僕らの知っているアニサマが帰ってきた『Animelo Summer Live2022-Sparkle-』DAY2レポート
20分の休憩をはさみ、メインステージからはトランペットのファンファーレが鳴り響く。スペシャルステージには実況席ができ、明坂聡美が「トレーナーさん、実況する準備はできていますか?緑のペンライトの準備はできていますか?」と会場にアナウンスする。とくれば、次に歌うのは4年ぶりに『アニサマ』に帰ってきた「ウマ娘 プリティダービー」のメンバー達だ。
ウマ娘 プリティダービー (c)Animelo Summer Live 2022
今回メインステージにて「出走」するのは、ナリタトップロード役・中村カンナ、ウオッカ役・大橋彩香、テイエムオペラオー役・徳井青空、マンハッタンカフェ役・小倉唯、キタサンブラック役・矢野妃菜喜、アドマイヤベガ役・咲々木瞳、メジロマックイーン役・大西沙織、ツインターボ役・花井美春、マチカネタンホイザ役・遠野ひかる、サトノダイヤモンド役・立花日菜、マルゼンスキー役・Lynn、ダイタクヘリオス役・山根綺と、12人のメンバー達。
1曲目には「ウォーオーオォオーオー、やっとみんな会えたねー!」と、オープニングの「GIRL'S LEGEND U」を熱唱。スクリーンには今回の12人のキャラクターを映し出した特別映像が流れるのも合間って、トレーナーなら間違いなく泣けてくるような演出だ。MCにて一人一人意気込みも述べつつ、2曲目にはWe are DREAMERS!!を曲の合間には「トレーナーさん、盛り上がってください!」「トレーナー君もトレーナーちゃんも、アゲアゲで楽しんでねー!」と、思い思いに気持ちを叫ぶ。
そして3曲目には、「トレーナー、もっともっと盛り上がれるー?まだまだ盛り上がれるー?」と、きっと会場の誰もが待ち望んだであろうナンバー「うまぴょい伝説」で、最後まで全速力で駆け抜けていくウマ娘メンバー達。最後はメンバー全員で「ゴールイン!」と叫び、「アニサマダービー」の輝ける舞台を締めくくった。
石原夏織 (c)Animelo Summer Live 2022
後半戦、2組目には石原夏織が登場。ダンサーズと共にラブリーな楽曲「Cherish」を歌い、観客はピンクのペンライトで気持ちに答える。最後は手でハートをつくってキメポーズを作るのも愛らしい。続くMCで「改めまして、石原夏織でーす」と挨拶。StylipSとして既に前半のステージに立ったことにも触れつつ、「後半戦も、みんな一緒に盛り上がっていきましょうね」と語る。そして2曲目には「夢想的クロニクル」、続けて3曲目には「Abracada-Boo」をスタイリッシュに歌い上げた。
伊藤美来 (c)Animelo Summer Live 2022
3組目にはStylipSつながりで伊藤美来が登場。TVアニメ『古見さんはコミュ障です』2期OPテーマの「青100色」をしっとり歌った。青いペンライトが揺れる中、ノースリーブのドレスでマイクを持っている様が、まるで花束を抱えているかと見まごうような可憐さだ。歌うことが本当に楽しいというような、うっとりするような笑顔を振りまく。
続くMCでは、『アニサマ』ソロ出演4回目となる今年、テーマソングのMVにも出演した伊藤美来。実はキービジュアルの女の子のモデルにもなっているのだという。StylipSも復活を遂げ、特別なものとなった『アニサマ2022』。「みなさんにとっても特別な夏になっていますか?」と、2曲目には会場がクラップで一体となる楽曲「all yours」を披露した。メインステージにはチアガールのように水色のシャツと白のスカートを着たダンサーズたちも現れ、舞台を一層華やかにしていく。
藍井エイル (c)Animelo Summer Live 2022
