日本美術の知られざる名匠・渡辺省亭の全貌を明らかに 『渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-』が2021年3月より開催
『渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-』
明治から大正にかけて活躍した渡辺省亭の作品を集めた『渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-』が、2021年3月27日(土)から5月23日(日)まで、東京藝術大学大学美術館にて開催される。
《牡丹に蝶の図》 1893(明治26)年/絹本着色/一幅/個人蔵
渡辺省亭は嘉永4年12月(1852年1月)生まれの画家。16歳で歴史画家・菊池容斎に入門し筆遣いや写生の基礎を学ぶ。明治11(1878)年の万博を機にパリに渡り、ドガをはじめ印象派の画家たちと交流した経験を持つ。彼の描く繊細で洒脱な花鳥画は、万博への出品やロンドンでの個展などにより海外で高い評価を得ている一方で、国内では迎賓館赤坂離宮の七宝額原画を描くなどその実力は認められながらも、明治30年代以降は次第に中央画壇から離れて市井の画家であることを貫いたため、展覧会で紹介される機会が少なくなった。
《牡丹に雛図(花鳥魚鰕画冊)》 絹本着色/一面(全二十一面のうち)/メトロポリタン美術館
浅草で暮らした省亭は、江戸の美意識を頑なに守るタイプの日本画家であった反面、その卓越したデッサン力や描写力は当時の日本画界では突出しており、西洋人の眼さえも驚かせたという。省亭が描く花鳥画や動物画は、日本絵画には見られなかった近代的なリアリティと愛らしさが特徴。日本的な情緒と西洋的な写実がみごとに融合した絵画世界が見られる。
《鳥図(枝にとまる鳥)》1878(明治11)年/紙本淡彩/一面/クラーク美術館 Clark Art Institute. clarkart. edu
これら花鳥画で一家を成した省亭だが、もともとは菊池容斎門下の歴史画家として出発している。省亭の描いた美人画や風俗画も、花鳥画に劣らず独特の品格を持っており、「省亭風」と呼ばれた美人画は、後代の鏑木清方らにも大きな影響を与えているという。本展は初公開の個人コレクションなどが並ぶほか、米国のメトロポリタン美術館など海外からの里帰り作品も多数展示予定。日本美術の知られざる名匠・渡辺省亭の全貌を明らかにする国内美術館で初めての回顧展だ。
《四季江戸名所(夏 不忍池蓮)》(部分)絹本着色/四幅のうち/個人蔵
『渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-』は、東京藝術大学大学美術館にて、2021年3月27日(土)から5月23日(日)まで開催。東京での開催後は、岡崎市美術博物館、佐野美術館へ巡回予定。
展覧会情報
日程:2021年3月27日(土)~5月23日(日) ※会期中展示替えがあります。
休館日:月曜日(ただし5月3日は開館)
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
会場:東京藝術大学大学美術館(〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8)
主催:東京藝術大学、東京新聞、NHK、NHKプロモーション
協賛:DNP大日本印刷、ロート製薬