ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』ビリー役・川口調「勇気と感動を感じていただけるようなビリーになりたい」/連続インタビュー①
川口調 (撮影:山本れお)
2017年夏に東京・大阪で上演され大ヒットしたミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』日本人キャスト版が、2020年7月から新たなキャストを迎えて東京・大阪で再演される。
物語の舞台は1980年代のイギリスの炭鉱町。ひとりの少年がプロのバレエダンサーを目指す。その主人公・ビリー役に今回選ばれたのが、川口 調(かわぐち・しらべ)くん、利田太一(としだ・たいち)くん、中村海琉(なかむら・かいる)くん、渡部出日寿(わたなべ・でにす)くんの4人である(五十音順)。
ビリー役には、歌や演技はもちろん、バレエ、タップ、ジャズなど各種ダンスの技術が求められる。応募総数1511名の中から、約1年間にわたる厳しいオーディションを経て、見事に主役の座を射止めた今回の少年たち。彼らがビリー役に決定した翌日(2019年12月)に、SPICEはインタビューをおこなった。その模様をひとりずつ(五十音順に)シリーズでお届けする。
(左から)川口 調 利田太一 中村海琉 渡部出日寿 (撮影:山本れお)
第一回目となる今回は、川口調くん。2007年生まれ、兵庫県出身。テレビ、舞台を中心に活躍。NHK 連続テレビ小説『まんぷく』、浪漫活劇『るろうに剣心』、『ワンピース音宴~イーストブルー編』などに出演。特技はバトントワーリングで、全日本選手権大会での優勝経験もある。
ーービリー役が決まって、今はどんな気持ちですか?
感動、です。
ーー『ビリー・エリオット』のオーディションを受けようと思った理由は?
お父さんが『ビリー・エリオット』の出演者募集のチラシを見て、「あ、うちの息子、イケるんじゃないか」と言って薦めてくれたからです(笑)。
ーーオーディションの感想をお聞かせください。
オーディションは、楽しかったし、あっという間でした。印象的だったのは、今回の最終オーディションの中で「楽しんでください」と海外のスタッフの方に言われたことです。これまでのレッスンでは、一生懸命やらないとみんなに追いついていけないという思いがあったので、すごく集中してやっていたんですけど、そう言われた時に「あ、レッスンって楽しんでやっていいんだ」ということに気づかせてもらって。そのおかげで今回のオーディションでは、今の自分の最大限の力を発揮できたんじゃないかなと思っています。海外のスタッフの方にはとても感謝しています。
ーー学校で好きな教科は何ですか?
好きな科目は家庭科です。不器用なので、裁縫とか調理実習とかそんなに上手じゃないんですけど、自分なりに工夫をして、エプロンを作ったり、ランチョンマットを作ったりとか、そういうことが好きなんです。
ーー趣味は何ですか?
趣味はスライム作りと、チーズハットグ作りと、金魚の鑑賞です。家で金魚を3匹飼っていますが、それぞれに名前をつけていて、それぞれ違う餌をあげて、どの餌が一番成長しやすくなるかというのをいろいろ考えて、育てています。
ーーちなみに金魚の名前は?
ワキンが2匹とランチュウが1匹いるんですけど、ワキンは1匹目がシロハラさん。お腹あたりが白くなっているから。もう1匹は、頭の部分が黒く変色しているので、クロヅさんです。ランチュウの方は、僕が名付けなかったせいか、みんなからランちゃんと言われています。
ーー憧れの人はいますか?
ニュースキャスターの皆さんがすごいなと憧れています。というのも、僕は滑舌が悪くて、周りから「え、なんて?もう1回言って?」と言われることがあるんです。ニュースキャスターの方は、ニュースを伝える時に、生放送で緊張する中でも、難しい言葉をスラスラ言えていて、とても尊敬します。
ーー将来の夢は何ですか?
将来の夢はいろいろありすぎて、何にしようか迷っているんですけど、1つ目は、海外のバレエ団に入りたいということ。あとは、バトントワーリングの先生になること、遊園地を経営すること、そして、ファストフードのお店で働いてみたいです(笑)。
ーーファストフードの夢はかなえやすいかも(笑)。ところでバトントワリングはいつからやっているんですか?
2歳半の時から正式に始めました。僕が生まれる前からお母さんがずっとやっていて、その後、お姉ちゃんとお兄ちゃんも始めて、それを見ながら僕も1歳半ぐらいから真似をして始めたようです。
ーー2020年夏の本番に向けて、自分自身の中で課題だと思っていることはありますか?
体づくりです。オーディションが始まる前に足を痛めてしまったということもあり、体を強くするために、食生活を変えたり、生活のリズムを整えたり、筋肉や骨を作ったりすることが大事だと考えています。
ーー舞台では、どんなビリーになりたいですか?
観てくださるお客様に勇気と感動を感じていただけるようなビリーになりたいです。
ーー劇中でお気に入りの場面やセリフはありますか?
好きな場面は親友のマイケルとビリーが歌う「Expressing Yourself」のシーンです。マイケルが当たり前のようにワンピースを着て遊んでいるのが面白くて。しかも、お父さんもしょっちゅうやっていると言っていたのが衝撃的でした(笑)。
ーーあなたがビリーと共通するところ、或いは、ビリーに共感するところは何かありますか?