4組目。藍井エイルがステージから現れ、向かって左手のトロッコに乗り込んで、アリーナをぐるりと回りながら「PHOENIX PRAYER」を披露する。3/4周ほどしたところで、進行方向をアリーナ中央のスペシャルステージへ。そこに降り立って、「みなさんこんばんは!トロッコ、乗れたぞ!」と喜びの声を上げた。実は藍井エイル、10年前からトロッコ乗りたいなと思っていたのだそう。ようやく念願叶って乗ったトロッコに、「1曲歌っただけで汗だく!」「けっこう体幹が必要だから、もし乗る方いたら、鍛えておいてください!」と、アドバイスも送った。
次の曲は、なんとライブ初披露だというTVアニメ『カッコウの許嫁』2クール目EDテーマの「HELLO HELLO HELLO」を、しかもアコースティックバージョンという特別編成でお届け。手を高くあげて手拍子すると、周りの観客も温かな手拍子でそれに答えた。曲の後半では「また分かり合えなくても」のフレーズで演奏が止まり、藍井エイルが手を突き出してステージをぐるっと一周見渡した後、「君の隣がいい」と歌詞に合わせて気持ちを届けるシーンもあった。
続くMCでは、活動期間が通算で10年経ったことについて触れ、「10年前の自分と今の自分とどう違うか」について語る。レコーディングなど楽曲制作については「完成系がいろいろ見えてきた」ものの、「ライブについてはナマモノだから、ふるえがとまらない」と語った。しかしそれも「みんなの熱量がすごいから。ありがとうございます」とポジティブな理由と感謝を述べた。
そして3曲目には、「10年前に歌ったこの曲をアコースティックバージョンで」と、TVアニメ『Fate/Zero』EDテーマであり、デビュー曲でもある「MEMORIA」を歌った。美しく響くピアノの音色。会場の照明は少なく、客席のブルーのペンライトが、夜空のように一層際だつ。ラストのサビではメインステージからもまばゆい照明が、未来を照らす光のように差し込んできた。最後は「したっけ!」とお馴染みの北海道弁の挨拶を口にし、舞台を去った。
ReoNa (c)Animelo Summer Live 2022
5組目にはReoNaが登場。黒いロングコートを着て、TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』2ndクールOPテーマ「ANIMA」を歌う。透明感あるハスキーな声に、ありったけの魂を込めたように力強く歌う。間奏ではそれに応えるように、トランペット、ギター、サックス、キーボードと楽器奏者たちもありったけの力を込めてソロを奏でる。これほどまでにグサグサと胸に刺さるロック曲があるだろうか。演奏の締めくくりは「ありがとう」の一言を添えるのも「エモ」すぎる。
ReoNa (c)Animelo Summer Live 2022
一度ステージは暗転。再び明るくなった際にはギターを肩から抱え、「こんばんは、ReoNaです」とハスキーな声で挨拶した。来年春には初めてとなる日本武道館でのワンマンコンサートを実施することを告知しつつ、次の楽曲には「私に歌う理由をくれたお歌」として、TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』劇中歌「Rea(s)on」を披露した。
ステージのスクリーンには、ReoNaと同じくギターを抱える作中人物・神崎エルザの姿が。神崎エルザの歌唱を担当したのがReoNaなのだが、今回はそれだけではない。この『アニサマ』の舞台で、神崎エルザとReoNaが、それぞれ寄り添い合って歌い合っている。見る人によってはそう見えたに違いない、幻想的な光景であった。演奏を終えると、観客席から「2人」に、割れんばかりの拍手が贈られた。
ReoNa feat. RAB (c)Animelo Summer Live 2022
再び舞台は暗転。トランペットの音が鳴り響き、赤のジャケット・ドレスに衣装を変えたReoNaがTVアニメ『シャドーハウス 2nd Season』OPテーマ「シャル・ウィ・ダンス?」を披露した。曲の合間にはフィーチャリングアーティストとして合流したRAB(リアルアキバボーイズ)が「アニサマ、踊ろうぜ!」と叫ぶ。さらにタップ&バックダンサーも大勢現われ、まるでミュージカルのようなステージだ。間奏では、ステージ中央でReoNaもタップダンスを披露。最後に大きくお辞儀をしてステージ袖にはけていくのもショーの締めくくりのようで、長い長い拍手が贈られた。
