水樹奈々が今語る、有観客ライブ『HOME』と『RUNNER』にかけた想い 『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』リリース直前インタビュー

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2022.12.20
水樹奈々

水樹奈々

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ライブBlu-ray&DVD『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』が12月21日にリリースされることとなった。2022年1月にさいたまスーパーアリーナにて2DAYS開催された『NANA MIZUKI LIVE RUNNER 2020 → 2022』と同年7月から8月にかけて全10公演が行われた『NANA MIZUKI LIVE HOME 2022』、二つのライブを一つにパッケージしている。エンターテイメント業界全体が大打撃を受け、そこにやっと明るい兆しが差し込んだ中で水樹奈々が何を見せたのかが確認できる重要なBlu-ray&DVDとなっている。今回、SPICEでは本作リリースを直前に控えた水樹奈々へのインタビュー。果たして彼女がこのライブを通して見せたかったものはなんなのか、開催して感じたことはなんだったのかを存分に訊いた。

■久々のライブBlu-ray&DVDリリース、“あの作業”には懐かしさも感じた

――ライブBlu-ray&DVD『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』が間もなくリリースとなります。まずは今の率直なお気持ちからお聞きしたいと思います。

待ちに待った瞬間がきた! という感じです。長らく開催できていなかった有観客ライブが今年2022年にやっと開催できて、その様子をおさめたBlu-ray&DVDが年をまたがずにリリースできる。本当に嬉しいです。

――有観客ライブを収録したBlu-ray&DVD、リリースは2年以上ぶりとなります。懐かしさを感じた瞬間もあったのではないでしょうか?

ありました。特に、副音声として収録されるオーディオコメンタリーの収録はフルライブでは久しぶりで。収録は三時間喋り通しで、ラジオと違って途中にCMも曲を聴くというポイントもない。オーディオコメンタリーならではのハードさがあって(笑)。

――すごく過酷な作業だという印象を受けたのですが……。

その過酷さも愛しく感じました(笑)。実はオーディオコメンタリーの収録って、私にとって初めて完成したライブ映像を見るタイミングでもあるんです。なので、どうしても映像に見入って黙りそうになってしまうのですが、そこをグッと堪えて喋り続けています(笑)。

――その気持ち、よくわかります。水樹さんがそれだけ身を削って収録した副音声、皆さんに届くといいですね。

是非! 深夜ラジオ的な緩い楽しさが詰まっていると思いますので楽しんでもらえると嬉しいです。

――“深夜”ラジオなんですね(笑)。

真剣に聞くというより、皆さんにはくつろぎながら、お酒やお菓子をつまみつつ聞いてほしいです(笑)。ライブのコメントはもちろんしていますが、脱線しまくっているところも多々あるので(笑)。

――それはそれですごく気になります(笑)。Blu-ray&DVDならではの特典として、今作ではメイキング映像もふんだんに収録されます。

『HOME』と『RUNNER』共に約一時間のメイキング映像が収録されます(笑)。その中で、セットリストに込めた想いや衣装の解説なども行っていますので、こちらを見て本編を観ていただくと、より楽しんでいただけると思います。


■『RUNNER』と『HOME』は一つの物語として繋がったライブ

――改めて、今回収録されるライブ『RUNNER』と『HOME』について伺いたいです。水樹さんの中でこの2本のライブに繋がりを感じる部分はあるのでしょうか?

コロナ禍で、長くライブができない時期を経て、やっと開催できたのが『RUNNER』。その『RUNNER』を受けて、その時の気持ちを曲を落とし込んで制作したのがアルバム『DELIGHTED REVIVER』、それを提げて開催したのが『HOME』なので、この2つのライブは物凄く繋がっています。

――今回のBlu-ray&DVDを通して見ることで、その物語の大部分を感じることができると。

はい! 2022年の水樹奈々がギュッと詰まっています!

