菅田将暉「カリギュラは理想像であり運命の役、手相でも向いていると!」 『カリギュラ』ロングインタビュー

インタビュー
舞台
2019.7.29
菅田将暉

菅田将暉

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デビュー10周年を迎えて、今、飛ぶ鳥を落とす勢いの俳優・菅田将暉が、栗山民也の演出にて、アルベール・カミュの傑作戯曲の『カリギュラ』に挑む。ローマ帝国の若き皇帝カリギュラは、妹の死をきっかけに残虐非道な行為を繰り広げる暴君と化す。壮大なスケールの難役に菅田はどう向き合うのか、今の思いを聞いた。

ーーデビュー10周年で『カリギュラ』に挑まれる心境を教えてください。

カリギュラの生き様と存在感を演じることが、僕の中での一つの区切りになると思います。最近、気づいたら、正解でも不正解でもない、大きなものと戦う役が多くて、それらの締めくくりになるような心持ちです。​

カリギュラは何かの象徴のような気がします。今の僕はじっとしていられなくて、やりたいことは何でもやりたい年頃で、大人でも少年でもない、人間でもないような……。カリギュラは、同年代の人物なので、発見がいっぱいあるんだろうなと楽しみです。この芝居では、学ぶことがたくさんありそうな気がします。10年の締めくくりと言っても、まだ俳優人生は続くわけで、これで辞めるわけじゃない。この『カリギュラ』を経てその先が見える気がします。下手したら、もうお芝居はいいやってなるかもしれません(笑)。何が起こるかわからないけど、そのくらいの気合で臨みたいです。​

ーーまず、チラシのビジュアルが印象的ですね。

スチールの撮影現場に真っ赤なデザインラフがあり、女性が載っていてびっくりしたんです。音楽や照明、衣裳、スモークなどで雰囲気を作ってくださって、スチール撮影の段階から一つのお芝居のような空間でした。そこでワクワクして、舞台がより楽しみになりました。

『カリギュラ』チラシ

『カリギュラ』チラシ

ーー撮影時には髪を染めて、スタジオ入りなさいましたが。

一応、カリギュラ仕様にしました。その前にドラマ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」で真面目な先生役をやっていたので、『カリギュラ』にかこつけて気分転換をしたかったんです。前髪は下ろすつもりで撮影現場へいきましたが、結局オールバックになりました。​

ーーメイクも表情も強烈で、新たな菅田将暉像が見えました。

デザインラフの女性のモデルがそうだったから同じメイクにしたんですけどね(笑)。でも、最初はナチュラルメイクだったんです。でも髪をピタッと撫でつけたらもっとインパクトが欲しいな……と思って。そうしたら、メイクさんがノッてくれて、時間をかけて囲み目にしてくれました。あの撮影現場はみんながノリノリで、カメラマンの方もシャッターを切り続けて止まらない感じでした。そんなスタッフの皆さんの心がクリエイティブにおいては大事です。人は商品を手に取る前にパッケージで判断するもので、今はそのパッケージを作る期間。作品の第一歩が凝縮して踏み出せた気がします。​

ーーカリギュラはもともと演じたい役でしたか。

正直、最初はあまり乗り気じゃなかったんです。でも、僕の信頼している人に、「今の菅田君が演じるカリギュラが見たい」と言われて。その人がそう言うなら、やりたいと思いました。それを発端にいろんなことが動き出して。栗山さんとタッグを組めること、大先輩方とご一緒できること。いろんな可能性に満ち溢れていると感じています。僕自身、一人の表に出る人間として、型にはまらず自分なりの道を探すカリギュラは理想像。そんなカリギュラを演じ切りたいです。​

菅田将暉

菅田将暉

ーーこの作品でチャレンジしたいことは?

