桜井玲香が語るミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』ーー「作品の持つパワーに負けないように演じたい」
桜井玲香
2006年に帝国劇場で初演を迎えた『ダンス オブ ヴァンパイア』。『エリザベート』や『モーツァルト!』などを手掛けたミヒャエル・クンツェが脚本/歌詞を担い、作曲家のジム・スタインマンが音楽を担当する、ヴァンパイア・ミュージカルの傑作だ。荘厳な雰囲気から一転、コメディワールドが広がり、美しいメロディも心に残る本作。瞬く間に熱狂的な支持を得て、2020年1月に4度目の梅田芸術劇場公演が行われる。
雪深いトランシルヴァニアの山に建つお城に住むクロロック伯爵、ヴァンパイア研究に生涯を捧げるアブロンシウス教授と理想に燃える若き助手アルフレート、そして伯爵のお城から迎えが来ることを夢見るお風呂が大好きな娘サラと、それぞれの欲望に突き動かされながら人間とヴァンパイアが存亡をかけた戦いを繰り広げる……も、物語はド派手なクライマックスを迎え、最後にはミュージカル史に残る陶酔と熱狂のカオスが会場を包み込む。今回、新たなキャストのひとりに乃木坂46の元メンバーかつ初代キャプテンの桜井玲香が登場。神田沙也加とのWキャストで山口祐一郎扮するクロロック伯爵の誘惑に翻弄されるサラに挑む。
昨年『レベッカ』で初めて東宝ミュージカルに出演した桜井。『レベッカ』は桜井の歌から始まるため、開幕前には「責任重大だ」と話していた。その経験は彼女に何をもたらしたのだろうか。
「『レベッカ』の歌から始まるというのは最後まで慣れませんでした(笑)。でも、本番中は皆さんに助けてもらっていて。アンサンブルの方が、拍数が分かるよう客席に見えないところで手を叩いてくださったり、「僕が息を1回吸うから、そのタイミングで吸ったらいけるから!」とかアドバイスをくださって、皆さんが協力してくださったから最後までやり遂げることができました。『レベッカ』に出て歌う難しさも、楽しさも知ることができました。ミュージカルに関しての新たな目標も見つかりました。出演できたことは自分の中ではとても大きかったです」
そうして再び『ダンス オブ ヴァンパイア』でミュージカル出演のチャンスを得た桜井。「学んだことや経験を生かしつつ、このチャンスを生かせるように頑張りたい」と意気込む。
クロロック伯爵に憧れ、伯爵からの舞踏会の招待を夢見る少女サラ。「まさにザ・お年頃、10代の女の子という印象です。いろんなことに好奇心があって、共感できる部分が多いですね。クロロック伯爵に恋をするというのも、若い女の子が、年上の手の届かない方に恋をするようなところとか。天真爛漫で明るい、かわいらしい女の子だと思う」と役柄の印象を語る。
クロロック伯爵を演じる山口祐一郎とは『レベッカ』で初共演。今回はサラが強く惹かれる相手だ。「クロロック伯爵はサラにとって外の世界に連れ出してくれる、自分をレディにしてくれる存在。『レベッカ』の時は最初、山口さんのスタイルの良さ、深みのある歌声、オーラに圧倒されて緊張していました。山口さんご自身がもう、色気がありますよね。でも実際は茶目っ気のある方で、稽古場でも私たちが少しでも楽しめるように、和ませてくださって、本番中も「どうしよう、どうしよう」と緊張していていたら、舞台に上がる前に袖で「大丈夫、大丈夫、できる! よし、行こう!!」と言ってくださって。毎公演、声をかけて支えてくださり、温かくて優しい方です」
ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』
ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』は初演から13年、再上演は5度になる。桜井は、それだけに熱量やパワーがみなぎっている作品だと思うと語る。「素晴らしい作品にヒロインとして神田沙也加さんとWキャストで出演させていただくことは、自分にとっていい経験になると思います。この作品がもつパワーに負けないように頑張っていきますので、その姿を一人でも多くの方に劇場で観ていただけたら嬉しいです」
大阪公演は2020年1月13日(月・祝)~20日(月)まで、梅田芸術劇場メインホールで上演。
取材・文・写真=Iwamoto.K
公演情報
出演
山口祐一郎、神田沙也加/桜井玲香(Wキャスト)、相葉裕樹/東啓介(Wキャスト)、大塚千弘、コング桑田、阿知波悟美、植原卓也、駒田一、石川禅ほか
脚本/歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽:ジム・スタインマン
演出:山田和也
<愛知公演>
日程:2019年12月15日(日)~21日(土)
会場:御園座
<福岡公演>
日程:2020年1月1日(水・祝)~7日(火)
会場:博多座
<大阪公演>
日程:2020年1月13日(月・祝)~20日(月)
会場:梅田芸術劇場メインホール