――それは間違いないと思います。改めて、『RUNNER』のお話から聞ければと思います。こちらはアーティストデビュー20周年を記念したライブということです。

はい。とにかくみなさんに感謝の気持ちを届けられるステージに、そして一緒に“お祭り騒ぎ”ができるステージにしたいと思っていました。20年間の歩みと、さらにこの先も走り続けていくという決意表明を感じていただける、水樹らしい力強いライブにしたくて。

――確かに力強さがすごかったです。MCでも「声を出したくなってしまうようなセットリストになっています」というお話もされていましたね。

本来は皆さんと一緒にコール&レスポンスができるイメージで構成していたので…。それがまさか2年延期になり、声出しもNGに…。

――実に残念なお話だと思います……。今回収録された2022年開催の『RUNNER』、2020年に予定していたセットリストと変更があったのでしょうか?

ほぼそのままのセットリストです。本来はツアーだったので、日替わり曲を沢山準備していたため、そこからどうチョイスするかを悩みました。

――なるほど。そういった流れもあり、これだけアッパーで声出しをしたくなるセットリストになっているんですね。

このセットリストで声出しNGだなんて! 水樹鬼! と思われてしまったかもしれません…みなさんスミマセン!(笑)

『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』Blu-rayパッケージ

『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』Blu-rayパッケージ

■スタートの瞬間からエネルギー全開、手加減ナシで歌っています!

――心苦しいとは思いますが、致し方ないですね……。一度中止となってしまった『RUNNER』、2022年に改めて開催されることが決まった時のお気持ちもお聞きできればと思うんですが。

とにかく嬉しかったです! 今回のBlu-ray&DVDには収録されていないのですが、DAY1のオープニングでは込み上げてしまって。舞台に上がってみなさんが振ってくださる青く光るペンライトを見たら感情が爆発してしまいました。披露したのは「Synchrogazer」なので全然泣く曲じゃないんですけどね(笑)。

――あれだけアッパーな曲の中でも溢れそうな涙、込み上げてきた感情の大きさを感じます。

コントロールできませんでした。絶対終わるまでは泣かない、そう決めていたのに、はじまった瞬間ダメでした(笑)。

――それだけ待ち侘びていた瞬間だったということですよね、仕方がないと思います。

コロナ禍の約2年間、最低限の人としか会わない日々を送っていました。なので、リハーサルが始まって、大人数でスタジオに入るのも久しぶりでしたし、目の前にあんなに沢山のみなさんがいる姿を見るのも2年ぶりで、もういろんな感情が込み上げて大変なことになっていました(笑)。

――DAY1では抑えきれない感情があったというお話でしたが、今回収録されるDAY2はどんな気持ちで臨んだのでしょうか?

DAY2はとにかく全力で楽しもうという気持ちでした。『HOME』の開催も決定していましたが、何が起こるかわからない状況が続いていたので、この奇跡のような時間を余すところなく全身で味わいたい! と。

――DAY1 とDAY2、気持ちの面ではかなり違いがあったんですね。収録されているDAY2の映像で、注目ポイントを一つ挙げるとしたらどこになるのでしょうか?

難しいですね…全てがクライマックスみたいなライブなので…(笑)。強いて挙げるならやっぱりオープニングですね。みなさんに最高の時間を過ごしていただけるよう、スタートの瞬間からエネルギー全開、手加減ナシ!エネルギーの塊のような水樹を感じていただけたらと思います。

――いいですね! スタートの瞬間から最後までエネルギー全開のまま突っ走ったと。

もうずっとフルパワーです! 実を言うとDAY1の時は体力的な不安があったんです。ステイホームで運動量も落ちていましたから、メンバー一同、この激しい長時間のステージを乗り切れるんだろうかと思っていました。でも実際は、どんどん細胞が活性化して、終始大暴れ(笑)。なのでDAY2は不安も吹き飛び、ガンガン攻めていくことができました。

――DAY1での経験値も活かされているということですね。

リハーサルだけでは目覚めない、ライブ専用の筋肉みたいなものがあって(笑)。DAY2ではそのライブ専用筋肉も開始時点で覚醒していた感覚があって、羽根が生えたように身体が軽やかでした。

■ライブは“家”、つまり“HOME”なんだと感じた

――ここまでライブ『RUNNER』について伺ってきました。そんな『RUNNER』で感じたことを歌に込めたのがアルバム『DELIGHTED REVIVER』というお話をされていましたね。

『RUNNER』を経て、コロナ禍で停滞してしまったエンターテイメントを元気づけていきたいと強く思ったんです。その想いを曲に込めて作ったのがアルバム『DELIGHTED REVIVER』。タイトルは“喜びいっぱいで復興させる人”という意味で、私自身がなりたい姿を現しています。

――そしてこのアルバムを提げて行ったのがライブツアー『HOME』だったというお話しでした。タイトルはどのように決めたのでしょうか?

