シド、1年2ヵ月の空白を一瞬で埋めた復帰ライブ初日レポート 「どれだけ時間が経っても、オレはライブのために生きてるし、ライブに生かされてる」

レポート
音楽
2023.1.26
シド

シド

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ID-S限定 SID LIVE 2023 ~Re:Dreamer~
2023.1.21 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

およそ1年2ヵ月ぶり、シドがライブの現場に帰って来た。マオの喉の不調による休止期間を乗り越え、待ち続けたファンに元気な姿を見せるために。そしてここから始まる結成20周年のアニバーサリーに向けて、スタートアップの号砲を鳴らすために。2023年1月21日と22日、LINE CUBE SHIBUYAで開催された、シドのオフィシャルメンバーズクラブ「ID-S」の会員限定『SID LIVE 2023 ~Re:Dreamer~』の、初日の模様をレポートする。

紗幕で遮られたステージに青い闇が揺れ、静かな波音が響く。やがて明希のベース、Shinjiのギター、ゆうやのドラム、そしてマオの歌と、一つずつ音が重なるたびにメンバーのシルエットが浮かび上がる。ゆっくりと紗幕が上がり、1年2ヵ月ぶりに4人がステージに姿を現す――。1年2ヵ月の空白を一瞬で埋める、これが唯一無二のシドの存在。静寂からエモーショナルの高みへ、荘厳なドラマ性に満ちた1曲目「海辺」から、翳りあるメロディとマイナーグルーヴでじっくり聴かせる「紫陽花」へ。スリリングな変拍子を織り込んだフュージョン調の「KILL TIME」へ。ゆうやが堅実にリズムを支える。明希とShinjiが前に飛び出してソロを決める。そしてマオが、ファルセットを交えた艶やかな歌を響かせる。曲が終わると、“やったぜ!”と言うかのようにフロント3人が高く指をかざす。間違いない。シドが帰って来た。

マオ

マオ

「こんばんは、シドです。約1年以上振りの活動再開ということで、みなさんお待たせしました。オレたちのことをずっと一番近くで応援してくれたID-Sのみんなと、最高の1年のスタートを切れそうな気がします。最後までよろしく」(マオ)

少し懐かしい曲を――。マオが「ミルク」のタイトルを告げた瞬間、思わず客席から声が漏れる。アダルトでメロウな、物憂げなグルーヴが体を揺さぶる。「hug」はゆうやと明希のどっしりしたロックビートに乗せた、Shinjiのブルージーなソロがかっこいい。マオのhugポーズも愛らしい。「刺と猫」もマイナーグルーヴのフュージョン調の曲で、マオに寄り添うもう一つの歌声のような、Shinjiのギターの存在感が絶大だ。明希、マオ、Shinjiが寄り添って見せ場を作る。マオが左右に動き回り、スキャットで盛り上げる。久々のステージだが緊張や不安はない。水を得た魚のように生き生きと歌う、シドのマオがそこにいる。

Shinji

Shinji

ライブ中盤のインストによるソロパートは、ゆうや、明希、Shinjiの3人でたっぷり10分以上。ゆうやは変幻自在に緩急つけて、明希はプログレッシブなハードロック、Shinjiはスムーズなフュージョンロック。それぞれのプレイヤビリティの高さを見せつけたあと、再び4人に戻って「涙雨」へ。静かに燃える炎の演出をバックに、せつなくドラマチックに聴かせるロックなワルツ。ライブ前半、じっくり聴かせる曲を並べてシドの帰還を、何よりマオの復活をしっかり確かめる。セットリストに込めたバンドの意図は明白だ。

「シド20周年、今日この瞬間からスタートです。久しぶりに見るこの景色、本当に最高です。この拍手を1年間待ち望んでいました。今日を最高の夜にしましょう」(明希)

「僕らがバンドを始めた時は、自分が自分が、というものがあったんですが、20年やってきて、みなさんの歴史の1ページになっているんだなと思うと、一回一回のライブを大事にしたいと思うようになりました。今日も、みなさんの素敵な1ページになったらいいなと思って最後まで頑張ります」(Shinji)

「僕らが出てくる前に、ドキドキして待ってて、緊張して、出て来て安心して、泣きそうになってとか、ありますよね。価値の大きさをすごく感じます。やっぱり大事な場所だということを感じながら、今日このステージに立っています」(ゆうや)

「20年前のオレたち、ギラギラしてたな。今もまあまあギラギラしてるけど(衣装のスパンコールのキラキラに引っかけてか?)、もっともっとギラギラしてた。あれから20年経って、こうしてステージに立っていられることがすべてなんじゃないかと思ってます。どうもありがとう」(マオ)

明希

明希

真面目にしゃべっている明希に、マオがちょっかいを出して笑い合う。「後半は盛り上がって行こう。行けるか!」と叫んだあと、「この“行けるか!”のトーンが懐かしいね」とマオが自分に突っ込む。激しさと楽しさとあたたかさをかき混ぜて、曲は「アリバイ」から「夏恋」へ。久々の手振り、久々のジャンプ、客席の一体感を煽るように、マオが客席最前列のぎりぎりまで身を乗り出して歌っている。誰もがこの場にいる幸せをかみしめている。

「楽しんでる? オレたちは見ての通り、めちゃめちゃ楽しんでます。いっぱい楽しんで、いっぱいいろんな思い出を持って帰ろうね。いいかい?」(マオ)

