ついに現地取材敢行! ナノンやScrubbらが出演したタイの野外フェス『CAT EXPO』をFM802 DJ土井コマキがレポート
ナノン・コーラパット 撮影=Yoko Sakamoto
LEO presents CAT EXPO 9 11.12(SAT)〜13(SUN) ワンダー・ワールド・ファンパーク
土井コマキ
ついに行ってきました。パソコンの前で憧れ続けた国、タイランド。コロナ禍で新しい趣味を見つけた人も多いと思うのですが、私の場合はタイカルチャーでした。タイのことなら何でも知りたくなって、雑誌のメルマガ登録をしたり、タイのラジオも聴いてみたりする。当然だけど言葉が分からないから、ラジオを聴いたところで何も分からない……。でも、そこで流れる音楽が結構いい! もちろんタイの音楽フェスにも行きたくなるわけです。そのうちのひとつ、CAT RADIOというラジオ局が主催している『CAT EXPO』に、ついに行って参りました。タイ語が全く分からないゆえ、自分のフェスやライブの経験値から想像で埋める部分も多かったのですが、色んなことに勝手に共感出来て嬉しかった!
入り口からも観覧車が見える
『LEO presents CAT EXPO 9』は2022年11月12日(土)、13日(日)の2日間開催されました。会場はバンコク郊外の、今は営業していないワンダー・ワールド・ファンパークという遊園地。中心部からはタクシーで30分くらいで着きました。(混雑していると2時間くらいかかることもあるのだとか。ラッキーでした。)リストバンドをつけてエントランスをくぐると、まず目に飛び込んできたシンボリックな観覧車に、テンションが上がる。ネットを徘徊しては目にしていたあの観覧車。本当に『CAT EXPO』に来たんだなぁと、2日間、見るたびに何度も感動が込み上げました。
トートバッグをゲット
まずはアーケードのあるメインの通りを抜けて、CAT RADIOの皆さんにご挨拶。CAT RADIOの物販も可愛い。結局迷いに迷って、トートバッグとTシャツを購入。この通りには、天井からポップなオリジナルのテキスタイルで出来た大きな飾りがぶら下がっていて、これが風を孕んで揺れていて、心地よく心も踊ります。夜も夜でこの赤色が華やかでドラマチックだったなぁ。
アーケードの大きな飾りをバックに。タイの人たちは、何でこんなにポージングが上手なの?
お客さんは遊園地というロケーションもあって、アウトドアファッションやいわゆるフェスファッションのような非日常なものではなく、カジュアルファッションが多い印象。スカートをオシャレに着こなしてるちょっとモードなボーイも。会場で買ったアーティストTシャツを着ている人もたくさん。すぐ着たいよね。分かる!
ラストアイドルブースの様子
それもそのはず。この『CAT EXPO』の目玉のひとつは、MARKETと名付けられたアーティストの物販エリア。これが異常に広い。ほとんどのアーティストがブースを出店していて(レーベルでの出店などもありました)、もはや物販ブースというよりは、アーティストとファンの交流スペースという趣き。アーティストから直接グッズやCDを買ってサインをしてもらったり、写真を一緒に撮ってもらったりできてしまうんですよね。距離感が近いよ、タイランド。アーティストたちもそれを楽しんでいる様子。ライブと同じ熱量で盛り上がっていました。常にどこかに行列ができている印象。デコレーションに力が入ってるブースもあれば、そっけないブースもある。各アーティストのキャラクターが反映されているようで、見ているだけでもおもしろい。
ATMカー
ついつい買いすぎても大丈夫。銀行のATMカーも来ていますのでご安心ください(笑)。とはいえ、ほぼQRコードがあってキャッシュレス。このコードはスマホを使って銀行口座から直接振り込むためのサービスらしいです。タイに口座がない私たちには使えませんが、かなり普及しているみたいです。
日本のフェスでも取り入れて欲しいと強く思ったのが、トイレカーです。トラックのようなコンテナカーのような大きな車があって、そこに入ると、トイレの個室がズラリ。石鹸もペーパータオルも消毒液も冷房も完備されていて、とっても清潔で快適。ちなみに『CAT EXPO』は遊園地をそのまま使っているので、施設のトイレもとても綺麗でした。
辛そうな赤い看板