『RUNNER』を通して、ライブは私にとって1番自分らしくいられる場所、ホームグラウンドだと感じたんです。大好きな人と過ごすことができて、ホッコリ温かい気持ちにも、刺激を受けて熱くもなる。まるで実家のような場所。みなさんにとってもそういう場所であると良いなという想いを込めてつけたのが『HOME』というタイトルです。

――お客さんに感じてほしいことを言葉にしたら『HOME』になったと。披露する楽曲はどのように決めていったのでしょうか?

まず考えたのは、ライブ定番曲からスタートしたいということ。『HOME』はツアーとしては約3年ぶりの開催。そのためか、私のラジオ番組宛に「あの頃のように楽しめるのか不安……」というメッセージがたくさん届いていたんです。そんなみなさんの不安をどうしたら吹き飛ばせるのか、考えた結果行き着いたのが、定番曲始まりのライブ。先程ライブ筋の話をしていましたが、馴染みのある曲が流れてくると、自然とスイッチが入って、リラックスして楽しんでもらえるのではと思ったのと、“HOME”というコンセプトにピッタリなんじゃないかなと。

――なるほど、そんな狙いがあったとは……。そして流れは段々とロック調の楽曲に移っていきます。

『HOME』という言葉からイメージを広げていった結果、険しい旅を経て家路につく旅人の姿が浮かんで。コロナ禍という過酷な状況を経てここまで辿り着いた=険しい旅とリンクさせて。そこから、舞台セットをアメリカ西部から南部の要素取り入れたものにしたいと考え、骨太なバンドサウンドや、ブラスが入ったものをセットリストに組み込んでいきました。

■皆さんの前で披露することで楽曲は成長していく

――ビジュアルのイメージから楽曲が決まっていったということですね。『HOME』はアルバム『DELIGHTED REVIVER』から披露する曲も多かったと思います。中でも注目してほしい曲はありましたか?

やっぱり「全力DREAMER」ですね!

――なるほど、こちらは水樹さん自身で作詞をされた曲ですね。

この曲は私の地元愛媛の情報番組のテーマソングになっているのですが、作詞をする際、今1度自分が歌で何を届けたいのかを考え、「歌手になりたい!」という夢を全力で追いかけていた子供の頃の気持ちを思い返しながら作っていきました。コロナ禍で色々なことが制限されてしまい身動きのとれない日々が続いていますが、心の自由までは奪えない。どんな状況でも夢を見続けることを諦めないでほしい、夢や目標に向かって頑張っている方の背中を少しでも押せたら、そんなメッセージを込めた応援歌になっています。

――そんなメッセージがいかにお客さんの前で披露されたか、確かに見応えのあるシーンだと思います。その瞬間のお客さんのリアクションを見ていかがでしたか?

『HOME』ツアーは発声NGでの開催だったのですが、この曲ではペンライトだけでなく手拍子で応えてくださって。本当に感動しました。同時に、ライブを通して曲が育っていくのも感じることができて嬉しかったです。

――曲が育っていく、ですか。

曲ってスタジオという狭い空間で生まれるじゃないですか。でも、その瞬間にはまだ完成していないと思っていて。皆さんの前で、披露することでようやく誕生し段々と育って成長していくというか……なんか子育てに似ているのかなと。子供が人前に出ることで育つように、曲も人前で披露していくことで成長していく。

――すごく興味深い話ですね。

実は私、ライブで楽曲を初披露する瞬間を“公園(公演)デビュー”って呼んでいて(笑)。

水樹奈々

水樹奈々

■ライブが終わったあとは「あー!スッキリした!」と言いたいし、言ってもらいたい

――それはすごくぴったりな言葉ですね。使ってみたくなります。ここまで、今回収録となる二つのライブについて聞いてきました。改めて、水樹さんにとってライブとは?ということを伺いたいと思います。

難しい質問ですね……。

――そうですよね。具体的に言うと、まずお伺いしたかったのが、ライブに臨む時の心構えです。こういう気持ちでライブに臨んでいるなど、心がけていることはありますか?