今回は演劇の大先輩方が唸るような表現をきちんと作っていきたい。肉体からつま先、頭のてっぺんまで気を配って。カリギュラはある種、中性的でファジーな様々なものを背負う存在。カリギュラでなければできないお芝居の表現がたくさんあり、俳優としてありがたい役です。今のイメージを一つあげるとしたら、やはり美しくありたい。客席から数メーターの距離で異世界を作るわけで、そこに日本人的生活感はいらない。とはいえ、日本人にわかるカルチャーの伝え方をしなければいけない。そのあたりをどうするのか、楽しみです。

ーー菅田さんが考える舞台の魅力は?

いっぱいあります。映画なら一つのシーンを一度やったら終わりで一生やらないわけですが。舞台は一日に2公演ある日もあり、何回か繰り返して芝居する。またお客様がいるので、エネルギーを放つ方向性が異なりますね。板の上に立ち、お客様の方に向かって演じる。客観視も入ります。一番大きい違いは生のエネルギーでしょうか。​

ーー舞台の仕事は楽しんでいらっしゃいますか?

楽しいです。『ローゼンクランツとギルテンスターンは死んだ』でも舞台の不思議さを感じました。普段は一回やると、また同じことをしたいとは思わない方です。けれど、なぜか舞台は飽きない。その日だけの感覚が生まれたり、生まれなかったり。『ロミオとジュリエット』のロミオを演じた時も、一週間で恋して死ぬ、蝉のような物語(笑)、何公演もできるかな? と不安でしたが、やってみたらすぐに生き返れたので(笑)、きっと大丈夫なんでしょうね。​

ーーすでに役作りは始まっていますか。

11月の公演なので、まだですね。今回は短期集中で役作りしたいな、と。特にカリギュラ役はタイミングを見ないと難しい気がして。最初に脚本を読むときの感覚がすごく大事なんです。もちろん、さらっと脚本は読みましたが、同じ読むにしろ自分がやることを想定して読むには覚悟が要ります。今は別の作品の準備期間なので、そのモードで読むと精神的に変わるし、今の世界情勢とも違う。生ものだけにマインドとして、そのときの空気感を掴みたい。そこは自分なりに測らないと。​

菅田将暉

菅田将暉

ーー今の段階で独裁者カリギュラのイメージはありますか。

どんな言われ方をされている人であれ、彼は王。人前に立つ人間はすごいんです。どれだけ最低なことをしようと悪だろうと、それなりのパワーとバイタリティ、カリスマ性がある。そう考えるとエネルギーが半端じゃなく必要です。しかも時代背景や国も担っている。僕は本物の王になったことがないし、会ったこともない。まずは王としての在り方を捉えたいです。いくら感情を体現しようと、その人物に人を引っ張る力がないと説得力が出ない。きっと王様は日々大変ですよ。​

ーーかつて小栗旬さんが演じた『カリギュラ』の映像はご覧になりましたか。

何かで見たことがありますが、本当にチラッとです。いろいろな話は聞きましたが、自分なりに取り組めればいいかなと思っています。​

ーー演出の栗山民也さんに期待することはありますか。

栗山さんが手がけた『夢の裂け目』を拝見して、役者陣そして空間への愛情とリスペクトを感じました。『カリギュラ』も純粋にどうなるのか楽しみです。​

ーー菅田さんは、演じ手と演出家、監督をどんな関係だと思いますか。

僕はあくまで俳優部で、素材として眼に映る仕事。演出、編集が入って完成するという気持ちはあります。もちろん意見を言うときは言いますし、演技が自分の意見でもあります。舞台は稽古期間含めて1カ月以上と長いので、コミュニケーション​は大切ですね。

ーー今回のキャッチコピーに「不可能なものが欲しい」とありますが、不可能だがやってみたいことは?

