お互いを“良きライバル”と認め合う、宮沢氷魚×大鶴佐助が挑む 二人芝居『ボクの穴、彼の穴。』インタビュー

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2020.8.27
(左から)大鶴佐助、宮沢氷魚

(左から)大鶴佐助、宮沢氷魚

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2020年9月17日(木)~9月23日(水)東京芸術劇場 プレイハウスにて、宮沢氷魚大鶴佐助による二人芝居『ボクの穴、彼の穴。』​が上演される。

戦場の塹壕に取り残され、姿は見えないけれどもお互いを「敵」であり「モンスター」であると信じている2人の兵士の、恐怖や疑心暗鬼にさいなまれる孤独な姿を描いた本作は、2016年5月に旧PARCO劇場のファイナルを飾った「クライマックス・ステージ」の一作として初演されたもので、デビッド・カリ(原作)、セルジュ・ブロック(イラスト)、松尾スズキ(翻訳)による、絵本『ボクの穴、彼の穴。』(千倉書房/2008年12月10日発行)をもとに、ノゾエ征爾が翻案・脚本・演出を手掛けた。

4年ぶりの再演となる今回もノゾエが演出を手掛ける。そして若手俳優として活躍目覚ましく、新生PARCO劇場のオープニング・シリーズ第一弾『ピサロ』でもその存在感を十分に示した宮沢と大鶴がこの二人芝居に挑戦する。

2018年に上演された『豊饒の海』、先述の『ピサロ』に続いて3作目の共演となる宮沢と大鶴は、お互いを「氷魚ちゃん」「佐助」と呼び合う仲。切磋琢磨し合う“良きライバル”の2人に、この舞台への意気込みを聞いた。

舞台「ボクの穴、彼の穴。」ティザームービー


共演3作目でやっとがっつり絡める、贅沢な二人芝居

ーーまずは今作の出演依頼があったときのお気持ちを教えていただけますか。

宮沢:僕と佐助は今回で舞台共演が3作目になるんですけど、過去2作はがっつり絡むことがなかったんです。だから今回この話をいただいて、ようやく一対一で演じ合うことができるのがすごく嬉しいです。この作品は、今は新型コロナウイルスのこともあるし、世界的にも人種差別や災害も多く起きていて、そんな中でどこか“人”を“他人”として見てしまう風潮があると思うんですけど、そこと面と向き合っている作品だなと思いました。だからこのタイミングでこの作品をやるということにすごく意味があると思います。

宮沢氷魚

宮沢氷魚

大鶴:氷魚ちゃんと会うまでは同年代と舞台で共演する機会があまりなかったんですが、『豊饒の海』でやっと歳の近い人と共演ができて氷魚ちゃんとも打ち解けて、『豊饒の海』が終わった後も「これからもいろいろな作品で一緒にやるんだろうね」みたいな話をしてたんです。そうしたら『ピサロ』も一緒で、でもでがっつり絡むシーンがなかったので、今回やっとですね。しかも二人芝居という贅沢な作品をやれるのはすごく楽しみです。

ーー今作の話を聞いてすぐにお互い連絡を取り合ったのでしょうか。

大鶴:僕はこの話を聞いたとき、ちょうど姉(大鶴美仁音)と二人芝居の初日だったんです。初日に向かう駅のホームでマネージャーからの電話で聞いて、ちょっとテンションが上がりすぎちゃって(笑)。「これってすぐに氷魚ちゃんに連絡していいんですか?」って聞いたら「ちょっとそれはまだ……」と言われてしまいました。その後で氷魚ちゃんが、僕と姉との二人芝居を「見たよ」って連絡して来てくれて、もうそのときに言いたくてうずうずしてました。

宮沢:僕は、佐助の配信の舞台を見た何日か後に事務所に呼ばれて「実は二人芝居があります」と言われて「相手誰ですか?」と聞いたら「よく知ってる人です」と。そうしたら佐助だったという。ちょうど二人芝居を見た後というのもあって「一緒にできるんだ」という喜びもあったけれど、でもすごい大変そうだな、というちょっと怖さみたいなものもありましたし、プレッシャーもありました。でも、なかなか二人芝居なんてやる機会もないですから。こんな光栄なことはないですね。