家族や身近な仲間たちなど大好きな人達と一緒にすごすような、スペシャルだけどリラックスできる空間を作れたらと考えています。というのも、私自身すごく生真面目な性格で……。「きっちり見せるぞ!」と肩に力が入ってしまうと、すごく硬い、かしこまったライブになってしまうと思うんです。それはみなさんにとって楽しいものではないかもしれないと思って…。

――リラックスして臨むことが、結果的にお客さんにとっても楽しいライブになると。

はい、なのでライブ中は、家族や親しい友達の前で過ごす時のように、自然体でいることを心掛けています。全て曝け出して、日々溜まったストレスをみなさんと一緒にデトックスして、全部お焚き上げする(笑)だから終演後は最高に軽やかでエネルギーに満ちています。毎回「あー!楽しかった!スッキリした!」と言えるように、そしてみなさんにも言っていただけるように全力全開です!

――お焚き上げ、いいですね。するとライブが開催できない数年間、色々なものがお焚き上げでないまま溜まっていたのではないでしょうか?

溜まっていましたね(笑)。そんな時期を経て改めて感じたのは、ライブは多くの奇跡が積み重なってできあがっているということ。改めて、開催されるライブの一つ一つを、これが最後かもしれないという気持ちで臨むようになりました。

――ライブが開催される尊さを痛感したと。そんな貴重なライブ、次は2023年明けてすぐに控えています。

『LIVE HEROES』ですね! 来年の1月21日22日の二日間開催で、両日セットリストがガラッと変わる予定なので楽しみにしていてください! 曲数が多くて準備はすごく大変ですが頑張ります!!(笑)。

――両日参加したくなりますね。まだ言えない部分が多いとは思いますが、ちょっとだけライブの内容をお聞きできたりは……。

“ヒーロー”がテーマなので、様々な作品に寄り添い制作された曲が沢山登場します!まるでベストアルバムみたいなライブかもしれません!

――期待値が高まりますね……! 今回の『LIVE HEROES』への予習にも『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』は大いに役立つのではないでしょうか?

もちろんです! 実は今回の『HEROES』というタイトル、『DELIGHTED REVIVER』のジャケットからきているんです。あのジャケットのコンセプトは「異世界から舞い降りたヒーロー」。なので、『RUNNER』『HOME』とも縁深いライブになると思います!

――『RUNNER』『HOME』『HEROES』3公演続けて楽しんでほしいということですね!

是非! あと、今回のライブはパンチのあるセットリストになっておりますので体力勝負になります!『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』を見てしっかり身体を温めて来ていただければと思います(笑)。足腰、大事ですよ!!(笑)

インタビュー:一野大悟

リリース情報

水樹奈々『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』

2022年12月21日発売
■Blu-ray:
価格:10,890円 (税抜価格9,900円+税)
4枚組
初回特典:SPECIAL BOX
■DVD:
価格:10,890円 (税抜価格9,900円+税)
6枚組
オフィシャルサイト:https://www.mizukinana.jp/

ライブ情報

『NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023』

■日時:
2023年1月21日(土) [開場]16:00/[開演]18:00
-LIGHTNING MODE-
2023年1月22日(日) [開場]15:00/[開演]17:00
-BLADE MODE-
■会場:さいたまスーパーアリーナ
料金:9,900円(税込)
■お問合せ先:キョードー東京
TEL:0570-550-799(平日11:00~18:00 / 土日祝10:00~18:00)
【料金】
全席指定 ¥9,900(税込)
※未就学児童入場不可。
※お一人様2枚まで。
※本受付は[先着順]ではなく[抽選]です。
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