「このメンバーだからこそ出せる音を紡いでいけたら」浦井健治、伊礼彼方、加藤和樹らが人気作に挑む ミュージカル『キングアーサー』制作発表レポート
イギリス・ケルトに伝わるアーサー王と騎士たちの伝説を、フレンチロックをベースにした音楽と共に描いたヒット作・ミュージカル『キングアーサー』が2023年1月に上演される。楽曲を手掛けるのは『1789-バスティーユの恋人たち-』や『太陽王』などで人気を誇るフランスの名作曲家ドーヴ・アチア。2015年9月に本国フランスで初演が行われ、2016年には宝塚歌劇団月組で『アーサー王伝説』として上演。2019年には韓国でも上演され、大人気を博した。
2023年の日本公演で演出を担当するのは、2015年・2017年に『デスノート THE MUSICAL』の韓国プロダクションで演出補を務めたオ・ルピナ。アーサー王に浦井健治、メレアガンに伊礼彼方/加藤和樹、ランスロットに太田基裕/平間壮一、グィネヴィアに小南満佑子/宮澤佐江、ガウェインに小林亮太、ケイに東山光明、マーリンに石川禅、モルガンに安蘭けいと実力派が集結した。
8月25日に行われ、配信もされたプレイベント(制作発表)の様子をお届けしよう。
歌唱披露の1曲目は、アーサーに王座も婚約者も奪われたメレアガン(伊礼彼方/加藤和樹)が胸の内にある怒りを歌う「奪われた光」。伊礼と加藤は闇を感じさせる耽美なメロディに激しい憎悪や絶望といった熾烈な感情を乗せ、ハイトーンのシャウトを混じえて歌い上げる。
アーサー王(浦井健治)とグィネヴィア(小南満佑子/宮澤佐江)が歌う「魔法に導かれて」は、ケルトを彷彿とさせる幻想的なメロディが美しい。ロマンティックだがどこか仄暗さを感じる楽曲が、二人が辿る運命を思わせる。短時間ではあったが、歌唱からWキャストである伊礼と加藤、小南と宮澤のアプローチの違いも感じられ、公演への期待が高まった。
まずは主催の株式会社ホリプロ代表取締役社長・菅井敦より「本作はイギリスのケルトに伝わる物語をアチアさんによる多彩な楽曲で彩ったミュージカルです。『デスノート THE MUSICAL』のご縁もあり、韓国版『キングアーサー』の演出を手がけている気鋭の演出家、オ・ルピナ氏に日本版も担当していただきます。また、浦井健治さんをはじめ、日本のミュージカル界を牽引する素晴らしいキャストの皆様に集結していただきました。素晴らしい音楽と共に、鉄板級のエンタテインメント作品として楽しんでいただけると思います。2023年の初回公演のみならず、レパートリー作品として仕上げていこうと思っています」と、新たに手掛ける作品への熱意が語られた。
続いて、この日が初披露となった楽曲のお気に入りポイントを聞かれた浦井は「フレンチロックですから、いわゆるグランドミュージカルとは少し毛色が違います。シャウトもあり、和樹と彼方がこの時間(会見が行われたのは11時頃)にどこまでも高い声を出していました(笑)。役者としてやりがいを感じる楽曲も多いですし、体力をつけて、このメンバーだからこそ出せる音を紡いでいけたらと思います」と意気込む。加藤が「僕は『1789 バスティーユの恋人たち-』でアチアさんの楽曲を歌いましたが、改めて感情的なメロディーラインが素敵だと思いました。それと、アンサンブルがすごく踊れる方揃い。音楽だけでなく見た目も派手できれいだと思います」と言うと、平間も「かーくん(加藤和樹)がいう通り、アンサンブルの方々も素晴らしいです。僕がこの作品を見て思ったのは、全員が全身を使って演じていると言うこと。まるでサーカスを見ているような気持ちになりました」と、華やかなダンスや曲の魅力に言及した。
アーサーの異父姉で、父親への憎しみからアーサーへの復讐を企てるモルガンを演じる安蘭は、役柄について尋ねられると「強い女性の役はよく演じますが、悪が入ったキャラクターはなかなかない。もしかしたら初めてかも」と新鮮な役への意欲を見せ、アーサーの兄・ケイを演じる東山は「“兄”のイメージは責任感が強いとかそういう感じです。僕の兄はオラオラ系なんですけど(笑)。今回はそっちではなく、自由奔放で飄々とした憎めないキャラを作っていけたら」と自分なりの役作りについて語った。
