真鍋大度(Rhizomatiks)と清水憲一郎(Pele)が手掛けたスクエアプッシャーMVが『アルス・エレクトロニカ賞 2020』で栄誉賞

ニュース
動画
音楽
アート
2020.6.16
スクエアプッシャー「Terminal Slam」MVより

スクエアプッシャー「Terminal Slam」MVより

スクエアプッシャー「Terminal Slam」のMVが、『アルス・エレクトロニカ賞 2020』のコンピューターアニメーション部門で栄誉賞を受賞した。

同賞は、オーストリアのリンツで開催される芸術・先端技術・文化の世界的イベント『アルス・エレクトロニカ』が、今年メディアアートに革新をもたらした人物や作品・プロジェクトを表彰するもので、「Terminal Slam」MVは、アーティストの真鍋大度(Rhizomatiks)と映像ディレクターの清水憲一郎(Pele)がディレクションを手掛け制作。実写映像と、コンピューターで処理された画像が、視覚的にも音楽的にも美しく組み合わされているほか、現代社会が日々直面している、プライバシーの喪失や、データマイニングやマーケティングなどのデータ解析、監視社会などのテーマにも触れている。 

真鍋は『アルス・エレクトロニカ賞 2011』で石橋素との共作「particles」及び、『アルス・エレクトロニカ賞 2016』でノサッジ・シング のMV「Cold Stares ft. Chance The Rapper + The O’My’s」でのAward of Distinction (準グランプリ)、『アルス・エレクトロニカ賞 2013』で「Perfume Global Site Project」が、「アルス・エレクトロニカ賞 2014」で「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」がそれぞれHonorary Mention(栄誉賞)を受賞して以来、3度目の受賞。清水にとっては初めての受賞となる。

真鍋大度 (Rhizomatiks) コメント
機械学習、AIによる自動化を用いた表現は現代では珍しいものではなくなってきました。本作品でも人のシルエットを取得する部分に関しては Semantic Segmentation の技術を用いて全て自動で行っています。しかし、本作品では VFX のチーム Nomad が広告のエリアを手作業で取得したり、グリッチの表現を極限まで高めるためにスクエアプッシャーと共に一フレームずつコマ送りして、肉眼で確認作業を行い、何度もグリッチ生成のパラメーターを変える作業を行うなど、人間が時間をかけて行わないと実現できない作業があるということを再認識できる良い制作となりました。
アルスのようにアウトプットだけでなくコンセプトも重要視される場所で本作品を評価してもらえたことをスタッフ一同喜んでおります。今後は本MVのアイディアを元に AR・MR 技術を開発する企業と協業し、新たなコンテンツをリリースすることを予定していますので、楽しみにしていてください。

 

清水憲一郎 (Pele) コメント
まずはこのような名誉ある賞をいただき、大変光栄です。MVの制作に当たり、スクエアプッシャーと真鍋さんが考えたテーマや技術的アイディアを初めて聞いたときは、どのように映像化し、視覚的に表現していこうか、とても悩みました。「街頭広告が自在に変化する」というコンセンプトを軸に、渋谷や原宿、六本木など街を歩きながらリサーチし、撮影を重ねました。さらに、スクエアプッシャーのMVとして、ファンの皆様に楽しんでもらえるよう、楽曲の盛り上がりに合わせて、映像の配分や背景の使い方などにこだわり、躍動感を加えていきました。
広告の著作権や人々の肖像・プライバシーの問題を、あえて逆手にとって、エフェクトに変えていくという発想の転換で、撮影、プログラミング、CG、とそれぞれのプロフェッショナルがアイディアを出し合い、数々の困難も解決しながら、素晴らしい作品を創り上げることができました。「街の広告」という日常にある光景が、社会的テーマを持った映像になっていく過程は、とても刺激的でした。このような機会を与えてくださったスクエアプッシャーや真鍋さん、そしてスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。

 

ライブ情報

SQUAREPUSHER JAPAN TOUR
大阪公演2021/2/16(火) 梅田 CLUB QUATTRO
名古屋公演2021/2/17(水) 名古屋 CLUB QUATTRO
東京公演2021/2/18(木) 新木場 STUDIO COAST
シェア / 保存先を選択