ケラリーノ・サンドロヴィッチが描くロマンティック・コメディ『キネマと恋人』開幕!KERA・妻夫木聡ら初日コメントが到着
世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#009 『キネマと恋人』 撮影:御堂義乘
2019年6月8日(土)世田谷パブリックシアターにて、ケラリーノ・サンドロヴィッチが台本・演出をつとめた「世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#009 『キネマと恋人』」が開幕した。
同作品は、2016年に初演。観る人を温かい気持ちに包み込むロマンティック・コメディとして好評を博し、今回は約3年ぶりの再演だ。演劇界を代表する演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)をはじめ、オリジナル・キャスト、スタッフはそのままに、会場をシアタートラムから世田谷パブリックシアターに移しての上演となった。
世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#009 『キネマと恋人』 撮影:御堂義乘
温かいカーテンコールに包まれた初日。台本・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチと出演の妻夫木聡、緒川たまき、ともさかりえより、初日を終えた心境や作品の魅力についてコメントが届いた。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ[台本・ 演出]
今日は作品のファンのお客さんが多い印象でしたね。1幕が終わって暗転した途端に拍手が来たり、「待ってたよ」という声が聞こえるような客席でした。ここまで再演を待たれていた感の強い再演の初日は初めてで、とても嬉しかったです。
俳優たちは初演より深く人物を演じてくれていて、格段に「深化」したものになっていると思います。それから初演の時には気付かなかったけれど、作品上の太平洋戦争前の世相と今の時代に呼応するところが多い気がする。それもあって、初演時よりも「現実世界の辛さ」がより響くようになっているのではないかと。つくり物の世界に憧れるって切ないけれ ど、自分もこういう仕事をしている人間だから、やっぱり創作の世界に助けられているし、もちろんこの『キネマと恋人』にも助けられていると思います。
ダンサーを含めキャスト全員が島の世界観をつくりあげてくれて、スタッフ含めみんなとつくれた作品だと思います。特に映像の上田(大樹)君と振付の小野寺(修二)君は、この作品ならではの付き合い方をしてくれました。仕事量もハンパじゃない。
僕の他の作品と比べるとこんなに間口の広い作品はない。これからもずっと、こうした親切な作品を何年かに一遍作れると思われちゃたまらない(笑)ので 、「これを観てもらわないと!」と思います。毎回「今回で最後かもしれない」と思いながらつくっているので、是非楽しみに観に来てほしいです。
妻夫木聡[高木高助(俳優)/間坂寅蔵(映画の登場人物)役]
初日を終えて、やっぱり演劇はお客さんのものだなと感じました。特にこの作品は、舞台に立っている時、お客さんとの間に本当に強い一体感があるんです。客席もステージの一部の様に感情移入できて、みんなが寅蔵を好きになって、みんながハルコの気持ちになって、幸せで終わってほしいけど、人生ってそんな甘くはないよね、それでも 生きてかなきゃいけないよね、というようなほろ苦さも残しつつ、ファンタジーみたいにどこか別の世界に連れて行ってくれる、「夢なら覚めないで」っていう言葉がぴったりの、稀有な作品だと思います。そんな舞台に関われてとても幸せです。まだ始まったばかりで、当日券もありますので、一回と言わず何回でも、色々な方に、寅蔵やハルコたちに会いに来てほしいと思います 。
緒川たまき[森口ハルコ 役]
初日が終わりました。再演の機会をいただいて、キャスト・スタッフ、みんなで力を合わせて、とにかく大事に大事に思いながら稽古してきまし た。いよいよ本日、お待ちいただいているお客様に見ていただけ たわけですが、やはりお客様はあったかい、この場所に帰ってこれた、と感じました。この作品の魅力は、いろいろな登場人物がでてくるのですが、誰かしらに感情移入していただける、というところなんじゃないかと思います。これからご覧になるお客様には、例えば、どういう作品内容なのか分からないまま見に行った映画が、面白かったという体験のように、この作品もただ席に座ってただ見ていただけるだけで…。きっといつの間にか、ハルコさんが映画の世界に惹かれるように、この舞台作品の世界に入っていただけるんじゃないかと思っております。
ともさかりえ[ミチル 役ほか]
お客様が温かく迎えてくださって、無事に幕が開いてほっとしています。みなさんが待っていてくれていたのが伝わってきてすごく幸せな初日になりました。
どんな世代の方にもこんなふうに愛していただける作品もなかなか無いと思います。ファンタジーですが実は生々しいものを含んでいるところもこの作品の魅力で、私がメインで演じているミチルも一見突飛なように見えますが彼女なりのいろんな理屈や信念を持っているキャラクターです。他にも様々な役を演じているので毎公演、毎公演、新鮮な気持ちで演じられたらいいなと思っています。今回ラッキーなことに再演をすることができました。ぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。
東京公演は、6月23日(日)まで。その後、7月28日(日)までツアー公演を予定している。
世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#009 『キネマと恋人』 撮影:御堂義乘