PARCO PRODUCE 2022 『エレファント・ソング』開幕 井之脇海、寺脇康文、ほりすみこ、演出の宮田慶子コメントが到着
ほりすみこ、井之脇海、寺脇康文、宮田慶子 撮影=加藤幸広
本日5月4日(水・祝)PARCO劇場にて、診察室を舞台に繰り広げられる心理スリラーPARCO PRODUCE 2022『エレファント・ソング』が初日公演を迎えた。
本作は、2002年にカナダの作家 ニコラス・ビヨンによって書かれ、モントリオールのインフィニシアターで朗読され、2003年から2010年にかけてモントリオールを中心に舞台を上演。その後、舞台・朗読がオーストラリア、ロンドン、ニューヨーク、韓国など世界でも上演された。また、世界の映画祭で受賞歴のあるカナダの映画監督で俳優のグザヴィエ・ドランがこの本に惚れ込み、2014年には自身が主演を務めて映画化されている。
そんな本作初日公演に先駆けて、出演の井之脇海、寺脇康文、ほりすみこ、演出の宮田慶子からコメントが寄せられた。
『エレファント・ソング』 撮影=加藤幸広
井之脇海 コメント
主人公マイケルを演じる井之脇海です。僕はこれまで映像のお仕事が多く、舞台の上でお芝居する機会があまりなかったのですが、お芝居を追求する上でもっと舞台に挑戦したいと思っていたタイミングで今回のお話を頂き、僕が役者として成長する上で大切な作品になりました。稽古を一か月近くやってきて、今日初日を迎えることを嬉しく思っています。昨日までは緊張していましたが、今日劇場に入ってみたらワクワクの方が大きく、マイケルとしてここできちんと生きられたらなと思っています。各々が役の事を考える時間が多くありましたが、自分だけでなく、マイケルという役を宮田さんはじめ皆さんが考えてくださり、いろんなアドバイスや考え方を頂き、僕にとって幸せな稽古場でした。僕はこのマイケルという青年は、愛を渇望している中でも、 自分って何なんだろうと探している人物だと思うんです。マイケルを演じながら、僕自身が初主演でがむしゃらに一生懸命 頑張る中で、同じように自分って何なんだろう、演技とはなんだろうとたくさん考えた一か月でした。まだ明確に答えは出てないんですけど、お芝居をしている中でマイケルが抱えている感情と、僕の感情がリンクする時があって、もっと多くのその瞬間をこの本番中にも見つけていきたいと思います。
映像と舞台とでは、また違ったお芝居の楽しさがあると思いますが、舞台では同じセリフを深めていったり、その日の役者同士のコンディションによって反応が変わったりするので、いろいろ追求していく過程に手ごたえがあるのでとても楽しいです。
今後も機会があればじっくりお芝居と向き合える舞台をやれたらいいなと思います。
寺脇康文 コメント
この芝居には3人しか出ません。アクションシーンがあるわけでもない、派手な群舞があるわけでも、女優さんをバックハグすることもなく、キスシーンがあるわけでもない。そんなワイドショーでは扱いづらい作品を取材いただいてありがとうございます(笑)。
最初に戯曲を読んだときは本当に面白いと思って受けたのですが、稽古に入ってみると、面白いけど深いし、そして怖い。我々が舞台上で気持ちに噓をついてしまうとすぐにばれてしまう。恐ろしい作品に手を出してしまったという気持ちです。なんとか嘘のない気持ちを、演出の宮田さんと一緒に作ってきましたし、この一か月楽しくもある苦労をいくつもして、何度も壁にぶち当たりましたし、僕が今までやってきたお芝居の中の形式とは違うことを模索していました。この作品は舞台ではあるけど、映像芝居のような要素もあり、不思議な感覚にさせられ、自分の中でこれかなと見つけるまでに一か月かかりましたが、今回原点に戻って、役者というのは本当に気持ちが大事なんだという事を、宮田さんに再確認させて頂きました。井之脇君は感性でぶつかって来てくれて、僕も還暦は迎えましたが、20代のころのような新鮮な気持ちで芝居に向き合うことができ、その意味でとても素晴らしい座長です。
ほりすみこ
看護師のミス・ピーターソン役を演じます、ほりすみこです。普段は小劇場を中心に芝居をやっているのですが、3人しか出演しないというこのような作品に参加できてとても楽しんでおります。本作は井之脇さん、寺脇さんのお二人はずっと出突っ張りで、そこに私が出たり入ったりしていろいろな話が展開していきます。そのお手伝いができたらいいなと思います。
宮田慶子(演出) コメント
舞台は精神科の診療室で、出演は3人だけという、濃密な一言一言のキャッチボールにすべてがかかっている芝居です。現代に生きている多くの方がそれぞれ心の中に抱いているフラストレーションや悩みが徐々に解き明かされていくように話は進んでいきます。濃密な3人のお芝居の中でその一つ一つが解き明かされていく様子を見て頂ければと思います。稽古場は静かでしたね!稽古が始まるまで誰も話さず、3人とも各々が台本とにらめっこしている状態でシーンとしていて、スタッフが気を使いながらそーっとしゃべっているようなそんな現場でした。とても仲良くて和気あいあいとしている時もあるのですが、それぞれの役が台本に書かれていないバックグラウンドを抱えていて、それをどうやって自分の中に取り込んでいこうかと、みなさん稽古前に集中する時間を作って臨んでくださいました。迷いながら本当にたくさん話し合えた時間だったのでそれを信じています。旧パルコ劇場は何度も経験させていただいていて、お客様に作品が届いているなと実感できる一番好きな劇場です。リニューアルして少し広くはなりましたが、いかにみんなで濃密な空気を作って、それが吸引力となり、お客様の目を引き寄せることができるかにかかっているかなと思うので、心して挑みたいです。
『エレファント・ソング』 撮影=加藤幸広