韓国版『デスノート』、ついに幕が上がる!~イ・ホンイの「ソウルde演劇めぐり」Vol.4
制作発表での2ショット ホン・グァンホ(左)とキム・ジュンス ©CJeS Culture
韓国版『デスノート』、ついに幕が上がる!
制作発表での2ショット ホン・グァンホ(左)とキム・ジュンス ©CJeS Culture
夜神月(ヤガミライト)役のホン・グァンホ ©CJeS Culture
作品のクオリティは4月に東京・日生劇場で上演された日本版ですでに証明されましたが、韓国版を制作するにあたり、少々変更された部分もあります。音楽の面ではキーが変わったり、弦楽器がさらに追加されたりしましたし、振付も俳優の役作りに合わせて修正したところがあります。この細かな変化を加えるために、日本版に参加していたスタッフたちがブロードウェイや東京から、ソウルに来ていたのです。そのため、今回私は久しぶりに通訳スタッフに変身して制作に参加しました。これまでコラムでは私が翻訳した作品を紹介してきましたが、それに負けないくらいの愛情を込めて本作品をお勧めします!
何より本作品はミュージカル化されることで、ストーリーはシンプルに、その代わりキャラクターはより鮮明になったと思います。まるでキャラクターの力でドラマが展開されるかのような気までしています。韓国版では登場人物を演じる俳優それぞれの個性によって作品の印象も大きく変わるでしょう。
L(エル)役のキム・ジュンス ©CJeS Culture
例えば、少年のような明るさと集中する時の鋭さを両方持っているホン・グァンホさんは、「そこまで自分の信念に確信を持てるか」と思わせるライトの性格を、観客が納得できる方向に作り上げています。加えて、ライトの衣装は韓国にいるごくふつうの男子学生とそれほど変わらないため、普遍的な“目の前にいるひとりの人間”としても、リアリティのある人物像を感じさせます。一方、日本語がとても上手で日本の演出部とも自由に意見を交わしていたキム・ジュンスさんは、実存しないようなキャラクターをとても繊細に描いています。Lに感情が入っていくことで、彼の純粋さと狂気は客席の隅から隅まで届くことでしょう。この二人が自分の中の確かな何かを信じながら「我こそ正義(ネガジョンイダ/내가 정의다)」と歌い出すとき、それぞれの違う音色はパワフルな争いを連想させ、劇的な効果を生みだすはずです。
爆発的なエネルギーに期待! 死神リューク役のカン・ホンソク ©CJeS Culture
ほかにも、死神リュークを演じるカン・ホンソクさんは、彼特有のはつらつとした愉快な人柄を生かし、ライトのパートナーになります。それからアイドル・スター、弥 美砂(アマネミサ)役のチョン・ソナさんと彼女を守るもう一人の死神レム役のパク・へナさんのケミストリー(化学反応)も絶対逃してはいけない見どころです!
韓国版ミサミサはかなり大人っぽいキャラに? 弥美砂役のチョン・ソナ ©CJeS Culture
最高のエンターテインメントを見せてくれるはずの韓国版『デスノート』。しかしこの作品は「このような腐った世界を作った神」と「世の中の腐っている人たちを審判するキラ」のうち、どちらが正しいのか? という質問を投げかけ、今まで護られていた「正義」と「信念」という言葉に疑いを持たせます。現キャストの組み合わせでは今後見たくても見られない幻の舞台になるかもしれない韓国版『デスノート』ですが、超満席になっている客席を想像しながら、「ハラハラ、ドキドキ!」幕が上がることを楽しみにしております。
韓国のイディナ・メンゼルの異名を持つ歌唱力に期待 死神レム役のパク・ヘナ ©CJeS Culture
【公演情報】
ミュージカル『デスノート』(데스노트)韓国版
2015年6月19日(プレビュー公演)、6月20日~8月9日(本公演)
城南アートセンター(⇒会場までのアクセス、劇場紹介)
出演:ホン・グァンホ、キム・ジュンス、チョン・ソナ、カン・ホンソク、パク・ヘナ、イ・ジョンムン、イ・スビンほか
演出:栗山民也/作曲:フランク・ワイルドホーン/作詞:ジャック・マーフィー/脚本:アイヴァン・メンチェル/音楽監督:キム・ムンジョン
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