『Fate』シリーズの奈須きのこ氏、映画評論家・蓮實重彦氏らは映画『グリーン・ナイト』をどう観たか? 14名のコメントが到着
映画『グリーン・ナイト』ポスタービジュアル (C)2021 Green Knight Productions LLC. All Rights Reserved
11月25日(金)公開の映画『グリーン・ナイト』をいち早く鑑賞した映画評論家、イラストレーター、作家らからのコメントが到着した。
『グリーン・ナイト』は、J・R・R・トールキン(『指輪物語』など)が現代英語に翻訳し、広く親しまれてきた作者不明の14世紀の叙事詩『サー・ガウェインと緑の騎士』を原典とした映画。デヴィッド・ロウリー監督(『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』)が脚色し、メガホンをとって映像化したものだ。
本作で描かれるのは、アーサー王の円卓の騎士の一人として知られる、ガウェインの物語。アーサー王の甥として、恵まれた環境で怠惰な日々をおくるサー・ガウェインは、まだ正式な騎士ではなく、人々に語れる英雄譚もない。そんな彼がクリスマスの日に、異様な風貌の“緑の騎士”から恐ろしい首切りゲームを提案される。その日から呪いと厳しい試練が始まった。気が触れた盗賊、さまよう巨人、言葉を話すキツネなど、生きている者、死んでいる者、そして人間ですらない者たちが次々に現れ、ガウェインの旅路を導いてゆく。
主人公・ガウェインを演じるのは『スラムドッグ$ミリオネア』や『LION/ライオン〜25年目のただいま〜』などで知られるデヴ・パテル。また、『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞に輝いたアリシア・ヴィキャンデルが、一人二役で共演。そのほか、ジョエル・エドガートン、ショーン・ハリス、バリー・コーガンらがキャストに名を連ねている。また、製作には、『ミッドサマー』や『ライトハウス』などのA24が参加している。
(C)2021 Green Knight Productions LLC. All Rights Reserved
(C)2021 Green Knight Productions LLC. All Rights Reserved
本作をいち早く鑑賞したのは、映画評論家の蓮實重彦氏のほか、画家・絵本作家のヒグチユウコ氏、『Fate』シリーズ原作者として知られるシナリオライター・小説家の奈須きのこ氏、ゲームクリエイターの小島秀夫氏ら。また、少女漫画家の山田南平氏、イラストレーター・たけもとあかる氏、アニメーション作家・ニヘイサリナ氏からは、本作をモチーフとしたイラストも到着している。
『グリーン・ナイト』に寄せられたコメント(順不同・敬称略)は以下のとおり。
蓮實重彦(映画評論家)
ごくさりげなく見えながら実は凝りに凝ったファーストショットから、傑作の予感がフィルムの全域に漂う。実際、新鋭デヴィッド・ロウリーのこの新作は、21世紀のハリウッドが実現した最初の、ことによったら最後になるかもしれない傑作というほかない。
奈須きのこ(シナリオライター・小説家)
これは胸躍る冒険ではなく、胸を裂く巡礼の旅。
あまりにも難解な、しかし美しい幻想絵画。
怠惰なる若者よ、緑の騎士の問いに答えよ。
こがけん(芸人)
オーマイガー…なんて面白いんだ!
長い間決断を放棄してきた男の、真の覚悟が試される冒険譚。
魔法や呪いが機能する、ファンタジー好きにはたまらない壮大な世界観のなかで、まったく先の読めない旅が繰り広げられる。
もしやこれは悩める男の夢うつつな妄想ロードムービーなのか…!?
この上なく切れ味鮮やかなラストを、あなたは絶対に見逃してはいけない。
ヒグチユウコ(画家・絵本作家)
トールキン好きは必ず観てほしい。
アリシア・ヴィキャンデル、バリー・コーガンも好きな私には更に最高でした。
夢の中の2時間、ぜひ映画館にGOです!
小島秀夫(ゲームクリエイター)
高純度な世界観、絵画的なルック、荘厳な音楽!
右脳で体感する映像美学による幻想冒険譚!観賞後には、消化出来ない“緑”が胎内に残り続けるに違いない。それぞれが抱える“試練”と共に、長く寄り添うことになる。“ア・ネバーエンディング・ゴースト・ストーリー”。これはゴール無き放浪映画だ。
深緑野分(作家)
ねじれて見えても案外、紐解けば真っ直ぐだったりする。
見事な映像美と刺激的なストーリーテリング、骨の太い成長譚。面白かった!
上田文人(ゲームデザイナー)
‟弱さ”も含む人間味溢れる主人公による叙事詩。
子ども向けではないファンタジー。
喩えるならバターではなくハーブ…そんなところがA24らしい良い映画です
上田航平(ゾフィー)
言葉にできない教訓が幾つも刻まれたような感覚。これぞ千年を超えた昔話の貫禄。
中田クルミ(俳優)
A24×歴史ファンタジーなんて、考えただけで興奮しすぎて脳汁が溢れ出る!
時代も場所をも超えて愛され続けた『アーサー王物語』を重厚な映像美とダークな音楽、そして壮大な自然の中で描かれる。
中世絵画の世界に飛び込んだような世界は息を呑むほど美しければ、突然身体が凍りつくほど恐ろしい。
観た人の数だけそれぞれの解釈が溢れるような、不可解で底知れぬファンタジーを私は心の底から愛している。そう改めて思える作品だった。
丸屋九兵衛(万物評論家/ファンタジー愛読者)
我々が初めて目にする南アジア系のガウェイン!
終盤の展開に原典愛好家としてはドキドキするが……ああ、そういうオチか。素敵!
OSRIN(映像作家/アートディレクター)
突きつけられたものに説明などいらない
ただの脳の神秘な幻想だった
山田南平(少女漫画家)
ラストの緑の騎士が優しすぎてパパって呼びたくなりました。
たけもとあかる(イラストレーター)
画面を横切るひとつひとつが不穏に謎めいて美しく、息を詰めて観ました。
ニヘイサリナ(アニメーション作家)
シネマトグラフィーが壮大でとても美しく、映画でしか表現出来ないキングアーサーの神話性を監督らしく表現している作品だと思いました。コスチュームデザインも魅力的でしたが、個人的にはバリー・コーガンが出演していたことが嬉しかったです。
たけもとあかる氏による『グリーン・ナイト』イラスト
ニヘイサリナ氏による『グリーン・ナイト』イラスト
山田南平氏による『グリーン・ナイト』イラスト
『グリーン・ナイト』は11月25日(金)TOHOシネマズ シャンテ ほか全国ロードショー。