『はらぺこあおむし』の世界観が広がる 『PLAY! PARK ERIC CARLE』が東京・二子玉川にオープン

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2021.12.15
『PLAY! PARK ERIC CARLE(プレイパーク エリック・カール)』

『PLAY! PARK ERIC CARLE(プレイパーク エリック・カール)』

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絵本『はらぺこあおむし』の作者であるエリック・カール氏が描く絵本の世界観をテーマにした、日本初のインドアプレイグラウンド施設『PLAY! PARK ERIC CARLE(プレイパーク エリック・カール)』が、2021年11月12日(金)、東京・二子玉川にオープンした。

『はらぺこあおむし』は1969年に出版された幼児向け絵本。日本では1976年に刊行、世界では60以上の言語に翻訳され、累計発行部数は4400万部にのぼる。その作者であるカール氏が描く昆虫や動物たちが各所に散りばめられた本施設は、遊びを通じて子供たちが成長できるよう、さまざまな工夫が施されている「学びの場」だ。

会場は二子玉川ライズ・ショッピングセンター タウンフロント8Fにある。フロアに到着すると、さっそく大きなエントランスがお出迎え。

エントランス

エントランス

エントランスの左手にあなあきフルーツを発見。このバナーは、朝の連続テレビ小説『まれ』の主人公・紺谷希(土屋太鳳)の衣装なども担当したファッションブランド・keisuke kanda(ケイスケカンダ)が製作したもの。カール氏の手法であるコラージュをオマージュし、パッチワークで表現したのだという。

この虫食い部分から顔を出して記念撮影もできる。好きなところから顔を出そう

この虫食い部分から顔を出して記念撮影もできる。好きなところから顔を出そう

受付を済ました先では靴を脱ぎ、ハチの巣の靴箱にしまう。プレスツアーの案内役を務めたプランナー・デザイナーの青木貴之氏によると、「靴を脱ぐ」ことは大きく二つの意味を持つそうだ。一つは、コロナ禍でも安心して楽しんでほしいということ。靴についた汚れには危険が潜んでいる可能性もあるため、会場内に持ち込まないことでより安全に保つ。もう一つは、足の裏から感覚の違いを感じてほしいということ。足の裏には多くの神経が通っているため、感覚が変わることで「新しい、特別な世界に入った」という気持ちを感じ取って楽しんでほしいと解説した。

ハチの巣の形をした靴箱

ハチの巣の形をした靴箱

靴箱にハチ発見! この刺繍もケイスケカンダによるもの

靴箱にハチ発見! この刺繍もケイスケカンダによるもの

目の前に立ちはだかる扉、続く迷路

さあ、靴を脱いだら冒険の始まりだ。左手にある3つの大きな扉から、好きなところを開けて進んでいこう。

最初から難関だ! どの扉を選んだらよいのか……

最初から難関だ! どの扉を選んだらよいのか……

はてさて、どこに入ればよいのかと悩んでしまう。実はこれにも理由があるんだそう。

わたしは、子どもたちが人生で初めて家庭を離れ、
学校に行く時期に惹きつけられています。
安心していられる家、遊びと感覚の世界から、
理性と抽象、秩序と規律の世界へ。
なんという深淵を子どもたちは越えなければならないことでしょう。
わたしは、わたしの本がその大きな溝にかかる橋になってほしいと願っています。

──​エリック・カール『The Art of Eric Carle』より

その思いをこの施設で演出することが自分たちの役割だと考え、「自立」をテーマに掲げてプロジェクトを進めてきたと青木氏は語る。自分で選んだものの運命を辿ることも自立の一つ。まずはこの扉を子供たちが自ら選んでほしい。それがどんな選択肢でも楽しんでほしいと続けた。