ーー演出のノゾエさんからは何かお話しがありましたか。

宮沢:ビジュアル撮影の日にご挨拶はさせていただいたんですけど、まだ作品の話はしていないです。稽古開始までまだ時間があるのでそれぞれで考えて、稽古場が色々意見を交換する場になるんじゃないかなと思います。

大鶴:僕は昨年ノゾエさんの脚本作品に出演していて(2019年12月の『あれよとサニーは死んだのさ』)、何度かお会いしていますが、今回演出を受けるのは初めてなので、どういう演出をされるのかすごく興味があります。ノゾエさんの劇団「はえぎわ」の劇団員である川上友里さんと竹口龍茶さんと共演したことがありますが、2人ともとてつもなく面白い役者さんなので、こんな人たちがいる劇団ならきっとノゾエさんの演出も面白いんだろうな、と思っています。

目に見えないものにおびえて疑心暗鬼になる、今の自分たちと重なる作品

ーー台本を読んで特に印象に残った部分があれば教えてください。

大鶴:今の僕たちもそうだと思いますが、目に見えないものにおびえていて、どんどん疑心暗鬼になっていって……。そうすると、疑うというよりも決めつけになっていって、自分の壁をどんどん作っていってしまう。この本の場合は、お互い相手のことをモンスターだと信じ込んでいる。でも面白いのが、2人ともこの戦争が終わればいいと思っているんですよね。それってすごい矛盾してるけど、矛盾した上に成り立ってるのって結構現実もそうだなって。あとこの本の中で特にすごくいいなと思ったのが、2人もそれぞれ親とか兄弟がいて、そうした「家族」の存在がこの物語の重要なキーとなって現れてくる場面があるんです。そういう意味で「家族」というのは、相手を理解したり身近に感じたりする助けになる部分もあるんじゃないかな、と思いました。

大鶴佐助

大鶴佐助

宮沢:どの時代にもやはりプロパガンダがあって、人を洗脳するというのは特に戦争においては一つのテクニックでもあるし、世の中に100%の情報が流れているかって言ったら必ずしもそうではない部分もあるし。この本でも、最初は洗脳されている2人なんですけれど、お互いごく普通の同じ人間なんです。そこはこの作品の一つの大事なところじゃないかなと思います。

ーーこの作品ではお互いを敵だと思っている設定ですが、仲の良いお2人にとってやりやすいのかやりにくいのか、現時点でどうイメージされていますか。

大鶴:僕はやりやすそうだなと思っています。敵だと思っているのは相手の性格を知っているわけではなくて、単純に「敵がいるからそいつを殺せ」って言われているだけで、だから逆にお互い同じ状況にいるっていうシチュエーションの中で共存しやすいんじゃないかなと思うし、しかもお互いを殺そうと思っているというのがうまく作用したら面白くなりそうだなと思っています。

宮沢:演出がどうなるかまだ分かりませんが、セリフを読んでいる限り“個”対“個”で、全体的にお互い面と向かって思いっきりやり取りする芝居ではないので、そういう意味ではやりやすいのかもしれないなと思っています。相手のことを、佐助のことだけじゃなくてその役のことまで全部わかって面と向かってやると結構しんどいと思うんですけど、知らない、誰だかわからない、いるかどうかもわからない敵と向かっているので演じやすいのかなという気はします。

大鶴:不思議なのが、銃を撃つと必ず撃ち返されることに安心してるんです。僕も自粛期間とかでなかなか外に行けず家にいると、やっぱり人と接したくなりますし、この「ボク」と「彼」も本当は殺したいとかじゃなくて、孤独だからこそ本当はどこかで相手にいて欲しいんですよ。でもそれを認めたら終わりだというのもありますし。

「佐助の芝居を見ていて悔しい」(宮沢)「氷魚ちゃんは美しいものを持っている」(大鶴)

ーー『豊饒の海』と『ピサロ』で共演してお互いを見ていて、どんな役者だという印象をお持ちですか。

大鶴:最初の『豊饒の海』のときは、真っ白というか、純粋というかいい意味で余白がいっぱいあって、これからどういう役を通してどういう役者になっていくんだろうな、って思いました。『ピサロ』のときは神様だったもんね。神々しかったし、「あぁ、神様できちゃうんだ」って思いました。多分僕にはできない(笑)。今でもまだまだ余白がいっぱいあるし、頼もしいし、良きライバルなのかな、と思います。