ビリーはロイヤルバレエスクールに行くために、はるばるロンドンまでオーディションを受けにいきます。それは僕が兵庫県から東京までオーディションを受けにいくことと似ていると思います。東京で応募して東京でレッスンをするという人も多いのですが、僕は地方からの応募だったので、遠いところに住んでいるけれど、ビリー役になりたいという夢を諦めずに頑張ったというところが似ているように思います。
ーーそれでは最後に、読者の皆様に一言お願いします。
今回、ビリー役を演じることになりました。自分にしかないものをビリーに活かすことができるように一生懸命頑張るので、ぜひ見に来てください。応援してください。
川口調 (撮影:山本れお)
ミュージカル『ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~』は、2000年に公開された映画「リトル・ダンサー」をエルトン・ジョンの音楽でミュージカル化した舞台作品。映画版の監督スティーヴン・ダルドリーが舞台版でも演出を手掛けた。脚本は「ロケットマン」を手掛けたリー・ホールが担当。2005年にミュージカルの舞台がロンドンで開幕すると空前の大ヒットを記録し、イギリスで最も権威ある演劇賞ローレンス・オリヴィエ賞で最優秀新作ミュージカル賞を含む4部門を受賞。2008年にはブロードウェイに進出、トニー賞10冠の快挙を成し遂げた。2017年日本初演では、東京と大阪で約4か月に渡る異例のロングラン公演をおこない、16万人を動員し、数多くの演劇賞を受賞するなど大成功を収めた。
取材・文=五月女菜穂
公演情報
ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
■出演:
川口 調 利田太一 中村海琉 渡部出日寿/益岡 徹 橋本さとし/柚希礼音 安蘭けい
根岸季衣 阿知波悟美/中河内雅貴 中井智彦/星 智也/大貫勇輔 永野亮比己
森山大輔 家塚敦子 板垣辰治 大竹 尚 大塚たかし 加賀谷真聡 齋藤桐人 佐々木誠 高橋卓士 辰巳智秋 茶谷健太 照井裕隆 丸山泰右 倉澤雅美 小島亜莉沙 竹内晶美 藤咲みどり 井坂泉月 井上花菜 出口稚子
河井慈杏 菊田歩夢 佐野航太郎 日暮誠志朗 小林 桜 森田瑞姫 森田 恵
北村 栞 下司ゆな 咲名美佑 佐藤凛奈 髙畠美野 並木月渚 新里藍那 古矢茉那 増田心春 柳きよら
石井瑠音 高橋琉晟 大熊大貴 豊本燦汰 西山遥都
<ロンドンオリジナルスタッフ>
■脚本・歌詞:リー・ホール
■演出:スティーヴン・ダルドリー
■音楽:エルトン・ジョン
■振付:ピーター・ダーリング
■美術:イアン・マックニール
■演出助手:ジュリアン・ウェバー
■衣裳:ニッキー・ジリブランド
■照明:リック・フィッシャー
■音響:ポール・アルディッティ
■オーケストレーション:マーティン・コック
≪オープニング公演≫
■日時:2020年7月12日(日)~17日(金)
■会場:TBS赤坂ACT シアター
■料金:S席14,000円 A席10,000円
e+プレイガイド最速プレオーダー受付中(2月18日(火)23:59まで)
https://eplus.jp/sf/play/billyjapan
≪東京公演≫
■日時:2020年7月18日(土)~10月17日(土)
■会場:TBS赤坂ACT シアター
■料金:S席14,000円 A席10,000円
座席選択先行:2月22日(土)12:00~3月2日(月)23:59
https://eplus.jp/sf/play/billyjapan
【手数料0円】最終先着先行:2月22日(土)12:00~3月13日(金)18:00
https://eplus.jp/sf/play/billyjapan
≪大阪公演≫
■日時:2020年10月下旬~11月中旬
■会場:梅田芸術劇場メインホール
■料金:S席14,000円 A席10,000円 B席5,500円
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■一般発売:2020年3月14日(土)10:00
※オープニング公演&東京公演前期(7月/8月)分
https://eplus.jp/sf/play/billyjapan
■公演に関するお問い合わせ:ホリプロセンター
03-3490-4949(平日10時~18時/土曜10時~13時/日祝休)
■主催:TBS ホリプロ 梅田芸術劇場 WOWOW
■公式サイト:https://horipro-stage.jp/stage/billy2020/
1984年、炭鉱労働者たちのストライキに揺れるイングランド北部の炭鉱町イージントン。主人公ビリーは、炭鉱労働者の父と兄、祖母の4人暮らし。幼い頃に母親は他界してしまい、父と兄はより良い労働条件を勝ち得ようとストライキに参加しているため、収入がなく生活は厳しい。父はビリーに逞しく育って欲しいと、乏しい家計からお金を工面し、ビリーにボクシングを習わせるが、ある日、バレエ教室のレッスンを偶然目にし、戸惑いながらも、少女達と共にレッスンに参加するようになる。ボクシングの月謝で家族に内緒でバレエ教室に通っていたが、その事を父親が知り大激怒。バレエを辞めさせられてしまう。しかし、踊っているときだけは辛いことも忘れて夢中になれるビリーは、バレエをあきらめることができない。そんなビリーの才能を見出したウィルキンソン夫人は、無料でバレエの特訓をし、イギリスの名門「ロイヤル・バレエスクール」の受験を一緒に目指す。一方、男手一つで息子を育ててきた父は、男は逞しく育つべきだとバレエに強く反対していたが、ある晩ビリーが一人踊っている姿を見る。それは今まで見たことの無い息子の姿だった。ビリーの溢れる情熱と才能、そして“バレエダンサーになる”という強い思いを知り、父として何とか夢を叶えてやりたい、自分とは違う世界を見せてやりたい、と決心する。11歳の少年が夢に向かって突き進む姿、家族との軋轢、亡き母親への想い、祖母の温かい応援。度重なる苦難を乗り越えながら、ビリーの夢は家族全員の夢となり、やがて街全体の夢となっていく……。