『よみがえる承久の乱―後鳥羽上皇 vs 鎌倉北条氏―』2022年大河ドラマの題材として脚光を集める前代未聞の大事件「承久の乱」に迫った特別展が京都で開催
京都文化博物館で5月23日(日)まで開催される特別展『よみがえる承久の乱―後鳥羽上皇 vs 鎌倉北条氏―』の内覧会が4月5日(月)、同所でおこなわれた。
「承久の乱」とは、承久3年(1221年)に起きた前代未聞の事件。何が異例だったのか、それは後鳥羽上皇が北条義時率いる鎌倉御家人に合戦で敗れて隠岐(現在の島根県)へ流されたこと。「上皇」とは、後継者に地位を譲った天皇の尊称である。現代の日本では、生前退位した平成天皇が今まさに「上皇」と呼ばれている。そんな後鳥羽上皇が、対立する鎌倉幕府の第二執権・北条義時に倒されたのだ。このことからも事態の大きさが分かるのではないだろうか。
2022年には三谷幸喜作、小栗旬主演のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が放送される。同作はまさに「承久の乱」も題材に盛り込んでいる。院政(上皇や法皇が天皇に代わり政務をおこなうこと)を展開するなど「帝王」と称された後鳥羽上皇に勝利した北条義時はその後、日本の政治の中心は大きく動いていった。
今回の「よみがえる承久の乱」を担当した長村祥知学芸員は、「大事件にも関わらずこれまで資料に乏しかった。しかし近年、研究が進められてきました」と、多方面から「承久の乱」が注目されていると語った。
長村祥知学芸員
前後期で全160点が展示される同展。なかでも注目は、前後期で通年展示の「承久記絵巻」だ。これは「承久の乱」が勃発した経緯を描いた唯一とされる絵巻で、全6巻が80年ぶりに公開される。長村学芸員は「会う人、会う人にこの絵巻について「(行方を)知りませんか」と尋ねていたんです。そうしたら、ある個人の方が持っていると聞きました。なぜ80年間も公開されなかったのかというと、おそらくその価値に気づく人がいなかったのではないでしょうか」と長年、所在不明だった理由を推測した。
承久記絵巻 巻第二
また長村学芸員は「「承久記絵巻 巻第2(個人蔵) 鎌倉御家人の作戦会議」は左上の方に朱色の服を着た男性がいるんです。これは北条義時を描いています。義時はこれまで肖像画にあたるものが見当たらなかったのですが、ここで確認されました」とかなり貴重な資料だという。
戌神像(旧辻薬師堂十二神将のうち)
さらに「多芸多能」と言われた後鳥羽上皇が自ら作ったとされる「太刀 菊御作」、後鳥羽院時代の日本の中心地だった京都の様子を記した「明月記」、北条義時の夢に現れたことでその後の暗殺から彼を救ったとされる守護神「戌神(旧辻薬師堂十二神将のうち)」の立像など、歴史好きにはたまらないものばかり。もちろん、各コーナーには解説文や音声ガイドもあるので日本史に詳しくない人でも楽しめる。
明月記(十一紙)
特別展『よみがえる承久の乱―後鳥羽上皇 vs 鎌倉北条氏―』は前期が4月25日(日)まで、後期は4月27日(火)から5月23日(日)まで開催される。
取材・文・撮影=田辺ユウキ
イベント情報
【開催期間】 2021 年 4月 6日(火)ー 5月23日(日)
<前期> 4月 6日(火)ー 4月25日(日)
<後期> 4月27日(火)ー 5月23日(日)
【休 館 日】 月曜日(5月3日は開館)
【会 場】 京都文化博物館 4階・3階展示室(京都市中京区三条高倉)
【開室時間】 10:00~18:00 金曜日は10:00~19:30(入場は閉室の30分前まで)
【入 場 料】 1,500円、大高生1,100円、中小生500円
※未就学児は無料。
※障がい者手帳等をご提示の方と付き添い1名無料。(確認できるものをご持参ください)
【主 催】 京都府、京都文化博物館、読売新聞社、NHK京都放送局
【協 力】 海士町、後鳥羽院顕彰事業実行委員会
【後 援】 (公社)京都府観光連盟、(公社)京都市観光協会、KBS京都、エフエム京都
【お問合せ】 075−222−0888(代表)
イープラス限定で発売!
開催日時:4/17(土)17:30~
【会場】京都文化博物館 6階展示室ミニレクチャー会場
★特典★
(1)開催日限定で、閉館後に2時間ゆったり鑑賞可能
(2)京都文化博物館・長村祥知学芸員によるレクチャー付
(3)音声ガイド付
※当日参加できなかった場合は、会期中に1回のみ鑑賞可能(音声ガイドの引き換えも可)