古さと新しさが調和するオンラインコンテンツで、現代アートや歴史的建造物を満喫 東京都庭園美術館【ネット DE アート 第13館】

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2021.2.10
ネット DE アート 第13館:東京都庭園美術館

ネット DE アート 第13館:東京都庭園美術館

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美術館や博物館が独自のオンラインコンテンツを制作・公開している昨今。各施設が工夫を凝らしたコンテンツは、現場に足を運んで作品を鑑賞するのとは異なる楽しみ方が可能で、自分好みのオンラインコンテンツを見つけられる状況が整いつつあるように思います。
今回紹介するのは東京都庭園美術館。当館のオンラインコンテンツは、展覧会の紹介やアーティストのインタビューのほか、東京都庭園美術館の建物の魅力や美術館スタッフがおすすめするスポットの紹介、教育的な内容に至るまで、非常に幅広く、なおかつ東京都庭園美術館らしさに溢れています。美術館の「顔」が見える各コンテンツの見どころを紹介します。

東京都庭園美術館「生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙」(公式ホームページより)

東京都庭園美術館「生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙」(公式ホームページより)

『生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙』をたっぷり紹介
濃密なインタビューが嬉しい充実のコンテンツ

現在、本美術館のウェブサイトには、2021年1月12日(火)まで開催されていた展覧会『生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙』に関するコンテンツが掲載されています。日本における8人の現代アートの旗手による本展は、人間と自然の関係性を再考するもので、絵画やインスタレーション、彫刻や映像などが美術館の装飾性にマッチする形で展示されていました。オンラインコンテンツでは、魅力的な本展の様子や、作家たちの過去の出展作品、インタビューなどを掲載。特にインタビューは、個性溢れる作家の生の姿が伝わってきて見ごたえがあります。

生命の庭 Interview highlights

幻想的で繊細なガラス作品が印象的な青木美歌の語る幼少時のエピソードや、胎児のような人型が土着的な力を感じさせる加藤泉によるアーティストとして生きるきっかけなど、それぞれの内容が濃く、作品の理解が深まります。

加藤泉インタビュー「生命の庭ー8人の現代作家が見つけた小宇宙」

本展に関する企画でユニークなのは、感じたことや疑問を手紙に書き作家へ伝える「作家への手紙」という試み。現代においてはもはや、手紙を書くという行為自体が新鮮さを覚えますが、美術館側が用意した便箋は可愛らしく、気持ちが上がる企画です。手紙と作家からの返答の一部は、ウェブサイトやSNSで公開中。遠い存在のように思える作家からもしも手紙の返事が届いたら、作家をもっと身近に感じることができるでしょう。

東京都庭園美術館「生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙」展関連企画「作家への手紙」(公式ホームページより)

東京都庭園美術館「生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙」展関連企画「作家への手紙」(公式ホームページより)

東京都庭園美術館「生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙」展関連企画「作家への手紙」(公式ホームページより)

東京都庭園美術館「生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙」展関連企画「作家への手紙」(公式ホームページより)

重要文化財の建築と庭園
美術館そのものが作品である東京都庭園美術館の魅力を伝える

東京都庭園美術館の魅力のひとつは、幅広い展示と共に、美術館の建物そのものと庭園が挙げられます。豊かな環境にふさわしい建物は国の重要文化財に指定されており、内部には優美な装飾が施されています。ウェブサイトでは、東京都庭園美術館が、皇族・朝香宮家のご夫妻が自邸として建設した朝香宮邸が美術館として一般公開されたものであることや、本館の内装に関わった人々の情報など、詳細な説明が記載されています。

東京都庭園美術館 旧朝香宮邸とは・沿革(公式ホームページより)

東京都庭園美術館 旧朝香宮邸とは・沿革(公式ホームページより)

美術館内部は、ウェブサイト上では「本館の各室について」というメニューで詳細に紹介されており、豪奢な内装の様子は、東京都庭園美術館のYouTubeチャンネル『teienartmuseum』の「teien slide」にて鑑賞可能です(言語:英・仏・中・韓)。フランス人芸術家アンリ・ラパンが一部の設計を任され、アール・デコの様式美をふんだんに採り入れた珠玉の建物をオンラインで細部までじっくりと鑑賞すると、邸宅だった頃の様子や、もしも自分が住んでみたら……といった楽しい想像が膨らむでしょう。

東京都庭園美術館 本館の各室について(公式ホームページより)

東京都庭園美術館 本館の各室について(公式ホームページより)

teien slide en

スタッフの声やラーニングプログラムも充実
美術館の「顔」が分かるコンテンツの数々

『teienartmuseum』の「わたしのイチオシ」は、美術館のスタッフがおすすめの場所を紹介。茶室の「光華」や「パーゴラ」(藤棚)、ラジエーターカバーなど、展覧会を鑑賞しているだけでは見落としがちな場所が紹介されています。美術館への確かな愛を感じさせるスタッフの説明は、新しい発見を促してくれるでしょう。

わたしのイチオシ Vol.1 茶室「光華」

また、ラーニングプログラムも充実しており、美術館の建物に見られる建築意匠(ウェブサイト上では「たてもの文様」と記載)を探す「たてもの文様帖」はオリジナリティ豊かで目をひきます。ウェブサイトから台紙をダウンロードし、切り出して楽しむ動画『おうちで「たてもの文様」つくってみよう』に沿って文様を作ってみると、美術館に対する親しみがいっそう増すことでしょう。重厚な歴史があり、モダンな建築意匠がふんだんに使われている東京都庭園美術館ならではのユニークなコンテンツです。

東京都庭園美術館 ワークショップ「たてもの文様帖」(公式ホームページより)

東京都庭園美術館 ワークショップ「たてもの文様帖」(公式ホームページより)


おうちで「たてもの文様」つくってみよう

2021年1月12日まで当館で開催されていた『生命の庭―8人の現代作家が見つけた小宇宙』は、最新鋭のアートが伝統ある建築物と融合し、建物の装飾性と作品の魅力が見事に結びついた内容でした。オンラインコンテンツも展示と同様、古さと新しさが調和し、彩り豊かです。これからもますます充実し、ファンを増やすであろう東京都庭園美術館のコンテンツを、ぜひ味わってみてください。


文=中野昭子、画像=公式ホームページ引用

施設情報

東京都庭園美術館
〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
050-5541-8600(ハローダイヤル)
03-3443-0201(代表)
www.teien-art-museum.ne.jp/

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