ZAQ (c)Animelo Summer Live 2022
今年で8回目の『アニサマ』参加、そしてアーティスト活動は10周年を迎えたZAQ。続くMCで「『シャル・ウィ・ダンス?』という曲、めっちゃかっこよくなかったですか?」と前のReoNaのステージにも触れ、自分もダンサブルな楽曲をと、ピアノ弾き語りで「Dance In The Game」を披露した。激しく体を揺らす観客たちに、「いやー、アニサマ最高じゃないですかー!」とZAQもご満悦。
と、そこへ「おーい、ZAQさーん。エモエモ、エモいよー!」と雰囲気をぶち壊すような声をかけたのは、前半でステージを終えたかと思っていたスピラスピカの幹葉だ。ちゃっかりメインステージにての再登場となった。
衣装は何やら学校の制服風になっているが、残るメンバーにも異変が。眼帯をはめたり、包帯を巻いたり、グローブをはめたりと、楽器はどこへ置いたのか、いわゆる「中二病全開」のいで立ちである。
ZAQ feat.スピラスピカ (c)Animelo Summer Live 2022
「中二病こじらせちゃった。一緒に歌わせてもーて、2人を治したい」と幹葉は言うが、「みんなでスピラスピカさんの中二病を永遠にさせてもらおう」と逆のことを言うZAQ。「そっち?」と幹葉でさえ呆気にとられたようなセリフを口にする中、コラボにて披露されたのはもちろん、TVアニメ『中二病でも恋がしたい!』OPテーマ「Sparkling Daydream」である。またクセになりそうなアニメの懐かしいオープニング映像が流れる中で、ダンサーたちと共に中二をこじらせたスピラスピカメンバーたちも踊りまくる。そうして愉快でエモい一夜限り?のスペシャルコラボが幕を閉じた。
GRANRODEO (c)Animelo Summer Live 2022
後半ステージも遂に残り2組。次に現れたのは、GRANRODEOだ。1曲目にはTVアニメ『最遊記RELOAD -ZEROIN-』OPテーマ「カミモホトケモ」を、アニメの映像を背負って歌う。続けて2曲目にはFIRE HORNSとのコラボで、「Treasure Pleasure」を披露した。谷山紀章の、男の色気たっぷりの歌声は、高音域でも決してブレない。冒頭に「SKILL」を演奏したのが5時間前とは言え、スタミナの持続には目を見張る。
MCで、「さいたまスーパーアリーナ!元気ですかーっ!お待たせしました、GRANRODEOです!」と叫ぶ谷山紀章。一方でギターの飯塚昌明「さっき、『づかぴょいづかぴょい』やってなかった?」と、勝手(?)に「ウマ娘 プリティダービー」と自分の名字をかけたネタを披露。「一番カワイイおじさんになるんでよろしくお願いします」と、ついさっきまで色気たっぷりのギター演奏をしていたのがウソだったような茶目っ気たっぷりのことを言うが、それもベテランならではの盛り上げ方なのだろう。「(『づかぴょい』は)たぶん、トレンド入りはしないと思うんですけれども!」と、谷山紀章も冷静で鋭いツッコミを入れる。
3曲目には、TVアニメ『黒子のバスケ』OPテーマ「Can Do」を披露。「やるぞ俺たち、やっちゃうぞ!」と、目にもまぶしいチアガール風のダンサーズを従えて、激しいロックナンバーを今日イチのエネルギーで放出していった。ステージ前方から火花の柱が上がるたびに、まだまだ会場の熱気が上がっていくような気がする。
FLOW (c)Animelo Summer Live 2022
GRANRODEOが終わり、いよいよトリを務めたのがFLOW。1曲目から定番曲COLORSを披露。ペンライトが「ルルーシュカラー」である赤に染まる中、2曲目にも「DICE」と「コードギアス 反逆のルルーシュ」からの関連曲を2本続けて披露する。