宮沢:佐助の第一印象は多分一生忘れないけど、スタジオで初めて会ったとき、いかついサングラスに真っ赤な靴下履いていて、すごい大御所の俳優かな、みたいな風貌だったんです。「なんだこの人は」と思っていたら目が合って「宮沢くん」って声をかけてくれたんですけど、第一印象がすごすぎて「若いのにこんなオーラのある人と2ヶ月間一緒にいられるんだろうか」って不安になりました(笑)。でも実際稽古場を一緒に過ごしてみたら、すごくフランクですごく優しくて。さっき「良きライバル」と言ってくれて僕も同じ気持ちなんですけど、お互いタイプも違うから多分演じる役で被ることはないので、今後すごく共演機会の多い役者の一人になるだろうなと思っています。そういう関係性を持てる人ってあまりいないので大事にしたいなと思うし、プライベートでもすごく仲が良いので、大好きな俳優の一人です。

(左から)大鶴佐助、宮沢氷魚

(左から)大鶴佐助、宮沢氷魚

ーー相手の芝居の作り方とか稽古の仕方で尊敬できるなと思うところはありますか。

宮沢:僕はいつも稽古場で佐助の芝居を見ていて悔しいです。自分がまだできないレベルの失敗であったりとかスキルというものをたくさん持っていて、自分じゃ全く想像もつかないような角度から切り込んできたりとか、すごく勉強になります。だからライバルでありながらも、もちろんキャリアで言っても先輩なので、見習っている状態ですかね。

大鶴:いやいや全然、僕も一生懸命やるだけですしそれは氷魚ちゃんもそうだと思う。氷魚ちゃんは芝居に対する向き合い方とか発する言葉とか、美しいものを持っているから、僕は一緒のアプローチはしないけど、いいね、って思いますね。

「ここは相手にかなわない」と思うところは?

ーーもしお互いが実生活でも敵になったら、ここは相手にかなわないなと思うところはどこでしょう。

大鶴:氷魚ちゃんは打撃とかじゃなくて、策を張り巡らせてきそうなイメージがありますけどね。それで気付かないうちに僕がやられてそう。

宮沢:そうかな? 表面的には大きい攻撃はしないけれど、下の方で細かく仕掛けて引きずり落そうとするのかも。佐助は生まれたときから芝居をする環境下にあったと思うので、そこは僕は絶対勝てないところですね。芝居を愛する気持ちっていうのは、多分どんなに後から芝居を学んで好きになったとしても、生まれ持った素質というものがあると思うので、そこは勝つことができないですし、別に勝とうと思ってませんし。僕は僕のようにやって、佐助は佐助のようにやるというだけじゃないかな、と思います。

大鶴:……なんか僕だけアホみたいなこと言っちゃった(笑)。

宮沢:僕もアホみたいなこと言っておこうか? こんなに赤い靴下が似合う人はいないです(笑)。それは僕には勝てないです。今日僕も履いてくればよかったな。『ピサロ』のときにもらったんです。

大鶴:そう、プロデューサーとか『豊饒の海』でもご一緒していた首藤康之さんとかにもプレゼントして。僕は赤が好きなので、赤い靴下しか持ってないんです。

ーーお2人でいるときは、プライベートでもお芝居の話をよくされるのでしょうか。

大鶴:もう芝居の話ばっかりですね。

宮沢:たとえば今回の芝居の話とかもしますけど、お互い「僕はこうだと思うんだよね、どう思う?」みたいな意見の交換の場であって、別に何かを主張する場ではないので、思ったことを気持ち良く言えるし、たまに自分で考えていて正しいと思っていたものが、いざ佐助に話してみると、思っていたものとは違ったかもしれない、と気づかされるときもあります。

(左から)大鶴佐助、宮沢氷魚

(左から)大鶴佐助、宮沢氷魚

ーー今回の二人芝居で、やってみたいことや楽しみにしていることはありますか。

大鶴:今回は、セリフがほぼダイアローグじゃなくてモノローグで、しかもそれが、対象がいる場合としてのモノローグだったり、お客さんに語ってるように見えるモノローグもある。また、独り言のように話しているモノローグや詩的な部分もあって、モノローグだけどすごく色が細かく分けられていて、これをノゾエさんの演出も含めてどうやっていろんな色を使っていくか、ということをちょうど2人で話し合っているところです。

