『蝶々夫人』をベースした市原佐都子/Qの海外制作作品『Madama Butterfly』京都&城崎で日本初演

ニュース
舞台
2022.9.9
ノイマルクト劇場&市原佐都子/Q『Madama Butterfly』。 ©Philip Frowein

ノイマルクト劇場&市原佐都子/Q『Madama Butterfly』。 ©Philip Frowein

画像を全て表示(4件)


「第64回岸田國士戯曲賞」を受賞した『バッコスの信女 ─ ホルスタインの雌』を始め、特に女性の視点から見た現代社会への違和感を、ユーモアと痛みを交えて描き出す舞台に定評のある「Q」の市原佐都子。スイス・チューリヒの[ノイマルクト劇場]と共同制作した注目作『Madama Butterfly』が、京都と城崎(兵庫県)の2ヶ所で日本初演を果たす。

『Madama Butterfly』はその名の通り、プッチーニの名作オペラ『蝶々夫人』がベース。「アメリカ人軍人と恋に落ちた日本人女性の悲劇」という、西洋人男性の視点から日本人女性を描き出したこの作品とは逆に、日本人女性の視点から「西洋」と「男性」について考察する。ハーフの子どもを生むために、白人男性を追いかける日本人女性の姿を、映像を駆使した演出や、刺激的な笑いも交えながら描写。それによって、日本人──特に女性の西洋的な容姿へのコンプレックスや、西洋人から期待される“日本”像など、今もなおはびこる様々な偏見や先入観に、痛烈な疑問を投げかけていく。

ノイマルクト劇場&市原佐都子/Q『Madama Butterfly』。 ©Philip Frowein

ノイマルクト劇場&市原佐都子/Q『Madama Butterfly』。 ©Philip Frowein

2021年9月にスイスで世界初演を迎え、その後オーストリアやドイツでも上演。「西洋のフェミニズムの紋切り型と戯れてみせる勇気は、日本人女性は自らの解放のために、西洋のフェミニズムの助けなど必要としていないという、言外のメッセージを伝えている」(ヴィンダ・ミグナ)「ラディカルな設定により、文化的帰属についての議論を活発化する」(リサ・カマン)など、高く評価された。

ノイマルクト劇場&市原佐都子/Q『Madama Butterfly』。 ©Philip Frowein

ノイマルクト劇場&市原佐都子/Q『Madama Butterfly』。 ©Philip Frowein

日本では2022年2月に初演が予定されていたが、新型コロナウイルスの蔓延により延期され、ようやく実現されることに。現在市原が共同創作を行っている京都市の公立劇場[ロームシアター京都]と、芸術監督を務めている兵庫県豊岡市のレジデンス施設[城崎国際アートセンター]で、相次いで上演される。ちなみに兵庫公演は、平田オリザ(青年団)がフェスティバルディレクターを務める「豊岡演劇祭2022」ディレクターズプログラム作品となる。

私たちがうっかりと享受してしまっている感覚を「それ、おかしくないですか?」と、残酷なほど無邪気に問いかけてくる市原の世界は、人によってはかなりショッキングで、不愉快にすら感じるかもしれない。しかし私たちはそれによって、自分たちの“常識”を考え直し、予想もしなかった思考や答を得ることができる可能性もあるのだ。関西圏のみの公演となるが、幸いどちらも観光には事欠かない都市なので、旅行がてら足を運んでみてほしい。

ノイマルクト劇場&市原佐都子/Q『Madama Butterfly』。 ©Philip Frowein

ノイマルクト劇場&市原佐都子/Q『Madama Butterfly』。 ©Philip Frowein

公演情報

ノイマルクト劇場&市原佐都子/Q『Madama Butterfly』
 
■作・演出:市原佐都子
■出演:竹中香子、Yan Balistoy、Sascha Ö. Soydan、Brandy Butler(映像のみ) 
※推奨年齢中学生以上
 
〈京都公演〉
■日時:2022年9月15日(木)~17日(土) 15・16日=19:00~、17日=14:00~
■会場:ロームシアター京都 ノースホール
■料金:一般3,500円、25歳以下2,000円、18歳以下1,000円
■問い合わせ:075-746-3201(ロームシアター京都カウンター)
■公演サイト:https://rohmtheatrekyoto.jp/event/71136/

 
〈兵庫公演〉※「豊岡演劇祭2022」ディレクターズプログラム
■日時:2022年9月22日(木)~24日(土) 22日=19:00~、23日=14:00~、24日=11:00~
■会場:城崎国際アートセンター
■料金:一般=前売3,500円 当日4,000円、25歳以下&障がい者=各1,000円引 高校生以下=無料(要事前申込)
■問い合わせ:050-5527-7241(豊岡演劇祭フェスティバルセンター)
■公演サイト:https://toyooka-theaterfestival.jp/program-event/4555/

 
※この情報は2022年9月8日時点のものです。新型コロナウイルスの状況などで変更となる場合がございますので、公式サイトで最新の情報をチェックしてください。
シェア / 保存先を選択