6・9『ストロングスタイルプロレス』関根“シュレック”秀樹インタビュー! 「警察官を20年やって43で辞めて、アラフィフの俺だからこそ紡ぐことができる物語がある」

インタビュー
スポーツ
2022.6.7

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『初代タイガーマスクストロングスタイルプロレスVol.17』(6月9日、後楽園ホール)メインイベントでは、船木誠勝と関根“シュレック”秀樹の一騎打ちが実現する。

警察官として勤務していた関根だが、43歳にして退職、格闘技とプロレスの夢を追い求めてきた。船木とは初参戦した19年9月のストロングスタイルプロレスでタッグを結成し、今年3月にはタッグマッチで激突。試合後マイクを取りシングル戦をアピールすると、船木は「やりましょう」と即座にこれを承諾、今大会で行われる運びとなった。

関根が「夢にも思っていなかった」と話す船木戦。“遅れてきたルーキー”がファンとしての夢を結実させ、対戦実現のみならず勝利も手中にするのか。

《メインイベント シングルマッチ 60分1本勝負》
船木誠勝(フリー)
vs
関根“シュレック”秀樹(ボンサイブルテリア)

――憧れの存在であり、熱望した船木選手とシングルマッチが遂に決定しました。どんな心境ですか?

シュレック:自分が高校・大学の頃とかファンとして一方的に憧れていただけで、対戦相手として考えることはなかったです。その頃パンクラスの旗揚げや『(船木誠勝の)ハイブリッド肉体改造法』があって、格闘技をやってる人はみんなあの本を持ってましたよね。43で警察を辞めて、MMA・プロレスをやり始めてからも、名前が大き過ぎてやれるとは思っていませんでした。

――でも“間に合った”のではないですか?

シュレック:“間に合った”というのが一番しっくりくる言葉で“ここまで辿り着いたか”って感慨深い感じがあります。でも、最初は夢にも思わなかったことで、20歳の頃の夢を思い出して警察を辞めて歩き出して、その時から――いや、その時でも思わなかった夢です。必死にやってきたら、“夢にも思わなかった夢の世界”が広がってるというか。

――まず2019年9月のストロングスタイルプロレスでタッグを結成し、これが船木選手と初の接点となりました。

シュレック:同じコーナーでしたけど、一緒のリングに立っているのが信じられない状態で、夢見心地でした。でも終わった後に控え室で「これからMMAとプロレスで頑張ってやっていきますので、船木さんの相手に釣り合うような男になったらシングルお願いします」って頼んであったんです。それで「いいよ、やろうよ」って言ってもらっていたんですけど、それからなかなか結果が出なかったりして、やっと今認められたと言いますか。

――昨年大晦日、そして4月のRIZINで連勝を遂げ、今回の船木戦に繋げた形となります。

シュレック:そういういきさつがあったので、前回タッグで当たった後マイクで言わせてもらいました。そもそも夢にも思わなかったことだけど、一緒のリングに立った時に夢として現れて、それに向かって頑張ってきたっていうことですかね。

――前回3月のストロングスタイルプロレスでは佐藤光留選手とタッグを組み、スーパー・タイガー&船木組と対戦しました。ここでの感触はいかがでしか?

シュレック:憧れたプロレスラーの1人として、自分の全てをぶつけようと組みにいったんですけど引き離す力がスゴかったです。映像を見れば序盤の四つの組み合いで、お互い100%の力でやっていたのでかなり息が切れてるのが分かると思います。あとはとにかく、ローが1発1発重かったです。

――シュレック選手のパワーをしても“スゴかった”と思わせる力だったと。

シュレック:MMAでも柔術でも、組んでいて序盤で腕がパンパンになるなんてないので、すごい力でした。自分が投げに行っても引き離す力が強いし、かとって引き込んだら“付き合ってやろう”というのが一切なく、その攻防の緊張感がやっていて痺れました。

――今回はシングルですし、逃げ場なしの真っ向勝負となります。

シュレック:自分はいまRIZINに出てMMAをやっていますけど、船木さんもヒクソンとやったりその走りじゃないですか。今のMMAの潮流の一つ、大きな流れの1つであるパンクラスの創始者なので、ストロングスタイルの中でもMMAに近いテイストになるんじゃないかと思います。そうじゃないと僕らがやる意味がないと思いますし。

ただ、こないだ投げさせてもらえなかったので今回は絶対投げたいです。前回は“プロレスラー”の自分として投げる・投げないの攻防をしたんですけど、今回は“MMAファイター”の自分として投げに行ってもいいのかなと。貴賢神戦とかで見せたタイミングで力を使わない投げがあるんです。それで体力を削って、最終的にジャーマンとかに行ければいいのかなと思います。

――そうした使い分けはプロレスとMMAを両立するシュレック選手ならではですね。

シュレック:スタミナを削ったりダメージを与えてちゃんと試合を作って、最後フィニッシュに持って行きたいっていうのはあります。そうじゃないと通用しないのが前回で分かりました。いきなり行っても、あのしっかりした体幹は普通には投げれないので、しっかりダメージを与えてからです。信じられないぐらい力が強いんです、船木選手って。

――実際に戦ったシュレック選手ならではの実感ですね。そんな船木選手とのシングルが『ストロングスタイルプロレス』という舞台で実現するのにはどう思いますか?

シュレック:佐山(サトル)さんは今のMMAの大きな源流で、その根底にあるのがストロングスタイルです。その人の前で、その最高傑作の1人である船木誠勝と、いちファンで遅れて来たアラフィフの俺がやれるんです。スゴいことですよね。

ただ、MMAで結果が出なかったらこの試合に辿り着くことはできませんでした。船木さんはその辺のプロレスラーがおいそれとシングルでできる選手じゃないんです。そんな人に辿り着けた理由はMMAファイターとして戦ってきたからで、だからMMAファイターの顔でも戦うし、かといって自分の根幹にあるのはプロレスラー、情念でもあるんです。だからこの48年、強さを求めてきた日々も、そうじゃなく仕事をしていた日々も、生きてきた全てを出すしかないと思います。

――ファンの方たち、そして船木選手にメッセージをお願いします。

シュレック:これまでプロレスではブラジリアン柔術やMMAの技を封印して、プロレスとして戦ってきましたけど、今回は柔術の技もMMAの技も全て出して勝ちに行きます。警察官を20年やって43で辞めて、アラフィフの俺だからこそ紡ぐことができる物語があると思います。外れた道を行って、紆余曲折して、でもまた道が交わる。それこそ若い人にも同世代にも、いろんな人に向けたメッセージだと思います。

自分は普通のプロレスラーと違うので、今までのストロングスタイルプロレスと大きく違う試合になるかもしれません。船木さんにも付き合ってもらうし、痛い思いをしてもらいます。後のことは考えず、この試合で全てを燃やし尽くします。

文:長谷川 亮

イベント情報

『初代タイガーマスクストロングスタイルプロレスVol.17』

 日時:6月9日(木)18:30試合開始
 会場:後楽園ホール(東京都)

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