ーー舞台で共演して仲良くなられたということですが、仲が深まったきっかけは何かあったのでしょうか。

大鶴:なんだろうな。『豊饒の海』のとき、原作が四部作で、松枝清顕という人物がどんどん生まれ変わっていって、その松枝とずっと一緒にいたのが本多という人物なんですけど、青年期の本多繁邦を僕、中年期の本多を首藤康之さんが演じていて、首藤さんが出会う松枝の生まれ変わりである飯沼勲という役が氷魚ちゃんだったんです。だから僕と氷魚ちゃんの役は時間軸が違ったので一緒のシーンとか絡む場面はなかったんですけど、お互いリンクしている役というか、シーンが違ってもずっとリンクし合っていなきゃならなかったんです。

宮沢:松枝と本多の関係が基礎となる話だったので、佐助が演じている青年期の本多と松枝のシーンがあるから、中年期の本多と僕が演じた松枝の生まれ変わりである勲のシーンが成り立っていたんですね。時間軸の違うシーンでも常に前後のコネクションが大事だったんです。あと、『豊饒の海』のときはすごくチームとしても仲がよかったんです。だから稽古の帰りにちょっと一杯飲んで帰るとかゴハン食べたりとか、どっちかが早く終わったときは待ってたりとか(笑)。舞台って期間でいうと映像よりも短いかもしれませんけど、過ごす時間の密度が濃いんですよね。

この状況下、責任感を持って全力でお芝居をする

ーー新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、自粛期間があったり、お2人がご出演された『ピサロ』の上演は初日開幕が延期になり、開幕後には再び公演中止、そして再開、再び中止と日々揺れ動いていました。そういったことを経て、またこうして舞台への出演が決まり、今改めて舞台に出演するということに対してどのような思いを抱かれていらっしゃいますか。

大鶴:今いろいろな団体が舞台を上演できなかったり、劇場が潰れたりもしています。お客さんの中にも、東京に来ること自体が怖いという方もいますし。でもそれでも足を運んでくれる人がいるっていうことを考えると、僕たちも責任を持たなきゃいけないなという意味で、いい芝居をやるだけじゃなく自分達も絶対に感染してはいけないし、劇場から感染者を出してもいけない。気持ちを引き締めてやらないといけないな、とすごく思います。

宮沢:これまでは、作品の上演が決まったらよほどのことがない限りほぼ公演をすることができていて、できないかもしれないっていう不安に駆られたことが僕は1回もなかったんです。でも今こういうことがあって、実際この公演も100%できるかといったらまだわからない状況ですし、でも僕たちはもちろんやるつもりでいる。人前に立って何かをするっていうことはすごく恵まれていることだし、お客さんの側からしても、今はなかなか劇場で舞台を観られない状況下で、それでも劇場に来てくれるっていう、それくらい演劇っていうのは人にとって必要だと思うし、そこに携わっている責任感というものは今まで以上に感じています。

宮沢氷魚

宮沢氷魚

大鶴:面白いかつまらないかはお客さんの判断ですけど、そんな状況でも足を運んで、観に来てよかったなって思っていただけたらすごいうれしいです。だからそのために僕たちはお芝居を全力でやるしかないんですよね。

ーー観客側としてもこの数か月は劇場で舞台を見ることができず、オンライン配信舞台などを楽しんだりして過ごしてきました。配信はこれからも楽しめるコンテンツになっていくと思うのですが、劇場で生の舞台を観たいという思いを持つ方も多くいらっしゃいます。舞台の上に立つ側としても、お客様の前でやりたいという思いをより強くされましたか。

大鶴:これはやっぱり役者が一番その思いが強いんじゃないですかね。僕たちも『ピサロ』のときに無観客といいますか、中止になってお客様のいない劇場で通し稽古という形でやっていましたが……。幕が開いてお客さんが入ったとき、やっぱりお客さんから本当に力をもらえるというか、我々が芝居をしたら客席からパワーが返って来て、相乗効果で全員すごく嬉しそうになっているんです。それってすごいことだなと思って。