みどりのめいろ

みどりのめいろ

扉を開けた先には「みどりのめいろ」が現れた! 大人は顔が出る高さだが、小さな子供には進む先に何が待っているのかわからない。道中にカール氏の描いた生き物が多数潜んでいるので、それに出会うのも楽しみだ。なお、天井や柱に貼られている鏡によって、迷路が無限に広がるように見える一方で、その鏡で子供の様子を見守るという技も使える。ここはぜひ少し遠くに離れながら、子供たちの進む道を見届けてほしい。扉は3つ、出口は4つ。子供たちが選んだ道によって、次の順序が変わっていく。我々が進んだ先は……

この刺繍もケイスケカンダ製作によるもの

この刺繍もケイスケカンダ製作によるもの

発見、体験 体を動かして楽しむ

「ディスカバリーゾーン」にたどり着いた。目の前にはあおむし、そしてその背面には飛び立とうとするちょうちょが。

このゾーンにはカール氏が描いた動物たちがたくさんのパネルとなって展示されている。サイやシマウマ、キリンなどの動物は自立しており、奥の壁には海の生き物たちがスイスイ〜と泳いでいるようだ。なかでも壁中央にあるタコにご注目を。タコ足の先っぽが数本なんだか怪しい……?

ディスカバリーゾーン

ディスカバリーゾーン

ディスカバリーゾーン

ディスカバリーゾーン

“ディスカバリー”ゾーンだけあって、何かしら発見があるようなものが置いてあるとのこと。ここではいろんなところを見て・触って学ぶことができる。

作家は絵を描くとき、実物を見て研究する。カール氏の絵本には特に虫と動物をモチーフにしているものが多く、子供たちにもできる限り本物を見てほしいという思いから、昆虫などの標本を展示することにしたそうだ。カブトムシ、チョウ、クモなど昆虫の多くは実物を見たことが少ない(もしくはない)種類が並んでおり、色とりどりの標本に我々大人でさえ夢中になってしまった。

ディスカバリーゾーン

ディスカバリーゾーン

「ディスカバリーゾーン」に隣接するのは、ワークショップをおこなう「アトリエ」だ。現在体験できるのは2つ。ローラーやフォークなどアトリエにあるさまざまな道具を使い、紙に好きなように色を付けていく「Let’s! PLAY! PAPER!」と、アトリエにある端材(布の端切れ、木材の端っこ、木の実や落ち葉など季節によって変化)を使って自分の好きな生き物を自由に表現し、標本箱に入れる「標本箱のたからもの」。今後は日替わりワークショップ(30〜40分程度、定員制)や10分程度のミニゲームなど、プログラムを増やしていく予定だそうだ。

アトリエ

アトリエ

アトリエ

アトリエ

「アトリエ」を出た先に待ち構えるのは、大きな遊具が置かれた「アスレチック」。木の温もりを感じる遊具は、ヨーロッパ最大の公園施設メーカー、スウェーデンにあるHAGS社に特注で製作してもらったものだそう。公園の遊具といえばプラスチック製のカラフルなものをイメージしがちだが、今回はできる限り木材を生かしたいとお願いしたと青木氏は語る。屋内であるにもかかわらず屋外で遊んでいるような感覚を持たせるよう “あかり” にこだわって、あえて影を作り、明暗を作り出しているのだそうだ。

アスレチック

アスレチック

また、アスレチック内にはカール氏の『たんじょうびのふしぎなてがみ』の物語を忍ばせている。内部にある手紙を読んでその謎を解いていくと、プレゼントを発見できる……というもの。なにこれ楽しそう! と思った親御さん、安心してください。このアスレチックは一緒に楽しむことができます。正直なところ「ここはさすがにサイズが合わないな……」と思うところもあるが、大人でも昇降可能な階段があるので、そこを使って動き回ることが可能だ。

ちなみに、さすがに子供の元気にはついていけないよ、という親御さんもご安心を。遊具の近くには休憩できる段差やイスも設置されており、アスレチック中の子供から目を離さずに、ひと休みする時間が取れる。

会場風景

会場風景

「アスレチック」すぐ横にあるのは、『パパ、お月さまとって!』に登場する「お月さま」。はしごを使って中に入るとまた違った景色が広がり、なんだか心が落ち着く。どんな空間が広がっているのかは、現地でぜひ楽しんでほしい。

