野田秀樹・作、野上絹代・演出で『カノン』を上演 メインビジュアルの作成過程を体感できるライブペインティングも

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2019.10.15

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2020年春、東京芸術劇場にて作・野田秀樹、演出・野上絹代による演劇『カノン』を上演することが決定した。また、メインビジュアルメインビジュアル作成過程を公開するライブペインティングも開催することも発表された。

東京芸術劇場は、力を入れて取り組む自主企画の路線のひとつに、国内外の優れた演出家が、芸術監督の芸術監督である野田秀樹の戯曲に挑むというシリーズを行っている。野田芸術監督は30年以上にわたり、毎年コンスタントに新作を創作し続け、その戯曲は言葉遊び、複数のモチーフと時間・空間が交錯し、イメージが乱反射する、極めて独創性あふれる作品として、国内外から高く評価されている。東京芸術劇場では、野田芸術監督が創作し続ける戯曲を、野田本人の演出のみにとどまらず、国内外の才能あふれる演出家の手により、新たな魅力をもった作品として上演される機会を作っているという。

(野上の)冴え渡った演出に吃驚し、 再演をすれば、 さらに磨きがかかるのではないか。
——野田秀樹

そんな本シリーズの第一弾は、松尾スズキ演出、多部未華子主演の『農業少女』とバンコク・シアター・ネットワークによる『赤鬼』『農業少女』。ダブル上演で、演劇界に大きなインパクトを与えた。さらに第二弾は、野田芸術監督の盟友で『THE BEE』にもキャストとして出演していたパフォーマー/演出家のマルチェロ・マーニの演出により、野田自身の演出では舞台化されていない初期戯曲、女優の一人芝居『障子の国のティンカーベル』を毬谷友子/奥村佳恵という世代の異なる女優によりダブル上演。第三弾は、芸劇eyesでもフィーチャーされ、演劇界若手で異色の存在感を放つ、マームとジプシーの藤田貴大が野田の劇団「夢の遊眠社」時代の代表作の一つ『小指の思い出』に挑戦。第四弾は、シンガポールの鬼才オン・ケンセン演出の『三代目、りちゃあど』だった。

そして、2019年満を持しての第五弾は、ポップで柔らかなユーモアとハッとさせられる社会性を併せ持ち、常に演劇をアップデートしている劇団「快快」のメンバーとして活躍している野上絹代が『カノン』に挑む。そのきっかけとなったのは2015年、演劇系大学共同制作Vol.3で上演された『カノン』に遡る。野上が演出する舞台を目にした野田自身が「冴え渡った演出に吃驚し、再演をすれば、さらに磨きがかかるのではないかと思った」と言葉を残している。

本公演は「浅間山荘事件」を扱っており、それは演出の野上が取り組んでみたいと思っていたテーマだという。人類の歴史的局面にはいつも思惑、思想が複雑に絡みついており、野上自身が“今”の“日本”に歴史的局面を感じていたこと、この戯曲には思想と理想、人間の本質、そして“若者”の焦燥と躍動が全部詰まっていて、戯曲を読み進めていくうちに本の中から登場人物たちが“自由”を求めて今にも弾けだしそうな勢いを感じたとのことだ。本公演は、現在の国内外で起きている現象、私たちを取り巻く環境とも通ずるテーマが含まれており、今でこそ上演すべき作品であり、「自由」の意味を問い直す機会になるかもしれない。

出演者は2018年に劇団た組。第17回公演『貴方なら生き残れるわ』で舞台初出演、ドラマ「イノセンス-冤罪弁護士-」、「部活好きじゃダメですか?」などの中島広稀が太郎役。「ゲスの極み乙女。 」ドラムス担当 ほな・いこかとしても活動し、舞台『ドアを開ければいつも』(寺十吾演出) 、『虎は狐と井の中に(仮) 』(和田憲明演出)などにも出演するさとうほなみが沙金役。そして多くの舞台、映画に出演する渡辺いっけいが都の権力者・天麩羅判官を演じる。

中島広稀

中島広稀

さとうほなみ

さとうほなみ

渡辺いっけい

渡辺いっけい

野田芸術監督の若手の育成への想いを実現するべく、2020年にさらなる進化を遂げた『カノン』の熱気をシアターイーストに蘇えらせる本企画。カノンの戯曲に「走れ。」とあるように、俳優達は縦横無尽に舞台上を走りまわり、その疾走感がスペクタクルに昇華する場をお客様にお届けする。