宮沢:佐助は配信もやってて両方経験してるじゃない。

大鶴:配信のときは、ゲネプロとかでスタッフが見てくれて声出して笑ってくれると「届いてるんだ」って嬉しくなりますけど、本番はオンラインで無観客で反応がわからないから、これは届いてるのかって不安になりますし、だから見てくれてる人が目に見えるところにいる、お客さんがいるってすごい力もらえるし、芝居を「やろう」って思える。だからやっぱりお客さんがいる劇場はいいですね。先日『大地』を観たときも、劇場自体が喜んでいるように感じましたし。

ーー宮沢さんは大鶴さんの配信舞台をご覧になっていかがでしたか。

宮沢:すごく面白いし、挑戦だとも思います。劇場で生で観るものとはちょっと違う感覚で、自分が見たい体勢だったり、お茶を飲みながらとか気楽に見られたり、それはそれでいいと思うんですけど……。やっぱり劇場というある意味逃げ場がない空間にいて、みんな同じものを見て同じ方向を向いてるっていう中で生まれるものというのは間違いなくあると思うし、それは劇場のよさだと思います。これからもちろん配信という形で行われる作品も増えてきてそれは一つの見方だと思うんですけど、劇場に行って観るというのがやっぱり僕は好きかな。

大鶴:あと、匂いがあるもんね。それは観客として劇場に行ったときも感じるんですが、お客さんの匂いもあるんだなってことを、無観客という“無”のにおいの中で芝居をしたときに初めて感じました。

大鶴佐助

大鶴佐助

宮沢:熱もあるよね。『ピサロ』をやったとき、僕はほぼ上半身裸だったんですけど、通し稽古のときとかお客さんがいないと寒いんです。でもお客さんが入ったときに、実際に温度も若干上がるのかもしれないですけど、それ以上になんだか身体が熱くなってくるんです。観てくれてる熱量だったりとか気持ちっていうのが、間違いなく役者には届いてるんだなということを『ピサロ』のときにすごい感じました。

ーーこういう時代にどのような思いを持って演じていくべきか、ということは何か考えていらっしゃいますか。

大鶴:最初、姉と二人芝居をやることを考えたときも、こういう状況だからこそ受動的というよりも能動的にならなきゃいけないんだろうな、って考えていたんです。でも、じゃあお客さんがいなくてもやればいいのかという問題になってくるなと思って。能動的になるのはいいことだと思うんですけど、お客さんが見てくれていることに対する感謝の気持ちの方を強く持つべきなのかな、というのは最近思います。

宮沢:これからどうなっていくのかわからないし、だから「これをやろう」と言って絶対的にそこに動くっていうことに対して、心の底から前向きになれない自分もいて。これから状況がどんどん悪化していって、もしかしたら演劇が一切できなくなる可能性もある。だから、わからないまま手探りで突き進んでる感じがして、でも何もせずにはいられないので、こういう形で佐助と2人で芝居ができるっていうのはちょっとした前進と言うか、ちょっと光が見えたような感じではあるかなと思います。この光を両手で包み込んで消されないように大事にしていきたいです。

大鶴:そうだね。その光を自分たちで消さないようにしなきゃね。

(左から)宮沢氷魚、大鶴佐助

(左から)宮沢氷魚、大鶴佐助

■宮沢氷魚
ヘアメイク:阿部孝介(トラフィック)

取材・文=久田絢子 撮影=鈴木久美子

公演情報

PARCO Production
『ボクの穴、彼の穴。』
 
日程:2020年9月17日(木)~9月23日(水)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス

原作:デビッド・カリ
イラスト:セルジュ・ブロック
翻訳:松尾スズキ(千倉書房より)
翻案・脚本・演出:ノゾエ征爾
出演:宮沢氷魚 大鶴佐助

料金:8,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可。
 
に関するお問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日 12:00~18:00)
※当面の間は月~金 12:00~15:00までの営業となります。
公演に関するお問い合せ:パルコステージ 03-3477-5858(時間短縮営業中)
 
【配信情報】
<ライブ配信期間> 2020年9月21日(月祝) 開場17:30/開演18:00
※アーカイブ(見逃し)配信:9月24日(木)23:59まで
<視聴料金> 3,000円(税込)
<販売期間> 2020年9月14日(月)12:00~9月24日(木)20:00まで
<視聴取扱> イープラス「Streaming+」ほか
 
配信視聴はこちら
https://eplus.jp/bokuana-st/
 
劇場入場はこちら
https://eplus.jp/bokuana/
 
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