「農作物としての大麻」をテーマにした大麻博物館が、伝統的な和柄に関する書籍『麻の葉模様』を発売

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2019.2.28

「農作物としての大麻」をテーマにした大麻博物館(栃木県那須郡那須町)が、伝統的な和柄に関する書籍『麻の葉模様』を2019年2月15日(金)に発売する。

麻の葉模様とは、正六角形を重ねたデザインで、現在も根強い人気のある伝統的な和柄だ。着物や和雑貨の他、乳児が麻のように丈夫に早く成長してほしいという願いを込め、赤ちゃんの産着の定番となっている。しかし、残された文献や資料は数少なく、その正確な由来や経緯など、不明な点も少なくない謎多き模様だ。本書では、そんな麻の葉模様が、なぜ800年もの間、日本人の感性に訴え続けているのか多角的に迫る。

「大麻という農作物」がモチーフ

麻の葉模様は鎌倉時代の仏師、快慶の時代に誕生し、江戸時代の2人の歌舞伎役者によって爆発的な流行となり、世界的な浮世絵師の葛飾北斎が発展させたデザイン。大陸からの仏教美術の影響を受け、日本で形が先に誕生し、後に身近な存在であった「大麻の葉」に似ていることから、麻の葉模様と名付けられた。現在では「違法な薬物」というイメージが強い大麻だが、数十年前までの日本人にとっては衣食住を支える農作物だった。

日本を代表する模様ーー世界へ

この模様は現在も、飲料や食品のパッケージ、交通機関やインフラ、店舗デザイン、アパレルをはじめあらゆるところに用いられている。また、日本郵便が発行した「和の文様シリーズ第1弾」では、富士山とコラボレーションし、数学や家庭科の教科書に取り上げられ、2020年に開催されるドバイ万博の日本館の外装は麻の葉模様と発表されるなど、今や日本を代表するデザインといっても過言ではない。またインスタグラムなどのSNS上では、「asanoha」という名で海外からの投稿も数多くあるなど、国内外を問わず広がりを見せている。

書籍情報

麻の葉模様~なぜ、このデザインは、800年もの間、
日本人の感性に訴え続けているのか?

著者:大麻博物館・asanoha lab
発売日:2019年2月15日
定価:1400円(税込)
体裁:A5版・138P・フルカラー
ISBN:978-4909091017
 
【著者紹介】
大麻博物館は、2001年に栃木那須高原に開館した私設の小さな博物館です。日本人の衣食住を支え続けてきた「農作物としての大麻」をテーマに様々な情報発信を行う他、各地で講演や麻糸づくりワークショップを開催しています。日本民俗学会員。 http://taimahak.jp
 
【目次】
1. 麻の葉模様、誕生とその歴史
インタビュー 千本釈迦堂・大報恩寺住職 菊入諒如さん
インタビュー 松竹衣裳株式会社 代表取締役社長 海老沢孝裕さん
2. 模様に込められた意味
インタビュー 麻布中学校・高等学校校長 平秀明さん
インタビュー きものコラムニスト 朝香沙都子さん
3. デザインとしての特徴
インタビュー 株式会社タニハタ 代表取締役社長 谷端信夫さん
インタビュー 株式会社中川政七商店 デザイナー 田出睦子さん
4. 古今東西、多様な広がり(神社仏閣、建築、鉄道、海外など)
5. 描き方とつくり方(フリーハンド、紋きり、折り紙、ネイルなど)
資料(葛飾北斎デザイン・家紋・組子細工・刺し子)
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