって描かれたデッサンはおのずと画家によるものとは異なってくる。彫刻家は空間から対象をすくい出すかのように描く。描くことがすなわち触れることであり、視覚と触覚の連動がある。これが彫刻家のデッサンの特異な点なのだ。そこには、画家のデッサンにはない様々な要素が見出せるだろう。

本展はプロローグとして橋本平八からはじめ、具象、抽象の現代彫刻家19人のデッサンと、それに関連する彫刻を展示し、その魅力と創作の秘密に迫る。

柳原義達《道標・鳩》1972年 三重県立美術館蔵

柳原義達《道標・鳩》1972年 三重県立美術館蔵

若林奮《ドローイング1997.07.17-8.23》1997年 個人蔵

若林奮《ドローイング1997.07.17-8.23》1997年 個人蔵

舟越直木《作品》1986年 世田谷美術館蔵

舟越直木《作品》1986年 世田谷美術館蔵

イベント情報

空間に線を引く─彫刻とデッサン展
開催期間:2019年4月20日(土)~6月9日(日)
休館日:月曜日(ただし休日の場合は開館し翌日休館)
開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)
観覧料金:一般 400(320)円/高大生 200(160)円
※( ) 内は20名以上の団体料金
※中学生以下、毎週土曜日の高校生は無料
※各種障がい者手帳の交付を受けた方と付添1名は無料
※65歳以上で、平塚市民の方は無料、市外在住の方は
団体料金(年齢・住所を確認できるものをご提示ください)
WEBサイト:http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/
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