蕾ストレンジャーズがイプセン唯一のコメディー『リーグ・オブ・ユース〜青年同盟〜』を小山ゆうなの演出で上演
蕾ストレンジャーズが2019年9月15日(日)から23日(月・祝)、下北沢・シアター711において『リーグ・オブ・ユース 〜青年同盟〜』を上演する。2015年に『フォルケフィエンデー 人民の敵』を上演して以来イプセンの作品は2度目の挑戦となり、滅多に上演されないといわれているイプセン唯一のコメディーとなる。演出は蕾ストレンジャーズの小山ゆうなが手掛ける。この作品では『人形の家』のノーラや『人民の敵』のストックマンなど、中期・後期のイプセン作品の重要キャラクターの原型たちがたくさん登場する楽しい作品となっている。
作家の弦巻星之介と演出の小山ゆうなによる共同上演台本となり、テレビや映画で活躍中の谷口翔太、ミュージカルなどで活躍するベテラン伊東弘美、てがみ座の石村みか等をゲストに迎え、新進気鋭の振付家・中村蓉とともに、軽やかでありながらイプセンの言葉に重きをおいた作品を創り上げている。
南ノルウェーのある町の鉄工場。この町での有力者は工場主のブラッツベルクと成金地主のモンセン。議会はほぼ世襲制で、ブラッツベルクも親の代からの侍従であり工場主。誰でも自由に演説して良い場の独立記念日のパーティーで、最近この町に越して来た青年ステンゴールは元資本家に吹き込まれ、このブラッツベルクを批判する演説をする。ステンゴールは、演説が上手く、同時に女性達をひきつける魅力を持つため、演説は大成功する。しかし、それを聞いたブラッツベルクは、この批判がモンセンに向けられていると勘違いする。パーティーの後、ブラッツベルク家に招かれたステンゴールは、ブラッツベルク家の生活にすっかり感激し、実は、最近までモンセンの娘ラグナと結婚をしようとしていたのに、突然ブラッツベルクの娘トーラに鞍替えする。
ステンゴールは、「リーグ・オブ・ユース 青年同盟」という新しい党を結成し、世襲制で汚れたこの町の政治を刷新したい若者達の心をとらえ、票を増やし、議員にまでなるが、実は、自分が良い生活をしたいという未来の為に行動しているため、全てが破綻していき、最終的には町を出る事になる。そして、町の状況は以前と全く変わらず、恐らくステンゴールも又違う町で権力を得て行くに違いないといって作品は終わる。
ステンゴールは「人民の敵」で編集者が「あの日和見 群行政官にまでなりやがって」と言及する人物と同名。又、「人民の敵」にも登場する印刷屋アスクセンも「大衆が好む悪いニュース」だけ掲載していかなければやっていけないと発言し、同人物とみられる。
雷ストレンジャーズとは
世界の古典演劇作品に光をあて、古の作家の想いから学び、今のワタシ達の想いをそこにのせて上演する演劇ジェット紀行シリーズ第6弾。その都度扱う作品の背景や作家の学術的専門家を招いて勉強会を行い、学術的考察を掘りさげて作品創りを行う。
これまでに上智大学・三輪玲子教授の勉強会と新訳をもとにシラー「たくらみと恋」(20122)・シラー「群盗」(2013)。ラティガン「ブラウニングバージョン」(2014年)。イプセン「フォルケフィエンデー人民の敵」(2015)同作品は『テアトロ』誌渡辺保氏【今月のベストスリー】に選ばれ、2016年「国際演劇祭 イプセンの現在」にも招聘される。シュニッツラー「緑のオウム亭—1幕のグロテスク劇」(2017)は三輪玲子教授の新訳と協力、専修大学・寺尾格教授と日本大学・大島尚子講師による公開事前勉強会。ストリンドベリ「父」(2018)。