僕らの知っているアニサマが帰ってきた『Animelo Summer Live2022-Sparkle-』DAY2レポート
(c)Animelo Summer Live 2022
『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-』
DAY2 2022.8.27(SAT)さいたまスーパーアリーナ
2022年8月27日(土)、さいたまスーパーアリーナにて『Animelo Summer Live2022-Sparkle-』DAY2が開催。久しぶりの行動制限の無い夏に、昨年のような入場者数制限の無い、通常の来場者数での開催となった。コロナ禍以前の2019年には約8万4000人の来場者を記録したという『アニサマ』。今年のDAY2もアリーナ席はもちろん、スタンド席まで席が埋まっている様子を見るに、3日間でまた当時と変わらぬ数のアニメファンが集いそうだ。それだけでも「僕らの知っているアニサマが帰ってきた」という気持ちに胸が熱くなってくる。感動の締めくくりを迎えたDAY1に続き、DAY2にも総勢20組ものアーティスト(サプライズゲストやフィーチャリング含む)が出演。5時間弱にも及んだ圧巻の舞台の模様をレポートしていく。
FLOW×GRANRODEO×angela (c)Animelo Summer Live 2022
1番手としてヒーローのごとくステージ中央に登場したのは、FLOW×GRANRODEO×angelaのベテラン3組。いきなりの大型コラボで、しかもJAM Projectのライブ定番曲でもある『SKILL』をカヴァ―で歌った。原曲を歌うJAM Projectとも交流の深い3組だからこその実現した、まさに「最初からクライマックス」のようなステージ。お馴染みの「I can fly,You can fly, We can fly! Motto Motto!」のフレーズでは観客一同もその場で一斉に跳びはね、体にも心にも大きな振動が伝わり続けた。
圧倒的な熱量の舞台を終えた後、そのまま去ってしまうのかと思いきや、ステージに残って「もうちょっとしゃべってから……」と、MCパートに移る3組。「まずGRANRODEOです」「FLOWです」と最初の2組が自己紹介した後で、angelaのatsukoはと言えば「奥井雅美でーす」と原曲を歌うJAM Projectメンバーの名を名乗ってしまう定番ギャグを披露。谷山紀章も漫画のように背中から派手にズッコケる中、「すみません、angelaです、よろしくお願いいたします」と改めて名乗り直した。
「初っぱなからやっちゃいましたね」「すごいっすね、1曲目から」「(観客の)皆の方がすごいよ!大丈夫?」「今日、長いんでね」「このあと、どんどん若いやつらが出てくるから」「パワーが上がっていく一方だから!」などなど、思い思いに場を和ませ、「盛り上がってください。よろしくお願いします!」と、会場の熱を残したまま、次のアーティストへとバトンをつないだ。
MADKID (c)Animelo Summer Live 2022
2番手には、5人組ダンス&ボーカルユニットMADKIDがステージに登場。TVアニメ『盾の勇者の成り上がり』から、1期と2期のOPテーマ「RISE」と「Bring Back」を2曲続けて披露。バックのスクリーンにはアニメ映像が映される中、心地よい男性3人のボーカルに、スパイスのようなラッパー2人の超高速のラップが混じり合う。そして5人の息の合ったダンスには目も奪われてしまった。
続く3番手、声優アーティストユニットDIALOGUE+が、アリーナ席後方からトロッコ2台で登場。半分ずつに分かれ、それぞれアリーナを半周して「恋は世界定理と共に」を歌いながらメインステージを目指していく。メインステージで合流し、メドレーで「僕らが愚かだなんて誰が言った」を披露。歌の途中でステージが暗くなると、ステージ衣装の蓄光が輝くなど演出も凝っている。最後は「デネブとスピカ」を歌い、踊り、楽し気なステージを締めくくる。
DIALOGUE+は6月25日よりメンバーの内山悠里菜が体調不良のため休止中、また8月21日には飯塚麻結の新型コロナウイルス陽性が確認されたため、6人でのステージとなった。最後のフォーメーションはあえて欠けたメンバーの隙間を空けておくような位置取りで、この場に姿は見えなくても8人の気持ちは確かに揃った舞台であることを象徴しているようだった。
梶原岳人 (c)Animelo Summer Live 2022
4番手にはアニサマ初参戦の梶原岳人が登場。ステージの中央に現れ、アニメ『ブラッククローバー』第12クールEDテーマ「A Walk」を披露した。曲の合間には「初参戦の僕が、皆さんの心に何かひとつでも残せるように精一杯歌います!受け取ってください!」と力強いセリフも。