続くMCで、「皆さん、まだまだいけちゃいますか!」とKEIGO。「声が出せないなんて地獄だと思ってることでしょう。だけど、このアニサマの熱、めちゃめちゃすごいからね!皆さん、自分に、そして周りのオーディエンスに拍手!」ここまで付いてきた『アニサマ』ファンたちを讃えた。
意外にも、FLOWにとっては今回が5年ぶりのアニサマになるという。そして、初めてのトリだそう。「意外」と思うのは、FLOWが去年も一昨年も、コロナ禍の中でJAM Projectらとライブに出演していたことを筆者は見てきたからだが、『アニサマ』に出ていなくても何かしらのアニメ関連イベントにFLOWが関わり続けていたというのは事実である。
そんなFLOWも、実は昔「ロックバンドなのかアニソンバンドなのか。もやもやを抱えてバンドをやらせていただいてて」というエピソードを語るKEIGO。だがその気持ちが払しょくできたのも、『アニサマ』というステージに立って「世界一のオーディエンスを体感」し、「すごいものはすごいんだなと思わせてもらって。ジャンルなんて関係ないんだな」という境地へたどり着けたからだと言う。
そしてデビュー20年目に突入し、来年には幕張メッセで20周年のアニメ縛りフェスティバルやることも告知。「世界一熱いアニサマオーディエンスの力貸してください!」とお願いしつつ、続く3曲目には「GO!!!」を披露。全速力でステージを端から端まで駆ける。KOHSHIとKEIGO。ステージ袖からはRABも合流し、バク転やブレイクダンスも披露する。
さらには、スペシャルステージにMADKIDが登場。スペシャルコラボとして、MADKIDが「Fighting dreamers」と歌うパートも用意された。そして「GO!!!」と言えば欠かせないのが、ビッグウェーブである。前半のangelaのときもそうだったように、アリーナからスタンド席の後ろの後ろまで、大きな大きなウェーブで会場に起きた。
そして遂にFLOWラストの曲、「GOLD」は、ラストのサビ直前で「みんな、まだいける?ラスト、大きなジャンプいくけど、いける?」と、この日ステージに登場した全アーティストが集合。「1、2、1、2、3ジャンプ!」で、「ドカン!」とステージから爆発音まで上がる大盛り上がりを見せた。
いよいよDAY2も締めくくり。最後はアニサマ2022出演アーティスト全員で「Sparkle」を歌う。ペンライトが青春の青に染まる中、ジャンルも違う各アーティストが、それぞれ同じ振り付けで一つになっていく。中でも特に盛り上がったのは、「きゅんとしちゃうでしょ」のフレーズで小倉唯と石原夏織がステージ中央でハートを作った瞬間だ。いったい何人の「アニサマ」ファンが尊死したか測り知れない、最後にまだそんな爆弾が残っていたか!という感想だ。
改めて、長丁場だった『アニサマ2022 DAY2』。確かに去年の、人数制限の中で行われた『アニサマ』も『アニサマ』だった。しかし満員の埼玉スーパーアリーナを見て思う。やはりこれだけの大人数が入ってこその『アニサマ』だと。そして、これまでの日々を耐えて耐えて耐え抜き、ようやく勝ち取った場所がここであると、それは誇りに思っておきたい。まだまだコロナの感染拡大は収まっていない。そんな中で開催される音楽フェスなどに難色を示される方がいるとうのも、致し方ないことではあると思う。ただ、この場所に戻って来たくて、そしてそのために戦い続けてきた人々が、アーティストが、スタッフが、我々ファンがいるということは、ぜひ知っておいて欲しい。
まだまだ日常と呼べる日は戻っていない。けれどこうした感動の先に、本来我々が勝ち取ろうとしていた日常がある。そう信じているから、これからも戦い続けられる。今回のライブが、まさにそれを確信させられるようなライブだったことは間違いないのだ。
文・レポート=平原学
■『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-』DAY2 PHOTO GALLERY
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