安住の地、かながわ短編演劇アワード2021グランプリ受賞作品『ボレロの遡行』を地元・京都で再演

ニュース
舞台
2022.1.3
 ©松下哲也

©松下哲也

画像を全て表示(2件)


京都を拠点に活動する「安住の地」が、2021年3月に「かながわ短編演劇アワード2021 演劇コンペティション」でグランプリを受賞した作品『ボレロの遡行』(脚本・演出:岡本昌也)を、2022年2月28日に地元・京都のロームシアター京都・サウスホールで再演する(は1月4日より販売開始)。

酒場で一人の踊り子が舞台で足慣らしをしている。やがて興が乗って、 振りが大きくなってくると、そっぽを向いていた客たちも次第に踊りへ目を向け、 ついには一緒に踊り出す。が、店は20時に閉まる。夜はこれからだというのに──。祝祭の始まりから、行為-共同体-場が失われゆく過程と終わり、その先が、ラヴェルの「ボレロ」のプリミティブな力強さと短絡/直線的な構成を参照としながら描かれていく。

初演は2021年3月21日、KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ。「かながわ短編演劇アワード2021」にて披露された。同アワードは、演劇の既成概念を打ち破るような作品が集う、神奈川県主催の演劇コンクール。全国の公募から事前審査を経て選ばれた6団体が実際に作品を上演、審査員6名による審査の結果、『ボレロの遡行』がグランプリに選ばれた。ただ、この作品はアワードでの生配信と、劇団公式YouTubeチャンネルで期間限定配信されただけで、有観客公演はおこなわれなかった。そのため、今回の“凱旋公演”が初の有観客公演となる。

「安住の地」は、京都を拠点に活動している、2017年旗揚げの劇団/アーティストグループ。現在は14名のメンバーで活動している。演劇を主軸に置きながら、音楽・写真・映像・ファッションなど、様々なカルチャーとコラボレーションし「ミクストメディア」な作品を発表し続けている。複数の作家と多ジャンルで活動する俳優が集い、ひとつの作品を組み立てていくスタイルは、SF劇・コメディ・メディアアート劇・音楽劇・無言劇など幅広く 展開し、新感覚でカオティックな劇体験を生み出している。1月20日(木)~23日(日)には、石川県金沢で第6回本公演『¡play!』も上演予定。

■岡本昌也(脚本・演出)コメント

初演『ボレロの遡行』は、失われた祝祭の復興を願ってお手持ちのデバイスへ転送されるための祈り演劇として作られました。電気信号に変換された祈りは、閉ざされざるをえなかった劇場の扉、とまではいかずとも窓くらいにはなりうるだろうという一縷の望み、突如台頭した「配信演劇」という何か得体の知れないものへの高揚、抵抗、好奇心を原動力に作っていたように思います。渦中の空気を冷凍保存すべく、セリフはすべて稽古場でリアルタイムに考えられました。とにかくコロナ禍への僕たちなりのリアクション、映像配信を前提に作ったカウンター演劇のつもりでした。

しかしながら、上演は完膚なきまでに物理!のっけからどうしようもなく劇場で起りはじめ、ご時世との折衷案のような「配信演劇」にもなりきれぬまま、最後まで“いまここ“で鼓動し続けました。

ならば再演しよう、劇場で!と思い立ったわけです。時事性の強かったアワード版から大幅に手を加え、より普遍的な〝祝祭劇〟へと深化させました。劇場空間もひとまわり大きくなった新しい『ボレロの遡行』をお楽しみください。ボレロみたいにクレッシェンドです!

■笠松泰洋(作曲家/かながわ短編演劇アワード2021 審査員)応援コメント

2021年に見た最も衝撃のあった舞台作品の一つ。過去の舞台作品に対するオマージュと批判が大胆に込められ、かつ、細部に繊細さが宿る驚きの舞台作品。コロナ期の日本で生まれたエネルギーと真情が爆発する必見の舞台。演劇も映像も境目なく驚くべき作品を生み出す若き映画監督・舞台演出家・台本作家の岡本昌也作品、同じくコロナ期の映画の傑作「光の輪郭と踊るダンス」とともに、是非ご覧あれ!!

■視聴者のコメント

『アクリル板で仕切られた机の上で友人と食事していた時に感じた“感覚“を思いおこしました。』
『今起こっていることが舞台上に表出されているのを見て、改めていまの現実のリアリティのなさを感じました。』
『コロナ禍に入ってから観劇体験のなかで、自分の観客としての優位感と観察者としての特権が唯一脅かされた感覚をおぼえたのが安住の地『ボレロの遡行』だった』

©松下哲也

©松下哲也

公演情報

安住の地『ボレロの遡行』
 
■脚本・演出 岡本昌也
■出演:日下七海 中村彩乃 森脇康貴 吟醸ともよ 雛野あき にさわまほ(以上劇団員)
タナカ・G・ツヨシ 吉田みるく(男肉 du Soleil)
■日程:2022年2月28日(月)16:00/19:00 開演 (全2ステージ)
■会場:ロームシアター京都 サウスホール
■上演時間:約30分間
■料金:全席自由 一般前売り¥2,500(税込み)一般当日¥3,000(税込み)高校生以下¥1,000(税込み)
販売開始:2022年1月4日
■公式サイト:http://anju-nochi.com/

安住の地 第6回本公演『¡play!』
 
■脚本・演出:岡本昌也/私道かぴ
■出演:
中村彩乃
森脇康貴
日下七海
にさわまほ
山下裕英
武田暢輝
雛野あき
沢栁優大
吟醸ともよ
御厨亮
タナカ・G・ツヨシ
織田信成(映像出演)
 
■日程:2022年1月20日(木)~23日(日)
20日(木)19:00 (開演前の演出家によるプレトークあり)
21日(金)19:00 (開演前の演出家によるプレトークあり)
22日(土)13:30 (終演後のアフタートークあり)
22日(土)18:30  (終演後のアフタートークあり)
23日(日)13:30
■会場:金沢21世紀美術館シアター21
■公式サイト:http://anju-nochi.com/news/work/play_21/

 
令和流スポ魂ドラマ、開幕。より速く、より高く、より強く!
究極の身体と精神は誰のもの?踊る大衆は決着がつけば帰路につく。
沈静したスタジアムに残るのは、無情なスコアボードと……
【ニュースポーツ】と呼ばれる架空の競技を巡るアツき物語を
安住の地が時空もフェンスも飛び越えてナイス・プレイ!
シェア / 保存先を選択