MCでは、さいたまスーパーアリーナにちなんで、大学生の頃のコンサートスタッフのアルバイトの思い出を披露。当時はめちゃくちゃ好きなアーティストのステージ前警備の仕事を任され、ステージの方を振り向けずに耳だけで音と気持ちを感じ取って楽しんでいたそう。まさに「アニサマ2022」テーマとなっている「Sparkle」にもピッタリの青春エピソード。そんな彼自身が今はステージの上に立っているというのも胸が温まる話だ。
そして次に歌う「色違いの糸束」にちなんで「ライトの色を、それぞれが思う好きな色に、自分の個性の色で降ってくれないでしょうか」と呼びかけ、色とりどりのペンライトが客席に輝く美しい景色の中で熱唱。歌の終わりには「本当に素敵でした。ありがとうございました!」と、まるで少年漫画の主人公のように熱く叫び、舞台を去っていった。
5番手。アリーナ中央のスペシャルステージにて、スピラスピカの幹葉が、フィーチャリングアーティストの重永亮介が奏でるピアノに乗せて「サヨナラナミダ -piano ver.-」を披露。客席にはブルーのペンライトの海に、星のように所々に灯る黄色い光。落ちサビの直前にはフロアがしんと静まり返る中、「さよなら涙」と、アカペラで泣きたくなるような歌声を響き渡らせる。たくさんのスポットライトが、まるで雨上がりの空のようにステージに降り注ぎ、幻想的な光景を作り出す。その舞台へ、客席からは長い長い拍手が送られた。
スピラスピカ (c)Animelo Summer Live 2022
今年でアニサマ3度目のスピラスピカ。MCでは、初登場した2019年の舞台に触れ、その年はスペシャルステージからゴンドラに乗ってメインステージを目指したものの、ゴンドラの上で演奏を終え、そのまま舞台の向こうへ消えてしまったという懐かしいエピソードを語った。去年は念願のメインステージに立つことができたものの、「今年のアニサマはスペシャルステージに出戻りとなってしまいました……」と悲壮感たっぷりに語ったところで、「エモーい!」と叫びながら楽器メンバー2人が登場。ここで「スペシャルステージがしっくりくるね!」と、幹葉もいつもの明るい調子を取り戻し、怒涛のしゃべりを繰り広げた。
MCの後には、先程の雰囲気とは打って変わって、TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』OPテーマ「燦々デイズ」をメンバー3人で披露。黄色一色のペンライトの海の中、小さなスペシャルステージを元気いっぱいに駆け回りながら歌った。
StylipS (c)Animelo Summer Live 2022
6番手には、サプライズゲストがメインステージに登場。なんと声優の小倉唯、石原夏織、豊田萌絵、伊藤美来の4人からなるStylipSが復活を遂げたのだった。白いドレスでそろえた4人がステージに現れるや、会場からは割れんばかりの拍手が送られる中、1曲目にはTVアニメ『ハイスクールD×D』EDテーマの「STUDY×STUDY」を披露。息のそろった動きで、久々の再結成であることはまったく感じさせない。
さらにMCでは「いにしえの自己紹介」として、「学級委員担当、伊藤美来です!」「全国のお姉ちゃんの成績を下げてしまう魔性の妹担当、豊田萌絵」「ラムもぐラムもぐラムもぐもぐ ラムモグモグラムモグ小倉唯ヽ(>ε<)ノ」「みんなのFUSHIGIを解決ちゃん(´∀`)ノ゛♥石原夏織」と、それぞれキャッチコピーを披露したのも貴重な瞬間であった。
続く楽曲には、「MIRACLE RUSH」と「Chose me♡ダーリン」をメドレーで披露。曲の合間には「皆の近くに行きますよー!」と2人ずつ分かれてステージの端と端へ向かい、手を振りながら歌う場面もあった。最後には4人ステージ中央に集まって、「みんな声出せないけど、一緒に跳べるよね」と、観客も全員で大きくジャンプ。ドシン!と会場全体が揺れた気がした。やがて「楽しんでいってねー!ばいばーい!」と4人がステージから去り、夢のような時間が幕を閉じた。
雨宮天 (c)Animelo Summer Live 2022
StylipSの余韻に浸っている間もなく、7番手に雨宮天が登場。初めて自身がヒロインを務めた作品、TVアニメ『一週間フレンズ。』EDテーマとなった「奏(かなで)」を歌えば、聴き手としては一気に感情のコントロールが奪われる。同席していたSPICEアニメゲームジャンル編集長の加東も、思わず天を仰いだほど。メインステージに、またアニメの映像が流れる演出がニクい。
観客席は青いペンライト一色となり、「すごいきれいな景色を作っていただいて、ありがとうございます」と曲の終わりで言う雨宮天。実は明日が誕生日ということで、これが28歳の最後の景色となることを感謝してくれた。続けて2曲目には「フリイジア」を披露。ステージには両手に扇を持ったダンサー2人も現れ、雨宮天も雅に舞う。客席のペンライトは一点、曲のイメージに合わせた赤に染まった。