フェス飯にもそのイベントのカラーが出ると思うのですが、『CAT EXPO』は学生など若い世代の音楽ファンにも愛されているのかなと想像しました。というのがフードも安い! 辛そうなハムを買ってみたのですが……実際、本当に辛かったです! 参った! 美味しいなぁと思ったのは、甘くて冷たいタイティー。疲れた体を回復してくれます。タイの気候で飲むと、こんなに美味しいのかと感動して2日とも飲んでしまいました。
ステージ1をバックに
あとは、ステージ前のスタンディングゾーンが左右に2つに分かれていて、片方は年齢チェックで貰ったリストバンドをつけている人だけが入ることができるエリア。お酒はその中でのみ販売され、エリア外に持ち出すことが出来ません。見回っているガードマンもいて、ちゃんとしてるなという印象です。
さて、メインステージは4つ。およそ100組が出演。さらにオーディションによって選ばれたアーティストが出演する、「DRIVE STAGE BY ISUZU」というステージもありました。その年によって、ステージの構成は変化してきたようですね。超有名アーティストや、アイドル、俳優もいれば、これからビッグになっていくであろうインディーズアーティストまで幅広くセレクトされています。
ISUZUがスポンサーのニューカマーのステージも
実は、CAT RADIOにはBedroom studioという、レーベルに所属していないアーティストが誰でも音源を送ることができる、夢のある専門番組があります。そして、その番組出身のアーティストが出演するためのステージが以前は有ったそうです。たくさんの番組出身アーティストがビッグになり、そこにラインナップされるべきアーティストが増えすぎたこともあって、今は、あえてそのステージはやめて、全てのステージに番組出身アーティストがいるという状態を作っているそうです。『CAT EXPO』そしてCAT RADIOのトゥック チーフクリエイティブにお話を聞くと、ラジオ番組でもフェスでも大切にしたいのは「attitude(態度)」、「variety(バラエティ)」、「chance(チャンス)」、「relationship(関係や繋がり)」と言います。
CAT RADIOのみなさん
「私たちが選び届ける音楽は、リスナーが生み出すものに反映されるのだということをいつも話し合っています。もし自分たちが放送する音楽をバラエティー豊かなものにすれば、リスナーはもっと色んな音楽を聴き、多くのものを観ることができる。それは、リスナーに選択肢を増やすことになります。もし新しいものを聴いて良いと思ったら、おそらく生活も少し変わる。選択肢を豊かにすることは、リスナーを発展させることにつながります。さらに、自分たちが良いと思った音楽なら、無名であってもオンエアするということは、アーティストにとってはチャンスです。小さなチャンスかもしれないけど、そのあとレーベルとの契約につながるかもしれない。ステージに立つチャンスを与えることで、たくさんの人に観てもらえるかもしれない」
異常に盛り上がるMARKETについても聞いてみました。
「『CAT EXPO』は、アーティストとオーディエンスが会って、お互いに良い関係を築くことを大切にしています。そのため、コンサートと音楽マーケットという2つの軸を設けています。MARKETは、このフェスティバルで、私たちのハートと言えます。アーティストは良い音楽を作り、それを対面してファンに手渡しします。インターネットやオンラインストリーミングから音楽を聴けるようになっても、人々がお互いを助け合う手段が必要だと私たちは信じています。顔を合わせることで、より精神的に親密に影響しますし、応援する姿勢を見せることは、アーティストたちに誇りを持たせることとなります。もし誰かを好きなら、その人に好きだと伝えるべきです。ぜひフェスに足を運んで「Hey! 来たよ。あなたの音楽が好きだから、あなたをサポートするために、あなたのCDを買うよ!」と直接、態度で示してあげて欲しいです。」
DEPTのメンバーから直接グッズを購入したファン
話を聞いていて、アーティストやリスナーへの思いが熱くて、音楽以上に波及する何かにも目を向けているようで、泣きそうになりました。それだけに、直面している問題はたくさんあると思う。それもこれも全部私たちFM802と似通っている気がして、手を取り合って協力して発展していけることもあるのではないかと強く思いました。
何組か出演アーティストにも話を聞くことができたのですが、そんな運営側の気持ちは、しっかりと出演アーティストやオーディエンスにも届いていると感じました。
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