そんなに叫んで大丈夫か?と思うほど、激しいマオのシャウトが聴けた「CANDY」。明希が強烈なスラップを決め、Shinjiとの息の合ったパフォーマンスを見せる「MUSIC」。そして猛烈に吹き上がる炎の中、ヘッドバンギングで客席が揺れた「プロポーズ」。息をも付かせぬアッパーチューンの連発で締めくくる、これが2023年1月のシドの現在位置。これが結成20年のバンドの底力。

ゆうや

ゆうや

「アンコール、どうもありがとう。バンドを始めた頃はアンコールをやることにすごく憧れがあって、今は当たり前のようにやらせてもらってるけど、当たり前じゃないんだなって思った、ここ1年数ヵ月でした。待っててくれてありがとう」(マオ)

アンコール1曲目「君色の朝」を歌い終えたマオが、4月から始まる『SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」』の開催を告げる。「そのツアーから声出しOKにしようと思います」という言葉に、盛大な拍手が湧いた。誰もが待ち望んだ状況が戻って来る。ゆうやがツアーへの抱負を語っている最中に、明希とマオが全然違う話題で盛り上がって、ゆうやが拗ねている。そんな何気ないシーンさえ愛おしい、シドの日常=ライブの日々がついに帰って来る。

最後は「ドラマ」、そして「Re:Dreamer」と明るいアップテンポをたたみかけ、金銀テープの発射、全員参加のクラップ、拳の振り上げ、ヘッドバンギング、ステージの上も下も一つになっての盛大なフィナーレ。そして記念撮影。誰もが笑ってる。20周年という新たな旅が始まった喜びを、誰もが実感してる。

「今日は本当に素敵な思い出をいただきました。ありがとう!」(Shinji)

「今年のシドは最高のバンドになってみせます。最後までついてきてください。愛してるぜ!」(明希)

「わかってたけどさ、最高だよね。20周年は始まったばかり、これからいろいろなことが起きると思いますが、ついてきてくださいね」(ゆうや)

「どれだけ時間が経っても、オレはライブのために生きてるし、ライブに生かされてるんだなって思いました。最高のライブでした。どうもありがとう」(マオ)

4月から始まる『SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」』。そして7月からは『SID EVENT TOUR 2023』の開催も決まった。変わらぬシドと変わり続けるシド、その両面を見せながら突っ走る20周年のアニバーサリー。お楽しみはこれからだ。


取材・文=宮本英夫 撮影=今元秀明

 

セットリスト

ID-S限定 SID LIVE 2023 ~Re:Dreamer~
2023.1.21 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

01. 海辺
02. 紫陽花
03. KILL TIME
04. ミルク
05. hug
06. 刺と猫
07. Instrumental

08. 涙雨
09. アリバイ
10. 夏恋
11. CANDY
12. MUSIC
13. プロポーズ
<ENCORE>
14.君色の朝
15. ドラマ
16. Re:Dreamer

ライブ情報

SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」
2023年4月1日(土) KT Zepp Yokohama
2023年4月9日(日) Zepp Fukuoka
2023年4月14日(金) Zepp Nagoya
2023年4月16日(日) Zepp Osaka Bayside
2023年5月4日(木・祝) Zepp Sapporo
2023年5月6日(土) SENDAI GIGS
2023年5月13日(土) Zepp DiverCity TOKYO

【ID-S BASIC会員優先予約】
受付期間 2023年2月1日(水) 12:00~2月7日(火) 16:00
※2023年1月30日(月)時点でID-S BASIC会員の方が対象となります。

料金】
1Fスタンディング ¥7,500(税込/ドリンク代別)
2F全席指定 ¥7,500(税込/ドリンク代別)
※4才以上有料


SID EVENT TOUR 2023
2023年7月23日(日) Zepp DiverCity TOKYO
2023年7月30日(日) Zepp Nagoya
2023年8月12日(土) Zepp Fukuoka
2023年8月13日(日) Zepp Osaka Bayside
2023年8月26日(土) Zepp Haneda(TOKYO)
2023年9月2日(土) SENDAI GIGS
2023年9月18日(月・祝) Zepp Sapporo
※詳細は後日発表

リリース情報

20周年アニバーサリーBOX
2023年3月29日発売

【完全生産限定盤(CD15枚組+Blu-ray+グッズ)】
KSCL 3420~36 ¥33,000(税込)
<CD 収録内容> 全15枚組
[Disc 1] 憐哀-レンアイ-
[Disc 2] 星の都
[Disc 3] play
[Disc 4] センチメンタルマキアート
[Disc 5] hikari
[Disc 6] dead stock
[Disc 7] M&W
[Disc 8] OUTSIDER
[Disc 9] NOMAD
[Disc 10] いちばん好きな場所
[Disc 11] 承認欲求
[Disc 12] 海辺
[Disc 13] Side A complete collection …
「ENAMEL」「White tree」「漂流」「delete」「ほうき星」「siren」「声色」「Star Forest」を収録
[Disc 14] Side B complete collection
~e.B 4~ … 「season」「泣き出した女と虚無感」「日傘」「怪盗ネオン」「歌姫」「cut」「すぐ傍で」「暖炉」「秋風」「
囮」「Graduation」「レイニーデイ」を収録
[Disc 15] Side B complete collection~e.B 5~ … 「走馬灯」「絶望の旗」「焼却炉」「CELEBRITY」「SENSE」「砂の城」「影絵」「運命の人」「夢心地」「チイサナツバサ」「ASH」を収録
<Blu-ray 収録内容>
・Music Video Collection

▼20周年アニバーサリーBOX 予約詳細
20周年アニバーサリーBOX 予約まとめURL
https://kmu.lnk.to/fqi7cq
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