また、殺陣が一つの見どころということで、戦うのが楽しみな相手を聞かれた伊礼は「浦井健治でしょう! 役だと負けてばかりですけど、プライベートでは負けませんからね」と宣言。「1公演くらい僕に勝たせてもらえないか、ルピナさんにお願いしようと思います」と笑いを誘う。浦井の「まず(メレアガンは)エクスカリバーを抜けないから無理だよ」という言葉に安蘭が「私が抜こうかな」と乗っかるなど、カンパニーの仲の良さが伺えた。太田も「まずは怪我をしない、させないことが一番ですが、話を聞いていて、伊礼さんが浦井さんをやってしまわないように僕が監視しようと思いました(笑)」とおどける。
主演を務めた舞台『鬼滅の刃』に絡めて日本刀と西洋剣の違いを聞かれた小林は「西洋剣術は僕も初めて。ビジュアル撮影の時に持たせていただきましたが、かなり違います。重みなどを大事にしながら挑みたいです」と新たな挑戦への熱意を見せた。
「絶対に克服できないと思っていたけどできるようになったこと」を聞かれた宮澤は「パクチーです。中国でのお仕事が多かった時期、あいさつの次に『パクチーなしで』という中国語を覚えたくらいに苦手だったんですが、数年前に友達に連れて行かれたお店で全ての料理にパクチーが入っていて。それ以来食べられるようになって、今では一番好きなくらいです」と自身の変化を語る。続いて「作品タイトルにちなんで、自身を〇〇キングと表現するなら?」と尋ねられた石川は、「ぬか漬け!」と答えたものの、「漬けたことある人いる?」と確認すると小南と小林が手をあげ、「いるの!?」と落胆。ルピナに対してぬか漬けの説明をし、「なかなかいないだろうと思ったら二人もいましたけど、僕はぬか床をかき混ぜるのがうまいです!」と胸を張る。好きなぬか漬けはかぶだそうで、小南や小林にも漬けた野菜を聞き、しばしぬか漬けトークが盛り上がっていた。
ここで衣装を身に纏ったビジュアルが公開され、キャスト陣も「かっこいい!」と大盛り上がり。「前田さん(編集註:衣装の前田文子)の衣装って、袖を通すと物語を感じられるんです。これを着て踊って殺陣をするのはハードルが高いと思いますが、すごくキラキラした派手な舞台をお見せできると思う」と話す浦井に、伊礼も「これは衣装の展覧会をした方がいいですよ。皆さんにも見て、触って、着てもらいたい」と、細部まで作り込まれた衣装のクオリティに太鼓判を押す。
浦井が「禅さんは『ハリー・ポッター』に出てそう」と一言。それを受けて石川は「最初は地毛と聞いていましたが、常人ではないような役なので急遽ウィッグを用意していただいて。自分じゃないような感じがします」と照れ笑い。また、伊礼が「ランスロット美化されてない? 衣装から良い人漂わせなくていいじゃん」とクレームを入れると浦井が「良い人そうだけど僕は裏切られる(笑)」と茶化す。ランスロットを演じる太田と平間は「ギャップが魅力なんで」と笑顔を見せていた。
ビジュアル撮影の感想を聞かれると、安蘭が「健ちゃんが言うように、衣装が役に入らせてくれた」と話す。宮澤は「結構タイトでラインが出る衣装だったので、5日間断食をして臨みました」と明かしキャスト陣から驚きの声が。小南は「“舞台上でリアルに存在する”と言うポリシーのもと、こだわりを持って繊細に作られた衣装だそうです。ライトが当たったらもっと美しく見えるんじゃないかと仰っていたので、ぜひ注目していただきたいです。風を当てていただいたりして、良い気分で撮影しました(笑)。かっこよく撮っていただいて、皆さん強そうに決まっていますね」とビジュアルを絶賛。