続けて舞台が暗転し、姿を隠す雨宮天。場内アナウンスでは、TVアニメ『理系が恋に落ちたので証明してみた。』より、ヒロイン氷室菖蒲(ひむろあやめ)の声が響く。「好きの気持ちを言葉や声じゃなく別の手段によって解明する」と語り、まずは観客席のペンライトの色を変える実験を開始。早くステージに戻ってきて欲しい人の色を思い浮かべ、ペンライトの色を変え欲しいと言う。「もちろん空気読むのよ」とスゴまれ、客席の色は一気に雨宮天カラーの青へ。これには氷室菖蒲も「優秀なリトマス試験紙だわ」とご満悦である。
続けてライトの振り方を合わせる実験へと移行。ドラムのリズムとダンサーの動きに合わせて、振り方のレクチャーを行う。最後に「実験体Aを投入するわね。天ちゃん、よろしく頼むわよ!」と、デート風の衣装に着替えた雨宮天が登場。披露したのはもちろん、「Love-Evidence」である。舞台のダンサーたちと、客席のペンライトの動きがしっかりシンクロし、「みんなと一緒に、アニサマが大好きってこと、証明完了!」と言い、チャーミングに舞台を締めくくった。
次は、スペシャルステージにてDIALOGUE+が、制服風のシャツとスカートという衣装で再び登場。TVアニメ『ハナヤマタ』OPテーマの「花ハ踊レヤいろはにほ」をカバーで披露した。参加メンバー全員で舞台一杯に舞う姿に、観客も惜しみない手拍子を送る。「チャチャッチャチャッチャッチャン」と、独特なリズムも練習無しで綺麗に揃うのが、流石アニサマファン一同だ。
大橋彩香 (c)Animelo Summer Live 2022
前半ステージも残り2組。最後から2番目には大橋彩香がメインステージ端からワゴンで発車し、「ダイスキ」を歌いながら観客に笑顔を振りまいていく。会場のペンライトはピンク一色で、「ダイスキ」な気持ちを客席からも返しているような美しい光景だった。
大橋彩香 feat.マーティ・フリードマン (c)Animelo Summer Live 2022
ちょうど一周したところで演奏終了。「お、こんなところにメインステージが!」とワゴンから降りてメインステージ中央まで走る。MCを挟んで、次の曲へ行く前に「ダイスキ」の際に来ていたピンクのジャケットを脱いで、一転、黒いタイトなドレスに。本人曰く、「全身ベルトだらけの戦う女風カッコイイ衣装」となって、2曲目に激しめのロック曲「HOWL」を披露。さらに3曲目には「諸君、地獄より呼び覚まされし、メタルバンドギタリストの召喚を刮目せよ!」とフィーチャリングアーティストにサプライズゲストを召喚。なんとマーティ・フリードマンが現れ、彼の演奏に合わせて「Be My Friend!!!」を披露。めちゃめちゃヘビィな音色に、大橋彩香のラップが乗り、フリードマンもヘドバンをかましまくる。強すぎる組み合わせであった。
angela (c)Animelo Summer Live 2022
そして前半最後には、1組目にも登場したangelaが再登場。TVアニメ『新機動戦記ガンダムW』OPテーマ「JUST COMMUNICATION」を、アニメのオープニング映像と共にカバーで披露した。おじさん世代にぶっ刺さり過ぎる曲を披露しながら、続くMCでは、atsukoがまた「私たち、TWO-MIXです!」と原曲を歌うアーティスト名を名乗るギャグをテンドン。さらに「(ガンダムの映像を背負って歌えたということは)正真正銘ガンダムアーティストです!」と滅茶苦茶なことを叫び、「まだ正式にはオファーいただいてませんからね」と、ギターのKATSUが鋭いツッコミを入れた。
それでもatsukoの喋りは止まらない。先日はタクシーに乗って「三宮のライブハウスまで」と告げたら、なんとそれは別のアーティストの予約者で、「神戸ワールド記念ホールって聴いてますけど」と言われて慌てて降りたという話を披露。後で調べてみると、どうやら運転手からDREAMS COME TRUEと間違われてしまったようだと言い、また「なんの小話やったんや」KATSUが呆れて言う。こんな、大御所ながらのユルイトークで会場を沸かすのは、さすがangelaと言ったところだ。(ちなみにTWO-MIXを名乗るのは、メンバーの永野椎菜からも許可を得ていたという)
2曲目には続けてSparkleメドレーとして「蒼い春」「全力☆Summer!」「キラキラ-go-round」を3曲続けて披露。曲の合間には「じゃあみんな、今からシャンプするよ!半分からこっちのみんな」という具合に、会場を瞬時に2つに分けて交互に跳びはねさせるという楽しい指示も。ペンライトの色もステージに向かって右が青に、左が黄色にと、美しいコントラストを作って見せた。
それだけでは終わらない。ラストの1曲「KINGS」の前には、ジャンプやビッグウェーブの練習も。アリーナ前方から、スタンド席の一番後ろまでウェーブが続いていく様子が見られるのも、久々に満員となった会場でだからこそできることだ。実際に曲が始まると、ジャンプの瞬間にはステージから炎が上がるなど、舞台演出もドハデに見せ、会場の熱気を一気に上げていった。