大抵のことはできそうな気がしますが、それこそ経験かな? カメラの前なら全裸も人殺しも演技としてできますが、それが人生経験になるのかというとそうじゃない。実際にやった気になると違うなぁと思います。たとえばボクサー役をするためにボクシングを習いました。じゃあ、ボクサーになったのかというと違いますよね。作品が終わった今もトレーニングに通っていますが、作品後初めてのレッスンで、トレーナーさんに「今日から相手を倒すボクシングを教えるね」と言われて、「あ、今までは相手を倒さないボクシングだったんだ」とハッとしたんです。そこで、すごく寂しくなった。それはそうですよね。画の中での世界でしかないのだから。

菅田将暉

菅田将暉

ーー次々と作品で誰か演じると言うことは、常に自分じゃない人を生きているという。

とはいえ、自分の人生ではないのかと問われると、そうでもないから不思議です。

ーーそんな俳優人生は楽しいですか。

今のところは楽しめていますよ。そのバランスが上手くいかなくて、やめる人もいっぱいいて、彼らの気持ちもわかります。不可能なことの一つかもしれません。

ーー舞台で演じることで、何が培われると思いますか。

毎回思うのは、自分をコントールすることです。一見、変わらないようにはできるけど、その日によって楽しいポイントが変わる。その差に悩むので、自分をどう持っていくか。またお芝居の表現、技術はもちろん物語を伝える力を学べます。

ーー作品に取り組む間は役にのめり込むこともありますか。

結果的にそうなりますね。単純に、役として過ごす時間が長いので。リズムも体調も変わるし、気をつけないと。この間、真面目な先生役をやっていて、体を絞っていたんです。クランクアップした直後にギトギトなものが食べたくて、ラーメンを食べに行きました。そこで速攻、お腹を壊しまして……。食べている時は最高に幸せだったのに(笑)。体調は3カ月単位で変わると言いますが本当ですね。ドラマをやると如実にわかります。​

ーーどれが本当の自分か、わからなくなることは?

あります。その瞬間恥ずかしくなって、本当の自分って何? みたいな(笑)。誰も本当の姿なんてわかっていないのに。それで少し落ち着きます。

ーーそんなとき、リセットするためにやることは?

日々の衝動的なことですね。これしたい! あれ食べたい! あいつの家に今から行ってやろう!(笑)洋服や音楽などです。

菅田将暉

菅田将暉

ーー今回、地方公演もありますが、地方での楽しみを教えてください。

ご飯です。あと、僕は意外とホテル暮らしが好きなんです。新鮮でいいですよね。シーツも綺麗にしてもらえて。もちろん家が一番ですが、ホテルは普段行かないからワクワクします。たまにリフレッシュのためにホテルに泊まることもあります。生活環境が変わり、一泊して美味しい朝食を食べるだけで、自分が素敵な人間になった感を楽しめるんです(笑)。​

ーー映画、ドラマ、舞台と大活躍ですね。なぜそれほどまでに演技することに熱を燃やし続けていられるのか、その理由を教えてください。

燃やせていますか? それなら嬉しいです。演じることが面白くて楽しいんです。それも有機物である人間を作ることが面白い。こんなに面倒臭い生き物は他にいません。人間は情報量が多くていろんなことができますし、もしくは何もしなくても成立します。

ーーこれまで蜷川幸雄さんや小川絵梨子さんなど、錚々たる演出家のもとで舞台に出演なさってきました。大事にしている演出家からの言葉はありますか。

たくさんあります。特に今回は蜷川さんが仰っていた、押してダメなら引いてみろの理論。全部が100でなく引いたところも作る、を体現できたらと思っています。蜷川さんが演出された『ロミオとジュリエット』で、お客様全員を殴り殺すかのごとく、エネルギッシュに演じていたんです。すると蜷川さんが「迫力あっていいけど、見ていて疲れた」と。ちょっと引いたところを作って、観劇中のお客様が息を整えるポイントを作らなければいけない。引き算も板の上の表現で大切なのだと知りました。今回もただ暴れればいいわけじゃない、カリギュラの熱がちゃんと効くように考えないと思っています。​

ーーこれからも舞台はコンスタントに続けていきたい?

はい。日本人役のストレートプレイをやりたいです。群像劇がいいかな? 「テラスハウス」の舞台化はどうだろう?(笑)舞台なら、テレビで写せないこともできるから。カメラが回る前後とか、面白そうじゃない?