続いて演出をする上でのこだわりを聞かれたルピナは「原作にはフレンチミュージカルの特徴である華やかなショーが多くあります。しかし、その部分だけをアピールするのではなく、各キャラクターの感情、成長や苦しみを細やかに表現したいと考えています」と意気込みを語った。
最後は浦井からお客さまに向けた「この作品はダンスありアクロバットあり殺陣あり、フレンチロックな楽曲もあり、すごくド派手です。でもそれだけじゃなく、一人ひとりの繊細な感情を大切にするお芝居でもあります。体力勝負になると思うので、一人も欠けることなく千秋楽まで駆け抜けたいと思っています。また、禅さん筆頭にイケメン揃い。楽しんでいただける作品になると思います!」とのメッセージで締めくくられた。
「イケメン揃い」という浦井の言葉に笑顔で手を挙げる伊礼。
本作は2023年1月12日(木)に新国立劇場中劇場で開幕し、その後群馬、兵庫、愛知でのツアー公演が行われる。
【9/12(月)まで先着先行中】ミュージカル『キングアーサー』プレイベント(製作発表)アーカイブ配信中
取材・文・撮影=吉田沙奈
公演情報
日程:2023年1月12日(木)~2月5日(日)
会場:新国立劇場 中劇場
主催・企画制作:ホリプロ
<群馬公演>
日程:2023年2月11日(土祝)~12日(日)
会場:高崎芸術劇場 大劇場
主催: 高崎芸術劇場(公益財団法人高崎財団)
<兵庫公演>
日程:2023年2月24日(金)~26日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
主催:梅田芸術劇場/兵庫県、 兵庫県立芸術文化センター
<愛知公演>
日程:2023年3月4日(土)~5日(日)
会場:刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール
主催:キョードー東海
<キャスト>
アーサー:浦井健治
メレアガン:伊礼彼方/加藤和樹 (Wキャスト/五十音順)
ランスロット:太田基裕/平間壮一 (Wキャスト/五十音順)
グィネヴィア:小南満佑子/宮澤佐江 (Wキャスト/五十音順)
ガウェイン:小林亮太
ケイ:東山光明
マーリン:石川禅
モルガン:安蘭けい
碓井菜央 加賀谷真聡 工藤広夢 当銀大輔 長澤風海・加藤翔多郎 長澤仙明 半山ゆきの・新井智貴 大井新生 大場陽介 岡田治己 加藤さや香 鹿糠友和 鈴木百花 高島洋樹 高橋伊久磨 高橋慈生 田口恵那 東間一貴 内木克洋 長嶋拓也 永松樹 西尾真由子 花岡麻里名 藤本真凜 MAOTO 松平和希(五十音順)
<スタッフ>
日本版台本・演出:オ・ルピナ
翻訳・訳詞:高橋亜子
【東京公演詳細】
■一般発売 9月14日(水)11:00
■ Yシート(20歳以下限定)
9月19日(月祝)17:00~9月25日(日)23:59
<料金>
キングシート:15,800円
S席:13,800円
A席:9,800円
(全席指定・税込)
Yシート:2,000円 ※20歳以下対象・当日引換券・要証明書・9月19日より枚数限定販売
<イベント・来場特典など>
〇ホリプロステージ会員限定貸切公演
※プレミアム会員(有料)・ホリプロステージ会員(無料)の貸切公演となります。
★1月22日(日)13:00
【特典】
・舞台装置デモンストレーションイベント ※終演後に実施致します
・来場者全員プレゼント:ステッカー
〇アフタートークショー
以下の各公演終演後にアフタートークイベントを開催いたします。
★1月19日(木)18:00
登壇者:加藤和樹/安蘭けい/石川禅
★1月21日(土)18:00
登壇者:平間壮一/宮澤佐江/東山光明
★1月24日(火)18:00
登壇者:浦井健治/伊礼彼方
★1月28日(土)18:00
登壇者:太田基裕/小南満佑子/小林亮太
※対象公演回のをお持ちの皆様ご参加いただけます。
※登壇者は急遽変更になる場合もございます。
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