また、本公演のメインビジュアル作成過程を公開する。本作では都の権力者・天麩羅判官の屋敷に保管されている絵画、ウジェーヌ・ドラクロアの『民衆を導く自由の女神』が重要なモチーフとなっていること。そして沙金がファム・ファタールのイメージであること。この2つの理由からメインビジュアルは女性画家の「絵」を使用したいという演出家のリクエストによって、画家でアーティストの荻野夕奈が10月26日(土)東京芸術劇場 ロワー広場(地下1階)にて、ライブペインティング行うことも決定したので、興味のある人は参加してみるのもいかかだろうか。

<プロフィール>
演出:野上絹代

野上絹代

野上絹代

演出家・振付家・俳優。大学在学中 劇団・快快(ファイファイ)の旗揚げに参加。以降 同団体の国内外における活動のほとんどに参加。ソロ活動でも演劇/ダンス/映像/ファッションショーなど幅広く活動。 代表作に自身の子育て経験を踏まえて作・演出したソロ活動・三月企画『GIFTED』(坂あがりスカラシップ2015対象公演)などがある。

メインビジュアル アーティスト:荻野夕奈

荻野夕奈

荻野夕奈

生け花や日本庭園などの植物に着目し、その空間からわき上がる光と時間、花々の色などのイメージを構成している。  油彩特有の技法に加えて日本画用の筆を用いた線画を取り入れ、植物や昆虫の脆弱と強靭さ、個人の記憶、女性・人間世界においての豊かさの意味を問い、それらを重ね描くことで多層的な絵画を作り出している。

公演情報

『カノン』

作:野田秀樹 演出:野上絹代
 
日程:2020(令和2)年3月2日(月)~15日(日) 
会場:東京芸術劇場 シアターイースト
 
<出演>
中島広稀 さとうほなみ
名児耶ゆり 永島敬三 大村わたる 山本栄司 長南洸生 緒形 敦 川原田樹
中林 舞 手代木花野 佐々木美奈 前原麻希 本多 遼 湯川拓哉 小田龍哉 村田天翔 佐野 功
木津誠之 家納ジュンコ 佐藤正宏
渡辺いっけい
 
<あらすじ>
牢番の太郎は、 囚われの身の沙金に心奪われ牢から逃してしまうが、 その罪の放免の為に沙金率いる盗賊団のアジトに潜り込んで『ある事』を探る密偵を都の権力者、 天麩羅判官に命じられる。 窃盗に対して弱腰の太郎だったが、 思想犯で捕らえられた実の弟、 次郎を助けるために人を殺めたことをきっかけに罪を重ね、 更に沙金への想いを募らせていく。 次郎は盗賊団に加わり、 信念のもとに行われる盗みを説き、 判官屋敷にある『自由』を盗むことを仲間達に提案する。 一方、 天婦羅判官は屋敷に保管している絵画の『ある事』に繋がる隠された真実を部下に漏らすのだった。
 
<一般発売開始>
2019年12月7日(土) 10:00~
 
<料金(全席指定・税込)>
一般前売5,000円 65歳以上4,500円 25歳以下3,500円 高校生以下1,000円
※未就学児はご入場いただけません。
※65歳以上、 25歳以下、 高校生以下 割引は、 劇場ボックスオフィスのみ取扱い。 (枚数限定・要証明書)
※障害者手帳をお持ちの方は、 割引料金でご観劇いただけます。 詳しくは劇場ボックスオフィス(0570-010-296)または劇場HP( https://www.geigeki.jp/access/support.html )にてご確認ください。
※公演内容等につきましては、 変更が生じる場合がございますのでご了承ください。
 
<お問合せ>
東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296(休館日を除く10:00~19:00)
https://www.geigeki.jp/

協力:NODA・MAP
企画制作:東京芸術劇場
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場
東京都/公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

イベント情報

『カノン』メインビジュアル ライブペインティング

開催日時:2019年10月26日(土)14:00~17:00頃
会場:東京芸術劇場 ロワー広場(地下1階)

※創作状況により時間が前後する場合がございます。
※無料イベント ※スチール、 動画撮影予定
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