ーーそれはそれで斬新(笑)。いろんな表現を見つけられるといいですね。

そうなんです。この世界にいると毎日、様々な出会いがあり、それが特権だし面白い。最近、ラジオと音楽を同時に始めるなど、いろいろな活動をやらせてもらっていますが、お芝居の現場に戻るとホームのような安心感があって落ち着きます。この感覚は新鮮でした。特に音楽とは別物です。ジャンルを越えてわかった、俳優業の面白さとかっこよさ。と言っても、僕が何か一つの活動に絞ることは一生ないでしょうが。
先日、手相を見てもらう機会があったんですが、僕は浮気性らしいです(笑)。そして生命線が2本あるらしく、人と比べて2倍元気だそう。あとカリスマ線もあるそうです(笑)。カリギュラに向いている手相でしょ?(笑)​

ーー運命の役かもしれませんね。

そうであってほしい。堂々と胸を張れる代表作にしたいです。

菅田将暉

菅田将暉

取材・文=三浦真紀 撮影=福岡諒祠

公演情報

『カリギュラ』
 
■作:アルベール・カミュ
■翻訳:岩切正一郎
■演出:栗山民也
 
■出演者:
菅田将暉 高杉真宙 谷田 歩 橋本 淳 秋山菜津子 
 
原 康義 石田圭祐 世古陽丸 櫻井章喜 俵 和也 野坂 弘 坂川慶成
石井 淳 石井英明 稲葉俊一 川澄透子 小谷真一 小比類巻諒介 西原やすあき 高草量平 原 一登 平野 亙 峰崎亮介 吉澤恒多
 
【東京公演】 
期間:2019年11月9日(土)~11月24日(日)
会場:新国立劇場 中劇場
主催:ホリプロ
お問い合わせ:ホリプロチケットセンター https://horipro-stage.jp 
03-3490-4949(平日10:00~18:00/ 土10:00~13:00/日祝休み)
 
<イープラス 独占先行>
会場:新国立劇場 中劇場
受付期間:2019年8月3日(土)12:00~2019年8月8日(木)23:59
申込み:【こちら】から
 

<チケット情報>
チケット料金(全席指定・税込):10,800円
Yシート 2,000円※
※20歳以下対象・当日引換券・要証明書
※ホリプロステージにて、販売期間限定、枚数限定での取扱い
詳しくは https://horipro-stage.jp/ pickup/yseat/
 
【福岡公演】 
期間:2019年11月29日(金)~12月1日(日)
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール
主催:RKB毎日放送/インプレサリオ
共催:久留米シティプラザ(久留米市)
お問い合わせ:インプレサリオ 092-985-8955(平日10:00~18:00)
<チケット情報>
料金(全席指定・税込):S席 12,000円 A席 9,800円
 
【兵庫公演】 
期間:2019年12月5日(木)~12月8日(日)
会場:神戸国際会館こくさいホール
主催:関西テレビ/キョードーマネージメントシステムズ
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)
<チケット情報>
チケット料金(全席指定・税込):S席 12,000円 A席 8,000円
U-20シート 2,000円※
※U-20シートは、 20歳以下対象。 購入者は当日、 年齢確認をする場合あり。 身分証要持参。 
※S席は1・2階、 A席は3階となります。 
 
<イープラス 2次プレオーダー>
会場:神戸国際会館こくさいホール
受付期間:2019年8月2日(金)12:00~2019年8月4日(日)23:59
申込み:【こちら】から
 
【宮城公演】 
期間:2019年12月13日(金)~12月15日(日)
会場:仙台銀行ホールイズミティ21 大ホール
主催:仙台放送
共催:(公財)仙台市市民文化事業団
お問合せ:仙台放送 022-268-2174(平日9:30~17:30)
<チケット情報>
チケット料金(全席指定・税込):11,000円
U-25チケット 5,000円※
※U-25チケットは枚数限定。 仙台放送オンラインでのみ取り扱い。 購入者は当日、 年齢確認をする場合あり。 身分証持参。 
 
■チケット発売
2019年8月17日(土)全国一斉 一般発売開始 
 
■著作権代理:(株)フランス著作権事務所
■主催・企画制作:ホリプロ
 
■公式HP   http://caligula.jp/
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