お月さま(写真=オフィシャル提供)

お月さま(写真=オフィシャル提供)

続いての「オートマタ」エリアでは、多数の装置が目に入ってきた。なかでも存在感を放っているのは、中央に置かれた巨大なルーブ・ゴールドバーグ・マシンだ。その横にはあおむしがちょこちょこと歩く姿も見てとれる。ほかにも、日本のオートマタの第一人者である原田和明がカール氏の絵本をモチーフに製作した作品がいくつか並んでおり、ここでは実際に触って、機械を動かして楽しむことができる。

ルーブ・ゴールドバーグ・マシン

ルーブ・ゴールドバーグ・マシン

右側にある取っ手をぐるぐる〜と回してみると……

右側にある取っ手をぐるぐる〜と回してみると……

動物たちを並べて、どちらが「ゆっくり」玉をゴールさせるかを勝負

動物たちを並べて、どちらが「ゆっくり」玉をゴールさせるかを勝負

あおむし、動きます

あおむし、動きます

休憩スペース、乳幼児エリア、グッズも充実

ここまで来たら少し疲れが出てきたのでは? そんなときは我慢せずに「ひとやすみスペース」で休憩を。フリードリンクの小川珈琲のコーヒー、LUPICIAのお茶などを、入場時に渡されるオリジナルタンブラーに入れて喉を潤そう。ビート板の廃材で作られたカラフルなまんまるのソファが置かれたスペースには多数の絵本が並び、カール氏の作品を復習することもできる。

ドリンクバー上のライトがあおむしの形をしている。隣にはグランドピアノも

ドリンクバー上のライトがあおむしの形をしている。隣にはグランドピアノも

ひとやすみスペース

ひとやすみスペース

奥にあるのは「ベビーエリア」と「フリースペース」。「ベビーエリア」は2歳未満の子供限定のゾーンで、子供たちが遊べる玩具のほか、授乳室やおむつ台、ウォーターサーバーがあるのも嬉しい。「フリースペース」では今後、誕生日会や催しもので使うなどグループでの貸切にも対応する予定だという。

ベビーエリア

ベビーエリア

フリースペース

フリースペース

本施設の横には「Hungry Market」もオープン。はらぺこあおむしをモチーフにしたグッズや、さまざまな知育玩具を取り揃えるショップで、入場無料。このショップは『PLAY! PARK ERIC CARLE』に入場しなくても利用可能だ。

Hungry Market

Hungry Market

『はらぺこあおむし』をモチーフにしたグッズ

『はらぺこあおむし』をモチーフにしたグッズ

知的玩具もずらりと並ぶ

知的玩具もずらりと並ぶ

なお、『PLAY! PARK ERIC CARLE』は、オープン日以降当面の間は各回2時間(1日3部制)の完全入替形式で営業中。事前予約制を取っているため、公式ホームページにて空き状況の確認・予約をするのを忘れずに。

施設情報

PLAY! PARK ERIC CARLE
場所:二子玉川ライズ・ショッピングセンター タウンフロント 8F
営業時間:10:00~20:00
第1部 10:30‐12:30
第2部 13:30‐15:30
第3部 16:30‐20:00
開業時は清掃・消毒・換気時間確保の為、各回2時間の入替制で営業いたします。
第3部は営業終了時間までお楽しみいただけます。
※各回30分前~入場受付を開始いたします。
料金:初回 2,500円(税込)(大人・子ども共通料金、オリジナルタンブラー付き)、2回目以降 2,000円(税込)
※入場は事前予約制
※生後1歳未満は無料
公式サイト:https://www.playec.jp

二子玉川ライズ・ショッピングセンター
所在地:〒158-0094 東京都世田谷区玉川2-21-1
公式サイト:https://www.rise.sc/
運営:株式会社東急モールズデベロップメント
開業日:第1期事業 2011年3月19日、第2期事業 2015年4月24日
営業面積:約55,000㎡
テナント数:約170店舗
アクセス:東急田園都市線・大井町線 二子玉川駅直結
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